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二丁拳銃・ウメハラ・賞金制全国大会――トピックス満載の話題作「ガンスリンガー ストラトス」はいかにして生まれたのか。誕生秘話をキーマンの2人に聞いた
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印刷2012/09/01 00:00

インタビュー

二丁拳銃・ウメハラ・賞金制全国大会――トピックス満載の話題作「ガンスリンガー ストラトス」はいかにして生まれたのか。誕生秘話をキーマンの2人に聞いた

画像集#004のサムネイル/二丁拳銃・ウメハラ・賞金制全国大会――トピックス満載の話題作「ガンスリンガー ストラトス」はいかにして生まれたのか。誕生秘話をキーマンの2人に聞いた
 2012年7月12日より稼働を開始した,スクウェア・エニックスのアーケード用“ダブルガンアクションゲーム”「ガンスリンガー ストラトス」。4Gamerでもこれまで何度か紹介しているが,ガンデバイスの“合体”によって武器をチェンジできる“ダブルガンデバイス“を始め,オンラインを介した4vs.4対戦,ウメハラ氏などのプロゲーマーを起用したプロモーション,さらには賞金総額1000万円にも及ぶメーカー主催の全国大会など,話題性には事欠かないタイトルである。

 すでに稼働から1か月以上が経過し,対戦に明け暮れている人も多いと思うが,アーケードゲームとしても類を見ないこのタイトルが,如何にして生み出されることになったのか,気になっている人も少なくないはずだ。
 そこで4Gamerでは,ガンスリンガー ストラトスのプロデューサーであるスクウェア・エニックスの門井信樹氏と,開発を担当したバイキングの代表取締役社長,尾畑心一朗氏のお二人に,本作が生まれた経緯についてお話を伺った。
 開発にまつわるエピソードや,前代未聞のプロモーション手法とその狙い,そしてこれからの展開についての話もあるので,ファンはもちろん,アーケードゲームシーンやプロゲーマーに興味がある読者も,ぜひチェックしてみてほしい。

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「ガンスリンガー ストラトス」公式サイト



ダブルガンデバイスはこうして生まれた


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,まずはガンスリンガー ストラトス(以下,GUNS)の企画が生まれるまでの経緯をお聞かせください。

スクウェア・エニックス 「ガンスリンガー ストラトス」プロデューサー 門井信樹氏
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門井信樹氏(以下,門井氏):
 最初のきっかけは,飲み会なんですよ(笑)。「ロード オブ ヴァーミリオン」(以下,LoV)のプロデューサーである柴さん(柴 貴正氏)に「面白い人がいるから来て」と居酒屋に呼び出されて,そこで尾畑さんと初めてお会いしたんです。

バイキング 尾畑心一朗氏(以下,尾畑氏):
 柴さんとは,以前に人づての紹介で知り合っていたんですが,門井さんとはその飲み会で初めてお会いしたんです。そのときはお互いに自己紹介した程度でしたが,その1か月後にまた飲み会でお会いして,柴さんから「門井さんと一緒にアーケードゲームを作ってほしい」と言われました。

門井氏:
 LoVとはまったく別の,新しいアーケードゲーム,専用筐体を使った,家庭用では絶対にできないオリジナルものをやりたいって,その時提案したんですよ。

尾畑氏:
 そうそう,「アーケードで今までにないゲームを作りませんか?」というお話をいただいて。でもそれは飲み会の席だし,社交辞令だろうと思っていたんですよね。

(一同笑)

尾畑氏:
 なので「まあ,落ち着いたらぼちぼち考えよう」と思って別の仕事をしていたんだけど,2〜3週間くらい経ったころ「企画書はまだか」という連絡が会社に入ってきて。そこから慌てて企画書を書き始めたというのが真相です(笑)。それがきっかけでしたね。

4Gamer:
 それは,いつ頃のお話ですか?

尾畑氏:
 2年前の,6〜7月辺りですね。

門井氏:
 実際に開発がスタートしたのは,2010年の11月でした。だから,形になるまでに約20か月ということになります。

4Gamer:
 20か月というと,結構なスピード開発ですよね。

尾畑氏:
 そうですよ! 急げ急げと言われましたから(笑)。

門井氏:
 はい(笑)。どうしても夏休み前に出したい,という目標があったので。

バイキング 代表取締役社長 尾畑心一朗氏
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尾畑氏:
 僕は元々カプコンの出身なんです。これまでにもアーケードゲームを何本も制作してきたんですが,GUNSの制作は色々な意味で初めての経験ばかりでした。まず筐体や操作系から開発するのが初めてでしたし,スクウェア・エニックス,タイトー,そしてバイキングという,スクラム態勢で開発するのも初めてでした。Type X3基板を扱うのも初でしたしね。……その割には,スピーディーに完成に漕ぎ着けられたんじゃないかと。

4Gamer:
 筐体やダブルガンデバイスといった,基本のデザインが定まったのはいつ頃なんでしょうか。

門井氏:
 2011年の3〜4月辺りには,もう形が見えてました。

尾畑氏:
 企画書の時点から,ほぼこの形だったんですよ。ただ,最初は今よりずっと小さな筐体で,座ってプレイする形でしたけど。

門井氏:
 稼働中のタイトルでいえば,バンダイナムコゲームスさんの「ドラゴンボール ZENKAIバトルロイヤル」ぐらいの大きさですね。

尾畑氏:
 でも,「これではちょっと地味だぞ」という話になって。アーケードゲームの新作って,最初のインパクトが重要なんですよ。お客さんにまず「これは何だろう」と足を止めてもらわないとならないので。その後に画面を見てもらい,遊んでみたら面白い。「じゃあもう一回やってみよう」。そこまでいかなきゃダメなんです。

門井氏:
 だから,もっと見た目に分かりやすく,派手する必要があったんです。

尾畑氏:
 そこから「大画面に向かって立ったままプレイすること」「ガン型のデバイスを使うこと」「さらにそれが二丁拳銃であること」と,次々に仕様が決まっていきました。大きな筐体が4つ並んでいて,お客さんが銃を両手で構えながら声を掛け合っている光景って,すごく目立つじゃないですか。その上で画面を見ると,どうやらネット対戦をしているらしいと分かる,という流れです。

4Gamer:
 二丁拳銃という操作方法も,かなり早い段階で決まっていたんですね。しかしガンシューティングはアーケードの花形ですが,ガンデバイスを2つ使うというのは,かなり特殊な操作系ですよね。合体させることで武器が変わるのも,革新的だと思います。

尾畑氏:
 二丁拳銃は見栄えが良くて,西部劇でも華じゃないですか。とはいえ,ただ単に二丁拳銃を連射するだけじゃ,ゲームとしてはつまらない。

門井氏:
 みんなマシンガンも撃ちたいし,ビームやバズーカも撃ちたいんですよ。

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尾畑氏:
 ボタンで切り替えることも考えましたが,画面上ではバズーカなのに,拳銃を両手に持っているのは何か違う。ちょっと難しくなるかもしれないけど,どうせならそこまでアトラクションにしてしまったほうが面白い,ということで,ガンデバイスを合体させる発想に辿り着きました。

4Gamer:
 あれ,最初はなかなかうまく合体させられないですよね(笑)。

尾畑氏:
 そこまで含めてアトラクションなんですよ。アーケードゲームでしか味わえない体験って,そういうことじゃないですか? あと実は,3歳の息子に買ってあげた「仮面ライダーW 変身ベルト」も,ヒントになってたりするんです。

4Gamer:
 というと?

尾畑氏:
 変身ベルトのソケットをガチャガチャやると,ベルトが変形するというギミックがあるんですが,これがやってみたらすごく気持ち良くて楽しかったんです。このガジェット感をゲームに組み込めれば,もっと面白くて新しい体験になると思ったんです。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに4vs.4で対戦するという形式も,企画の初期からイメージしていたものなんでしょうか。

尾畑氏:
 最初からです。やっぱりアーケードゲームは,日々の売上が命なんです。だから対戦ゲームであることは,大きなアドバンテージなんですよ。それもできれば複数人でプレイできるものがいい。
 バンダイナムコゲームスさんの機動戦士ガンダム VS.シリーズは,バイキングが開発に参加しているタイトルですが,2vs.2の対戦はそこで実現していますし,逆に10vs.10といった多人数対戦は,セガさんの「ボーダーブレイク」などが実現しています。その中で,「今までにないゲーム」という条件を満たしつつ,対戦ゲームとしてまとめることを考えて,4vs.4という今の形に落ち着いたんです。

4Gamer:
 しかし今でこそボーダーブレイクという成功例がありますが,アーケードにおけるFPSやTPSというのは,ジャンルとしてはあまりメジャーとは言い切れない部分があります。そこに不安はなかったのでしょうか。

尾畑氏:
 カプコンさんからリリースされている「バイオハザード4 Wii edition」ってあるじゃないですか。

4Gamer:
 ああ,Wiiリモコンをガンデバイスのように使って遊ぶタイトルですね。

尾畑氏:
 ええ。あれはカプコンでの僕の先輩である三上真司さんが手がけたタイトルですが,僕はあれが大好きなんです。「バイオハザード4」自体,それこそ死ぬほど遊んでいたんですが,それがWiiリモコンで遊べるようになったら,これがすごく気持ちよかったんですよ。
 そんな体験があったので,「ガンデバイスでもっと自由に撃てて,なおかつFPS/TPSのように動き回れる」なら,遊びとして絶対に楽しいだろうという確信がありました。

4Gamer:
 なるほど。面白さには自信があったわけですか。

ダブルガンデバイス
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尾畑氏:
 はい。ただ,「ハードルの高さ」には若干心配がありました。ゲームセンターでガンデバイスを持ってプレイしているところを人に見られるのって,最初はどうしても恥ずかしいじゃないですか。

4Gamer:
 確かに心理的なハードルは高そうです。とくに誰もプレイしていないところに1人で飛び込んで遊び始めるというのは,日本人にはちょっときついかもしれない。

尾畑氏:
 とはいえ,コナミの「Dance Dance Revolution」のように,ギャラリーがたくさんつくようなタイトルもヒットしていますし,一度プレイしてしまえば,そういう気恥ずかしさはなくなるんですよね。だから,初プレイにさえ踏み出してもらえれば大丈夫だろう,と。

4Gamer:
 そこで先のインパクトの話が重要になってくると。先ほど,最初はもっと小型の筐体だったというお話がありましたが,大型化するとなると,今度は設置面積が問題になって来ますよね? ゲームセンター側としても,そう気軽には導入できない気がするのですが……。

門井氏:
 よく“大きい”という言われ方をしますが,実際はLoVやセガさんの「三国志大戦」などと大きさはほとんど同じなんですよ。60インチの大型ディスプレイなので,そのインパクトが大きいのだと思いますが,立ってプレイするゲームなので,その分スペースはカットできますし。

4Gamer:
 液晶ではなく,プラズマディスプレイなんですよね。

門井氏:
 そうです。オペレーターさん(ゲームセンター経営者)からは消費電力についてもよく聞かれますが,最近はプラズマも液晶も,そんなに変わらないですし,焼き付き防止モードもあることから,応答速度の速いプラズマを選びました。
 タイトーさんからも「42インチでいいのでは?」と言われたりしましたが,やっぱりゲームセンターでの存在感とプレイの迫力を考えると,60インチはどうしても譲れませんでした。

4Gamer:
 なるほど。そのこだわりこそが,本作を「今までにないゲーム」たらしめた原動力という気がしてきました。

門井氏:
 アーケードゲームって,筐体まで含めて一つのゲームなわけで。こだわるポイントは,コンシューマゲームと比べても,ずっと広いですね(笑)。

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プロゲーマー起用の理由とは


4Gamer:
 では,すこし視点を変えて本作のプロモーション展開について,お聞きしていきたいと思います。本作はゲーム自体のオリジナリティもさることながら,プロモーション展開もかなり思い切ったことをしていますよね。
 とくにウメハラさんをはじめとした,プロゲーマーを前面に押し出している点が面白いと感じたのですが,これはターゲットとして格闘ゲームファンを設定していると考えて良いのでしょうか。

門井氏:
 ターゲットというよりは,稼働後の展開を考えたものといったほうがいいかもしれません。このあたりはタイトルの宣伝・運営を統括している齊藤からお答えしますね。

齊藤和正氏(以下,齊藤氏):
 ウメハラさんを起用したいと考えた理由は二つあります。
 一つは,本作の大きなチャレンジである賞金制全国大会の開催を,分かりやすい形でアピールしたかった,ということ。賞金制であることを、国内でここまで大々的に打ち出した大会は、これまでなかったはずですし,それを広くアピールするには,日本人プロゲーマーとしてもっとも知名度のあるウメハラさんが適任だと思いました。

門井氏:
 あと,「動画映えする」というのもありますね。ゲームをとりまく現状を考えたときに,YouTubeやニコニコ動画といった動画サイトの存在は,もはや無視できない存在です。その中でどう目立つかを考えると,プロゲーマーがプレイしている動画は,やっぱり注目度が高くなるじゃないですか。
 これまでは,そこで芸能人を使うこともありましたが,ことゲームというジャンルの中で考えるなら,むしろプロゲーマーの方が注目度は高いんじゃないかなと。

4Gamer:
 ああ,それはちょっと分かります。プロモーションで「自称ゲーム好きの芸能人」とか出てくると,コアゲーマーはちょっと身構えちゃいますよね。

門井氏:
 仮に芸能人を使ってうまくいったとしても,二番煎じであることは否めません。どうせなら新しいことをやりたかったんです。それに,普段は個々で戦っているプロゲーマー達がチームを組んで戦ったら面白いじゃないですか。

本作の発表会でのウメハラ。ちなみにEVO2012の帰りの飛行機でも「日本に帰ったらGUNS」と,本作へのやる気を覗かせていたのが印象的だった
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齊藤氏:
 そして二つ目の狙いですが,本作が「対戦を楽しむゲーム」であることを,まず知ってほしかったんです。本作はガンデバイスを使う以上,先入観として「ガンシューティング」というジャンルが頭に浮かぶじゃないですか。

4Gamer:
 確かにそうですね。「銃で撃つ」という意味では,間違ってはいないですが……。

齊藤氏:
 既存の「ガンシューティング」は,基本的にはCPUを相手に遊ぶタイプのゲームが多いですよね。そうなってしまうと,本作のメインターゲットとは,少しズレが生じてしまいます。
 そこで対戦ゲームのオピニオンリーダーであるプロゲーマーに立ってもらうことで,何よりも先に対戦ゲームである事を知ってもらいたかったんです。

門井氏:
 公式にも,本作は「ガンシューティング」というジャンルは名乗っていませんからね。……ゲームセンターには書かれてたりしますけど(笑)。

4Gamer:
 先ほども話題に上った賞金制の全国大会「GUNSLINGER'S BATTLE ARENA」ですが,これも齊藤さんの発案ですか。

門井氏:
 いや,実はLoVでも,賞金制の大会をやろうという案があったんです。やっぱり賞金制だと盛り上がるじゃないですか。ただLoVでは,試合時間の長さから、予選〜本戦などを考えると,どうしても難しかった。

4Gamer:
 賞金制の大会って,今でこそ幾つか挙げられますが,どれもユーザーコミュニティをベースとしたものですよね。メーカー主催の大会で賞金制というのは,アーケードゲームでは初ではないですか?

門井氏:
 おそらくそうなりますね。そもそも,一度稼働を開始したタイトルに対して,メーカー側がロングスパンで盛り上げていく,というスタイル自体,アーケードではこれまであまりなかった手法です。

4Gamer:
 オペレーターが基板を買いとって,あとの盛り上がりはそっち任せ,というのが,昔は多かったですね。

尾畑氏:
 来年バージョンアップするので後はよろしく,みたいな。いや,そんな商売をずっとしていた僕が言うのもなんなんですが,最近になってようやくそれが変わってきた。お客さんを大事にして,少しずつコミュニティを広げていこう,というやり方が増えてきたと感じます。

4Gamer:
 こういってはなんですが,賞金制の大会を開催するにあたって,スクウェア・エニックス社内での反対意見などはなかったのでしょうか。とくに風営法など,クリアするべき問題が多かったのではないかと思うのですが。

門井氏:
 そこは大丈夫です。確かに風営法の縛りがあって,ゲームセンターでは賞金制の大会は行えませんが,今回は予選から会場を用意していますから関係がない。ほかにも景品表示法や賭博法など色々と絡みがあるんですが,それも一つ一つクリアして行きました。

4Gamer:
 東京大会は東京ビッグサイト,大阪大会はインテックス大阪ですね。では反対もなかった?

門井氏:
 「何がなんでもやるぞ」という意気込みでしたから。もちろん,当初の企画から変更を余儀なくされた部分はありますが,とくにかく言い続けていれば何とかなるものです(笑)。

尾畑氏:
 テレビのクイズ番組などでは,賞金1000万円というのもありますから。今後は,他社さんのタイトルでも,賞金制の大会が増えてくれたらいいなと思います。

4Gamer:
 追従するメーカーがあるかもしれませんね。ところでこの大会は,件のプロゲーマーの面々も参加できるんですか?

門井氏:
 もちろんです。とくにふ〜ど君はすごく強くて,現状で一番うまいのは彼じゃないですかね。ウメハラ君とふ〜ど君,あとはCPU2人というチームでも,対戦でほとんど負けないみたいですよ。


尾畑氏:
 少し話は戻ってしまうんですが,実はGUNSのもう1つのコンセプトに「対戦ゲームの歴史をリセットする」というものがあるんです。「ストリートファイター」や「鉄拳」,「バーチャファイター」といったシリーズ作品は,長年プレイしている人達がものすごく強いじゃないですか。だからどうしても新規プレイヤーが入ってきにくい現状がある。だから新しいプレイヤーに入って来てもらうために,全員が同じ位置からスタートできるゲームが作りたかった。

4Gamer:
 確かに格闘ゲームでは,前提となるテクニックが,固定化している部分があります。コマンド入力だって,波動拳なんかはあって当然,出せて当然というか。

尾畑氏:
 そういったものをすべてリセットするために,GUNSには今までにはない駆け引きを詰め込んでいます。その甲斐もあってか,ウメハラ君なんて最初はすごく弱かったですからね!

4Gamer:
 ああ,その話は……たまに耳に入ってきますね(笑)。

尾畑氏:
 それが狙いだったので,結果的にはうまくいったと思っています。ウメハラ君って,格闘ゲームではめちゃくちゃ強くてカリスマ性がある。でもGUNSでは,ボコボコにされてしまうこともある。まあ,プロゲーマーの方々はみんな伸び代が大きいので,あっという間に上達しちゃうんですけど。

門井氏:
 ウメハラ君は,よく「いのちをだいじに」と言ってプレイしているそうですよ(笑)。

4Gamer:
 まず落とされないことが重要だと(笑)。ゲームのコンセプトの話になったので,もう少しお聞きしたいんですが,賞金制の大会を開くとなると,当然真剣勝負をするに足るだけの競技性が必要になりますよね。前例のないタイトルだけに,それをどうやって担保していったのかが気になっているんですが,いかがでしょうか。

尾畑氏:
 うーん,あんまり言いきってしまうのもどうかと思うんですが,4vs.4って1vs.1よりも競技性を持たせやすいんですよ。僕はこれまで「ストリートファイター」シリーズや「ヴァンパイア」シリーズなどに関わりましたが,1vs.1の格闘ゲームって,どんなに調整を重ねても,キャラクターの優劣がついてしまうんです。

4Gamer:
 キャラクターに個性を持たせるとしたら,公平にはなりようがないですしね。

尾畑氏:
 でもこれがチーム戦になると,組み合わせ自体に無限の可能性がある。おかげで目に見えた優劣は付きにくいし,仮にちょっと不利な組み合わせでも,チームプレイでいくらでも逆転できる。

4Gamer:
 なるほど。逆にバランスは取りやすかったと。

尾畑氏:
 僕が対戦ゲームを作るうえでいつも心掛けているのは,「答えが出にくいゲーム」ということなんです。チーム戦なら,よほど極端なバランスにしない限り,これが得られやすいので,そう意味での不安はなかったですね。

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