イベント
「逃走中」×「フォートナイト」約3か月の開発で300万アクセス超えの大ヒットを記録した要因。両IPの“らしさ”とは[UEFest’24TOKYO]
Alcheの代表取締役CEO・川 大揮氏,同エンジニア・南舘岳人氏,同クリエイティブディレクター・尾崎純一氏が登壇し,複数の観点から大ヒットにつながった要素を振り返り,開発事例も紹介された。
「フォートナイト」で人気TV番組「逃走中」が楽しめる「逃走中 CREATED IN FORTNITE」,7月29日公開
Fuji Culture XとAlcheは,Epic Gamesがサービス中の「フォートナイト」で,フジテレビの人気番組「逃走中」が楽しめるゲーム「逃走中 CREATED IN FORTNITE」を2024年7月29日15:00に公開すると発表した。「ランナー」と「ハンター」に分かれたプレイヤーがお台場を舞台に鬼ごっこを繰り広げるという。
Alcheの公式Xアカウント
川 大揮氏のXアカウント
南舘岳人氏のXアカウント
尾崎純一氏のXアカウント
フォートナイトは多数の機能が揃った強力なプラットフォーム
大ヒットの要因の1つ目として,川氏は「フォートナイト」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / Android)上で制作したことを挙げた。フォートナイトは2017年にリリースされたUEベースのオンラインゲームだ。ゲーム内コンテンツを制作できる「Unreal Editor For Fortnite」(UEFN)を使って,コンテンツを自由に制作できる。3Dモデルや画像,サウンドなど,ゲーム外からアセットも入れられる。
フォートナイトで制作するメリットとして,プラットフォームを作る必要がない,マルチプレイがすでに実装されているほか,スキンやエモート,アイテムも多く用意されており,遊びを盛り上げる仕組みが最初から揃っている点を挙げた。
また,自前でサーバーを用意する必要がなく,費用を抑えられる。ほか,Verse(独自のプログラミング言語)など一部のカスタマイズ機能を除き,マルチプレイを意識した実装をせずとも動作し,プレイヤーごとのデータ保存やローカライズ,クローズドベータなども簡単に行えるという。
「マルチプレイのためのVerse入門」
(川 大揮氏のGoogleスライド資料)
さらに,フォートナイトはPCから各種コンソール,Androidまで数多くのプラットフォームに対応しているのも特徴で,2025年にはiOSでのサービスも再開も予定している。
iOS版「フォートナイト」,日本でも2025年後半に配信再開。スマホ向けソフトウェアの競争を促進する法案の可決,成立を受けて
「フォートナイト」の公式Xアカウントは2024年6月12日,同作とEpic GamesストアのiOS向けアプリが2025年後半に登場することを告知した。「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」が,参議院本会議において可決,成立したことを受けた動きのようだ。
制作面だけでなく,コミュニティの強さも大きいという。ゼロからマーケティングやプロモーションを開始する必要はないうえ,フォートナイトコミュニティで一度話題になると,すばやく広く拡散される。
テレビ番組からフォートナイトへ:Alche が Fuji Culture X とのコラボレーションにより「逃走中 CREATED IN FORTNITE」を制作した方法
(フォートナイト クリエイターポータル)
これらにより,フォートナイトとUEFNには,魅力的な特徴が多くあり,従来のゲーム開発と比較して短期間でゲームを開発できるそうだ。
“逃走中らしさ”と“フォートナイトらしさ”を両立した表現
川氏は,“逃走中らしさ”だけでなく,“フォートナイトらしさ”も今回の制作で大切にし,逃走中ファンに喜んでもらえるのはもちろん,フォートナイトプレイヤーに寄り添った仕組みや見た目を重要視したという。“逃走中らしさ”として,IPの象徴である「ハンター」の再現モデルだけでなく,大晦日に放送された番組のオープニングを再現し,それをゲームで流すことで,まるで自分たちが逃走中に出ているようなワクワク感を演出したそうだ。
ナレーションは,番組と同じくマーク・大喜多さんに担当してもらい,SEは番組のものを利用するなど,Fuji Culture Xの協力もあり,本物っぽさを出せたと振り返った。
一方,アイテムはフォートナイトのものを利用することで,フォートナイトプレイヤーにとって直感的にわかりやすく,普段の遊びの延長で楽しめるものにしたそうだ。
メモリ制限の都合もあるが,ビジュアルについても“フォートナイトらしさ”を感じてもらえるよう,極力独自の3Dモデルを使わず,フォートナイトらしさがあるアセットを使って,お台場を作り上げたという。
NPC「ハンター」の実装やゲームとしての面白さ
マップ制作やNPC実装,バランス調整など開発事例の紹介は,南舘氏によって行われた。マップ制作では,番組から提供されたフジテレビ社屋の3Dモデルや逃走中のロゴなどのテクスチャ素材を最適化し,ゲームに組み込んだという。提供されたフジテレビ社屋のデータは90万ポリゴンあり,DCCツールやUEFNで最適化作業を行い,10万ポリゴン以下に削減したそうだ。
また,ユニークな形状でなければフォートナイトのアセットを利用することで,ゲーム開始時のダウンロードサイズを小さくでき,ロード時間短縮に加え,フォートナイトらしさも両立できたという。
マップ制作にあたり,実際にお台場を訪れて,現実の配置をそのまま再現していたが,横に長い建物が連続し,何もないエリアが多く生まれてしまったそうだ。
そのままでは駆け引きが生まれにくいため,道幅を狭くしたり,建物に内装や入口を追加したりしたほか,大ジャンプできるタイヤや高速移動可能なグラインドレールを配置し,お台場の雰囲気を残しつつ,ゲームとしての面白さを両立したという。
NPCの制御では,ハンターの見た目をオリジナルで作成するために,現在早期アクセス機能として提供されている「NPCスポナー」を採用したそうだ。
NPCはベースとなるタイプを選択でき,短期間で鬼ごっこというシステムを実装するため,プレイヤーを見つけて追いかける警備機能やグラインドレールなどのギミック利用の仕組みが備わっている「Guard」を利用したという。
また,逃走中をより面白くするための独自機能として,「プレイヤーランナーを見失った場合,最後に見つけた位置までNPCを移動させる」などのロジックを,Verseで実装しているそうだ。
UEのビヘイビアツリーやStateTreeといったビジュアル化されたツールは使えないが,Verseならではの並列処理で扱いやすくなっているという。
チーム開発における工夫も紹介された。短期間でテストプレイと本実装を高速で回すために,追加する機能はインタフェースとして切り出し,本実装で不必要となれば簡単に破棄できるようしたそうだ。
独自のAPIの実装は公式のAPIとほぼ同じ形式で制作し,Verseを触ったことがある人がすぐに理解できるものにしたという。
バランス調整では,フォートナイトで用意されている「分析の仕掛け」というものを利用して,各陣営の勝利回数やランナーが捕まった原因などを分析し,パラメータ調整を行ったそうだ。
テストでは,ハンター側にもミッションが表示されるバグが発生したが,ハンター側がミッション内容を確認して先回りするなど,緊迫した体験につながったため,そのまま取り込んだという。
ハンター側が“出待ち”できるようになったが,ランナー側はアイテムを使用して対処できることが分かり,仕様決めの段階で却下されそうなアイデアでも,実際にプレイして確かめる大切さを感じたそうだ。
「マツケンサンバ」のモデル制作フロー
尾崎氏からは,「マツケンサンバII Rise Up the World」での「マツケン」や,「逃走中 CREATED IN FORTNITE」での「マツケンハンター」などのモデル制作フローが紹介された。「逃走中 CREATED IN FORTNITE」にマツケンハンター放出。マツケンサンバIIとのコラボイベントを10月18日18:00から開催
Fuji Culture XとAlcheは本日(2024年10月17日),Epic Gamesがサービス中の「フォートナイト」で公開している島「逃走中 CREATED IN FORTNITE」にて,松平 健さんが歌う「マツケンサンバII」とのコラボを実施すると発表した。イベント期間は,10月18日18:00から12月(終了日未定)まで。
「フォートナイト」に俳優・松平 健さん降臨。「マツケンサンバII」のライブパフォーマンスを10月18日にゲーム内で開催
AlcheとTrippy,三喜プロモーションは本日(2024年10月11日),Epic Gamesが手がける「フォートナイト」にて,俳優の松平 健さんとコラボした「マツケンサンバII Rise Up the World」を10月18日20:00より開催すると発表した。今回は,ゲーム内で「マツケンサンバII」のライブパフォーマンスを楽しめるという。
モデル制作では,「Houdini」(外部リンク)のプロシージャルフローを主軸としながら,「Blender」(外部リンク)でのフェイシャルなどを並行して行ったそうだ。
複数の表情パターンをライブ映像を参考に作成し,振り付けや声量に合わせて目線や表情を変えて,歌っている感じを出したという。
モーションキャプチャは,iPhoneで収録し,実写映像から3Dアニメーションを生成できるツール「Wonder studio」(外部リンク)を利用した。6月時点で,120秒以上の動画には未対応だったため,動画を3分割してモーションデータを取得したという。
分割したモーションデータのブレンドや,キャラクターの位置や向き,指の動きなどは,Houdiniで修正を行ったほか,セカンダリモーションなどを利用し容量の削減も行ったそうだ。
現在開催中の「逃走中 CREATED IN FORTNITE」と「マツケンサンバII Rise Up the World」のコラボイベントは12月(終了日時は未定)まで実施予定だ。興味のある人は,公式サイトから参加方法をチェックして,この機会に遊んでみよう。
「逃走中 CREATED IN FORTNITE」公式サイト
「マツケンサンバII Rise Up the World」公式サイト
「Alche」公式Xアカウント
「UNREAL FEST 2024 TOKYO」公式サイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
フォートナイト
- 関連タイトル:
Unreal Engine
- この記事のURL:
キーワード
(C)2011, Epic Games, Inc. Epic, Epic Games, the Epic Games logo, Fortnite, the Fortnite logo, Unreal, Unreal Engine 3 and UE3 are trademarks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. All rights reserved.
Fortnite (C)2018, Epic Games, Inc. Epic Games, Fortnite, Unreal, Unreal Engine 4, UE4, and their respective logos are trademarks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. All rights reserved. The rating icon is a registered trademark of the Entertainment Software Association. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
(C)2018, Epic Games, Inc. Epic, Epic Games, the Epic Games logo, Fortnite, the Fortnite logo, Unreal, Unreal Engine 4 and UE4 are trademarks or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. All rights reserved.