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「フォートナイト」が“バトロワじゃなかった頃”を,アーリーアクセス開始から5周年を機に振り返る。成功の要因は,流行への敏感さ?
同作がどんなゲームかと問われたら,迷わず“バトロワ”と答える人がほとんどだろう。「PUBG: BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)や「Apex Legends」などと並ぶ,人気バトルロイヤルタイトルの1つとして人気を博している。
だが,アーリーアクセスが開始されたときの「フォートナイト」には,バトロワの影も形もなかった。
本稿では5周年を機に,そもそも本作がどんなゲームを目指して企画・開発されたのかを,過去に掲載された記事を基に振り返ってみる。
「フォートナイト」公式サイト
「フォートナイト」の名前が世に出たのは,2011年12月10日。北米で放送された「Spike TV Video Game Awards 2011」にて開発が発表され,同時に公式サイトと1stトレイラーが公開となった。
このトレイラーに収録されているのは,キャラクター達が廃墟となっているバーガーショップを破壊して資材を持ち出し,自分の砦の補強して,夜になると襲ってくるモンスターに備えるという,ゲームの流れだ。
なんともEpic Gamesらしからぬ雰囲気の新作,「Fortnite」の制作が発表。内容未詳ながら,タワーディフェンスものを思わせるムービーが公開
Epic Gamesは,2011年12月10日にアメリカで放送された「Spike TV Video Game Awards 2011」において,新作タイトル「Fortnite」の制作を発表し,公式サイトをオープン,さらにムービーを公開した。ゲームの詳しい内容は分からないものの,ムービーから判断する限り,ストラテジックなタワーディフェンス系のゲームになるようだ。
この1stトレイラーが示している通り,もともとの「フォートナイト」は,夜な夜な地底から湧いてくるクリーチャーによって文明が破壊された世界を舞台に,生き残ったプレイヤー達が協力して砦を作り,自分たちが作った武器やトラップでクリーチャーの波状攻撃に耐えるという,クラフト要素を盛り込んだ“Co-op型タワーディフェンス系アクション”だった。
とくにクラフトは,町を徘徊して拾い集めたスクラップを使って砦を拡張したり,ほかのプレイヤーが持っていないユニークな武器を作り上げたりと,多彩なカスタマイズが可能で,本作のセールスポイントになっていた。
また本作は,Epic Gamesが開発したゲームエンジン「Unreal Engine 4」(以下,UE4)を初めて採用したゲームであり,UE4を活用したマルチプラットフォーム展開も早い段階から示唆されていた。同社の最新版(当時)ゲームエンジンだったUE4の実力を示すためのデモンストレーション的な側面を持っていたというわけだ。
実際,本作はEpic Gamesのタイトルとしては初めてセルシェーディングを利用しており,UE4の特徴であるフォトリアル性に囚われない,「UE4なら,こういうゲームも作れる」と主張するかのようなコミカルな雰囲気を漂わせている。4Gamerの記事も「Epic Gamesらしからぬ雰囲気の新作」と紹介していた。
華々しく発表されたフォートナイトだったが,そこからアーリーアクセス開始まで5年半以上もの時間がかかってしまった。UE4は2012年5月にリリースされ,さらに2015年には無償提供が開始されるなど,フォートナイトのアーリーアクセス開始時点ではすっかり普及しており,デモンストレーションとしての意味は薄れてしまった。
GDC 2013のセッションにて,3つのプロトタイプをボツにして建築時の操作性を追求していることを報告したり,2014年7月に新トレイラー公開し,続く12月にαテストを実施したりと,プロジェクトが継続しているは日本にも伝わっていたが,スムーズな開発とはいかなかったようだ。
現在はさまざまなプラットフォームで楽しめる本作だが,アーリーアクセス開始時のプラットフォームはPCのみだったため,当時の日本で本作に注目していた人は,それほど多くはなかったであろうことは想像に難くない。
フォートナイトが日本で注目を集めるようになったのは,アーリーアクセス開始から約2か月後の2017年9月に,バトルロイヤルモードを実装してからだ。
このモードが実装されることになった背景を語るうえで,PUBGの存在は外せないだろう。フォートナイトより約4か月早く,2017年3月にアーリーアクセスが開始されたPUBGは,その週末の間に40万本を売り上げ,Twitchでの同時視聴者数が15万人を超えるなど大ヒット。バトルロイヤルゲームというジャンルを一気に認知させた。フォートナイトはいち早くその流れに乗ったわけだ。
PUBGの開発元であるBlueholeが,両作の類似性について声明を発表するなど,物議を醸したりもしたが,フォートナイトのバトルロイヤルモードは人気を集め,PUBGと合わせて“2大バトロワ”などと呼ばれるようになっていく。
2018年にはバトルロイヤルモードを基本プレイ無料で楽しめる日本語バージョンがスマホを含む各プラットフォーム向けにリリースされ,プレイヤー層がさらに広がっていったのは,多くの読者がご存じのとおりだ。
「フォートナイト バトルロイヤル」の日本語版が2018年3月8日に配信開始。100人参加のバトルロイヤルは,もちろん基本無料で楽しめる
Epic Gamesは本日(2018年3月6日),PC/PlayStation 4用アクションゲーム「フォートナイト バトルロイヤル」の配信を2018年3月8日に開始すると発表した。最大100人が参加して最後の1人になるまで戦い続けるバトルロイヤルモードが,基本プレイ無料で楽しめる。
フォートナイトのアーリーアクセス開始を伝える4Gamerの記事では,Epic Gamesのティム・スウィーニー(Tim Sweeney)氏が,同作を「『Minecraft』と『Left 4 Dead』を一緒にしたようなゲーム」と表現したコメントを紹介している。
Minecraftのようなクラフト(建築)要素がある,Left 4 Deadのような協力型シューター,ということだろう。他社タイトルを例に挙げてしまってはミもフタもないと思う人も多いだろうが,非常に分かりやすく,キャッチーな表現ではある。
仲間と砦を構築してクリーチャーの襲撃に備える,「Fortnite」のアーリーアクセス版がリリース
Epic Gamesは,同社の新作タイトル「Fortnite」のアーリーアクセス版をリリースし,ローンチトレイラーを公開した。嵐の中からクリーチャーが襲ってくるという世界を舞台に,物資を集めたり,取り残された人々を救いつつ砦を築き,襲撃に備えるというプレイが楽しめる。
この発言に代表されるように,フォートナイトの開発陣は流行に敏感であり,いい意味で節操がなかったと感じる。そのため,アーリーアクセス開始からわずか2か月でバトルロイヤルを採り入れるという決断にも抵抗がなかったのだろう。
実際,本作はその後も国内外の著名アーティストがバーチャルライブを開催する場として提供されたり,「『フォートナイト』はメタバースか否か」といった議論がなされたりと,世間の流行に沿った展開を見せている。今後も本作は,さまざまな形で流行を採り入れつつ進化してくのではないか……と筆者は予想しているのだが,どうだろうか。
なお,バトルロイヤルではない,フォートナイトのPvEモードは,現在「世界を救え」というモードになっている。スマホやSwitch版には搭載されておらず,ほかのプラットフォームでもプレイするにはアクセス権を本作の公式サイトで有償購入する必要があるが,興味のある人は“フォートナイトの原点”をプレイしてみてはどうだろうか。
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