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ARM,ミッドレンジ向けの新CPUコア「Cortex-A17」と新GPUコア「Mali-T720」を発表。採用製品は2015年以降に登場の予定
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印刷2014/02/12 13:27

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ARM,ミッドレンジ向けの新CPUコア「Cortex-A17」と新GPUコア「Mali-T720」を発表。採用製品は2015年以降に登場の予定

 英国時間2014年2月11日,ARMは,新CPUコア「Cortex-A17」と,新GPUコア「Mali-T720」を発表した。Cortex-A17は,既存の「Cortex-A9」を置き換えるミドルレンジ向けのCPUコアで,Cortex-A9と比べて60%の性能向上を実現するとのこと。一方のMali-T720はローエンドからミッドレンジのAndroid端末に向けた製品と位置付けられている。これらの搭載製品が市場に登場するのは2015年以降の見込みだ。


Cortex-A17


Cortex-A17のブロック図
画像集#002のサムネイル/ARM,ミッドレンジ向けの新CPUコア「Cortex-A17」と新GPUコア「Mali-T720」を発表。採用製品は2015年以降に登場の予定
 Cortex-A17は,ARMの32bit CPUアーキテクチャ「ARMv7」に基づくプロセッサIPコアで,最大では4基によるマルチコア(MP Core)構成が可能だ。各コアには汎用のSIMD演算ユニット「NEON data engine」と浮動小数点演算ユニット(Floating Point Unit),命令用には容量32〜64KBの,データ用には容量32KBのL1キャッシュが組み合わされる。L2キャッシュ容量は256KBから8MBまでの範囲で採用メーカーが選択可能だ。
 製造プロセスは28nmで,最大動作クロックは2GHz以上とのこと。Cortex-A7と組み合わせて,「big.LITTLE」技術に対応することも可能という。

 さて,こうしたCortex-A17の仕様とターゲットとする市場を見ると,2013年6月に発表された「Cortex-A12」とほとんど同じように見える。ただし,Cortex-A12の性能は,対Cortex-A9比で20〜50%程度の性能向上と言われていたのに対し,Cortex-A17は60%となっており,より高い性能を備える製品に位置付けられているようだ。

 Cortex-A17がターゲットとする製品は,ミドルレンジのスマートフォンやタブレットはもちろんのこと,スマートTVや「Over-the-top device」※1,車載電子機器など多岐に渡っている。ARMの想定どおりに事が運ぶのであれば,非常に多くの製品で採用されるCPUコアとなりそうだ。
 なお,Cortex-A17の発表に合わせる形で,台湾MediaTekからはさっそく,Cortex-A17採用のスマートフォン向けSoC(System-on-a-Chip)「MT6595」が発表されている。MT6595はCortex-A17とCortex-A7を4基ずつbig.LITTLE構成で集積し,H.265/HEVCベースの4Kビデオをエンコード&デコードできるハードウェアも統合するとのことだ。MediaTekによれば,MT6595搭載デバイスは,ARMの見込みよりも少し早く,2014年後半にも登場する予定になっているという。MT6595の登場は少し速く,搭載製品は2014年後半に登場する予定である。

※1 テレビと接続してIPベースのコンテンツを利用するセットトップボックスや,小さなメディア再生デバイスのこと。


Mali-T720


Mali-T720のブロック図
画像集#003のサムネイル/ARM,ミッドレンジ向けの新CPUコア「Cortex-A17」と新GPUコア「Mali-T720」を発表。採用製品は2015年以降に登場の予定
 GPUコアのMali-T720は,現行のMali-T600シリーズと同じ「Midgard」世代のGPUコアで,どちらかといえば高性能よりも低コスト性が重視された製品である。既存のMali-T600シリーズと比べたメリットも,50%の性能向上(※比較対象の具体的な型番は不明)より,「ダイエリアが縮小され,レイアウトも簡素化された」ことのほうが強くアピールされているといった具合だ。
 統合されるシェーダコアは最大8基で,L2キャッシュ容量は32〜256KBからベンダーが選択可能(※1コアでは32KB,2コアでは64〜128KB,3コア以上では128〜256KBが推奨される)。CPUコアなどとの接続用インタフェースが,Cortex-A17やCortex-A12と同じ世代の「AMBA 4」にアップグレードされているので,ミドルクラス市場向けCPUコアの強化に合わせて改良されたGPUコアと考えてよさそうだ。

 日本のスマートフォン市場では,ハイエンドのSoC――とくにQualcommのSnapdragonシリーズ――を採用する製品が現状は主流のため,Cortex-A17を搭載するスマートフォンが大量に出回るということはないかもしれない。しかし,Androidデバイスの主戦場が次第に低価格帯へと移行しているのも確かであり,その意味では,大変興味深い製品が出てきたといえるだろう。

Cortex-A17とMali-T720に関するプレスリリース(英語)


  • 関連タイトル:

    Cortex-A

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