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「初音ミク and Future Stars Project mirai」店頭体験会の模様をレポート。開発スタッフへのインタビューも掲載
「初音ミク and Future Stars Project mirai」公式サイト
・「PIANO*GIRL」
・「LOL -lots of laugh-」
・「私の時間」
・「トリコロール・エア・ライン」
・「トリコロール・エア・ライン(vo.リン)」
・「トリコロール・エア・ライン(vo.ルカ)」
・「トリコロール・エア・ライン(vo.MEIKO)」
「トリコロール・エア・ライン」は初音ミクが歌うオリジナルのほか,本作の特徴である“ボーカルチェンジ”により,3つのバージョン違いが用意されていた。PVでダンスしているキャラクターが切り替わるだけでなく,楽曲自体のボーカルも変わっているため,聴き慣れた曲でもずいぶんと新鮮な印象を受ける。
ゲームの難度は,曲ごとに「ラクラク」「ホドヨク」「トコトン」の3段階から選ぶことができた。筆者は試しに「トコトン」でプレイしてみたが,ほかの難易度とは比べものにならないほどボタンがびっしりと詰まった譜面になっており,ちょっと気を抜いただけであっさりゲームオーバーになってしまった。腕前に自信のある人はぜひ「トコトン」で挑戦してみてほしい。
なお会場では,本作プロデューサーの大崎 誠氏と,ディレクターの高部元志氏を囲んで,メディア合同によるインタビューも行われたので,その内容もお伝えしよう。
――まずは「初音ミク and Future Stars Project mirai」の開発コンセプトをお聞かせください。
最初は,会社から「ニンテンドー3DSで初音ミクのタイトルをやってみろ」という指令がありまして。そこで,「ドラえもん」的なワクワクする未来をミクで描く,“未来ガジェットとゲーム”というコンセプトで企画をスタートしました。
――今回,多くのファンが体験会に参加していましたが,手応えのほどはいかがですか?
大崎氏:
これだけ来ていただけたのは幸せですね。我々は基本的にアーケードの仕事をしていて,コンシューマでも「バーチャファイター」などの移植が多いので,コンシューマで完全オリジナルを作るのは初めてでした。なので心配もありましたが,安心いたしました。
ディレクター 高部元志氏(以下,高部氏):
これまではネット越しでしか反響を確認できなかったので,ネットでガンガン活動している人が初めてオフ会に参加するときのようなビクビク感がありましたね(笑)。
――今後も各地で体験会を実施する予定とのことですが,今後来場される皆さんにお伝えしたい見どころはありますか?
大崎氏:
3D立体視でもゲームを遊びやすいよう作っていますので,そこに注目してほしいですね。また,3DSって音質が良いんですよ。なので,ボタンを押したら「良い音」がちゃんと鳴るかどうかも,ぜひ確認してほしいです。
高部氏:
今回初めて,ボタンを長押しして離したときにもヒット音が鳴るようにしたんです。その音も見込んで譜面を作っているので,ロングトーンが頻発する譜面だと,今までにない快感が得られると思います。
あとはキャラクターの可愛さですね。「まんまる かわいい リズムゲーム」というキャッチコピーを使っていますけど,実機でぜひ「あ,“まんまる”ってこういうことなんだな」といった立体感を見ていただきたいです。
いわゆる“揺れもの”――ミクのツインテールの硬さなども,「ねんどろいど」らしく調整して今のバランスに落ち着いています。そういったところの表現に関して,我々は昔から「リアル」ではなく「リアルっぽい」を目指しているので。「バーチャファイター」を例にすると,普通は蹴られてもあんなにきりもみしながら吹っ飛ばないですよね(笑)。こういう風にしたら気持ちいいよね,ねんどろいどが動いたらこうなるんじゃないか,というところを追求した結果が本作です。
――今回「GUMI」(ボーカロイド“メグッポイド“のキャラクター)がゲスト参加していますが,参加に至った経緯は?
大崎氏:
GUMIが歌っている「ハッピーシンセサイザ」にしろ「マトリョシカ」にしろ,みんな「この曲で遊んでみたい」という願望があったと思うんです。それを実現したいというシンプルな理由から,関係各所で調整をしました。
――ちなみに,先日のワンダーフェスティバル2012[冬]で,GUMIのねんどろいど化が初めて発表されましたが,それは本作へのゲスト参加と関係しているんでしょうか?
高部氏:
いや,GUMIについてはまったくリンクしていないですね。ただ逆に,「SING&SMILE」の応援団コスチュームは,グッドスマイルカンパニーさんから資料を見せていただいたりしました。
――収録曲の「逆さまレインボー」については以前,総合プロデューサーの内海さんが好きな曲に挙げられていましたが,今回はやはり内海さんのリクエストによる収録だったんでしょうか?
大崎氏:
そうですね(笑)。ただ,家庭用の「Project DIVA」,「Project DIVA Arcade」とで,選曲のラインナップや雰囲気に違いがある中,「Project mirai」の場合は――高部君が“渋谷系”(90年代中盤に流行った音楽ジャンル)が好きだったりもするので,「オシャレっぽい感じにしたいよね」と選曲しています。
高部氏:
ただ好きだから選んだのではなく,デュエットで良い曲を入れたい,という理由もありましたね。
――本作独自の要素として“ボーカルチェンジ”がありますが,これを実現するにあたり苦労した点はありますか?
当然こちらからボカロPの方々にお願いをしたのですが,ボカロPによっていろいろポリシーがあるんですね。「お祭りだからやります」と全キャラのバージョンを作って下さる方もいれば,「この曲はリンだけで」といったお話もありました。
高部氏:
それぞれ,使い慣れているボカロとそうでないボカロとがあるので,無理強いはあまりできず,「どうでしょう?」と相談していきました。
大崎氏:
ミク用に作ったVSQデータ(ボーカロイドソフト用の発声データ)をそのままリンに歌わせたりしても,いわゆる“調教”をちゃんとし直さないと,良くはならないらしいんです。
高部氏:
ボカロPによっては,キャラクターごとに歌詞まで変えて対応してくださる方もいらっしゃいましたね。
大崎氏:
また,ボーカルチェンジに合わせてちゃんとキャラクターごとのコスチュームを作ったりもしています。なので,曲によってはコスチュームが4種類くらいあったりするので,そうしたデザインと曲調の一致ができたのが良かったですね。これについては,絵師さんも「キャラごとにどう差別化するか」など悩んだと思います。
――“未来ガジェット”というコンセプトを考えると,ARモードが大きな魅力となりそうですが,開発スタッフおすすめの遊び方はありますか?
大崎氏:
カードを手の平に乗せて,“手乗りミク”はまずやりますよね。
高部氏:
手製のペーパークラフトなどでジオラマを作ると,より楽しめるんじゃないかと思います。
大崎氏:
あとはMiiを呼ぶこともできるので,ポーズを決めて記念撮影することもできます。
高部氏:
僕らは“エクストリームミク”と呼んでいるんですが,極限の状況に持っていって自分のMiiと記念写真を撮っていただくのも楽しいかと。
大崎氏:
ねんどろいどは旅行先などへ持っていって撮る人も多いので,そんな感じになれば面白そうですね。
高部氏:
ARって背景があってナンボなので,いかに面白い背景で撮るかというのが,AR職人さんの腕の見せどころなのかなと(笑)。
――撮った写真はSDカードに書き出せますか?
大崎氏:
はい,書き出せます。
――AR写真コンテストなどを開催するのはいかがでしょうか?
大崎氏:
今後の展開として充分考えられるんじゃないかと思います。
高部氏:
3DSの機能のショーケースみたいなソフトにしたかったので,本体にある機能を全部使いたかったんです。ネット上の動画で勃興したカルチャーですから,何かしらソーシャル性を入れたかったので,すれちがい通信を活かしたコメント機能ならば,うまく噛み合うだろうと。そこでピンと来てからは一気に仕様が決まりましたね。
大崎氏:
自分の動画にコメントが付くと嬉しいんですよ。お忍びでつまんない動画を上げたことがあるんですけど(笑)。
今作ではコメントのデコレーション機能なども妙に凝っているので,良いコメントをもらったら「負けられねえ」と自分もコメントを作ったりと。ミクがはやった場所へのオマージュというのは,当然ですがあります。
高部氏:
技術的にも倫理的にも,動画サイトのように自由度は高くないですから,携帯ゲーム機の中で楽しめるような補助機能を入れています。フィルターであったり,コピー機能,削除機能といったものを活用していただいて,自分なりの一番気持ちいい“弾幕”を最終的に作り上げるところまで,ゲームとして楽しんでいただければと思っています。
――今回,オープニングにDECO*27さんの新曲「ゆめゆめ」が収録されていますが,これはどういった経緯で?
大崎氏:
DECO*27さんは,とくに初期の曲だと可愛いものが多いですが,それが今作のイメージに近かったというのが理由ですね。
高部氏:
話し合いで「毒気のない,明るい未来」を考えたときにDECO*27さんの名前が出て,その場で電話をかけましたね(笑)。
大崎氏:
そう,一番大事なのは「毒気のない未来」。藤子・F・不二雄的未来観というのをミクの世界でやりたかったので。実は最初,「初音ミク and Future Stars ミライのトビラ」というタイトル案もあったんです。
高部氏:
なので,今でも「ゆめゆめ」の歌詞には「ミライのトビラを〜」といったフレーズが残っています。
大崎氏:
「ゆめゆめ」は,ムービーがまた良く出来ているんだよね。オープニングムービーとリズムゲームとで別々のムービーがありますが,アニマさんが作ったオープニングムービーは期待通りの出来でした。
――最後に,発売まで20日を切りましたが,購入を検討しているファンへメッセージをお願いします。
大崎氏:
初めてiPodとかiPhoneを買ったときって嬉しくありませんでした? あれと同じ感覚で,これを持っていると時間を教えてくれるし,遊べるし,いろんなアクションするし,詳しくは言えないんですけどいろんなイースターエッグ(隠し要素)も入れているし――とりあえずドックに開いて置いているだけでも楽しいアイテムなんです。なので「Project mirai」が表現した未来をぜひ味わっていただきたいなと。ゲームとしても,アーケード屋っぽくこだわった部分が多いので。遊んでも楽しいし,置いても楽しい。そういうツールですね。
高部氏:
好きなミュージシャンのビデオクリップを買うと「家でいつでも観られるぞ」という満足感があると思うんですけど,今回は曲をフル尺で入れることにこだわって,PVのクオリティにもこだわり抜いているので,所持しているだけで満足できるというのがあると思います。まだ発表されていないギミックも満載ですので,実際お手にとっていただいて「なんだ,こんなものも仕込んでやがったのか!」と斜め上っぷりを楽しんでいただければ,とほくそ笑んでおります。ぜひお楽しみに!
なお,インタビューの中でも述べられているように,体験会は今後も全国各地で開催される。今回来場できなかったという人も,こちらの記事で開催予定をチェックしてみよう。
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初音ミク and Future Stars Project mirai
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(C) SEGA (C) Crypton Future Media, Inc. デザイン協力:ねんどろいど
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- ビデオゲーム
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