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「クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法」のレビューを掲載。「ポータル」の作者による,次元を切り替えて問題を解決していくユニークなパズルゲーム
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印刷2012/07/25 16:03

レビュー

4つの次元を切り替えて,いろんなパズルに挑め

クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法

Text by UHAUHA


画像集#001のサムネイル/「クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法」のレビューを掲載。「ポータル」の作者による,次元を切り替えて問題を解決していくユニークなパズルゲーム


キム・スウィフト氏が手がける新作タイトルとは


 スクウェア・エニックスから発売中の「クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法」PC/PlayStation 3/Xbox 360)という,ちょっと長めのタイトルのゲームを紹介したい。
 「超次元量子学」などと,うっかりするとヒッグス粒子が発見されそうな難しい言葉がタイトルにあって驚くかもしれないが,分かりやすく言うと,本作は物理法則を適宜切り替えながらパズルを解いて進んでいく一人称視点のゲームなのだって,まだ分かりにくいかも。

 ちなみに,筆者がプレイしたのは,2012年7月11日にXbox LIVE アーケードで配信されたXbox 360版だが,PC版はSteamですでに配信中。また,お伝えしたように7月24日にはPlayStation 3版の配信が開始されている。

「クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法」公式サイト


 知っている人はご存じのように,本作はValveから2007年にリリースされた「ポータル」のリードデザイナーを務めた,キム・スウィフト氏の手がける最新タイトルだ。世界中で大ヒットしたポータルだけに,「ポータルなら,遊びまくった!」という人も多いはず。
 スウィフト氏の新作となる本作はポータルとはとくにつながりのない完全新作だが,一人称視点のゲームであるところやゲームの雰囲気など,多くの部分にポータルの面影が残っていて,ファンなら絶対にグッと来るはず。

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 ゲームの設定はこんな感じだ。母親の都合で,週末をおじさんであるプロフェッサーQの家で過ごすことになった主人公。発明家で億万長者のプロフェッサーQだが,ご自慢の研究所に到着した主人公の前で,たちまち大事故が発生! 何かの実験中だったプロフェッサーQは次元の隙間に閉じ込められてしまった。
 彼を助けられるのはもちろん,主人公だけだ。次元の隙間から聞こえてくる声を頼りに屋敷を探索し,プロフェッサーQを見つけ出さなくてはならないのだ。
 もっとも,プロフェッサーQの話しぶりはかなりフランクで,時折ネットスラングを使ったりと,あまり緊迫した感じがしないなあ……と,こんな感じで,難解そうなタイトルとは裏腹に,設定もストーリー展開もかなりユーモラスなものになっている。

 さて,窮地に陥った彼を助けるためにがんばることになる主人公だが,ここで登場するのが,このお騒がせなプロフェッサーの開発した「IDSデバイス」と呼ばれる,なんとも怪しげな装置。IDSとは,インターディメンショナルシフト(次元切り替え)の略で,文字どおり,次元を切り替えることができるという機械だ。

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 そんなIDSデバイスには4つの機能がある。物が柔らかく軽くなる「ふわふわ」と,物が硬く重くなる「おもおも」,時間の流れが遅くなる「のろのろ」,そして重力の上下が逆転する「さかさま」だ。これら,物理法則の異なる4つの次元を適宜切り替えて,ゲームを進めるのだ。
 ただし,それぞれの次元向けのIDSバッテリーが必要になっており,それが挿入されていない次元の切り替えは行えない。また,IDSデバイスは主人公以外のすべてに作用するため,例えば「のろのろ」次元に切り替えても,周囲の時間経過はのろくなるけど,主人公の移動スピードが落ちることはない。さらに,まだ試験段階なので,効果が届く範囲は狭いようだ。


頭を使い,アクションを駆使してプロフェッサーQを見つけ出せ


 というわけで,ここで4つの次元でどんなことができるのかを簡単に説明しよう。

 「ふわふわ」では,金庫やソファなど通常では持てないような物体が軽くなり,簡単に移動できたり,放り投げたりできる。風で動くほど軽くなるので,強烈な扇風機で物体を移動させて足場を作ったり,椅子に座ったままで,押すべきスイッチまで移動したりできるのだ。

「ふわふわ」
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 「おもおも」では,逆に軽い段ボール箱も重くなり,重くした段ボール箱をガラスに放り投げて割ったり,段ボール箱では軽すぎて反応しない質量感知スイッチを入れたりできるようになるのだ。また,触れると死んでしまうレーザー光線でも,「おもおも」で硬くした物体なら遮断できる。

「おもおも」
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 「のろのろ」では,時間の流れが遅くなるため,高速で回転するファンの隙間を通り抜けたり,放り投げた物体を先回りをしてキャッチしたりできる。

「のろのろ」
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 「さかさま」では重力が逆転するので,これを利用して高い場所にあるスイッチを入れたり,物体に乗って上に移動したりなどができる。また,「さかさま」のオン/オフを繰り返せば,物体を浮遊させておくこともできるのだ。

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 これらの次元を使い分けて,研究所内を移動していくのだが,主人公は常にすべての次元を自由に切り換えられるわけではなく,例えば「ふわふわ」だけ使用できる場所や,「ふわふわ」と「のろのろ」だけが使える場所など,状況によって使用できる次元が限られることもある。

 また,例えば「水飲み鳥」が次元切り替えスイッチを操作して,通常次元と「ふわふわ」が一定時間で自動的に切り替わるような場所もあり,そこでは好きなように次元を切り替えることはできない。

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 この次元の切り替えが本作のパズル要素なのだが,並行してアクションを使わなければならないシーンも多い。
 序盤では「ふわふわ」で軽くしたものをガラスに投げ,当たる直前に元に戻してガラスを割る,といった簡単なものが多いが,そのうち,飛んできた金庫を「のろのろ」で遅くして飛び乗り,移動しながら,別方向から飛んでくる段ボール箱をキャッチして別方向に投げたり,タイミングよく「おもおも」と「ふわふわ」を切り換えてレーザー光線をかわしたりといった芸当も要求されるようになる。アクションの味付けがシビアになっているところもあるので,アクションゲームに自信がない人は多少苦労しそうだ。

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 ほんとにもう,よく考えたなあという雰囲気で,一見するとどうにも手の打ちようのない状況でも,次元をうまく切り替えて,アクションを駆使すればなんとかなってしまうところが見事だ。ゲームは基本的に一本道で,序盤から終盤までやるべきことに大きな違いはないが,後半になるほど次元を切り換える手順やタイミングが複雑になり,さらに正確なアクションも必要になってくる。
 ただし,失敗しても何度もリトライできるので,じっくり考えて繰り返しトライすれば,必ず先に進めるはずだ。「あ,そうだったのか!」という閃きが必要だが,うまく閃いたときの喜びはまた格別で,その楽しさはクセになるはず。ポータルにはまったという人,ちょっと毛色の変わったゲームをやりたいという人は,ぜひ挑戦してほしい。

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