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[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに
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印刷2014/08/15 14:51

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[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 ベラルーシに本拠を置くWargaming.netは,もはやドイツのgamescomには欠かせない常連メーカーだ。最近は,展示エリアに巨大なブースを設置し,そこに派手な飾り付けを施すことで有名だが,今年はステージ正面にある巨大ディスプレイの左右に水槽を配置し,ときどき水着の女性が水中パフォーマンスをするという演出が用意されていた。一見すると水槽ではなく大きなディスプレイにも見えるので,そこにいきなり人が飛び込んでくると,「まじかよ!」となる趣向だ。毎年凝りまくりなので,今から来年のことが気になったりして。

正面の大型ディスプレイの左右にあるのは,一見するとこちらもディスプレイのようだが,実は水槽になっている
画像集#021のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 Wargamingのブースに出展されていたのは,おなじみの「World of Tanks」をはじめ,「World of Tanks: Xbox 360 Edition」「World of Warplanes」などだが,とりわけ目を引くのが,第二次世界大戦下の海戦を描く「World of Warships」だ。日本でもつい最近αテストが行われたばかりの,かなりシークレットなタイトルが一般公開されていたわけで,もう100回ぐらい書いたような気がするが,ドイツの人がうらやましい。
 それに合わせて「World of Warships」のメディア向けデモプレイが,ビジネスエリアのWargamingブースで行われたので,紹介しよう。ゲームの解説をしてくれたのは,Wargamingのサンクトペテルブルクスタジオで「World of Warships」の開発に携わるOparin Anton氏。本業はアートディレクターとのこと。

画像集#022のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 ちなみに,デモプレイに使われたのはgamescom 2014のために用意された特別のバージョンで,PvP,つまり人間同士の戦いではなく,AIを相手にするPvEになっていた。これはショーフロアのブースで一般向けに公開されているものと同じで,短い試遊時間でなるべく多くの人にゲーム要素を知ってもらうことと,テンポアップのため,そのようにしたとのこと。
 プレイアブル勢力の日本海軍には,Tier 5の戦艦「金剛」,Tier 5の駆逐艦「峯風」,Tier 7の戦艦「長門」,そしてTier 8の駆逐艦「吹雪」の姿が,またアメリカ側では重巡洋艦「ペンサコーラ」や,軽巡洋艦「オマハ」などが確認できた(Tierとは,「World of Tanks」などにおける,ランクのようなもの)。
 ちなみに確定ではないが,製品版でもPvEが実装される可能性があるとのこと。もちろんチュートリアルは,PvEなのだが。

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 まずは,海戦の華ともいえる戦艦,「長門」を使ったデモが紹介された。戦艦は分厚い装甲と強力な主砲を持つため,戦闘力はきわめて高い。
 それにしても,ゲーム画面に表示される「長門」の姿は非常に緻密で美しい。Anton氏によれば,船のグラフィックス制作には長い時間と労力が注ぎ込まれており,現在のところ一隻に使用されているのは約30万ポリゴン,パーツ単位では500以上になるという。そうなると,PCに要求されるスペックが気になるところだが,今回の試遊やデモに使われているのはさすがにそれなりのハイエンドマシン。しかし,製品では設定を変更することで,広いレンジのPCに対応する予定とのことなので,スペックに自信がないという人でも安心だ。もちろん,「World of Warships」のためにPCを買い換えるという選択もありで,それほど見た目は美しいのだ。
 さらに,海面の様子や弾着による水柱,そして流れる雲や遠くの島々なども美しく,これが無料で遊べていいのだろうかという感じだ。ゲームエンジンは,2012年にWargamingが傘下に収めたBigWorldの「BigWorld」だが,そのままではなく,大幅に手を入れたものが使われている。

画像集#016のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 デモの目的は,味方の空母を護衛することと,敵艦をなるべく多く沈めることだが,戦艦の任務は,あまり空母のことは気にせず,ひたすら敵を攻撃することにあるようだ。広大な海上での戦いゆえに,ドカンドカン撃ち合うだけの単調なものになるかと思いきや,戦車にはないような対応が求められたりもする。とくに軍艦は正面の敵に対しては向けられる砲に限りがあり,側面を向けたときが(被弾の可能性は増えるが),最大の攻撃力を発揮できる。そのため,海戦ならではの立ち回りが要求されるのだ。

画像集#001のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 船の航行速度は意外に速く,展開はなかなかスピーディという印象だが,それだけに射撃は,敵のいる位置を予測して撃つという,戦闘機で言うところの見越し射撃,あるいは偏差射撃を行わなくてはならない。ある程度の予測位置は表示されるが,距離があるだけに,正確にヒットさせるには慣れが必要という雰囲気だ。狙いは,吃水線のやや下が効果的とのこと。
 砲弾の種類は,榴弾や徹甲弾などいくつか用意されており,あくまで開発の現段階においての話だが,砲弾数の制限はない。上部構造物の破壊を目指すか,あるいは船体に穴をあけて沈没させるかで,弾種を選ぶことになるようだ。
 射撃については,各砲台を順に撃つのか,あるいは一斉射撃をするのかが選択できるが,対空砲については,敵機が接近することで自動的に射撃を開始する仕組みだ。

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 視点は通常,三人称で,カメラを回すことで自艦をぐるりと眺めることができるが,精密射撃を行いたいときは一人称視点に切り替えられる。このあたりは,「World of Tanks」をプレイした人なら分かりやすいだろう。特徴的なのは,「砲弾視点」が用意されていることで,これを選ぶと,撃った弾丸を追尾する画面に切り替わるのだ。メリットとしては,この視点で着弾点を確認し,砲の角度を修正できるわけだが,ただ見ているだけでも面白く,こういう細かいフィーチャーでプレイヤーを楽しませてくれる姿勢が嬉しいところだ。
 また,後述する魚雷にも「魚雷視点」が用意されている。

画像集#013のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに
 とかなんとかで砲撃戦を繰り返し,戦艦の強大な攻撃力を誇示していたら,被弾が重なって艦の上部構造が炎上し始めた。だが,クルーはダメコン(ダメージコントロール)の訓練を受けているらしく,応急修理ボタンをクリックすることですみやかに鎮火したので一安心。そうこうするうちに,味方チームが見事勝利を収めた。

 続いては,戦艦に比べてずっと小柄な駆逐艦,「吹雪」を使ったデモプレイが紹介された。駆逐艦の特徴はその俊足さにあるが,反面,装甲が最も薄く,砲の数も少ない。とはいえ,一撃必殺の魚雷が使えるため,戦艦とはかなり異なるプレイスタイルになるという。
 魚雷にホーミング能力がなかった第二次世界大戦では,扇型に魚雷を撃ち,どれか1本でも命中させるという戦法がよく採られていたのだが,「World of Warships」では,魚雷を目標に集中させるか,扇型に撃つかが選べるようになっている。
 つまり,駆逐艦の戦い方は基本的に,速度的な優位を以て敵艦に接近し,魚雷を放って沈めるというものになる。ただし砲弾と違い,魚雷には使用数の制限をかけるかもしれないとAnton氏は話していた。

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 日本の軽巡洋艦「北上」は,とんでもない数の魚雷発射管を持っているため,それをゲーム上で再現するとゲームバランス的に問題が出てくる可能性がある。そのため,艦体の防御力を弱くしたり,魚雷の威力を下げたりなど,さまざま調整が必要になり,使用可能な魚雷本数の制限もその1つというわけだ。また魚雷にしても,日本の酸素魚雷はアメリカの3倍以上の射程距離を持っており,これについても,日本の魚雷の能力を下げるなどのバランス調整が要求されたという。
 歴史的事実かゲームの面白さか,いずれかを選ぶとすれば,やはり後者になるのは,Wargamingの1つのポリシーだろう。とはいえ,ある意味シンプルな(つまり,評価項目がそれほど多くない)戦車や戦闘機に比べて,軍艦の場合,同じカテゴリーであっても,個々の能力の違いはかなり大きい。海軍マニアにとっては,そのへんが面白いところなのだが,ゲームのバランス調整はかなり難しいようだ。バランス調整は今後も継続して続けられ,大幅に変わる可能性もあるという。

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 また,駆逐艦は「煙幕」を噴出して,視認性を大きく下げることができる。これは,自艦に限らず,味方に対しても効果があり,煙幕に包まれて敵艦に急速接近できるほか,弱った味方の艦を逃がすときなどにも有効とのこと。
 ……そんなこんなで,魚雷を放ったり,煙幕をまいたりしつつ縦横無尽に戦った結果,Anton氏はまたしても勝利を収めたのだ。ただし,魚雷が命中しても沈めきれなかったこともあって,必ずしも一撃必殺ではない模様。

 このほか,今回のレクチャーで明らかになった事実をいくつか羅列すると,まず,最大参加人数は,αテストでは12人対12人だったが,最終的には「World of Tanks」と同じ15人対15人が予定されているとのこと。また,これはすでに発表されているが,正式サービスが始まった時点のプレイアブル勢力は,日本とアメリカで,いずれイギリス,ドイツ,ロシアなどが実装される予定だ。
 開発状況については,現在αテストの段階で,2014年末にはクローズドβテスト,それが終了したあとでオープンβテストに移行したいとのことだが,正式サービスを含めて正確な時期は未定とのこと。まあ,「World of Tanks」にしても「World of Warplanes」にしても,じっくりと作りこむことで定評のあるWargamingなので,こちらとしてもじっくりと待ちたいところ。

画像集#012のサムネイル/[gamescom]戦艦「長門」の主砲が火を噴き,駆逐艦「吹雪」が縦横無尽に航行。「World of Warships」のデモプレイで新情報が次々と明らかに

 クルーの要素については現在,検討中だという。軍艦は,戦車や戦闘機と違って,乗組員の数がケタ違いに多いので,例えば艦長や砲雷長など,そういう立場のクルーに限られることになる。
 また空母は,艦載機を飛ばすことで視界が広がるが,それをどう活かすかについても検討中らしい。「World of Tanks」では,軽戦車が偵察に走り,自走砲がその情報をもとに遠距離攻撃を加えるというフィーチャーがあり,「World of Warships」でも開発初期には似たアイデアがあったが,それは現在,やってみたらつまらなかったという理由で破棄されている。つまり,駆逐艦が俊足を活かして偵察に走り,戦艦がその情報ではるか遠くの敵を撃つ,というようなプレイスタイルには(今のところ)ならないようだ。
 天候の要素については実装が予定されており,部分的に降雨があったり,濃霧が出たりなど,戦況に大きな影響を与えるはずだ。

 という感じの質疑応答が最後に行われ,レクチャーは終了した。
 個人的に,実際のプレイを見るのは初めてのことだが,まずはそのグラフィックスに軽く感動した。広大な海洋を舞台に,砲弾が飛び交い,艦載機が攻撃し,あちこちに水柱が上がる戦場のパノラマは美しくも恐ろしい。主砲が一斉に火を噴く様子は迫力があり,演出も派手だ。
 繰り返しになるが,隠れるところのあまりない海の戦いは単調になるのではないかと思っていたが,デモプレイを見る限りそういうことはなく,それぞれの艦が特徴を十分に発揮するチームワークが,これまでの作品に比べてより重要になると思われる。さらに,島陰や氷山など,地形をうまく使うことも大切だろう。
 ウォーゲーミングジャパンが設立された現在,9月の東京ゲームショウへの出展も考えられるので,さらに詳しい情報を待ちたいところだ。というか,早くプレイさせてよ。

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