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最高峰のeスポーツ環境に圧倒。「CS:GO」の国際大会「Intel Extreme Masters」観戦レポート
eスポーツの大規模ツアー「Intel Extreme Masters」
3年連続でオーストラリアのシドニーで開催
IEMは,eスポーツのイベントを展開する「Electronic Sports League」(ESL)が,Intelと組んで世界各地をツアー形式で行うイベントである。2006年にスタートし今年でシーズン14を数えるIEMは,その歴史をはじめ,各地でのツアー規模や賞金額など,どれを見てもeスポーツのイベントとして世界屈指といえるものだ。
主催のIntelやESLがゲームパブリッシャではないこともあり,IEMの競技タイトルは開催地でのトレンドなどに応じて変わる。近年はPC向けFPS「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO)がメインに採用されることが多く,今回のシドニー大会も同様だ。また今回は,サブステージで「Overwatch」のオーストラリア大会も行われていた。
Intelの名を冠しているイベントであるため,IEMは同社の最新プロダクトやPCゲームなどをアピールする場でもある。会場内では,Intelの第9世代CPUを搭載したハイスペックなPCでゲームを楽しめるほか,自作PCのパーツやゲーマー向けPCブランドの出展エリアも設けられており,観戦以外でもさまざまな形でゲームを楽しめる。
IEMの会期中にプレス向けに行われたショーケースでは,4月23日に発表となったノートPC向けの第9世代Coreプロセッサがあらためて紹介された。会場では,同CPUを搭載した各メーカーのノートPCが披露されており,いくつかの製品は国内でも発売となるのではなかろうか。
IEMシドニーにおけるメイン競技のCS:GOに関しては,各リージョンの予選大会を通過した8チームと,招待された8つのチームの計16チームが出場。8チームずつに分かれてダブルエリミネーション形式によるグループステージステージを行ったあと,その上位6チームが決勝トーナメントでしのぎを削った。
決勝戦はBO5(3本先取制)で行われ,1マップ目のde_cacheをFnaticが制してから,お互いにポイントを取り合う展開となった。そして2-2で迎えた最終マップのde_infernoは,激戦のすえにTeam Liquidが16-9で勝利。6時間半の長丁場を制したTeam LiquidはIEMのビッグタイトルを手にし,また,賞金100万ドルの「Intel Grand Slam」に向けての第一歩を踏み出した。
決勝戦の配信アーカイブ(Twitch)
オーストラリアの観客のテンションの高さに脱帽
まず,観客のテンションが異様なほどに高い。サッカーの国際試合のテレビ中継などで,オーストラリアの観客が「オジオジオジ!」「オイオイオイ!」(Ausie Ausie Ausie,Oi Oi Oi!)と合唱しているのを目にしたことのある人は多いだろう。試合中は,これが延々と繰り返されるのだ。
もっとも,常に叫んでるわけでもない。イメージとしては,アリーナを中心に多くの観客が「(まだか……,まだか……!)」と待ち構えており,どこからともなくトキの一声で前振りが始まると,見事な一体感で「オジオジオジ!」と大爆発する感じだ。
とくにアリーナ席は興奮の坩堝と化していくが,意外なことに,取材中は彼らに対してガラの悪さや怖さなどを感じなかった。まじまじと観察して分かったのだが,彼らは騒ぐためだけに来ているのではなく,真剣に観戦するゲーマーであることがうかがえるのだ。その証拠に選手がファインプレーを見せたときなど,拍手や歓声が挙がるべきときはしっかり挙がるし,ときには容赦のないブーイングも起こる。
他方,ESLのイベント運営の手腕の良さも印象に残った。メインステージでの試合は,選手のコンディションなどに配慮をしているのか結構な待ち時間があるのだが,キャスターの解説は「試合に勝った,負けた」では終わらず,参加チームの背景や戦術などをしっかり解説してくれるため,見ていて退屈しない。来場客の年齢層も,日本のeスポーツ系のイベントと比較して明らかに高い。
また,IEM公式サイトは言うまでもなく,ESLが配信しているイベント用の公式スマートフォン向けアプリも大変充実している。会場マップや試合スケジュール,選手やチームの紹介,さらにはVODや会場内で行えるスタンプラリーなどが確認でき,よくある紙のパンフレットなどはそもそも必要ないのだ。
このアプリ「ESL Event」(iOS / Android)は日本からでもダウンロード可能で,その雰囲気は分かると思うので,興味を持った人は試してほしい。
実際,Intelのeスポーツ担当者に話を聞く機会もあったのだが,日本でIEMのような大型イベントを開催というのは,(少なくとも現段階では)ちょっと現実的ではなさそうである。
直近のIntelの日本市場におけるゲーム関連施策としては,4月20日に「INTEL GAMERS WORLD REIWA」が開催され,同社のプロダクトとともに“ゲーム体験”をアピールしている段階のように見える(※関連記事)。一方でCSは,それこそ大昔のCounter-Strike 1.6の頃から,eスポーツの国際大会で当たり前のように採用されており,これらの動きを知るコアなファンにとってはもどかしく思えるのかもしれない。
ただ,日本でもCS:GOに関しては,サードウェーブによる「GALLERIA GAMEMASTER CUP(GGC)」や,アマチュアリーグの「宴」が開催されており,関係者の熱量はIEMなどと比べても決して劣るものではないだろう。日本でもいつの日か,大規模なeスポーツイベントの開催が現実的に考えられるようになることに期待したい。
決勝戦の配信アーカイブ(Twitch)
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Counter-Strike: Global Offensive
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