任天堂は2012年12月5日,プレゼンテーション映像
「Nintendo Direct 2012.12.5」を配信した。これは,任天堂のゲームに関する新情報を同社代表取締役社長の
岩田 聡氏自らが伝えるものだ。
12月8日のWii U本体発売を間近に控えた今回は,すでに発表されているソフトラインナップのおさらいに加え,2013年に任天堂が発売予定のタイトルの新情報や,ゲーム以外の機能である
「Nintendo TVii」「Wii U Panorama View」などの紹介も行われた。本稿では,その内容を詳しくレポートしていこう。
「LEGO City: Undercover」の日本発売が決定
「New スーパーマリオブラザーズ U」のYouTube公式チャンネルも開設
Nintendo Directは,さまざまな趣向を凝らしたシチュエーションで岩田氏が挨拶するオープニングも見どころの1つになっている。今回は「LEGO岩田」氏が登場し「
LEGO City: Undercover」の国内発売を発表した。
LEGO City: Undercoverは,LEGOをモチーフにしたオープンワールドタイプのゲーム。北米ではWarner Bros. Interactive Entertainmentから発売されるが,日本版の発売元は任天堂になるそうだ。ただし,ゲームの規模が大きいことから,ローカライズには時間がかかり,海外版から少々遅れての発売となるとのこと。
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続いて,岩田氏は,すでに発表されているWii U向けタイトルのラインナップをあらためて紹介した。
この中でも,本体と同時発売の「New スーパーマリオブラザーズ U」については,1UPできる地点の情報やスターコインの取り方,スーパープレイなどの映像が観られる
「New スーパーマリオブラザーズ Uチャンネル」がYouTubeに開設されることが明らかになった。
PCやスマートフォン,タブレットといった機器はもちろん,Wii UでもインターネットブラウザーやMiiverse内のNew スーパーマリオブラザーズ Uコミュニティでムービーを観ることができる。
また,New スーパーマリオブラザーズ Uのゲーム内で
「いつの間に通信」を有効にしておけば,チャンネルに更新があったときに通知が来るとのことだ。
「ピクミン3」や「ドラゴンクエストX」の最新映像も公開
Wii版ドラゴンクエストXで使用していたUSBフラッシュメモリーはWii Uでも使用可能
続いて,2013年に発売が予定されている任天堂タイトルの紹介も行われた。
「
GAME&WARIO」は,「良い意味でくだらない」ミニゲームを16種類収録したタイトルだ。いずれもWii U GamePadを活かしたゲーム内容となっており,人数分のコントローラを追加で用意することなく,
Wii U GamePad1台だけで最大5人のプレイが可能なゲームになっているという。今回は,
「ゲーマー」と
「フルーツ」の2種類のゲームが紹介された。
「ゲーマー」は,ベッドの中で,母親に隠れてゲームをプレイするという設定のゲームだ。本作のルーツともいえる
「メイド イン ワリオ」シリーズのように,短時間のミニゲームをWii U GamePad上で次々とクリアしていくのだが,テレビ画面に表示される「部屋」の方では,たまに母親が様子を見にやってくる。Wii U GamePadでゲームに集中しつつも,テレビ画面の方で母親がやってきたときには,ベッドに隠れてやりすごさなくてはならない。そのため,1人でプレイするだけではなく,周りのギャラリーにアドバイスをもらうことにもなるようだ。
もう1つの「フルーツ」は,Wii U GamePadを操作する
「怪盗」役と,テレビ画面を観る
「Gメン」役に分かれてプレイするゲーム。Gメンは画面内を動き回る大勢の人々の中から,フルーツを奪う怪盗を突きとめていく。Gメン側のプレイヤーはゲーム画面を観るだけで参加可能なため,岩田氏が怪盗役となり,視聴者がGメン役として参加するデモンストレーションが行われた。
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今年のE3 2012で発表された「
ピクミン3」は,最新の開発版における映像が披露された。詳しい説明は行われなかったが,新種のピクミン
「岩ピクミン」を連れている様子や,口から吹き出す泡にピクミンやオリマーを閉じ込め,シャボン玉のように飛ばしてしまうカニのような生物の姿などが確認できた。
また,「
RAYMAN Legends」の国内発売もここで明らかになった。Ubisoftの看板キャラクター,
Raymanが登場する人気シリーズの最新作だが,日本版は任天堂から発売されるという。ゲーム内容はWii U GamePadを活かした仕掛けのある横スクロールアクションとなっており,岩田氏は「これまでUbisoftさんが制作されたゲームを遊ばれたことがない方でも,マリオやドンキーコングを遊んだことがあれば,ひと味違うこの新しいアクションゲームを十分お楽しみいただける」とアピールしていた。
2013年春に発売が予定されている「
Wii Fit U」については,詳細は不明ながらも,気になる新情報が明らかになった。
「Fit Meter」という万歩計のような小型の周辺機器が存在しており,これを普段持ち歩くことで,日常の中での消費カロリーなどをWii Uへと送信できるらしい。任天堂から発売されている似たコンセプトの製品としては,ニンテンドーDS用ソフト「
歩いてわかる 生活リズムDS」の前例もあるが,このFit Meterにはどのような機能があるのだろうか。続報にも注目しておきたい。
さらに,2012年春に発売が予定されており,Wii U プレミアムセットの購入者を対象にしたβテストも行われる,Wii U版「
ドラゴンクエストX オンライン 目覚めし五つの種族」の新ムービーもここで初披露された。
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なお,本作に関連して,Wii U本体におけるUSBフラッシュメモリの使用に関わる説明も行われた。Wii Uには,USB端子で接続した外付けのストレージを利用できる機能があるが,先日配信された「
Wii U 本体機能ちょっと補足 Direct 2012.11.14」において,書き換え回数の制限があるUSBフラッシュメモリーはおすすめできない――との説明がなされていた。
しかし,現在サービス中のWii版ドラゴンクエストXでは,Wii本体にUSBフラッシュメモリを接続することが必須となっている。そのため,一部ユーザーの間で「Wii版で使っていたUSBフラッシュメモリーは,Wii U版では使用できないのか?」といった混乱が生じていたそうだ。
これに対して岩田氏は,ドラゴンクエストXではゲームのセーブデータがスクウェア・エニックスのサーバーに保存されるため,通常のゲームと異なり,USBフラッシュメモリの頻繁な書き換えが行われないことを説明。ドラゴンクエストXのプレイにおいては,Wii版で使用していたUSBメモリをWii U版でも引き続き使用できると述べていた。
「Wii U Panorama View」が正式発表
Google ストリートビューを用いたソフトも期間限定で無料配信
これまでに紹介が行われていなかった本体機能
「Nintendo TVii」の詳細も初めて明らかになった。すでにWii Uが発売されている北米でも同名の本体機能が提供されているが,アメリカと日本とではテレビの視聴文化が大きく異なるため,Nintendo TViiの内容も違ったものになっているそうだ。
Nintendo TViiは,Wii U GamePadでテレビの電子番組表を閲覧できる機能だ。現在ではほとんどのテレビに電子番組表機能が搭載されているが,岩田氏はWii U GamePadを使用することのメリットとして,テレビの電源を切っているときや,テレビで番組を観ている最中にも手元の画面で番組表をチェックできるという点を挙げた。
また,番組をキーワードで検索したり,番組の詳細情報を確認したりといったことも可能で,お気に入りのキーワードや出演者などの登録情報から,利用者の好みに合いそうな番組を「おすすめ」してくれる機能もあるそうだ。さらに電子番組表から直接テレビのチャンネルを切り替えられる機能も,有料のオプションとして提供される。なお,この機能が有料となっている理由は,権利許諾の都合によるものらしい。Wiiでも,電子番組表を閲覧できる機能として「テレビの友チャンネル」が提供されていたが,Nintendo TViiはその発展系といえそうだ。
また,動画配信サービス
「Hulu」のWii U版ソフトも,Wii U本体の発売日から無料でダウンロードできるそうだ。Hulu自体はPCやスマートデバイス,ゲーム機などさまざまなプラットフォームに対応しているが,Wii U版の特徴は,テレビとWii U GamePadとで画面を随時切り替えながら映像が楽しめる点にあるという。
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また,E3 2012にてプレイアブル出展されていた「
Wii U Panorama View」も,ダウンロードタイトルとして2013年春に配信されることがあらためて発表された。
これは,パノラマカメラで撮影された映像を用いた体験型のコンテンツとなっており,Wii U GamePadを手に,プレイヤーが身体の向きを変えるだけでさまざまなアングルを楽しむことができる。いくつかのシーンをダイジェストで体験できる予告編も,ニンテンドーeショップにて無料配信されるそうだ。
さらに,ここで岩田氏は,Wii Uの特徴を活かした新機能を実験する中で生まれたという,新たなソフトを紹介した。
それは,Googleの提供するウェブサービス
「Google ストリートビュー」を用いたソフト(正式名称は未発表)である。Google ストリートビューは,Google マップやGoogle Earthなどで利用可能な,世界各地のパノラマ写真を見られる機能だ。
Wii U Panorama Viewと同様に,このソフトも,Wii U GamePadで操作すれば,あたかも世界各地を実際に歩いているかのような感覚で観光を楽しめるわけである。今回は,視聴者にもその感覚を提供するために,岩田氏がカメラ付きヘルメットを装備したうえでデモンストレーションを行った。岩田氏の視点から,ハワイや海中などのストリートビューを疑似体験することができた。
また,Wii Uならではの要素として,Wii U GamePadの画面にストリートビュー,テレビ画面にマップを表示させることで,ストリートビュー表示地点の地形を確認したり,ストリートビューの映像をテレビに映し出して大人数で共有したりといった機能もあるそうだ。
なお,こちらのソフトは2013年1月末頃から3月末までの期間は無料配信され,以降は有料配信となるそうだ。
岩田氏によると,Wii Uでは「
Web技術を活用した開発を積極的に進めて」いるらしく,今後も,「世の中にあるWebサービスをリビングルームのエンターテイメントとして,どのように提案していくか」といったテーマでさまざまな機能を開発していくそうだ。Wii U本体の発売後,ゲーム以外にもさまざまな形のエンターテイメントが提供されていくことだろう。
Wii Uは今週末の土曜日,12月8日に発売される。岩田氏は最後に「今,自分たちができることをやりきった後,その成果を祈るようにお客様に差し出す――というような気持ちです。みなさんのご支援をどうぞよろしくお願いします」と述べて今回の映像を締めくくった。