ニュース
「HITMAN ABSOLUTION」開発プロデューサーにインタビュー。今度のエージェント47は,戦闘力も大幅アップか。また,気になるマルチプレイは
「HITMAN ABSOLUTION」公式サイト
HITMANシリーズ6年ぶりの第5作となるHITMAN ABSOLUTIONは,ステルスアクションとしての基本路線を踏襲しつつも,新要素「インスティンクト」や,ドラマ性に重点を置いたストーリー展開など,新たな試みも盛り込まれた意欲作になっている。ゲームの内容が初めて明らかになった昨年のE3 2011のプレゼンテーションは各国のメディアからも大好評で,華々しいオープニングを飾ったと言えそうだ。
本作のストーリーは,エージェント47のオペレーターであるダイアナ・バーンウッドの暗殺指令が下るという,衝撃的な展開から幕を開けるという。
「インスティンクト」を駆使した
ステルスアクションとコンバットアクション
最初に,Valentine氏によって実際にゲームのプレイが披露された。
「HITMAN」シリーズの特徴の一つだが,ミッションでは敵に見つからないように進むことも,逆に敵を片っ端から殲滅しながら進むことも可能となっている。そんなプレイスタイルの自由度の高さを強調するため,今回のデモンストレーションでは,同じステージを2回連続でプレイするという形が取られた。
デモに使用されたのは,ゲーム序盤に登場するという,シカゴの孤児院のステージ。これは,エージェント47がダイアナから依頼された任務であるとのことで,殺し屋達に占拠された孤児院へ潜入したエージェント47は,ヴィクトリアという少女を探して一人,奥へと進んでいく。
最初のデモでは,ステルスに専念して敵に見つからないように進む,というHITMANの王道スタイルでプレイが行われた。孤児院の中には,覆面をかぶった男が大勢歩き回っている。エージェント47が物陰に隠れている間も,彼らは,おしゃべりをしていたり,人質になった警備員を拷問したりと,リアルタイムでさまざまな行動をしている。
そんな中を,落ちていた音の鳴るオモチャを遠くに投げて敵の注意を逸らしたり,クローゼットの中に隠れたりと,あの手この手で敵に見つからないように潜入を進めていくわけだ。
プレイの終盤では,大勢の敵がうろついている部屋へと潜入。いくらインスティンクトを駆使したところで見つからないように進むには少々無理がありそうだが,ここでエージェント47がとったのは,手近な敵の一人を注射で眠らせ,身ぐるみを剥いで敵に変装するという方法だ。ただしこの状態でも敵に怪しまれてしまうことがあるらしく,至近距離で敵とすれ違う時などは,頭を掻くふりをして顔を隠す「ブレンディング」というアクションを使ってごまかす必要があるらしい。
続くデモでは,先ほどとは一転,積極的に敵を倒していく武闘派エージェント47のプレイスタイルが披露された。
エージェント47は,体術や銃による射撃などのほか,マップ内に落ちているさまざまなアイテムを武器として使用できる。銃や斧のようにいかにも物騒なものから,孤児院の子供達のオモチャと思われる小物まで,ありとあらゆるアイテムを使って戦っている姿は見ているだけでも楽しい。また,アクションも凝っており,たとえばハンドガンの場合は,銃口を敵の背中に密着させて撃つことで銃声を最小限に抑えることが可能だ。
先ほどのプレイでは見殺しにしてしまった人質の警備員も,今回は見張りの連中を倒すことで救出に成功。すると,警備員は助けてくれたお礼に「チャペルにライフルが隠されている」というヒントを教えてくれた。このように,プレイヤーの行動によって得られる情報も変化するのだ。
プレイの終盤では,武装した敵集団が待ち構える部屋へ,エージェント47が正面から乗り込んだ。いくらなんでも正面から単身で挑むには無理があるのでは……? と思ったのもつかの間,ここでもう一つのインスティンクトの能力「ポイントシューティング」が実演された。
エージェント47がマシンガンを構えると同時に敵の動きがスローモーションになり,その間,敵の頭や火薬の山など,あちこちに照準を定めていくことができる。スローモーション表示が解除される同時に,あらかじめ照準を定めた場所へ自動的に発砲し,敵が反撃する間もなく,あっという間に全滅させてしまった。
アクション性の強いシューターには似たシステムのタイトルがあるが,ステルスアクションである本作でこんなにド派手な攻撃が可能になるとは思えなかった。確かにプレイスタイル次第で,同じステージでも正反対の楽しみ方ができそうだ。
さまざまなオブジェクトを用いて敵を排除する。写真は消防斧を手にするエージェント47 |
爆発物に銃弾を撃ちこみ,複数の敵を一網打尽に。環境をうまく利用しよう |
また,今回のデモンストレーションでは,グラフィックスやサウンドの演出も非常に印象的であった。グラフィックスについては,磨りガラス越しに敵のシルエットが動く様子が見えたり,人物の影が壁に揺らいで映ったりと,リアルタイムでの表現に力が入っており,臨場感がグッと増している。
サウンドも,エージェント47が物陰に隠れているときは静かなのだが,敵の背後に近寄っていくところやクローゼットに隠れているときなどは,緊張感を煽るBGMやSEにダイナミックに変わっていくため,他人のプレイを観ているだけでも手に汗握る緊張感を味わえた。
重視したのは「ストーリー」と「立体的なプレイ」
マルチプレイはどのような感じか
2回にわたるデモンストレーションの終了後,Valentine氏と,スクウェア・エニックス ローカライズプロデューサーの塩見卓也氏に話を聞いた。
4Gamer:
よろしくお願いします。ビックリしたのは,デモムービーでダイアナがいきなり顔出ししたところです。これまでのシリーズでは,彼女の顔は見えなかったんですが,それが今回いきなり顔を出しちゃうというのは,どういうことなんでしょうか。
Valentine氏:
ダイアナの顔を出した大きな理由の一つに,「プレイヤーがエージェント47に対して感情移入できるようにしたかった」というのがあります。ダイアナは,エージェント47にとって唯一親しみのある人物ですが,47号に今回,ダイアナを暗殺しろという命令が下ります。ですから,彼女の顔を出したほうが,より深くストーリーに入れるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
ダイアナはどうなるんでしょうか。
Valentine氏:
それは……,今後発表していきます(笑)。
4Gamer:
ミッションの内容は,カットシーンで説明されるんですか。
Valentine氏:
はい,カットシーンが入ります。前作のように,個別のミッションがあって,その説明があって,それをクリアしたらまた別のミッションがあって……という流れではなくて,全体を通して一つのストーリーになっていますね。
4Gamer:
「インスティンクト」を使用すると,敵の動きが見通せたり,姿を隠しやすくなったりと,非常に有利に進められますね。そのため,前作までに比べて簡単になっているという印象も受けます。
そんなことはありません。前作では,例えばミニマップがあって,そのミニマップで敵の動きを見ながらプレイすることができました。今回はそれが,より洗練された形になっただけです。「エージェント47の視点から,プレイヤーがあたかもゲームの中にいるような感覚で,ステージを立体的に見られる」という感じですね。
4Gamer:
でも,画面左下に敵の位置を示すレーダーが表示されていますが,従来のミニマップよりは情報量が少ないですよね。
Valentine氏:
ええ。今までのようなミニマップにはなっていません。
塩見氏:
その代わりに画面内を見回したり,インスティンクトを使うことで敵がどこにいるかを把握しつつ,潜入任務を進めていくわけです。
4Gamer:
敵を倒すためのアクションはかなりの数,用意されているんですか。
Valentine氏:
たくさんありますね。例えば,普通に相手の首を折ると,骨の折れる音で周囲に気づかれてしまうんですが,時間はかかりますが,音が立たないように始末することもできたりします。
塩見氏:
敵の背後から攻撃するときも,所持している武器によってモーションが変わります。
4Gamer:
演出面では,サウンドによる臨場感の演出が印象的でした。
血だまりを歩くと“ピチャピチャ”と音がするなど,細かいサウンドも凝っています。BGMも,音楽がただ流れているだけじゃなく,敵の警戒レベルなどの状況によって,ダイナミックに変わります。
4Gamer:
ステージのロケーションとしては,昨年のE3で見た図書館も,今回の孤児院もシカゴが舞台でした。物語全体が,シカゴを中心に展開するんですか。
塩見氏:
従来のシリーズのように,どこかの国でミッションをクリアして,またほかの国へ,という内容ではないので,そこまで大幅に世界中を飛び回るような要素はないと思います。
4Gamer:
ステージの数はどれくらいですか。
Valentine氏:
少なくとも20ステージはあります。ステージもチェックポイント単位で分かれていて,各ステージに1〜5つのチェックポイントがあるので,チェックポイントの数はかなり多いです。
4Gamer:
「サイレントアサシン」などの称号は今回もありますか。
Valentine氏:
ええ,あります。頑張って目指してください(笑)。
4Gamer:
やはりサイレントアサシンを目指すには,ターゲット以外の人を殺さず,敵に気づかれない状態でミッションをクリアしなければなりませんか。
Valentine氏:
そうですね。死体や血痕を隠したりといった処理が必要です。敵が何かの痕跡を見つけただけで,サイレントアサシンの称号は取れません。敵の警戒レベルのうち,「CAUTION」は大丈夫ですが,「SUSPICION」になったらもうサイレントアサシンは取れません。
4Gamer:
それは厳しい。ところで,新しいゲームエンジンについて教えてください。
Valentine氏:
ゲームエンジンは,ツールもAIシステムもレンダリング関係も,すべて新しくしています。エンジンの名前は「Glacier 2」で,初代「Glacier」はHITMAN1〜4作のエンジンでした。
4Gamer:
Glacier 2の採用タイトルはこれまでにありますか。
Valentine氏:
今回が初めてになります。
4Gamer:
マルチプレイはありますか。あるとすれば,シリーズ初になるんですけど。
それは良い質問ですね。ですが,今は答えられません。オンライン機能があるかどうかは言えませんが,“あると面白い”ですよね。ただ,エージェント47は1人で仕事をするので,Co-opは難しいと思います。
4Gamer:
では,プレイヤー同士で対戦するというスタイルですか。
Valentine氏:
うーん,言いたいのですが,言うと暗殺されてしまうんです(笑)。
4Gamer:
それは物騒だ。ええと,ローカライズの形態としては,英語音声で日本語字幕という感じですか。
塩見氏:
日本語吹き替えも用意したいと考えています。
4Gamer:
分かりました。では最後に,読者へのコメントをお願いいたします。
Valentine氏:
ファンの皆さんには,6年間大変お待たせしました。今回のHITMANはReally Amazing Gameになっています! ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
本作,HITMAN ABSOLUTIONの発売は2012年が予定されている(欧米では2012年11月20日発売予定)。インタビューの内容からも分かるように,従来シリーズの魅力を残しつつも,もう一段階進化したステルスアクションを作ろうという野心が感じられる意欲作だ。
現時点ではまだまだ明かせない部分も多く,答えをはぐらかされてしまうことも少なくなかったが,これから発売に向けて,さらにいろいろな情報が明らかになっていくはずだ。今後の新情報に注目したい。
「E3 2012の特設ページはこちら」
- 関連タイトル:
HITMAN ABSOLUTION
- 関連タイトル:
HITMAN ABSOLUTION
- 関連タイトル:
HITMAN ABSOLUTION
- この記事のURL:
キーワード
(C)2012 IO INTERACTIVE A/S. Published by Square Enix Co., Ltd. IO INTERACTIVE and the IO logo are trademarks of IO Interactive A/S. HITMAN ABSOLUTION and the HITMAN logo are trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.
(C)2011 IO INTERACTIVE A/S. Published by Square Enix Co., Ltd. IO INTERACTIVE and the IO logo are registered trademarks or trademarks of IO Interactive A/S. ABSOLUTION, EIDOS, the EIDOS logo, HITMAN, the HITMAN logo and HITMAN ABSOLUTION are registered trademarks or trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.
(C)2011 IO INTERACTIVE A/S. Published by Square Enix Co., Ltd. IO INTERACTIVE and the IO logo are registered trademarks or trademarks of IO Interactive A/S. ABSOLUTION, EIDOS, the EIDOS logo, HITMAN, the HITMAN logo and HITMAN ABSOLUTION are registered trademarks or trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.