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ドコモの夏モデルは「Xperia 1 III」と「AQUOS R6」に注目。NTTドコモ2021夏モデル展示会レポート
なお,NTTドコモの2021年夏モデルラインアップは以下のとおり。5G対応のハイエンドとミドルクラス,4G対応のエントリーといった計8機種があり,そのうち「Galaxy S21 Ultra 5G SC-52B」は発売済みだ。
- Xperia 1 III SO-51B
- Xperia 10 III SO-52B
- Xperia Ace II SO-41B
- AQUOS R6 SH-51B
- Galaxy S21 Ultra 5G SC-52B
- Galaxy S21 5G Olympic Games Edition
- Galaxy A52 5G SC-53B
- arrows Be4 Plus F-41B
これらのうち,SoC(System-on-a-Chip)としてQualcomm製のハイエンドSoC「Snapdragon 888」を搭載するモデルは,「Xperia 1 III SO-51B」(以下,Xperia 1 III),「AQUOS R6 SH-51B」(以下,AQUOS R6)そしてGalaxy S21 Ultra 5G SC-52B(以下,Galaxy S21 Ultra)と,「Galaxy S21 5G Olympic Games Edition」の4機種だ。
一方,ミドルクラス市場向けは,「Snapdragon 690 5G」を搭載する「Xperia 10 III SO-52B」(以下,Xperia 10 III)や「Galaxy A52 5G SC-53B」(以下,Galaxy A52)の2機種である。ミドルクラス市場向けも5G対応となった。
本稿ではXperia 1 IIIとAQUOS R6を重点的にチェックしてみよう。
Xperia 1 III
Xperia 1 IIIの外観は,Xperia 1から大きな変化はなく,ソリッドな路線をキープしている。予約はすでに始まっているが,発売は2021年7月以降の予定だ。
もちろん,すべてのゲームが120Hzで動作するわけではなく,むしろWebブラウジングや地図アプリで気持ちいいことが多いのだが,スマートフォンでも60Hzを超える高リフレッシュレート対応製品が増えてきているため,ゲーム側の対応が増えている傾向も考えると,先行投資的な意味合いで評価するのはアリだろう。
なお,タッチ入力のサンプリングレートが最大240Hzであることもアピールされていたが,これはXperia 1 IIIに限った話ではないため割愛する。
Xperia 1 IIIは,前面と背面にガラスパネルを使っており,滑落時のインシデントがコワいタイプだが,背面にはCorning製の化学強化ガラス「Gorilla Glass 6」を,前面には同じCorning製の「Gorilla Glass 6 Victus」を採用している。スマートフォンにケースや保護フィルムを付けて使うユーザーも多いと思うが,Gorilla Glass 6 Victusは耐久性でより優れたバージョンであるそうで,前面については保護ガラスがなくても済みそうだ。指滑りもよく,リズムゲームにもよさそうだった。
前面を見ると,フロント配置のステレオスピーカーは継続しているが,スピーカーモジュールが上下で同じサイズになり,より音質が向上したという。騒がしい展示会では試しようがなかったのだが,自宅で遊ぶときにスピーカーでゲームサウンドを聞くときに役立つだろう。
オーディオイコライザーは,ゲームサウンドに10バンドのイコライザを設定できるというもので,ゲームごとに4つのプリセットを登録できる。一部のゲーマー向けPCやPC用サウンドデバイスではおなじみだが,分かりやすく言えば,足音を強調するようなサウンド出力に変更できる機能だ。
ただ,足音をアプリケーション側が検出して,該当する周波数帯を強調してくれるわけではなく,ユーザー自身で設定する必要がある。「人気タイトル向けのプリセットを用意する予定はないか」と確認してみたが,とくにないとのこと。ソニー製ヘッドフォンに最適化したプリセットくらいあってもいいものだが。
L-yレイザーは,ゲーム専用の画質設定機能のひとつだ。Xperia 1 IIIの画質設定機能には,画質モードとホワイトバランス,L-yレイザーの3種類があり,これらを調整して自分にとってプレイしやすい環境を作れるというわけだ。
L-yレイザーは,暗所の持ち上げ機能で,ゲーマー向けディスプレイではおなじみの機能である。Xperia 1 IIIの有機ELパネルは,黒がちゃんと黒に見えるので,液晶パネルよりも暗所は視認しにくくなるため,Xperia 1 IIIとの相性はいい。
L-yレイザーの設定は,オフのほかにレベル1と2の2段階があり,露骨に暗所を持ち上げるというよりは,IPS液晶パネル風の表現になった。
RTレコードは,録画ボタンを押すと30秒前にさかのぼって,プレイの様子を録画できる機能だ。Xperia 1 IIIの内蔵ストレージ容量が256GBであることを考えると,長時間録画するよりは,見せ場を保存するのに適当なRTレコードのほうが,使い勝手はいいだろう。
AQUOS R6 SH-51B
AQUOS R6は,1インチサイズの撮像センサーを搭載した結果,背面のインパクトが強い端末になっている。
ディスプレイは,6.6インチサイズでリフレッシュレート120Hzに対応する有機ELパネル「Pro IGZO OLED」だ。横置き時のアスペクト比は19.5:9で,解像度は1260×2730ドットになる。なお,カタログスペックでは240Hzとあるが,これは映像の1フレームごとに黒いフレームを挟んで,映像のブレを体感しにくくしている状態での表記だ。
指紋認証センサーは,Qualcommの「3D Sonic Max」技術を採用したもので,認識する領域は指2本分もある余裕の広さで,センシングも良好である。一般的なスマートフォンの場合,指紋を登録するときにはセンサーを何度かタップする必要があったが,AQUOS R6の場合は1タップで済んだ。また,アンロック時の精度も申し分ナシだ。指2本でアンロックする2本指認証設定もできる。
ちなみに試用した開発機では,画面が黒い状態で見ると角度によっては3D超音波指紋認証センサーの領域が見えたが,製品版ではより目立たなくするそうだ。開発版でも,たまたま気が付いた程度なので,画面暗転時に気になることはまずないだろう。
アプリが60Hz以上のリフレッシュレートに対応していることが条件になるため,すべてのゲームタイトルに恩恵があるわけでないし,Google Playストアでもまず判別がつかないので,対応しているゲームだったらラッキー程度の認識がいいだろう。ちなみに,黒挿入が30fpsや60fpsの場合に機能するのかは分からなかった。説明員からも明言を得られずしまいで,調整中と思われる。
ゲーミングメニューも,任意のアプリを登録して使用する機能だ。登録したゲームのプレイ中に通知をブロックするだけでなく,バックグラウンドで動作するゲーム向けではない機能をまとめてブロックすることもできる。
また,前述した「エッジコントロール」では,画面の上下左右端に入力を受け付けない領域を設定できる。厳密には,限りなく入力を受け付けないだけなのだが,製品版で精度が高くなっているだろう。なお,画質調整や性能に関する設定もあったが,調整中とのことで体験できなかった。
ゲーム中にゲーミングメニューにアクセスしたい場合は,ステータスパネルにアクセスする。画面に邪魔なボタンが表示されることがないのでスクリーンショット的にはうれしいし,操作アイコンが多いゲームにおいても邪魔になる要素が減る。
ゲーミングメニューにある「パフォーマンス」は,「高精細表示」を優先するモードと「軽快動作」を優先するモードを選べる。ニュアンスとしては解像度の変更なのだが,それ以外にも処理をしているそうだ
AQUOS R6のアウトカメラは,Leicaとの全面協業によって開発されたもので,レンズの歪みは従来レンズと比べて10分の1だという。カメラのレンズにおいて,歪みのなさは重要であり,高性能の証でもある。光学的に歪みがないのであれば,そのあとのソフトウェア処理で補正するレベルも低く済むので,良好な絵となるわけだ。
そのレンズに1インチ撮像センサーを組み合わせているため,接写した場合のボケも自然に生じる。ある時期からスマートフォンが熱心に追い続けてきたコンパクトデジタルカメラの絵に,より近づいたともいえる。4Gamer読者諸氏も,何らかの撮影をすることが多い人もいるだろう。ゲーム向け機能は上記したとおりで,写真用途と両立させやすい。
写真の画質については,まだチューニング過程にあるそうで,説明員曰く「現場は殴り合いみたいな状況」とのこと。Leicaの監修も考えると,最終的な出力はいい空気感になると思われるが,取材時点でもノイズも少なくいい感じであり,PCケースの中の撮影が楽しそうだったと付け加えておく。量販店などでハンズオンできる実機が並び始めたらチェックしてみよう。
ストリートファイターリーグにも登場する5G
NTTドコモが展開するeスポーツリーグ「X-MOMENT」では,「PUBG」やLeague of Legends」などのリーグ戦が行われている。つい先日には,2021年10月より「ストリートファイターV チャンピオンエディション」を採用したチームリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」の開催も発表された。
本リーグのリリース内に,「5Gを利用した選手インタビューや,試合中の選手映像の配信も予定する」とあったが,そのデモが展示会場にあった。
5Gでよくアピールされる要素は,高速,大容量,低遅延の3つであり,選手の表情がゲーム展開とずれることなく見てとれるというわけだ。5Gの遅延は理論値で1msとされており,4Gと比べて10分の1ほどになる。実況配信をしたことがあれば分かると思うが,ゲーム画面とのブレンドを考慮すると,ソースごとの入力タイミングにおけるズレがほとんどなくなるのは,現場向きだ。
デモでは,10〜15msほどの遅延が生じていたのだが,これは単純に端末側の問題で,長時間の連続動作による発熱にハードウェアが負けていただけだ。ときおり,露骨に遅延が短いタイミングがあったため,長時間の運用に耐える冷却システムをアームに組み込めるか次第といったところだろうか。
さて,選手の表情以外もマルチアングルで配信できないのかと気になった読者もいるだろう。たとえば,手元のアップだ。5Gの超低遅延ならばこその要素となるが,将来的にはマルチアングルもやりたいようだった。また大容量であれば,コマンド入力など別のソースを任意に選べる可能性もある。ドコモの本気度に期待したい。