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ソニー,5G対応新型スマホ「Xperia 1 II」をグローバル発表。新型ミドルクラス端末「Xperia 10 II」も国内投入の予定
さて,今回発表となったのは,第5世代移動通信システム(以下,5G)に対応するフラグシップスマートフォンの「Xperia 1 II」(エクスペリア ワン マークツー,IIはローマ数字の2)と,ミドルクラス市場向けスマートフォン「Xperia 10 II」(エクスペリア テン マークツー)の2製品。いずれも2019年2月に発表となった「Xperia 1」および「Xperia 10」の後継モデルにあたる。
ソニーモバイルによれば,これらの製品は「日本を含む,国・地域で発売予定」で,発売時期は「2020年春以降」とのことだ。
いずれも今回は,世界市場向けの製品として発表となったもので,実際には販売する市場にあわせてスペックは一部異なる形で出荷となる。日本市場の場合,Xperiaのハイエンドモデルは,大手通信事業者の製品にラインナップされるのが通例で,遠からず各事業者から順次発表となるだろう。
ちなみに,2019年モデルの場合,Xperia 1はNTTドコモ,KDDI,ソフトバンクの3社が販売しているものの,Xperia 10は国内市場に投入されなかった。しかし,今回のXperia 10 IIは,国内でも登場する見通しだ。
Xperia 1 II
各製品の特徴を簡単に紹介していこう。
まず,フラグシップモデルの新製品となるXperia 1 IIは,前モデルの特徴であった横持ち時のアスペクト比が21:9で,解像度1644×3840ドットの「4K HDR」有機ELパネルを継承する端末である。
搭載するSoC(System-on-a-Chip)はQualcomm製のハイエンドモデルである「Snapdragon 865」となり,モバイル通信機能は5Gの「Sub6」(※6GHz未満の周波数帯を使う通信)対応となった。なお,Xperia 1 IIでは5Gの「ミリ波」(※27〜30GHzの周波数帯)を使った通信には対応しない。
三眼構成のアウトカメラ(リアカメラ)を備える点は,Xperia 1と同じだが,前モデルでは背面の中央に並ぶ位置だったのが,Xperia 1 IIでは,2019年秋モデルとして登場した「Xperia 5」と同じ背面左上に移動しているのが外観における特徴になる。
なお,Xperia 1では本体側面の指紋認証センサーと「電源/スリープ」ボタンが別々であったが,Xperia 1 IIでは1つになったのも目に付く違いと言えようか。
Xperia 1 IIのアウトカメラは,
- 標準ワイド:焦点距離24mm(35mmフィルム換算,以下同),開放F値1.7,画角82度
- 望遠:焦点距離70mm,開放F値2.4,画角70度
- ウルトラワイド:焦点距離16mm,開放F値2.2,画角124度
という構成となっている。この構成自体はXperia 1と同じだが,組みあわせるセンサーとカメラユニットは異なる。たとえば,標準ワイドでは,1/1.7インチサイズの大型イメージセンサーを搭載するカメラユニットを採用した。同様にウルトラワイドでもセンサーのサイズが大きくなり,望遠では画角が前モデルの52mm相当から,70mm相当へと広がったという具合だ。ウルトラワイドのセンサーも1/2.6インチサイズに大型化した。
これらのカメラに,被写体との距離を計測する測距(深度)センサー「3D iToF」センサーを合わせて,標準ワイドとウルトラワイドでは,暗所における高速オートフォーカスと高感度撮影を実現するのが見どころである。
また,今回発表となった製品は,全面的にカールツァイス製の「ZEISS」レンズを採用しており,「T*(ティースター)コーティング」と呼ばれる表面処理によってレンズ内反射を低減することで,よりクリアな撮影を実現しているという。
そのほかに,前モデルでは対象の被写体が人間限定だった「瞳AF」が,犬や猫など動物の瞳にも対応するようになった。
カメラアプリケーションでは,ソニーのレンズ交換式デジタル一眼カメラ「α」シリーズの使い勝手を取り入れたプロモードが利用可能になったのがトピックだ。また,Xperia 1の特徴的な機能だった映画的な動画撮影機能も強化され,60fpsでの4K撮影や,水準器の表示,タッチAFなどが加わった。
有機ELディスプレイは,解像度やアスペクト比こそ前モデルと同じだが,残像感低減技術を用いることで,リフレッシュレート90Hz相当のクリアな表示を実現しているそうだ。ゲームにおける滑らかな表示に効果があるかもしれない。また,色温度をもとに,ディスプレイのホワイトバランスを選択できる設定も加わった。
ゲーム関連の特徴では,引き続きPlayStation 4純正ゲームパッドである「DUALSHOCK 4」での操作に対応。ゲーム向け機能「Game enhancer」(ゲームエンハンサー)では,誤操作の防止やタッチ入力の性能向上などを実現しているという。また,Qualcommが提唱するゲーム向け機能セット「Snapdragon Elite Gaming」とのコラボレーションにより,「Call of Duty: Mobile」での独自チューニングを実現するそうだ。
サウンド面についても触れておきたい。
Xperiaは以前からステレオスピーカーに対応しており,左右非対称なスピーカーユニットをバランス良く配置していたが,Xperia 1 IIでは最初から左右均等な配置を行っている。また,Xperia 1では省略されていた4極3.5mmミニピンのヘッドセット端子が復活しており,遅延が生じるUSB Type-C変換アダプタを利用することなく,有線式のヘッドセットやヘッドフォンを利用できるようになった。
そのほかにも,圧縮音源を高音質化する機能「DSEE」が,前モデルの「DSEE HX」から「DSEE Ultimate」へと強化され,高音域でのより微細な音の再現が可能になっているのもポイントであるという。
●Xperia 1 IIの主なスペック
- メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
- OS:Android 10
- ディスプレイパネル:6.5インチ有機EL,解像度1644×3840ドット,アスペクト比 21:9,HDR表示対応
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 865」
- メインメモリ容量:8GB
- ストレージ:内蔵128GB,256GB+microSDXC
- アウトカメラ:3眼構成+3D iToFセンサー
・メイン:約1200万画素,24mm,F1.7,光学式手振れ補正搭載
・望遠:約1200万画素,70mm,F2.4,光学式手振れ補正搭載
・超広角:約1200万画素,16mm,F2.2 - インカメラ:有効画素数約800万画素,23mm,F2.0
- 対応5Gバンド:n1/n3/n28/n77/n78
(※n77はソフトウェアアップデートで対応予定。時期は未定) - 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/19
/20 /25 /26 /28 /29 /32 /34 /66
TDD LTE Band 38/39 /40 /41 /46
5CA対応,4×4 MIMO - 対応3Gバンド:1/2/4/5/6/8/19
- 無線LAN対応:Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)
- Bluetooth対応:5.1
- 連続待受時間:未公開
- 連続通話時間:未公開
- バッテリー容量:4000mAh
- USBポート:USB 3.1 Type-C
- 公称本体サイズ:72(W)× 166(D)× 7.9(H)mm
- 公称本体重量:181g
- 本体カラー:ブラック,ホワイト,パープル
Xperia 10 II
国内未発売だったXperia 10の後継モデルがXperia 10 IIである。
本製品は,搭載SoCがQualcommのミドルクラス市場向け「Snapdragon 665」へと強化されたほか,アウトカメラが2眼から3眼構成になるなど,さまざまな機能向上が図られたのが特徴だ。
なお,Xperia 10 IIは5Gには対応しておらず,4G LTE仕様となる。Xperia 10 IIは,国内においてもミドルクラス〜バリュー市場向けとなるだろう。一方,国内でも今春からスタートする5Gのサービス対応端末は,少なくともサービス開始時点では,Xperia 1 IIのようなハイエンド市場向け端末に限られよう。
3眼構成になったアウトカメラは,
- 標準ワイド:約1200万画素,焦点距離26mm,開放F値2.0,画角77度
- 望遠:約800万画素,焦点距離52mm,開放F値2.4,画角45度
- ウルトラワイド:約800万画素,焦点距離16mm,開放F値2.2,画角120度
という構成になっている。レンズの画角の組み合わせは,2019年のXperia 1と同一だが,搭載するセンサーやレンズは異なるそうだ。
Xperia 10 IIの公称本体重量は約151gで,Xperia 10の約162g,Xperia 8の約170gよりも軽量化を実現した。それでいてバッテリー容量は,前モデルの2870mAhから3600mAhへと増えている。
そのほかに,Xperia 1 IIと同様に4極3.5mmミニピンヘッドセット端子を搭載しており,圧縮音源の高音質化機能はDESS HXを採用するとのことだ。
それ以外のXperia 10 IIの主なスペックは以下のとおり。
●Xperia 10 IIの主なスペック
- メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
- OS:Android 10
- ディスプレイパネル:6インチ有機EL,解像度1080×2520ドット,アスペクト比 21:9
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 665」
- メインメモリ容量:4GB
- ストレージ:内蔵64GB,128GB+microSDXC
- アウトカメラ:3眼構成
・メイン:約1200万画素,26mm,F2.0
・望遠:約800万画素,52mm,F2.4
・超広角:約800万画素,16mm,F2.2 - インカメラ:有効画素数約800万画素
- 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/3/4/5/7/8/12/
/20 /28
TDD LTE Band 38/39 /40 /41,3CA対応 - 対応3Gバンド:1/4/5/8
- 無線LAN対応:Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)
- Bluetooth対応:5.0
- 連続待受時間:未公開
- 連続通話時間:未公開
- バッテリー容量:3600mAh
- USBポート:USB 3.1 Type-C
- 公称本体サイズ:69(W)× 157(D)× 8.2(H)mm
- 公称本体重量:約151g
- 本体カラー:ブラック,ホワイト,ミント,ブルー
Xperia PRO
主なスペックはXperia 1 II相当だが,大きな特徴はXperia 1 IIが対応するSub6に加えて,ミリ波帯にも対応する点にある。
Sub6とミリ波ではアンテナ構造が異なるため,Xperia PROでは誘電率の低い素材をフレームの四辺に搭載したうえで,到達距離の短いミリ波を360度カバーできるようなアンテナ構成が取られている。そのため,サイズ自体は非公開だが,ほぼ同一の仕様を持つXperia 1 IIよりも一回り大きいという。
本製品は,プロ向けカメラで撮影した4K〜8K映像のモニタリングや伝送のワークフローを担うという目的から,HDMI入力端子を備えているという。また,アプリ起動用のショートカットボタンを側面に備えており,登録したアプリケーションをボタン1つで起動できるのも工夫の1つであるそうだ。
それ以外の主なスペックでXperia 1 IIと異なる点は,内蔵ストレージ容量が512GBであることと,本体サイズと重量が異なるといったところ。2020年内に発売する意向だそうだが,正式な発表日や販路などは未公表である。
米ソニーモバイルのXperia 1 II製品情報ページ(英語)
米ソニーモバイルのXperia 10 II製品情報ページ(英語)
Xperia公式Webサイト
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