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Windows 8.1では8インチタブレットの時代が来る? 最新タブレットが多数披露された日本マイクロソフトイベントレポート
イベント冒頭で,同社代表執行役社長の樋口泰行氏は,New Windowsを標榜するWindows 8.1は,Windows 8発売以降にユーザーから寄せられた,数億ものフィードバックを真摯に受け止めたものであり,PCとタブレットの両方で活用できるOSを目指したものであると述べた。
ここではその改良点について詳しく述べることはしないが,とくに「スタートボタン」の復活を代表とするスタート画面に関するさまざまな改良は,そうしたフィードバックを反映したものだろう。なお,Windows 8.1での改良点については,以下の記事を参照してほしい。
Microsoftの開発者向けイベント「Build 2013」で見えたWindows 8.1。「DirectX 11.2」とUI面の改良がポイントに
4Gamer読者には,「ゲームをプレイするPCは,まだWindows 7で十分だ」という人が多いだろう。Windows 8.1やWindows 8に興味があっても,今使っているPCのOSを入れ替えるのは,かかる手間や互換性への不安を考えると気が進まないというのも,よく耳にする話だ。ましてやWindows 8.1は,Windows 7からの「アプリを引き継いだままでのアップグレードインストール」ができないので,なおさらOSアップグレードには消極的になるかもしれない。
こうした状況を踏まえて樋口氏は,「メインPCはWindows 7,Windows 8.1は,まずはタブレットからというのもいいのではないか」と述べた。OSの移行を促進する側であるMicrosoftの意見としては,ある意味で意外な発言といえるが,4Gamer読者にも同じようなことを考えている人は,少なくないのではなかろうか。
さて,イベントや展示会場では,各PCメーカーが発表しているWindows 8.1搭載PCやタブレット端末が多数披露されていた。残念ながら“ゲーマー向け”と呼べるようなPCは皆無だったが,中には注目すべき製品もいくつかあったので,それらを簡単にレポートしたい。
なお,以下で紹介する製品の多くは正式発表前の機材であり,正式なスペックや価格,発売時期は未公表のものが多かった。そのためこれらの情報については触れていないものが多いことをあらかじめお断りしておく。
8インチタブレットではAcerの「Iconia W4-820」が国内初披露
開発コードネーム「Bay Trail-T」ことAtom Z3000シリーズが優れたパフォーマンスを有することは,2013年6月に開かれたCOMPUTEX TAIPEI 2013の頃から徐々に明らかにされていたが,会場で触ったIconia W4-820も,その期待に違わない軽快な動作を見せていた。
海外で発表されたリリース文によると,Iconia W4-820は8インチサイズで800×1280ドットのIPS液晶パネルを搭載し,重量は415gとされている。厚みは10.75mmとあるので,あまり薄いほうではない。
Atom Z3740を1.33GHzで駆動し,内蔵ストレージ容量は32GB,または64GB。バッテリー駆動時間は,「Webブラウジングで10時間,ビデオ再生で8時間」とあるので,最近のAndroidタブレットに比べると,駆動時間はやや短めといえそうだ。なおリリース文には書かれていなかったが,会場の実機で確認したところ,メインメモリ容量は2GBだった。
システムのプロパティを表示してみた。CPUの動作クロックは1.33GHzで,メインメモリは2GB |
とくに薄さを重視したタブレットではないので,1cm強の厚みがある |
Iconia W4-820でのベンチマークテストは許可されなかったのだが,軽快な動作の一端を示すべく,「艦隊これくしょん -艦これ-」をプレイした様子をビデオ撮影したので,下に掲載しておこう。
カメラの画面を見ながらの操作だったので,画面がひどくぶれるうえに,頻繁にミスタッチしているのはご容赦いただきたいが,母港や戦闘時のきびきびした動作に注目してほしい。遠征や戦闘終了時の読み込みは少々長めだが,これは会場の無線LANによる問題と思われる
短時間触っただけでも,Iconia W4-820からはAtom Z3000シリーズの実力が感じられた。価格は未発表だが,会場で担当者に聞いたところ,「3万円台には収めたい」とのことだった。発売が待ち遠しい製品といえよう。
参考出展されていた,Iconia W4-820用キーボード「Acer Crunch Keyboard」。液晶パネルを覆うカバーを折り曲げて,スタンドにするユニークなもの |
会場での試用はできなかったのだが,イベントではAcer以外にも,DellとLenovo,東芝が8インチ級のタブレットを披露している。いずれもSoCにはAtom Z3740を搭載する予定で,これらの登場にも期待したい。
ステージで披露されたDellの8インチタブレット「Venue」(左)。右写真はLenovoの「Miix2」と思われる製品だが,詳細は明かされなかった |
AMDのAPU「Temash」搭載タブレットが登場
一回り大きい10〜11インチ級のタブレットでは,エプソンダイレクトがAMDの「A4-1200」(開発コードネーム Temash)を採用したWindows 8.1タブレットを参考出品していた。
ディスプレイには,11.6インチサイズ,解像度1920×1080ドットのIPS液晶パネルを採用。メインメモリ容量は4GBだった。じっくり触ることはできなかったのだが,動作はなかなか軽快な様子。大型タブレットであるにも関わらず,側面の形状を工夫することで指をかけやすく持ちやすいデザインを採用している点にも惹かれた。製品版の登場がこれまた待ち遠しい。
AMD A4-1200を搭載するWindows 8.1タブレット。Atom Z3740ほどではないが,動作は快適。APUを採用したタブレットは少ないので,ぜひ製品化してほしい |
表裏ともにフラットなデザイン。側面はへこんだ独特の形状をしているが,これは持つときに指をかけやすくするための工夫であるそうだ |
搭載するIGZO液晶パネルは,「写真が板に貼り付いてるように見える」ような精細感の高さが魅力だ |
表裏ともにフラットな薄いボディ。「持ちやすい厚みを意識した」とのことで,手に馴染みやすい |
名称からピンとくる人もいるだろうが,この製品はモーションコントローラ「Leap Motion」を内蔵することにより,空中で手を動かしてWindowsやアプリを操作できるという,世界初のLeap Motion搭載ノートPCである。「手の動きだけを見るKinect」のような機能を,標準搭載しているノートPCと言えば4Gamer読者にも分かりやすいだろうか。
ENVY17では,右パームレスト部に2つの赤外線カメラを搭載し,100分の1mmという高精度で,10本の指や両手の動きをスキャンできる。動かせるのはデスクトップや対応アプリのみだが,「Google Earth」を空中に置いた手でぐるぐる動かすのは,なかなか面白い体験だった。下にビデオも掲載したので,その動きを見てほしい。
ゲーマー向けノートPCというわけではないが,内蔵GPUにGeForce GT 750Mを採用しているので,3D性能もそれなりにある。ひと味違うノートPCが欲しいという人は,ENVY17をチェックしてみるといいだろう。
なお,米国では10月22日に販売開始予定のタブレット端末「Surface 2」「Surface Pro 2」については,今回一切言及がなかった。どうやら出席した各PCメーカーの手前もあり,遠慮したようだ。
Windows 8.1 公式情報ページ
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