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「マイクラ」と「テラリア」,今年でデビュー10周年となるサンドボックスゲームの双璧を6つのポイントで徹底比較
その双璧と言うべき存在が「Minecraft」(以下,マイクラ)と「Terraria」(以下,テラリア)だが,実はどちらも2011年に正式リリースされたタイトル。つまり今年がデビュー10周年に当たるが,今なお幅広いゲーマーに愛されている。
さて,マイクラとテラリアは前述したように,同じ“サンドボックス系”でくくられることが多く,さらに“定番中の定番”タイトルでもあるので,「マイクラはテラリアの3D版」「テラリアはマイクラの2D版」と表現されることもある。そのため“グラフィックスは違うが,基本的には同じゲーム”というイメージを持っている人は少なくないだろう。
だがこの2タイトルは,実際にプレイしてみると見た目以上にテイストが異なる。“同じゲーム”としてしまうのは少々乱暴に感じるし,「2D版マイクラのつもりでテラリアをプレイする」「3D版テラリアを期待してマイクラを始める」といったプレイヤーは,かなり違和感を覚えると思うのだ。
というわけで本稿では,マイクラとテラリアのさまざまな要素にフォーカスし,違いを比べつつ,双方の魅力に迫ってみたい。片方しかプレイしたことがない,どちらが自分に合っているか知りたいといった人の参考になれば幸いだ。
なお,本稿はマイクラの「for Windows 10」,いわゆるPC向けの「統合版」と,テラリアのPC版でのプレイを基にしており,スクリーンショットもそのプレイ中に撮影したものを使用している。コンシューマ版やスマホ版,マイクラのPC向け旧バージョンなどとは仕様が異なる場合がある点にはご注意いただきたい。
テラリアのPC版は,公式の日本語ローカライズ版が存在しないことから,英語表示となっている。ただし,現在はSteamワークショップから有志作成による日本語化ファイルがダウンロード可能だ。
目次
・グラフィックスが変わると,世界が変わる
・同じ木材・鉱石集めでも,かかる労力は段違い
・テラリアのモンスターは毎晩やってくる
・マイクラのクラフトは見た目に反しリアル志向
・“家の条件”にも差がある
・最も大きな違いは“サバイバル”の捉え方
グラフィックスが変わると,世界が変わる
マイクラとテラリアの違いとして,一番知られているのは,3Dグラフィックス(マイクラ)と2Dグラフィックス(テラリア)になるだろう。それはゲーム世界が三次元と二次元のどちらで作られているかということでもある。
二次元のテラリアには奥行きがなく,プレイヤーキャラは上下左右にしか動けないが,マイクラでは(足場さえあれば)奥行きのある世界を自由に移動できる。このため,“感覚的な世界の広さ”では,マイクラが一段上という印象だ。
ただ,マイクラは一面に広がるフィールドを思うままに動ける分,目印などを置かないと簡単に迷ってしまう。“元の場所に戻るために,死んだ方がいいかも”という状況になることもザラだ。
一方,テラリアのフィールドは最小設定でも決して狭いわけではないが,4方向にしか移動できないため,元来た道を把握するのに苦労することはない。おまけにシステム上,画面にミニマップを常に表示できるため,迷うことはほぼないと言ってもいいだろう。もちろん落下や敵などによって,探索先から容易に戻れなくなることはあるが……。
2Dと3Dの違いは,“世界の見え方”にも大きく影響している。マイクラは高所など見晴らしが良い場所ならかなり遠くまで「先に何があるのか」を確認できるのだ。逆に視界を遮られてしまえば,1ブロック先にも何があるかは分からないので,“灯台もと暗し”という状態が発生しがちになる。
テラリアの場合は,自分の周囲しか画面に描写されないため,先に何があるのかは実際に行ってみないと分からない。その代わり一定の明るささえあれば,自分の周りに何があるのかは一目瞭然で,壁の向こうの様子すら分かる。
つまり近寄ってさえしまえば,鉱石やチェストなどの価値があるものを見つけるのに苦労はしない。これは後述する資源の探し方にも,大きな影響を与えている。
PC版におけるグラフィックス設定についても触れておこう。
テラリアは調整できる部分が少なめで,全体的なクオリティ設定を除けば背景のON・OFFや明るさ,各種エフェクトなどの設定がメインだ。
とはいえ,軽いゲームなので(ビデオカードの推奨スペックは,VRAM256MB以上,DirectX 9.0c以上/Shader2.0以上対応),ゲームPCであるなら多少古いものでも最高設定で問題ないはず。ビジネス用のノートPCでも,設定をいじればプレイできるものは多そうだ。
一方,マイクラは3Dグラフィックスだけに,設定画面にはさまざまな調整項目が用意されている。視野角や歩行時の揺れといった基本的なところから,植物の光の透過,水中の気泡表現,雲の描写など,スペックに合わせた設定が可能だ。
その中でもプレイに大きく影響を与えるのは「表示距離」だろう。これは“どれぐらい先のブロックまで画面に表示するか”という設定で,筆者のプレイしたバージョンでは8から80までの数値で任意に設定が可能だった。
高所に登ったときなどに,数値が大きいほど先が見渡せるようになるが,相応に負荷は増大する。快適にプレイできなければ意味はないので,環境に合わせた値を探したい。
また,PC版マイクラのグラフィックスで見逃せないのが,光の屈折や反射をシミュレートして,よりリアルな表現を可能にする「レイトレーシング」に対応する点だ。現状,マイクラのレイトレーシングは,マーケットプレイスでダウンロードできる対応マップでしか使用できないが,グラフィックスのクオリティは大幅にアップする。
2021年夏の原稿執筆時点では,レイトレーシングに対応するビデオカードは比較的新しいものに限られ,種類も多くない。また,ソフトも「Minecraft for Windows 10」が必要なので,プレイ環境を整えるのに追加出費が必要になる人もいるだろう。だが,それでも一見の価値はあるので,ぜひ一度試してもらいたい。
同じ木材・鉱石集めでも,かかる労力は段違い
マイクラとテラリアのどちらも,ゲーム世界はブロック状のアイテム(素材)で構成されており,例えば地面は土のブロックが並んでできている。そして木材や鉄といった素材は,それぞれ木や鉄鉱石のブロックを破壊することで入手する。それ以外にもさまざまな素材があるが,水や溶岩のような特殊な物を除いて,フィールドのブロックを“壊す”ことにより入手する仕組みは変わらない。
そして入手した素材をフィールドに設置(戻す)ことで,任意の地形や建物を生成できる。これが建築の基本だ。
マイクラもテラリアも,木材が欲しいなら樹木を壊し,鉱石が欲しいなら地面を掘っていく……という流れが基本になるのだが,実際の資源集めでは,大きな違いが発生する。
基本中の基本である木材集めを例に説明しよう。マイクラでは,木を壊しても1ブロック分しか壊せず,「下のブロックを壊しても上のブロックには影響しない」というマイクラの基本ルールにしたがって,その上部は“空中に浮いた木”として残り続ける。1本の木から余さず木材を入手したいなら,上から下まで順次壊していかなくてはいけないのだ。
だがテラリアの場合は木の根元を斧で伐採すれば一気に破壊されて,すべて木材に変化する。木こりとして働くなら,テラリアの世界の方がよさそうだ。
なお,マイクラの序盤では木を倒す(壊す)とき,木の斧や石の斧のお世話になることが多く,壊れるたびに何度も作ることになると思う。だがテラリアでは最初から銅の斧を所有しており,耐久度の概念もないため,失わない限り半永久的に使用できる。探索用の道具を作る頻度は明らかにマイクラより低くなるだろう。
細かいところでは,マイクラには「石」「丸石」「花崗岩」「安山岩」といったさまざまな種類の石があり,斧以外にも「石の剣」「石のシャベル」などの武器や道具が作成できるなど,“石まわり”にはかなり力が入っている印象だ。
一方テラリアの石はマイクラに比べると種類は少なめで,石製の武器や道具もなく(矢の材料にはなる),レンガやしっくいの作成に必要な素材といったイメージだ。逆にテラリアにはマイクラにない木の防具があり,さらに種類も非常に多かったりするので,このあたりの違いも興味深い。
違いがあるのはマイニング(鉱石集め)も同様だ。高性能(レア素材製)のつるはしを使うと楽に掘れるのは同じだが,マイクラプレイヤーの間では「ブランチマイニング」と呼ばれる採掘方法が定番となっている。どこにあるのか分からない鉱石を効率的に入手するため,文字通りブランチ(木の枝)のように地下を掘っていく手法だ。
一方,テラリアでも鉱石がかたまって存在しているのは変わらないが,ゲームの世界が2Dで作られているため,地中に埋まっている鉱石もすぐに発見できる。そのためテラリアではブランチマイニングのように狭い間隔でひたすら穴を掘る必要はない。洞窟などから地下に潜って,見える範囲にある鉱石を入手していくのが手っ取り早いのだ。
また,テラリアでは2Dならではの「下から通り抜けられるブロック」が簡単に設置できるため,真下に坑道を掘り進んでいっても問題(事故)になりにくい特徴もある。序盤で比較的簡単に手に入るロープを垂らせば,上下の移動はさらに楽になるだろう。もちろん深いエリアにはトラップも多く,思わぬ事故が起こることも多いので,油断は禁物だ。
テラリアの「作成したワールドごとに出現する資源が異なる」という仕様も見逃せない。例えば銅と錫,鉄と鉛などは,そのワールドにどちらか一方しか出現しないのだ。
基本的には材料が入れ替わっただけで,作成できるアイテムに違いはないのだが,性能が微妙に異なるなど,多少の変化がつけられている。
この「ワールドごとに登場するものが変わる」仕様は資源だけでなく,高難度エリアや,一部のボスでも採用されている。すべての要素を楽しむには,複数のワールドを作成する必要があるわけだ。
テラリアのモンスターは毎晩やってくる
ゲーム内で時間が流れ,昼夜のサイクルがあり,天候が変化していくのも,マイクラとテラリアの特徴だ。
マイクラの1日を現実時間にすると20分。内訳は昼が10分,夜が7分で,残りの3分は夜明けと夕暮れに割り当てられている。
晴天以外の天候には雨と雷雨があるが,雨はブロックに着いた火が消えたり,耕作地が湿る程度で,それほど大きな影響はない。だが雷雨になると暗くなって敵が湧いてしまうほか,雷が頻繁に落ちて火災を起こしたり,友好的なNPCを敵に変えてしまったりと,フィールドの危険性が高まる。
テラリアの1日はマイクラより少々長く,24分となっている。「現実時間の1秒=ゲーム内の1分」という計算のようだ。内訳は昼が15分,夜が9分となっており,マイクラと同じように,活動しやすい昼の方が長くなっている。
雨が降ると,晴れの時には出現しない敵が現れる。また風が左右のどちらかから吹くことがあり,こちらはビジュアルに影響を与える。
プレイヤーに影響を与える気象現象としては,砂漠のエリアで発生する砂嵐がある。視界が悪くなって移動速度も低下するので,自信がないならいったん拠点に戻ったり,別の場所を探索したりするほうがいいだろう。
マイクラでもテラリアでも,昼は比較的安全だが,夜になると敵対的なNPCが湧き,探索や収集が危険になる。だが敵の挙動はかなり異なる印象だ。
土を掘って作ったような簡易的な家でも,籠もっていればまず危険に出会わないマイクラと違い,テラリアは草原の昼でも敵(スライム)が出るし,夜になるとさらに強いアンデッドなどが家の周りをウロウロし始める。ドアが破られることこそ少ないが,恐らく最初はかなり面食らうはずだ。
これらの敵は,とにかくプレイヤーに体当たりしようと動き回る。朝になるまで家の屋根の上を徘徊していることも珍しくないので,テラリアの夜は非常に長く感じられる。
マイクラも敵に狙われれば危険なのは間違いないが,ここまでアグレッシブに付け狙われることはなかった。
また,マイクラではベッドを使えば,夜を一瞬で飛ばすことができるが,テラリアのベッドはあくまで時間を早送りするだけなのも,夜を長く感じがちな理由かもしれない。
とはいえ,テラリアではこういった敵の習性を踏まえて罠を作ったり,家の構造を工夫したりして,安全な場所から撃退するのも楽しみの1つになっている。敵が落としたコインが通貨として利用できるので,いいお小遣い稼ぎにもなるはずだ。
マイクラのクラフトは見た目に反してリアル志向
サンドボックス系ゲームの核となるのが,クラフトだ。集めた素材から新たな道具や装備を作り出し,それを使ってさらに新たな素材の入手を目指す……という流れは非常に楽しく,時間を忘れて熱中できる。地下の奥深くから掘り出した鉱石や,苦労して倒した敵から入手した素材が,欲しかったアイテムになる瞬間は,まさにサンドボックスゲームの醍醐味と言っていいだろう。
これらの一連の手順については,マイクラとテラリアに大きな差はなく,木を切って道具を作り,作業台を設置して最低限の装備をととのえるところから始まる。作業台をはじめとするクラフト用器具は,マイクラだと器具自体にアクセス(PC版なら右クリック),テラリアは近くに寄ってメニューを開くと使える。
作業台やかまど(溶鉱炉),金床などは,マイクラとテラリアのどちらにも存在しているが,作業台を除いて,意外なほどに機能は異なっている。
例えば金床はテラリアだと金属製の武器や道具の作成に必須の器具だが,マイクラでは装備の修理やエンチャントの付与に使用するもので,序盤にはあまり出番がない。織機も,テラリアでは必須アイテムであるベッドの作成に必要となるが,マイクラでは旗に模様をつける装置という位置づけなので,重要度はあまり高くない。
また,テラリアではアイテム同士を組み合わせることで,器具をアップグレードできる仕様が目を引く。
例えばマイクラでポーションを作るには,「調合台」を新たに設置する必要があるのに対し,テラリアでは,作業台やテーブルの上に瓶やコップを置けばいいのだ。
マイクラでも,かまどと木から「燻製機」を作るといったことはできるが,アップグレードではなく,別物の扱いなので注意したい。
クラフトに“燃料”が必要になるのかも大きな違いだ。マイクラではかまどや溶鉱炉を使用するとき,必ず消耗品の木や石炭などの燃料が必要になり,さらに完成するまで一定の時間が必要となる。
だがテラリアでは溶鉱炉などの器具さえ設置してしまえば,クラフトに燃料は必要ないし,作業も一瞬で終わる。この点から考えると,マイクラのクラフトは見た目に反してリアルで,逆にテラリアはカジュアル寄りと言えそうだ。
マイクラのクラフトが凝っていると感じるポイントは,レシピにもある。マイクラの作業台は3×3のマス目になっており,例えばたいまつを作るなら木の棒の上に燃料を置くという形に配置する。また,武器の弓なら弓を模して棒と糸を配置するなど,ちゃんと完成後の形に則ったものになっており,なかなか芸が細かい。
ゲームに慣れてくると,こういった制作側のこだわりもスルーしがちになってくるが,たまにはレシピを改めて眺めてみるのも面白いと思う。
装備の作成というポイントで両者を比べると,これもまた違いが多い。
マイクラの装備は「自分で作る」のがベースとなっており,より上位の金属で剣や鎧を作成し,さらにエンチャントを付与して強化する。武器は剣と弓がメインで,それ以外にクロスボウや槍などもあるが,存在感はそこまで大きくない。防具は頭,胴体,下半身,足の部位に分かれてはいるものの,それを加味しても非常にシンプルな構成だ。
逆にテラリアは武器の種類が非常に多い。序盤こそスタンダードな剣がメインになるだろうが,それ以外にも槍,ブーメラン,銃,魔法の杖など,非常に充実している。また入手方法も敵からのドロップやチェストからのランダム入手など,不確実性が高いものも多く,クラフトで確実に入手できるとは限らない。さらに作成した装備にランダムで特性が付与されることがあり,同じ装備でも“当たり外れ”がある。
防具の部位は頭,胴体,下半身とマイクラより少ないが,装備の種類自体はかなり多く,植物素材でできたものなど,見た目にも特徴的なものが多い印象だ。
“家の条件”にも差がある
現実世界で家を建てるのはなかなか大変だが,ゲーム内なら話は別。特にサンドボックスゲームでは,家を建てないと寝ることすらできなかったりするので,真っ先に建築に取りかかることになる。
だが,実はマイクラでもテラリアでも,「寝泊まりやクラフトを行う拠点」を作るだけなら,それほどの手間はかからない。
作業台やチェストなどの最低限の設備,たいまつなどの照明,ベッドなどが必要なだけで,実はドアすら不要だ(入口を土でふさいでしまってもいい)。だからこそ遠出をしたときの仮拠点の作成も楽になっている。
もちろんそれなりにプレイを続けていると,“掘っ立て小屋”では満足できなくなってくるだろうが……。
「ハウジング」という形で,ゲームシステムにおける“正式な家”を作る必要があるのは,友好的なNPCに居住してもらうときだ。
これが特に重要なのがテラリアで,空き家を作って一定の条件を満たすと,どんどんと友好なNPCが住み着き,集合住宅や村のようになっていく。NPCからは売買を通じて色々なアイテムを入手できるので,ゲームを快適に進めるためにも,人口の増加は欠かせない。
テラリアにおける住宅の条件は意外と細かく,まず木や石といったブロックで屋根部分を含めて囲いを作り,内部に壁を貼り付ける。次にドアなどの出入り口を設け,たいまつなどの明かりとなる照明を設置し,さらに机(作業台でもいい)を置いたうえで,椅子かベッドを用意する……といった流れだ。初心者が手間取りそうなのが“背景”となる壁の設置で,隙間なく貼り付けるのに手間がかかるかもしれない。資材も意外に必要なので,家の建設途中で素材集めに出かけなくてはならない事態にも遭遇するだろう。
ただありがたいことに,メニューから家として機能しているかが確認できるし,人が住むようになればNPCの顔のアイコンも表示されるので,慣れてしまえば失敗することもなくなるはず。NPCとは(マイクラと違い)普通の会話によるコミュニケーションもできるので,生活も賑やかになるだろう。
マイクラの家もNPC(村人)の住居として機能する。村人は例外を除き何らかの職業に就けることができ,前述のようにエメラルドを介して物々交換でさまざまなアイテムを入手できる。とはいえ,ほとんどの村人は既存の村に住んでおり,関係のない場所に新たな家を建てたからといって,勝手に移住してきたりはしない。
村人との交流を楽しみたいなら,最初から自分が村の近くに住むか,何とかして村人を連れてくる必要がある。思い通りの場所に村を作るのは,テラリアの方が容易だ。
マイクラの村人は,家の数までしか増加できないので,村の規模を大きくしたいなら,家を増やすしかない……のだが,実は現行のマイクラだと,家の数は「利用できるベッドの数」でカウントされているようなのだ。テラリアのような壁や照明がどうこう,といった条件はなく,雨ざらしでもいいので,ベッドを増やせばいい。新たなベッドは村人と紐付けられ,後は食料などの条件が揃えば,村人は増えていく。
というわけで,効率を重視するなら,現行のマイクラでいわゆる“家”を建てる必要はない。とはいえ,村に大量のベッドが並ぶ光景は不自然だし,たまに敵の襲撃もあるので,こだわりの村を作り上げるのはもちろんアリだ。既存の村にある家は,自分の家を建てるときの参考になるので,初心者はよく観察してみてはいかがだろうか。
最も大きな違いは“サバイバル”の捉え方
これまで比較してきた5項目は,事前に考えていたものだが,実際にプレイして気づいた一番大きな違いがある。それは「満腹度の有無」だ。プレイした人にとっては常識だろうが,マイクラは時間の経過に従って,どんどんお腹が空いていく。難度設定によっては餓死もあり得るし,ある程度の満腹度を維持しておかないとライフの自動回復がなくなり,死ぬ可能性が高まるのだ。
だが,テラリアには空腹を表すゲージや食料アイテムといった,食事の要素がない。キノコなどは簡単に手に入るが,これは空腹を満たす物ではなく,クラフトの材料であったり,ライフ回復の手段だったりするからだ。
逆に,マイクラにはないがテラリアにあるステータスが,「マナ」だ。これは魔法装備などを使用するときに消費するもので,一般的なRPGのMPに当たるもの。初期値は20しかないが,夜に落ちてくる流れ星を集めてクリスタルを作ることで,上限を増やせる。マナゲージが少ないと,魔法装備を常用するのは難しいだろう。
ライフの扱いにも,両者には大きな違いがある。
マイクラは,20のライフ(10個のライフアイコン)を持った状態でゲームが開始される。攻撃力や防御力は装備などによって強化できるが,体力そのものはこれ以上増えることはない。前述の満腹度もマックスで始まるため,少なくともキャラ自体のステータスは開始時点から“最強の状態”というわけだ。戦闘や素材収集で入手できる経験値もあるが,これは集めてレベルアップするものではなく,道具の修理などに使う消耗品のようなものだ。
一方テラリアのライフは100(5個のライフアイコン)で始まるが,洞窟などでライフクリスタルを集めることで,マナと同じように上限を増やせる。マイクラと同じく経験値などによるレベルアップなどはないが,装備の充実だけで最強を目指すのは無理で,ステータスそのものも強化していく必要があるのだ。
こうやって両者を比べてみると,「サバイバル」という要素へのアプローチがかなり違うことに気がつく。
マイクラは最良(最強)の状態でゲームがスタートするが,手ぶらの状態でフィールドに投げ出され,時間が経過すれば暗くなって敵が徘徊し始めるし,空腹を放置していれば死の危険がどんどん高まっていく。序盤のライフ回復方法といえば,満腹度を高く保つことによる自動回復しかないので,食糧を確保しないと身の安全もままならない。
さらに武器や道具は使ううちに劣化し,壊れていくので,生き残るには常に活動し続けて環境を整える必要に迫られる。
逆にテラリアには,満腹度も装備の耐久度も存在しないので,無理に歩き回る必要はない。少なくとも生き延びることだけが目的なら,家でじっとしていればいいのだ。
ではテラリアで活動のモチベーションになるものは何か。それは「強くなること」だろう。テラリアのキャラは最弱の状態でスタートし,冒険と探索を続けることでステータスが上がり,タフになっていく。事実上ボスがラストに1体しかいないマイクラに比べ,強力なボスが何体もいるのもテラリアの特徴だ。仮にボス退治に興味がなくても,エリアによっては雑魚敵も侮れない強さになっていくので,弱いままで先に進んで行くことはかなり難しい。
つまりテラリアのサバイバルとは,危険な洞窟やダンジョンを無事にくぐり抜け,強力な敵に立ち向かって生き残り勝利すること,と言い換えてもいいだろう。そのためには,ステータスのアップと優れた装備の確保が必須だ。
サンドボックスゲームは「特に決められた目標はなく,プレイヤーの自由に遊べる」のがウリとなっていることが多い。ストーリーやクリアすべきタスク(イベント)が明確に用意されておらず,自由に行動できる点ではマイクラもテラリアもその特徴を満たしているのは間違いない。
だが個別に見ていくと,マイクラは「まずは死なない環境を整え,そこから冒険や建築を自由に楽しむ」作品であり,テラリアは「サバイバル要素をなるべく排し,クラフトによって冒険や探索を進めていくゲーム」とまとめることができそうだ。
特にテラリアは見た目以上にRPGに近い部分が多く,ライフの上限を高めるために洞窟を探索する,ボスに挑むための準備をするといった短期的な目標を立てやすい。“何をしたらいいのか分からない”といった状態にはなりにくいように思う。
マイクラは探索,建築,クラフト,サバイバルなどをまんべんなく楽しめる“欲張り”な作品だ。最初からほとんど何の行動制限も受けないので,ひたすら地下の奥深くで鉱物を掘って強力な装備を揃えることを目指してもいいし,プール付きの豪邸を建築してもいいし,家畜や食材を殖やす農業に手を出してもいい。時間と工夫次第で,どんどんと環境は充実していくはずだ。
ただしゲーム内でのプレイヤーへの誘導はほとんどないので,何をするかはすべて自分が決める必要がある。何をしたいのか分からない場合は,広い世界を前に途方に暮れてしまうこともあるかもしれない。
個人的には,「サンドボックスゲームが気になるから,どんなものか試しにプレイしたい」と考えているような人なら,「何をすればいいか」で迷いにくいテラリアの方がいいだろう。
テラリアは(もちろん設定によるとはいえ)決して易しいゲームではないと思うが,序盤から探索や冒険に集中できるのはありがたいし,前述のように物理的に迷いづらいのもプレイしやすさにつながっている。きっちりとセリフ(テキスト)でNPCから直接ヒントをもらえるのも,地味なところだが大きい。
ただし,地下探索と戦闘が占める割合が大きく,「なるべく平和的に,ひたすらクラフトに邁進したい」といった人には合わない可能性もある。そういうプレイヤーなら,マイクラを手に取る方が満足できそうだ。
マイクラは「3D世界」なので,建築の自由度や工夫の余地が極めて大きい。例えば架空や現実を問わず様々な建物を再現したり,ボタンひとつで大量の農作物を収穫する仕組みを作ったりと,文字通りの“サンドボックス”(砂場)として遊べる。
また,冒険要素なしでいいなら,「クリエイティブモード」で,素材や移動の制限を受けず,思うがままの建築が楽しめる。外装にも内装にも凝った巨大な建物を作り上げることも可能だ。
「Minecraft」で「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のハイラル城を再現。公認マインクラフター集団Team-京が手がける
想像力次第で無限の遊び方が広がるボクセルベースのサンドボックスゲーム「Minecraft」。本作を用いてMicrosoft公認のマインクラフター集団“Team-京”が「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のハイラル城を再現した。
テラリアにもクリエイティブモード的な「Journey Mode」があるが,ゲームの性質上“真横からの視点”に固定され,手前の壁がない(透ける)仕組みなので,クラフトではどうしてもそこに限界が生まれてしまう。また自分を中心に視点をズームアウトすることは可能だが,「遠くから眺める」ことができないため,せっかく大きな建築物を作っても,離れた場所からそのサイズを実感したり,色々な距離や角度から楽しむことができないのも残念だ。
もちろんマイクラであっても,初心者がいきなり巨大な建築物を完成させるのは難しいだろう。だが「実家の家(間取り)をマイクラで再現してみた」といった話はよく聞くので,手近なところからステップアップしていくのも面白いと思う。
やり込み度が高く,情熱をかけただけ“凄いもの”がクラフトできる懐の深さが,マイクラが今も人を引きつけ続ける理由のひとつだろう。
本稿では大きく6つの要素でマイクラとテラリアの違いを紹介した。両作には今回紹介しきれなかった要素がまだまだあるので,気になった人はぜひプレイしてその奥深さに触れてほしい。
マイクラやテラリアで初めてサンドボックスゲームをプレイする人は,近年の懇切丁寧なチュートリアルがあるタイトルに比べて“不親切”に感じるかもしれない。だが,それは“何でもできる世界を用意し,プレイヤーの自由に任せる”というコンセプトの裏返しでもある。いったんコツが分かれば何十時間,何百時間という単位で熱中できるはずだ。
リリースから10年が経ってもなお,多くの人がハマり続ける両作品を,ぜひこの機会に遊んでみてほしい。
「Minecraft」公式サイト
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