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[E3 2011]苦しみ,悲鳴をあげ,それでもがんばるララに心を奪われる。人気シリーズ最新作「TOMB RAIDER」はこんな作品だ
今回,本作のパブリッシャであるスクウェア・エニックスのブースの内部において,招かれたゲストのみを対象とした本作のプレゼンテーションが行われた。さらに,本作の開発を手がけるCrystal DynamicsのBrian Horton氏にゲーム内容に関する詳しい話を聞くこともできたので,ここではその内容も盛り込みつつ,このシリーズ最新作がどんな作品なのかを紹介していこう。ちなみにCrystal Dynamicsは,「TOMB RAIDER: UNDERWORLD」や「TOMB RAIDER: LEGEND」など,シリーズの比較的最近の作品を手がけてきたデベロッパだ。
本作のゲーム冒頭では,ララは,知人のロス船長が操るエンジューラ号という船に乗っている。そして冒頭でその船が不思議な嵐にあって,海岸に打ち上げられてしまうところからゲームはスタートする。
プレゼンテーションで確認できたデモは,何者かにさらわれてしまったララが,洞窟の中で目を覚ますシーンから始まった。カメラが引くと,ララはグルグル巻きに縛られて,逆さに吊るされていることが分かる。
ここではまず必死に身体を揺すって近くの火を自分の縄に燃え移らせ,切断して,脱出することを目指す。ゲーム内には物理効果が働いており,物体の揺れなどはそれを用いて制御されているそうだ。
ロープがちぎれると,ララは結構な高さから落下してしまう。そして,運悪くその下には真上を向いた木の枝のようなものが突き出しており,なんとそれがララの脇腹に突き刺さり貫通してしまう。悲鳴を上げるララ。必死にそれを引き抜いてまた悲鳴。刺さる瞬間や抜く瞬間には画面が一瞬色を失い灰色にぶれる。ララの気が一瞬遠くなる様子を表現しているようだ。
本作の開発にあたっては,「ララの気持ちをいかにリアルにプレイヤーに感じさせるか」ということに力点が置かれているとのこと。そのため動きのパターンやリアクションのバラエティは豊富で,たとえば「煙に近づくとむせてしまう」といったリアクションも用意されているという。
脇腹の怪我を手で押さえながら(これも特別なモーションの一つだ)ララは洞窟を進んでいく。狭い穴をくぐり抜けようとすると,突然後ろから野蛮な風貌の原住民に足をつかまれる。また悲鳴を上げて,必死に逃れようとするララ。こういった演出に,見ているほうもハラハラしてしまう。
なんとか敵から逃れたララは,水の溜まった細い通路を進んでいく。水はあごのあたりまであって,天井と水面の間の非常に狭い空間に顔だけ出して進んでいく。このシーンでは閉塞感を十分に伝えるために,カメラをゲーム側で動的にコントロールしているとのことだった。これは,カメラ操作をプレイヤーに渡してしまうのではなく,作り手側で制御することで,開発陣がイメージしたとおりの体験をプレイヤーに提供するというテクニックだ。
そこを抜けると少し開けた場所に到着した。下には水が溜まっており,前方は漂着した船の残骸や流木などでふさがれてしまっている。付近には火のついたたいまつがあり,がれきの側には赤い色の(いかにも爆発しそうな)ドラム缶が転がっている。しかしがれきが邪魔でドラム缶までは行けないので,なんとかあの場所まで火を運ぶ必要がある……。
ここはいわゆるパズル的な状況に対処する部分だ。使用できる要素や,物理が働いていることなども加味しつつ,解法を探していく。このような状況で利用できるのがララの持つ「サバイバル・インスティンクト(生き残り本能)」という能力だ。ボタンを押してこの能力を発揮すると,視界の中でララがインタラクト可能なものがハイライトされる。このおかげで近くに簡単に燃やせるものがあることが分かり,いくつかの仕掛けを組み合わせることで,火のついた物体をドラム缶のあるところまで送り込むことができた。それによりがれきを吹っ飛ばして,先に進む。
さあ,外に脱出しなければならないが,ここでまたイベントが発生。突然足下が崩れて斜面を転がり落ちてしまうララ。運は悪いし,傷は痛そうだし,苦しそうな声を出しっぱなしだし,見ていて本当にかわいそうで,ついこぶしをぐっと握りしめてしまった。落ちた下には例の原住民がいて追われるララ。斜面を手も使って必死によじ登るララだが,なんと前方からは大きな石が落ちてくる。なんとかかわしてから,光って見える出口を目指して,LR連打でさらに登る。
地上に脱出すると,あたりは夕暮れ時だろうか。カメラは引きずるように歩を進めるララから離れていき,打ち上げられた船の残骸と,海と,漂着したこの島の景観へと移り,ここでデモの前半部は終了した。
トゥームレイダーの過去作品の中には,ララが一作の中で世界中を旅するものもあったが,今作の舞台はこの一つの島に限定されているとのこと。ただし,天候や時間,建築物や地形など,さまざまな要素をふんだんに取り入れ,組み合わせることで,マップには多彩なバリエーションを用意し,同じ場所にずっといるような感覚を味わうことはないようにしているという。
前半に見たのは,チュートリアルも兼ねているという一本道なシーンだったが,それ以降は好きなところを自由に探索できるデザインになっているそうだ。Horton氏によれば,いわゆるオープンワールド型ではないが,自由度の高い,ノンリニアなゲームが楽しめるようになっているとのことだった。
そのようなゲーム性であるため,本作ではベースキャンプからさまざまなマップ(つまり島内の各所)に,さっと移動できるとのこと。Horton氏はこれを「ファストトラベル」や,「ダイナミックトラバーサル」という言葉で表現していた。
原住民の家屋のような掘っ立て小屋の屋根をぐいぐいよじ登り,屋根から屋根へとジャンプで渡っていくララ。先にあった短めの洞窟をそろそろと抜けて,開けた場所に出ると,足跡の主である狼が突然襲い掛かってきた。組み敷かれてしまって,悲鳴を上げながらもがくララは,手にあったナイフで必死に応戦して,狼を殺す。
この必死であるところもポイントだ。過去作品の大人のララは二丁拳銃でもって,躊躇なくいろいろなものをバンバン射殺していたはずだが,今作のララは違うのだ。我々がそうであるように,大型の生き物を殺すという体験がほぼ初めてであるに違いない。しかしヘビーな状況下では殺さなければ自分がやられてしまう。そのためにやりたくないこともやらなければいけない。そんなララの姿には,ついついぐぐっと感情移入させられて,「がんばって!」と思ってしまう。ララの新しい魅力を引き出すという,開発スタッフのもくろみは成功しているようだ。
デモはその先で治療道具をみつけ,それを持って戻ったララが船長の治療に成功したところで終わった。
Brian Horton氏:
ララ・クロフトは世界中の人に愛されているキャラクターです。そのような愛情を注いでくださっているファンのみなさんに対して,我々は心から感謝しています。今作ではさらに愛されるララを作り上げるべく,現在懸命に開発に取り組んでいます。どうかご期待ください。
「TOMB RAIDER」公式サイト
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