インタビュー
「シュヴァリエ サーガ タクティクス」にさらなる熱を! 今後実装予定の「演習場」「攻城戦」について御影氏,江田氏にインタビュー
2011年11月8日に正式サービスをスタートしたシュヴァリエでは,定期的にアップデートが行われているが,熱心なプレイヤーにとっては,もっと先の大きな話――大規模アップデートのことが気になるところではないだろうか。
今回は,デベロッパであるイメージエポックの代表取締役 御影良衛氏と,NHN Japanで運営ディレクターを務める江田大輝氏に,あれこれと話を聞くことができた。これまでのサービス内容を振り返ってもらいつつ,今後のメインコンテンツになると思われる“演習場”“攻城戦”に関する概要を教えてもらえたので,シュヴァリエのプレイヤーはぜひチェックしてほしい。
「シュヴァリエ サーガ タクティクス」公式サイト
想像を大幅に上回ったプレイヤーからの反響
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。御影さんは何度か4Gamerの誌面に登場されていますが,ディレクターの江田さんは今回が初めてですよね。
はい。NHN Japanでシュヴァリエの運営ディレクターを担当している,江田と申します。主に追加コンテンツの開発進行など,ゲーム仕様にまつわる業務全体を管理しています。最近は運営ブログでもちらほら名前を出しているので,ご存じのお客様もいるかもしれません。
4Gamer:
シュヴァリエの正式サービス開始から約2か月が経過しました。これまでを振り返り,現在の手ごたえはいかがでしょうか。
江田氏:
おかげさまで,非常にたくさんの方に遊んでもらっています。しかし,お客様に長く遊んでいただくためのコンテンツが,まだまだ足りません。そのために今後どういったアップデートが必要なのか,イメージエポックさんと共に毎日検討を続けています。
イメージエポック 代表取締役 御影良衛氏(以下,御影氏):
シュヴァリエはコアプレイヤーからの注目度が高く,その熱心さは自分たちの想像を大幅に上回っていました。ただし,その反響を喜ぶような状況ではありません。コアプレイヤーの多くは,シュヴァリエのコンテンツ不足に対して不満を持っていることでしょう。結果としてアップデートの実装が遅れてしまい,弊社としては反省することしきりです。
4Gamer:
前回行ったインタビューの際に,コンテンツの消費速度を懸念されていましたが,その想像をも上回っていたということですか?
はい。正式サービスの開始前は,弊社が展開する他タイトルのデータも含め,多角的に検討していたつもりでした。しかし実際には,1日の平均プレイ時間に関しても,想定の2倍以上という数値が出ています。中には20時間以上遊ばれている方もいるくらいです。
御影氏:
正式サービス開始時のレベルキャップは30に設定していましたが,たったの2〜3日で到達されていましたね。キャップに到達してからは,ユニットの装備やスキル構成などを煮詰める余地がありますが,それでも2〜3週間程度でコンテンツ不足を実感されてしまいます。自分としては,1.5〜2か月は持つかなと思っていたのですが,甘かったですね。
4Gamer:
コアな人はとことん突き進んでしまいますからね……。
御影氏:
アップデートを行う順番に関しても,まずはストーリーを拡張して次にPvP関連,という流れを想定していたのですが,完全に後手にまわっている形です。
そういった状況を受け,2011年11月下旬のタイミングで,今後のコンテンツ開発やアップデートの方針などについて,NHN Japanさんと共に再度検討し,大きく軌道修正を図っている段階です。
“精鋭”プレイヤーを満足させることを最優先
4Gamer:
そのほか,サービス開始からの2か月を振り返り,強く印象に残っていることはありますか。
プレイヤーの,ゲームシステムに対する理解力の高さに驚かされます。ミッションなどを実装するときは,ゲームバランスを慎重に検討しているのですが,あっという間にクリアされてしまうなど,我々の想像を超えている部分が多々あります。また,お客様同士のプレイスタイルを眺めていると,我々が想像もできないような戦術に驚かされることがままあります。
御影氏:
これは以前も少しお話ししましたけど,仮に他のタイトルを参考にしようと思っても,シュヴァリエのようなタイトルは1本もないことが,ツラいといえばツラいです。ブラウザゲームでシミュレーションRPGという時点で,参考になるタイトルはほぼ存在しませんし,今後実装するコンテンツに関しても,それは同様です。
4Gamer:
シュヴァリエのように,2年以上の開発期間を注ぎ込んだブラウザゲームは,前例がありません。それだけに,同時接続者数や売上などといった,サービスする側にとっての目標をどのように設定されているのか,気になります。
御影氏:
詳しい数字は控えさせていただきたいのですが,サービスを開始した2011年の11月に関しては,あらゆる面で期待以上の結果でした。しかし12月に入った後は,主にコンテンツ不足によりプレイヤーが離れてしまい,数字にもそれが表れていますね。
ただ,ここは強調しておきたいんですけど,1か月や2か月といった短期的な利益は,それほど重視していません。最も大事なのは,現在コアに遊んでくれている方達が,ゲームにしっかり定着してくれることです。つまり,そのためのコンテンツを早急に実装することなのです。
4Gamer:
コアプレイヤー層を重視しているようですが,長期的なサービスを続けるうえで,新規プレイヤーの獲得も大切かと思います。そのあたりについて,どのようにお考えでしょうか。
まずは,コアな方達に満足してもらうことを最優先に考えています。そのハードルをクリアした段階で初めて,新規プレイヤーの獲得方法を検討することになるでしょう。
4Gamer:
プレイヤーからの声は,どういったものが多いですか?
御影氏:
とくに多いのは,コンテンツ不足に対する不満と,今後実装されるであろうPvP関連システムに対する期待の二つですね。そのため,当初の予定ではインゲームイベントの企画なども進めていたのですが,そういった社内リソースを全部,新たなコンテンツ開発のためにシフトしています。
江田氏:
やはり,コンテンツ不足への取り組みは急務ですね。せっかく時間をかけてユニットを育成しても,そのユニットを活躍させるための舞台がないというのが現状ですから。
4Gamer:
コンテンツ不足のほかには,クライアントのバグやサーバーのレスポンスが悪いといった意見も見聞きします。その点についてはいかがでしょうか。
御影氏:
オープンβテストの開始直後には,そういったトラブルが多かったですね。理由の大半が,同接数が想定を大幅に上回っていたことに起因するものでした。たとえば1体のユニット装備を変更するたびに,サーバーのデータを更新/照合する処理が発生するため,同時接続数が爆発的に増えたサービス開始直後は,サーバーがパンク寸前といっていい状態に陥っていました。
江田氏:
この点に関しても,弊社がこれまで手がけてきたブラウザゲームの常識を上回るもので,認識の甘さを反省しています。最近は,メンテナンス作業などもスムーズに行えるようになってきました。サービス開始当初の状況を見て離れてしまわれた方も,ぜひもう一度遊んでみてほしいと思います。
4Gamer:
シュヴァリエはブラウザゲームということで,ライトゲーマーにもそれなりにアピールするのではないかと思っていましたが,実際にはコアプレイヤーの割合が高かったのでしょうか?
御影氏:
はい。いま遊んでいただいている方の多くは,まさしく“精鋭”だと思いますよ。それだけに,コンテンツ不足を強く感じているでしょう。自分たちもそのことを痛感しており,急ピッチでコンテンツを開発してきたのですが,このたびようやく実装の目途が立ちました。
今回4Gamerさんに来ていただいた最大の理由は,シュヴァリエの今後のメイコンテンツとなる「演習場」「攻城戦」について,しっかり伝えたかったからなんです。
4Gamer:
わかりました。それでは,詳しくお願いします。
ブラウザゲームであることを生かした対人戦システム
「演習場」と「攻城戦」は,プレイヤー同士が戦う,いわゆるPvP系のコンテンツである。ただし,“ブラウザゲーム+シミュレーションRPG”というゲームジャンルでPvPを実現するために,両社がさまざまな試行錯誤を繰り返してきてきた結果,ちょっと珍しい仕様が採用されることになった。
その最大の特徴は,「攻める側」はプレイヤーが操作し,「守る側」はAIによる自動操作で対戦が行われるところだ。一見,通常の対コンピュータ戦と同じように思えるかもしれないが,守る側のユニットは,対戦相手のプレイヤーが防衛登録しているユニットから,自動的に選ばれる。一般的なPvPとも,対コンピュータ戦とも異なっており,いうならば“擬似的なPvP”ともいえるかもしれない。
このバトルシステムによる大きなメリットは,対戦相手がPCの前にいる必要がない,ということ。時間的な制約に縛られず,それでいて単なるNPCユニット相手に戦うよりも張り合いがある,ブラウザゲームの特徴を生かしたシステムなのだ。この点を踏まえて,「演習場」と「攻城戦」の二つを見ていこう。
■「演習場」
演習場の人数規模に関してだが,挑戦する側(=プレイヤー操作)は“4体のユニット”,そしてバトルを受ける側(=AI操作)は“6体のユニット”で,戦場マップへ赴くことになる。人数差があるため,AI操作といえども,攻める側にとっては手強い相手となるだろう。
そして演習場の勝敗結果に応じて,強さを示すパラメータの「演習レート」が増減する。対戦相手を選ぶ際は,この演習レートを参考に,自分と実力が近いプレイヤーが自動的に選ばれる仕組みだ。RTSなどのレーティングに比較的近いが,先述のとおり対戦相手はAI操作であるため,マッチングはわずかな時間で終わりそうだ。
ちなみに演習レートに関しては,攻める側(プレイヤー操作)のみならず,守る側(AI操作)も,対戦での敗北によってわずかに減少する。開発側の理想としては,長期間演習をしないプレイヤーは,ゆるやかに演習レートが下降するようなバランスにしたい,とのことだった。
そのほか,プレイヤーの演習レートを元にしたランキングで順位が決まり,それを元に特殊なバフ(補助効果)がつくなどのメリットが得られる。ギルド内でのランキングも表示されるようになっているので,メンバー同士で強さを競うのも良いだろう。
また,今後のアップデートにより,演習ランキングの順位に応じて,プレイヤーの所属しているギルドに褒賞が与えられるシステムが実装される予定だという。
■「攻城戦」
プレイヤーとAIが戦うという部分を除き,演習場とはシステムが大きく異なる。たとえば城の攻守に関係するギルドのプレイヤーは,事前にユニットを“派遣”しておく必要がある。仮に,防衛側のギルドがユニットを派遣していないと,城は弱いNPCが守ることになるため,ほぼ確実に攻め落とされてしまう。
戦場マップの人数に関しては,演習場が1人のプレイヤーだったのに対し,攻城戦では最大4名のプレイヤーがチームを組んで挑める。もちろん防衛側の最大人数も同規模に設定されているため,常にエキサイティングなバトルが楽しめそうだ。
50ほど用意される城は,特大,大,中,小といった複数のランクに分けられており,ランクごとに城の数が異なる。特大の城は,サーバー内に一つしか存在せず,所有した暁には,ギルドにとっての大きなステータスとなるだろう。
ただし,上位の城を狙うには,下位の城を所有したり,ギルドランクなどの条件を満たしたりする必要がある。また城を攻めるだけでなく,城主になったあと,継続的に守り続けるためのリソースも必要になってくる。ギルド内のリソースを,各城の攻防にどのように分配するかが焦点の一つとなりそうだ。ときには他のギルドマスターとの交渉や,同盟といった展開が求められるようになるかもしれない。
城を攻め落とし,それを継続的に守り抜くのは大変だが,もちろん,それに見合うメリットが用意されている。城持ちギルドしか得られない報酬アイテムを消費することで,専用ミッションで特別なスキルや,特殊な装備品を入手したりできるそうだ。
まずは近日実装の「演習場」に期待
最後に,江田氏,御影氏のそれぞれからメッセージをいただいたので,それを紹介して本稿を締めよう。
江田氏:
演習場と攻城戦は,お客様に末永く楽しんでいただくことを目標に開発しています。今後新規参入されるお客様はもちろん,一時期シュヴァリエから離れてしまった方にも,抵抗なく楽しめるようなゲームバランスを目指し,現在頑張って開発しています。実装を楽しみにしてください。
御影氏:
現在の最重要課題は,「ギルドマスターがギルドを運営してくモチベーションを維持できるコンテンツを実装する」ことです。ギルドマスターが楽しめるコンテンツなら,コアプレイヤーの皆さんも楽しんでいただけるでしょうし,そういった状況をシュヴァリエで実現するにはどうすればいいのか,そのことを考えながら日夜開発に励んでいます。まずは,近日実装される「演習場」に,ぜひ注目してください。よろしくお願いします!
「シュヴァリエ サーガ タクティクス」公式サイト
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