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GeForce GTX 500
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  • 発表日:2010/11/09
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リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
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印刷2011/12/03 00:00

レビュー

カード長169mmと短い「GeForce GTX 560 Ti」搭載カードを試す

ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini

Text by 宮崎真一

ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini
メーカー:エルザジャパン
問い合わせ先:ELSAサポートセンター TEL 03-5765-7615
実勢価格:2万円〜2万4000円(2011年12月3日現在)
画像集#014のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 エルザジャパンは,GPUに「GeFroce GTX 560 Ti」を採用するグラフィックスカード「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」(以下,GLADIAC GTX 560 Ti mini)を2011年10月7日に発売した。
 製品名に「mini」と示されていることから予想できるかもしれないが,GLADIAC GTX 560 Ti miniが持つ最大の特徴は「カード長が短い」ということだ。その長さはエルザジャパンの公称値で170mm。NVIDIA示すGeForce GTX 560 Tiのリファレンスカード長228.6mmと比べ,60mm弱も短縮されている。
 今回は,そんなGLADIAC GTX 560 Ti miniをエルザジャパンから入手したので,カード長以外に違いがあるのかないのか,いくつかのテストから明らかにしてみたいと思う。


基板サイズの小型化に伴い

新型クーラーは動作音が増大


GLADIAC GTX 560 Ti miniのカード長は実測で169mmと,リファレンスよりも約60mm短い
画像集#016のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 というわけで,まずはカード長の計測からだ。GLADIAC GTX 560 Ti miniの長さは実測169mm(※突起部含まず)。リファレンスデザインを採用するGeForce GTX 560 Tiカード「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti」(以下,GLADIAC GTX 560 Ti)だと同229mmなので,ちょうど60mm短くなっていることになる。

補助電源コネクタは2つ。拡張スロットに取り付けた状態ではマザーボードに対して垂直方向を向く
画像集#017のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 さらに,補助電源コネクタの向きが変更されている点もポイントになるだろう。GLADIAC GTX 560 Tiでは,PCI Express x16スロットに差したとき,補助電源コネクタがマザーボードと平行になるように取り付けられていたが,GLADIAC GTX 560 Ti miniでは,これが垂直になるように変更されているのだ。この変更は使ってみると意外に大きく,60mmという数値以上に,リファレンスデザイン比でカード長が短くなったことを実感できる。
 なお,GLADIAC GTX 560 Ti miniが搭載する補助電源コネクタは6ピン×2で,これはリファレンスデザインと同じだ。オリジナル基板を採用しても,消費電力の大幅な低減はさすがに難しかったということなのだろう。

GPUクーラーは,背面の4か所で固定されているネジを外せば,取り外せるようになる
画像集#025のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は受けられなくなるが,今回はレビューということで外してみたい。

 というわけで,カード背面の4か所で固定されたGPUクーラーを取り外してみると,8mm径のヒートパイプが2本が,GPUパッケージとの接触面から放熱フィンへと伸びるデザインになっているのを確認できる。リファレンスデザインを採用したGLADIAC GTX 560 Tiだと,ヒートパイプ3本を備えたGPUクーラーを搭載しているので,GLADIAC GTX 560 Ti miniのそれは小型版,あるいは簡略化版と見ることもできそうだ。

画像集#019のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
GPUクーラーを取り外したところ。電源部にはヒートシンクが取り付けられているが,メモリチップには取り付けられていない
画像集#023のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
GPUクーラーを別角度から見た様子。GPUと接触する部分からフィンへと2本のヒートパイプが伸びているのが見て取れる

GLADIAC GTX 560 Ti miniの基板。8枚のGDDR5メモリチップで容量1GBを実現しているため,1枚あたりの容量は128MBだ
画像集#027のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 基板上で目を引くのは,4フェーズの電源部と,GeForce GTX 560 Ti GPU,そして8枚のグラフィックスメモリチップだ。刻印を確認したところ,メモリチップはHynix Semiconductor製のGDDR5「H5GQ1H24BFR-T2C」(5Gbps品)となっていた。

 ちなみにGLADIAC GTX 560 Ti miniの動作クロックは,コア822MHzのシェーダ1645MHz,メモリ4008MHz相当(実クロック1002MHz)。このあたりはGLADIAC GTX 560 Tiとまったく同じだ。

画像集#020のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
入手した個体が搭載するGeForce GTX 560 Ti。パッケージ上の刻印は「GF114-400-A1」だった
画像集#021のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
グラフィックスメモリチップはHynix Semiconductor製のGDDR5となるH5GQ1H24BFR-T2Cだ

GLADIAC GTX 560 Ti miniのGPUクーラーは,80mm角ファンを1基搭載する
画像集#022のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 エルザジャパンによれば,GLADIAC GTX 560 Ti miniに搭載されているGPUクーラーは,GLADIAC GTX 560 Tiに搭載されているものと比べて動作音に違いがあるとのこと。アイドル時で約2dB減少し,高負荷時で約1dB増加しているという。
 そこで,動作音の違いがどの程度なのかを知るべく,ストレスツールの「OCCT」(Version 4.0.0)を用いてGPUに負荷をかけ,後述するテスト環境におけるアイドル時と高負荷時の動作音を計測してみることにした。

 テストは,OCCTからGPUに負荷をかけず放置している状態を「アイドル時」,GPUに負荷を与えている状態を「高負荷時」として,それぞれの状態を60秒間ずつ,合計120秒間計測するという方法で行った。GPUクーラーのファン部分からマザーボードに対して垂直方向へ100mm離れた場所で,マイクを使って録音している。カードの高さも考えてもらえればと思うが,ファンのすぐ近く,というイメージだ。
 今回は,テストシステムをPCに組み込まず,いわゆるバラック状態でテストしており,動作音の違いが相当分かりやすくなっている。PCケースに組み込んだ場合,実際に聞こえる音が緩和される可能性がある点は押さえておいてもらえると幸いだ。

 その結果は,下に音声ファイルとして掲載したので,ぜひ聞き比べてみてほしい。アイドル時の動作音にはそれほど違いがないものの,負荷がかかると,GLADIAC GTX 560 Ti miniの音量が大きくなってくるのが分かる。
 とくに開始から90秒のあたりの音声を聞き比べるとその違いは瞭然だろう。カードサイズがコンパクトになったのは歓迎すべきポイントであるが,GPUクーラーの動作音が大きくなった点は残念だ。

GLADIAC GTX 560 Ti miniの動作音
音声ファイルを再生する

アイドル時(1秒〜60秒)はいたって静か。しかし,高負荷時(61秒〜120秒)になると急激に風切り音が大きくなり,高い音が発生するため耳に付く印象を受ける

GLADIAC GTX 560 Tiの動作音
音声ファイルを再生する

アイドル時(1秒〜60秒)は,GLADIAC GTX 560 Ti miniよりも多少騒音レベルが高いもののこちらも静かである。高負荷時(61秒〜120秒)においても,音量自体はアイドル時より確実に大きくなっているが,音が低いためさほど気にならない



3D性能は従来モデルと変わらず

GPUクーラーの冷却性能もほぼ同じ


 さて,GLADIAC GTX 560 Ti miniとGLADIAC GTX 560 Tiとで基本的な仕様が同じことから,3D性能も同等であることが容易に想像できるだろう。そこで,本当に違いはないのかを確認すべく,下のに示したテスト環境を用意して検証することにした。

画像集#002のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

外部出力インタフェースは,Dual-Link DVI-I×2,Mini HDMI×1となっている
画像集#024のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 テストは,4Gamerのベンチマークレギュレーション11.1のなかから3DMark 11と「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP),そして「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)を実施する。
 これらに加えて,「Core i7-3960X Extreme Edition/3.3GHz」のレビューなどと同じく「バトルフィールド 3」(以下,BF3)のテストも行うことにした。BF3のテスト方法は,米田 聡氏がBF3のGPU検証記事で行ったテストから「THUNDER RUN」シークエンスを採用し,検証記事と同じく「最高設定」でのテストに加えて,アンチエイリアシングと異方性フィルタリングを無効にした「カスタム設定」でのテストも実施している。

 テスト結果はグラフ1〜9のとおり。グラフ1が3DMark 11,グラフ2〜5がSTALKER CoP,グラフ67がCall of Duty 4,グラフ89がBF3のものだ。
 当たり前の話だが,結果を見てみるとGLADIAC GTX 560 Ti miniとGLADIAC GTX 560 Tiは見事なまでに横並び。つまり,オリジナルデザインを採用したとはいえ,3D性能に影響はないということになる。
 なおグラフ内においてのみ,スペースの都合でGLADIAC GTX 560 Ti miniをGTX 560 Ti mini,GLADIAC GTX 560 TiをGTX 560 Tiと記載している点はお断りしておきたい。

画像集#003のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

画像集#004のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

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画像集#007のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

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画像集#010のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

画像集#011のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

 3D性能が同等であるのは判明したが,消費電力が気になるという読者も多いのではなかろうか。というわけで,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測することとした。
 動作音計測時とは異なり,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各ベンチマーク実行中に最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時として,スコアをまとめた結果がグラフ10だ。
 GLADIAC GTX 560 Ti miniの消費電力は,GLADIAC GTX 560 Tiと比べると若干低め。もっとも,2〜5Wと,ほとんど誤差レベルなので,基本的には「両者に違いはない」と見ておくべきだろう。

画像集#012のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか

 最後にそれぞれのGPUクーラーの冷却能力に違いがあるのかを見ておきたい。OSの起動後30分放置した時点をアイドル時と設定したのはグラフ10と同じだが,「高負荷時」は,3DMark 11の30分間連続実行時点を採用しているので,この点は注意してほしいが,両時点におけるGPU温度をTechPowerUp製GPUモニタリングツール「GPU-Z」(Version 0.5.6)で取得したものがグラフ11となる。
 アイドル時だけ見るとGLADIAC GTX 560 Ti miniのほうが温度は若干低めだが,こちらも基本的にはほぼ同じ結果と見ていいだろう。つまり,カード長を60mmも短縮しながら,リファレンスデザインのカードと同じ3D性能,同じ冷却能力を維持し,その分だけ高負荷時に若干動作音が大きくなっているわけである。

画像集#013のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか


サイズを重視したいユーザーには

有力な選択肢と言える


GLADIAC GTX 560 Ti miniの製品ボックス
画像集#015のサムネイル/リファレンスよりカード長が60mm短い「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」レビュー。サイズ以外に違いはあるのか
 以上,各種テストを経てGLADIAC GTX 560 Ti miniを見てきたわけだが,リファレンスモデルと比べて,3D性能にはほとんど違いがないものの,動作音が大きくなっている点を見逃すわけにはいかないだろう。また,特筆すべき変更点がカードサイズ以外にないという点も少々残念である。

 ただそれは,「動作音以外のすべてを維持したまま,長さを短くできた」というのと同義でもある。169mmというカード長のおかげで,小型PCケースなどにも比較的組み込みやすく,使い勝手が格段に向上しているのは間違いない。高めの3D性能と短いカード長にメリットを見出せるユーザーにとっては,待望の1枚と言えるだろう。

GLADIAC GTX 560 Ti mini製品紹介ページ

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