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【PR】MSIの「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」は,高機能かつ高性能なRTX 4080カードを求めるなら選ぶ価値あり!
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前世代から飛躍的進化を果たして,高い性能を備えながら消費電力の低減を実現したNVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4080」(以下,RTX 4080)。そのRTX 4080を採用したクロックアップモデルは,どの程度の性能を発揮するのだろうか。
MSIのRTX搭載カード「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」(以下,MSI 4080 SUPRIM X)を使用し,実際にゲームをプレイしてその性能を確かめてみたい。
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はたして,RTX 4080のクロックアップモデルでは,どれくらい快適にゲームを楽しむことができるのだろうか。
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MSIのMSI 4080 SUPRIM X製品情報ページ
ブーストクロックを2625MHzに引き上げ
4つのシナリオ,2つのVBIOSを搭載
まずは,クロックアップモデルであるMSI 4080 SUPRIM Xの動作クロックを見てみよう。
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「GPU-Z」(Version 2.50.0)を使って確認したところ,工場出荷時状態のベースクロックは2205MHzで,ブーストクロックは2625MHzだった。RTX 4080のリファレンス比で見ると,ベースは5Hz低いが,ブーストは120Hz引き上げた格好だ。なお,メモリクロックは22.4GHz相当で,こちらはリファレンスと変わらない。
なお,後述するテスト環境において,GPUのコアクロック変動をGPU-Zで追ってみたところ,2835MHzまで上昇していることを確認した。RTX 4080 Founders Editionでは,上限が2775MHzだったのと比較すると,MSI 4080 SUPRIM Xはクロックアップに加えて,GPUクーラーの冷却性能が高いことで,動作クロックも上がりやすくなったと言ってよいだろう。
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初期設定はBalancedで,Extreme Performanceに変更すると,ベースクロックが2220MHz,ブーストクロックが2640MHzに上昇して,メモリクロックも22.8GHz相当に引き上げられた。一方,Silentでは,ベースクロックとブーストクロックともに,Balancedから120MHz低下するが,メモリクロックは22.4GHz相当のままとなる。
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なお,Customizeでは,ブーストクロックを2505MHzから1MHzずつ上限なしで増加できるほか,メモリクロックは22.4GHz相当から8MHz刻みでこちらも増やすことが可能だ。
そのほかに,お馴染みのMSI製オーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.5)を用いれば,ブーストクロックを-502~+1000MHzの範囲で1MHz刻みに,メモリクロックも-1004~+4000MHzの範囲で,それぞれ増減可能だ。GPUのコア電圧も現在の相対値という形で1%刻みで+100%,つまり2倍にまで電圧を増やすことができる。
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さらにMSI 4080 SUPRIM Xは,「GAMING」と「SILNET」という2種類のVBIOSを備えている。工場出荷時設定はGAMINGだが,これらのVBIOSを切り替えても,GPU-Zで読み取れる動作クロック設定に違いは見られなかった。おそらくSILENTでは,静音性を高めるためにファンの回転数や電力周りの制御が,GAMINGと異なっているのではないかと思われる。
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大柄なクーラーを備えるMSI 4080 SUPRIM X
それでは,MSI 4080 SUPRIM Xのカード自体を見ていこう。
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カード長は,実測で約334mm(※突起部含まず)。RTX 4080 Founder Editionが同305mmだったので,それより30mm近く長い。カード裏面側には,頑丈な金属製バックプレートが取り付けられており,カードの剛性強化と,裏面からの冷却も担っている。
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マザーボードに装着すると,ブラケットから垂直方向に34mmほど背が高くなる。全体的に,RTX 4080 Founder Editionよりも一回り大きいサイズ感だ。
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重量も実測で約2377gと,RTX 4080 Founder Editionより約200gほど重い。かなり大きなクーラーによる冷却能力に期待したいところだ。なお,冒頭でも触れたが,カードの重量によるマザーボード側拡張スロットの損傷を防ぐため,MSI 4080 SUPRIM Xでは製品ボックスにカードを支えるサポートステーが同梱されている。
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GPUクーラーは,「TRI-FROZR 3S」と呼ばれる3.9スロット占有タイプのオリジナルモデルを採用していた。100mm径相当のファンを3基搭載しているが,いずれのファンも,3枚ずつのブレードと外枠が一体成型されたものを3つ組合わせた「TORX FAN 5.0」となっているのが特徴的だ。
各ブレードは,低速回転でも気流の集中できるという。MSIによると,このブレードによって,従来のファンよりも約23%の風量アップを実現しているとのこと。
なお,「ZERO FROZR」という機能により,GPUコアへの負荷が低い,いわゆるアイドル状態時には,自動的にファンの回転を止めて騒音を減らす機能もある。
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先ほどのMSI Centerを使うと,ZERO FROZRのオン,オフを切り替えられる。また,Afterburnerでは,ブラケット側と中央の2基と,カード後方の1基をそれぞれ個別に,30~100%の間で1%刻みに回転数を固定することも可能だ。ユーザーの用途や好みに応じて,柔軟なファンの制御ができるだろう。
MSIによるとGPUやDRAMを覆うベースには「ベイパーチャンバー」を採用しているという。放熱フィンは,前後に分かれた2ブロック構成で,ベイパーチャンバーと放熱フィンの間を,計10本のヒートパイプが結ぶという構造だ。
ちなみに,電源部のチョークコイルには,一体成型によってチョークノイズを低減した「High-Efficiency Carbonyl Inductors」を使用しており,加えて,パワーステージには「Dr.MOS」を採用している。
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PCIe補助電源コネクタは,「ATX12HPWR」に対応したコンパクトな16ピンタイプを1つ,カードの背の部分に装備する。冒頭の写真でも触れたとおり,一般的な8ピンコネクタを3系統まとめて16ピンにする変換ケーブルも付属しており,このあたりはRTX 4080 Founder Editionと同じだ。
ちなみに,変換ケーブルのコネクタ周囲は固く曲がりにくいので,カード上方の空間には余裕が欲しいところだ。
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映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4×3系統と,HDMI 2.1×1系統という構成である。このあたりは,ごく一般的な仕様と言えよう。
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ゲームで役立つ多機能なMSI Center
MSI Centerにはユーザーシナリオの選択や,ZERO FROZRの切り替え以外にも,多くの機能が用意されている。ここでは,そのうちのいくつかを紹介していこう。
まず,ひとつめは「Gaming Mode」だ。これは,インストールされたゲームごとに,ユーザーシナリオを自動的にExtreme Performanceに切り替えたり,次の「True Color」をゲーマーモードに自動変更したりできる機能だ。ゲームを起動しているときだけクロックアップさせて,ゲーム用の設定を適用させることができるわけだ。
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True Colorでは,出力している画面のRGBのそれぞれについて,ガンマ値や輝度,コントラストの調節が可能だ。あらかじめ用意されているモードは,「EyeRest」「ゲーム」「ムービー」「カスタム」の4種類。ゲームに設定すると,輝度やコントラストが上がるようだ。
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そのほかにもMSI Centerでは,GPUクロックやメモリクロックをリアルタイムで表示する「Hardware Monitoring」や,ゲーム内のハイライトシーンをキャプチャできる「Game Highlights」といった機能も用意されている。
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3つのシナリオでテストを行い,性能の伸びを確認
それでは,MSI 4080 SUPRIM Xのテスト環境に話を移そう。今回の比較対象には,RTX 4080 Founders Editionと上位モデルの「GeForce RTX 4090」(以下,RTX 4090)を用意した。以下,RTX 4080 Founders Editionは「RTX 4080」と表記することを断ったうえで,話を進めよう。
MSI 4080 SUPRIM Xは,先述のとおり,ユーザーシナリオでさらに動作クロックの引き上げが可能だ。そこで,今回のテストでは「Balanced」「Extreme Performance」「Silent」のそれぞれでテストを行った。ただ,このままでは文字数が多すぎてグラフの凡例が読めなくなるので,グラフ内では以下のように略表記することで区別している。
- MSI 4080 SUPRIM XのBalanced:MSI 4080 Bala
- MSI 4080 SUPRIM XのExtreme Performance:MSI 4080 Ext
- MSI 4080 SUPRIM XのSilent:MSI 4080 Sile
使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 526.72 Driver」で,これはRTX 4080のテスト用に,NVIDIAが全世界のレビュワー向けに配布したものだ。掲載時点では「GeForce 526.98 Driver」が最新だが,テスト期間中にはまだリリースされていなかったので,使用できなかったためである。また,OSにWindows 11を使用していることを断りつつ,それ以外のテスト環境は表のとおり。
CPU | Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz, |
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マザーボード | MSI MEG X570 ACE(AMD X570, |
メインメモリ | G.Skill F4-3200C16D-16GIS |
グラフィックスカード | MSI GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X |
GeForce RTX 4080 Founders Edition |
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GeForce RTX 4090 Founders Edition |
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ストレージ | Samsung Electronics SSD 850 |
電源ユニット | Corsair CMPSU |
OS | 64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.819) |
チップセットドライバ | AMD Chipset Drivers 4.09 |
グラフィックスドライバ | GeForce: |
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3DMarkでは,リアルタイムレイトレーシング性能を見るために,「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を,DLSS 3の性能も確認すべく,「NVIDIA DLSS feature test」のテストを実施した。なお,NVIDIA DLSS feature testでは,解像度は3840×2160ドットと2560×1440ドットを選択して,DLSS modeはQualityに設定している。
テスト環境ならびにテスト内容は,RTX 4080のレビュー記事とまったく同じだ。そこで,RTX 4080とRTX 4090については,同記事のテスト結果を流用していることをここで断っておく。
RTX 4080から2~3%性能向上
まずは,3DMarkの結果から順に見ていこう。
グラフ1は,DirectX 11世代の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものとなる。
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MSI 4080 SUPRIM Xは,BalancedでRTX 4080よりも1~2%程度高いスコアを記録した。ただ,Extreme Performanceでは,そこからの伸びがほとんどなくなく,Fire Strike ExtremeではBalancedを下回る結果となってしまった。これは誤差によるところもあるが,DirectX 11世代のテストでは,Extreme Performanceでもそれほど性能は伸びないということなのだろう。なお,Silentのスコアは,RTX 4080とほぼ変わらない。
続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics test」の結果を抜き出したものになる。
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ほぼ総合スコアを踏襲した結果となっており,RTX 4080と比べたときのBalancedにおける伸びは,最大でも2%程度だ。Extreme Performanceのスコアは,Balancedとあまり変わらない。SilentがRTX 4080とスコアが横並びな点も総合スコアと同様である。
同じくFire Strikeから,ソフトウェアベースで「Bullet Physics」を実行する事実上のCPUテスト「Physics test」の結果を抜き出したものが,グラフ3となる。CPUが共通なので,スコアはおおむね3万7000台で横並びとなっている。
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GPUとCPU両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だ。
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ここでも,BalancedとRTX 4080との差は1~2%程度しかなく,Extreme PerformanceもBalancedとの差は1%ほどしかない。またSilentは,RTX 4080に5~9%の差を付けられており,静音性のためにいくらか性能が抑えられる点は覚えておくほうがよさそうだ。
続いて,3DMarkのDirectX 12のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。
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ここでは,BalancedとRTX 4080との差は1%にも達しておらず,クロックアップの効果はあまり表れていない。ただ,Extreme Performanceになると,Balancedから3~4%程度スコアが上昇している点は興味深い。Fire Strikeとは異なる傾向だ。一方でSilentは,RTX 4080とスコアはほぼ同じだが,細かく見ていくと若干だが届いていない。
次のグラフ6は,Time SpyからGPU testの結果を抜き出したものになる。
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まず,GPU testの結果を見ると,Balancedのスコアは,RTX 4080からあまり向上しておらず,総合スコアを踏襲している。Extreme PerformanceもBalancedからの伸びは1%に達しておらず,Fire Strikeと似た傾向を示している。Silentのスコアは,RTX 4080と横並びだ。
Time SpyにおけるCPU testの結果がグラフ7だ。ここではCPUが同じなので,Fire Strikeと同様にスコアもほぼ横並びとなった。
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新しいDirectX 12のテストとなるSpeed Wayの結果がグラフ8となる。
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ここでも,BalancedとRTX 4080の差や,Extreme PerformanceのBalancedからの伸びは,1%に達しておらず,クロックアップの効果はあまり表れていない。また,Silentのスコアは,RTX 4080とほぼ同じだ。
リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果が,グラフ9だ。
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BalancedがRTX 4080に1%ほどの差を付けているものの,Extreme Performanceのスコアは,Balancedからあまり伸びておらず,クロックアップの効果はあまり大きくない。SilentもRTX 4080と横並びだ。
さらに,もうひとつのレイトレーシングテストとなるDirectX Raytracing feature testの結果が,グラフ10となる。
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BalancedがRTX 4080から約2%伸びているものの,その差は実フレームレートで約2fpsと,それほど大きいものではない。Extreme PerformanceもBalancedから0.2fpsしか向上しておらず,クロックアップの効果を体感するのは難しいだろう。なお,SilentはやはりRTX 4080とほぼ変わっていない。
続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ11となる。
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DLSS on時のフレームレートを見ていくと,BalancedはRTX 4080に1~2%程度の差を付け,Extreme Performanceは,Balancedからさらに約1%伸びている。なお,DLSS onとDLSS offの差を計算してみると,RTX 4080が147~188%であるのに対して,BalancedとExtreme Performance,それにSilentがすべて148~188%なので,DLSS 3の効果はクロックアップであまり変わらないと言ってよさそうだ。
では,実際のゲームにおける性能はどうか。グラフ12~14は「Far Cry 6」のテスト結果だ。
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Balancedの平均フレームレートは,RTX 4080から1~2%しか伸びておらず,Extreme PerformanceとBalancedの差は,1%もない。最小フレームレートを見ても,BalancedとRTX 4080との差は2%強しかなく,クロックアップの効果はあまり大きくない。
次に「バイオハザード ヴィレッジ」の結果がグラフ15~17となる。
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やはり平均フレームレートでは,BalancedとRTX 4080の差は1~2%程度しかなく,クロックアップの恩恵はあまり感じられない。ただ,Extreme Performanceになると,Balancedから平均フレームレートを1~2%ほど伸ばしており,RTX 4080からは3%ほど伸びているのが見どころと言えよう。
なお,Silentは,1パーセンタイルフレームレートでRTX 4080から約3%ほど下回っており,静音性のかわりに性能がいくらか低下することは留意しておきたい。
CoD MW2のテスト結果がグラフ18~20だ。
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ここでは,Balancedの平均フレームレートがRTX 4080から最大で約4%高くなっている。一方で,Extreme PerformanceはBalancedから1%も伸びていない。Balancedは低解像度のほうが伸びが大きく,クロックアップモデルの傾向がよく表れている。
一方でSilentは,RTX 4080を約2%ほど下回っており,やはり性能はいくぶん低下するようだ。
続いては,「Fortnite」の結果をグラフ21~23に示す。
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BalancedとRTX 4080の差は,平均フレームレートで2~3%程度,最小フレームレートで2~4%程度と,クロックアップの効果がはっきり確認できる。ただ,Extreme Performanceは,Balancedと平均フレームレート,最小フレームレートのどちらもあまり差がなく,その効果を体感するのは難しいだろう。
またSilentは,RTX 4080と比べて平均フレームレートで約1%,最小フレームレートで1~2%程度下回った。
「Borderlands 3」の結果がグラフ24~26となる。
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BalancedとRTX 4080との差は,平均フレームレート,1パーセンタイルフレームレートともに最大で約3%あり,クロックアップでしっかりと性能が向上している。だが,やはりExtreme Performanceは,Balancedから伸びていない。
Silentは,RTX 4080に平均フレームレート,1パーセンタイルフレームレートのどちらも1~2%の差を付けられた。
続くグラフ27は,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
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Balancedのスコアは,RTX 4080からほとんど向上しておらず,クロックアップの効果はあまり見られない。Extreme PerformanceもBalancedとほとんど差がない。これは,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチがCPU性能の影響を大きく受けるため,性能が頭打ちになっているためではなかろうか。
またSilentは,RTX 4080とほぼ横並びだが,3840×2160ドットで約1%ほど下回る結果となっている。
グラフ28~30は,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものになる。
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平均フレームレートは,総合スコアを踏襲したものとなっており,BalancedとRTX 4080の差は1%にも満たない。Extreme Performanceも,Balancedのスコアとほとんど変化なしだ。一方,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃く表れるため,きれいに横並びとなった。
ゲームテストの最後となる「Project CARS 3」の結果が,グラフ31~33だ。
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Balancedの平均フレームレートは,RTX 4080から2~3%程度伸びているものの,Extreme Performanceは,Balancedとかわらない。
一方でSilentは,平均フレームレートでRTX 4080に1~2%程度届いておらず,最小フレームレートも3~5%程度下回った。Silentにおける性能低下が案外大きいタイトルだ。
GPUクーラーの冷却性能は優秀
さて,RTX 4080のTGPは320Wだが,実際の消費電力は300Wを下回っていた。その省電力性能は,MSI 4080 SUPRIM Xでも健在なのだろうか。
そこで,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。今回も3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向が出たGraphics test 2実行中の結果を示している。なお,RTX 4090は,PCIe補助電源コネクタが8ピン×4系統必要なので,PCATでは測定できないため割愛している。
GPU消費電力の測定結果の推移をグラフ34に示そう。
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RTX 4080が300W付近で推移しているのに対して,MSI 4080 SUPRIM Xは,どのシナリオでも310W付近と,若干だがRTX 4080よりは消費電力が高いようだ。
このグラフから,中央値を求め,最高値とともにまとめたものがグラフ35となる。
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RTX 4080の中央値値が約297Wであるのに対して,MSI 4080 SUPRIM Xは,Balancedでも約314Wで,消費電力が20W弱上昇している。ただ,Extreme Performanceは,Balancedから2W弱しか増えておらず,SilentもBalancedと約3Wしか変わっていない。
つまり,MSI 4080 SUPRIM Xにおけるシナリオの変更は,消費電力が大きくは変化しない範囲で行われると言えよう。
念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力も計測してみた。
ここでのテストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点をアイドル時としている。その結果がグラフ36だ。
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BalancedとRTX 4080との差は2~16W程度で,PCATのテストと似た結果となった。Extreme PerformanceがBalancedと1~5W程度しか差がないことも,PCATの結果を踏襲している。ただ,Silentは,Balancedから約27Wも下がる場面があった。これは,本テストがピーク消費電力を結果として採用しているため,差が開く傾向が出やすいためだろう。
最後にGPUの温度もチェックしておきたい。ここでは,温度を約24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。その結果がグラフ37だ。
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MSI 4080 SUPRIM Xは,高負荷時ではどのシナリオでも70℃弱と,比較的低めだ。MSI 4080 SUPRIM XのGPUクーラーであるTRI-FROZR 3Sは,十分高い冷却性能を有していると言えよう。なお,MSI 4080 SUPRIM Xは,アイドル時の温度が50℃弱と高めだが,これはファンの回転が停止するためだ。
最後に筆者の主観であることを断りつつ,MSI 4080 SUPRIM Xの動作音について触れると,高負荷時には動作音が大きくなるものの十分静かな印象を受けた。ケースに入れてしまえば聞こえてこないレベルで,RTX 4080 Founders Editionといい勝負のように感じられた。
高品質で機能面が充実した魅力的なRTX 4080搭載カードだ
以上のテスト結果から分かるとおり,MSI 4080 SUPRIM Xの性能は優秀だ。クロックアップの効果は,フレームレートにして2%前後で,それを大きいと捉えるかどうかは意見の分かれるところだろう。ただ,リファレンス仕様よりも高性能なことは間違いなく,少しでも高いフレームレートを欲するのであれば,このMSI 4080 SUPRIM Xは有力な選択肢になるだろう。
消費電力も310W強と,リファレンスからあまり増えていない点も注目したい。MSIはMSI 4080 SUPRIM Xの推奨電源ユニットは,最小750W以上,推奨は850Wとしており,電源ユニットに対するハードルが低い点も見逃せない。
MSI 4080 SUPRIM Xの価格は,実勢価格で27万円弱と,RTX 4080搭載モデルの中でも高めではあるが,高い冷却性能と静音性を備えたGPUクーラーのできを考慮すると,十分魅力的だ。たやすく購入できる価格の製品ではないが,高品質で機能面での充実したRTX 4080搭載カードを探しているのであれば,MSI 4080 SUPRIM Xは選択する価値ありだ。
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