プレイレポート
12月20日の稼動開始が迫る「METAL GEAR ARCADE」,KONAMI本社に潜入を果たした西川善司が贈る,飛び出すスネーク体験記
本作は立体視に対応した3D対戦ガンアクションゲームで,しかもヘッドトラッキングシステムを採用,さらに5.1chのサラウンドサウンドを搭載するという,アーケード用としても,かなり豪華仕様のタイトルだ。
先に個人的な話をしておくと,筆者はメタルギアシリーズは「メタルギアソリッド」からのファンで,MSX版からプレイしているような古参ファンからみれば新参だが,一応メタルギアソリッドの1〜4まではすべてクリアしている。とくに初代のメタルギアソリッドに至っては,日本では未発売のWindows版までクリアしたほどのお気に入り。といったあたりのプレイヤーだ。
本作「METAL GEAR ARCADE」については,かなりの豪華仕様ということもあって,2年前の発表時から気になる存在ではあった。しかし発表以来さっぱり音沙汰がなく,ちょっと忘れかけていたというのが正直なところ。そんな本作がいよいよ稼働を開始するというのだから,これはぜひとも取材せねばなるまい。いても立ってもいられなくなった筆者は,さっそく赤坂のKONAMI本社に押しかけて,本作を先行プレイさせてもらった。今回はその模様をお伝えしていこう。
「METAL GEAR ARCADE」公式サイト
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テストを重ねて改良された「ガンコントローラー」
本作の概要については,今年(2010年)の夏に行われたロケテストを取材した「こちら」の記事にも詳しいが,念のためおさらいしておこう。本作は,すでに発売済みのマルチプレイTPS「METAL GEAR ONLINE」をベースに,アーケード向けのチューニングが施された3D対戦ガンアクションゲームだ。ただし,それはモデリングデータやマップに共通している部分があるというくらいで,プレイフィールは大きく異なっている。
その最大の理由は,先にも触れた,ガンコントローラーとヘッドトラッキングシステムを使用した操作インタフェース,そして3Dメガネを使用した立体視ディスプレイを採用していることだ。現在のコンシューマタイトルではなかなか実現しにくいこのシステムが,本作を,ベースとなった「METAL GEAR ONLINE」とは別の,アーケードならではのゲーム体験ができるタイトルに押し上げている。
まずそのキモとなる,ガンコントローラーから見ていこう。本作の操作が集約されたガンコントローラーに用意されたスイッチは,全部で8つ。そのすべての操作を把握するのはちょっと大変だが,見た目ほど複雑ではないし,初心者がプレイできるミッションではすべてを使わなくてもクリアできる。チュートリアルや初期のミッションで学びつつ,徐々に慣れていけばいい。一応それぞれのスイッチの役割を以下に解説しておくので,予習がてら一読しておこう。
本作のガンコントローラー。左右対称にできており,右利きでも左利きでも同様に扱うことが可能だ。AOUショーで披露された初期モデルでは,これがかなり重かったそうだが,リリースバージョンは軽量化されており,ほとんど苦にならない
(1) トリガー
右手(左利きの場合,左手。以下記事中では右利きを前提に記述)の人差し指に位置するトリガーは,いうまでもなく銃撃に使用する。一般的なガンシューティングと同じく,照準は銃口を向けた先に表示されるので,狙いを付けるときはそれを参考にすればいい。
(2) リロードレバー
パチンコの羽根のような赤色は,リロード用のスイッチだ。引き金に指をかけたままリロード可能なので,(実物の銃に比べれば)操作自体は楽に行うことができる。
(3) アイテムボタン
トリガーの上にある四角いボタンは,アイテムの使用に使う。アイテムボタンを押すとキャラクターが一定時間,透明になるステルスが使用出来る。アイテムボタンを押すたびにON/OFFが切り替わるので,上手く活用しよう。(※ミッションではアイテムは使用できない。)
(4) 武器変更ボタン
トリガー下の赤いボタンは,武器変更ボタン。持てる武器は最大で3種類で,押すたびに手持ち武器が切り替わるトグル形式になっている。ちなみに手榴弾装備時にトリガーを引くと,「手榴弾を投げる」動作になる。手榴弾についても照準,というか,投げた際の軌道を示すインタフェースが画面に表示されるので,なかなか使いやすい。
銃を構えて操作するせいか,手榴弾というより,弾速の遅いグレネードランチャーという操作感。飛距離は銃の上下+視点の上下で調整できるが,あまり遠投はできないようだ
(5) プレイヤー移動スティック
武器変更ボタンに相対する位置にあるのが,このプレイヤー移動スティック。アナログスティックになっていて,360度方向にキャラクターを動かすことができる。位置的にトリガーとは逆の手で操作することになる。ちょうど家庭用コントローラの左スティックを操作する感覚だ。
(6) 姿勢変更ボタン
アナログスティックの裏側の灰色のボタンは,キャラクターの姿勢を変更するボタン。ボタンを押している間は,キャラクターが腰を落とした姿勢になり,射撃精度が向上するほか,移動スティックを入れながら素早く2連打することでローリングアクションも可能。
ローリングアクションは,敵の攻撃を回避するほかに,柵などの背の低い障害物を飛び越えるのにも利用できる。
(7) 視点固定ボタン
ボタンを押している間,後述するヘッドコントローラーによる視点移動を,一時的に無効にする視点固定ボタン。実はこれがなかなか重要で,使えばヘッドコントローラーでフラフラしがちな視界をピタっと止められる。きちんと使いこなせば,遠くの敵を狙う際などの命中率が,格段に変わってくるだろう。
敵を狙うときは,しゃがみ+視点固定が一番精度が高い。射撃時は,常に両キーを押すようにしてもいいくらいだ
(8) オプションボタン
写真ではちょっと見えにくいが,ガンコントローラーの上部にある赤いボタンがオプションボタンだ。プレイ中に押すことで,ボイスチャット設定や,ヘッドコントローラーの感度を調整するメニューが呼び出せる。とくに後者はプレイアビリティに大きく関わってくるので,操作に違和感を感じたら,このボタンで調整してみよう。
前面にあるテンキーパッドは,e-AMUSEMENT PASSの暗証番号入力に利用するほか,ほかのプレイヤーにプリセット無線(“了解だ”等の定型メッセージを送るためのキー)として利用できる。右側のスタートボタンは,プレイ中は3Dレベルの調整や,2D/3D切換に使用
このほか取材時には使用できなかったものの,本稼働時にはボイスチャット用のインタフェースも用意されるとのこと。筺体の後部ユニットから伸びているマイクを使って,同店舗内のプレイヤーと音声による意思疎通が可能だ
「ヘッドコントローラー」〜立体視を実現する3Dメガネとヘッドトラッキングシステム
お次は本作のもう一つの操作系である,ヘッドコントローラーに注目していこう。ヘッドコントローラーに搭載された機能は大きく分けて二つ。立体視映像を見るための3Dメガネと,ゲーム中の視界移動を司るヘッドトラッキングシステムだ。
本作の立体視方式は,液晶シャッターを内包しない偏光眼鏡方式(パッシブグラス方式)を採用しており,その視界は比較的明るい。
ウンチクとして解説しておくと,本作の偏光タイプは円偏光であるため,首を傾けてもクロストークが発生しにくくなっているのが特徴だ。ただ,偶数ラインと奇数ラインとで偏光方向を変えてある実装のため,解像度は液晶パネル解像度の半分になっている。
ヘッドトラッキングシステムのほうは,ゲーム内での視線移動に用いられる。プレイヤーが掛けているヘッドコントローラーの向きをリアルタイムに検知することで,首の動きに連動して画面が遷移する形だ。ちょうどFPSをマウスで遊んでいるときの操作を,首振りで行える……といったほうがイメージしやすいかもしれない。
ただFPSの場合は,それが照準の移動も意味していたが,本作の場合は照準はガンコントローラー側で受け持つため,「視線」と「照準」を別に動かすことができるわけだ。普段はあまり感じないかもしれないが,「視線」と「照準」が一緒というのは,常に照準を覗きながら歩いているようなもので,現実と照らし合わせると,ちょっと違和感がある。本作ではヘッドコントローラーというデバイスを用いることで,この不自然さを克服している。
なお,この首振り動作が難しい,あるいは動作自体を好まないという人のために,従来どおりの「視線」=「照準」の操作系も用意されている。首振り動作による視線移動を無効にして,視線と照準の両方をガンコントローラーで操作するというものだ。
基本的に好みの操作系を選んで構わないが,ヘッドコントローラーを使わない操作は初心者向けに位置づけられていて,後々のことを考えるなら,「視線」≠「照準」な操作系に慣れておいたほうがいいかもしれない。
充実のミッションモードをじっくり体験。気になるプレイフィールは?
まずミッションは,ソロプレイ用と協力プレイ用に分かれていて,それぞれ難度が設定されている。銃弾マークが1個のものは初心者向けで,3個以上になるとかなり手応えのあるミッションという具合だ。
MGAの筐体は,基本的に4台1セットで導入されるとのことで,これらのミッションは,1〜4人までの協力プレイに対応している。ちなみに,4人プレイ用のミッションを一人でプレイすることも可能だが,ソロだからといって難度は調整されない。クリアはかなり難しいので,友達を誘ってプレイするのがいいだろう。
ミッションの種類はなかなか多彩で,「ステルス(光学迷彩)を纏った見えない敵をやっつけろ」というもの(銃だけは見えたままなので,光景としてはちょっとシュールだ)や,「グレネードのみ」「ロケットランチャー(RPG)のみ」といった,使用装備が限定されたミッションも用意されている。
さらに階級が上がると,スネーク自身を操作してプレイできる,潜入ミッションもある。スネークを操作するミッションは,今のところソロプレイ専用のミッションになっていて,お馴染みのCQC(近接格闘術)も使用可能。操作は,背後から敵に近づいて銃撃用のトリガーを押し続けるだけという簡単なものだ。スネークの華麗なCQCアクションを,一人称で(ときに三人称視点でのカットインも)楽しめるのは,ファンにとってはたまらないミッションだろう。
なお全国対戦モードは,他店舗とマッチングを行い,オンラインでの対人戦が楽しめるモードとのこと。今回はあまり触れられなかったが,1チーム4人構成で,欠員が出た場合はCPU操作のキャラクター(いわゆるBOT)が穴を埋めてくれる形のようだ。協力プレイの場合は単独でもプレイできるが,こちらは必ず4 vs. 4の対戦になる。ミッションももちろん楽しいが,稼働後はこちらがメインになると思われるので,期待しておこう。
さて,いざプレイを始めてみると,筆者の場合はあっさりと,ヘッドコントローラーによる視線操作に慣れてしまった。銃撃のための照準合わせの操作感も良好で,かなり直観的に行える。なにより照準そのものにも立体感があるので,狙いも付けやすい気がする。
ヘッドコントローラーの感度設定は,ガンコントローラーのオプションボタンからいつでも呼び出すことができ,マウス操作のFPSでいうところの,ローセンシやハイセンシな設定にすることも可能だ。個人的にはハイセンシ気味に設定しつつ,視点固定ボタンを使って,適宜視界を固定しながら撃つのがベストと感じられた。
そのほかプレイしていて「ゲームの鍵となっているなぁ」と感じたのはリロード操作だ。本作の場合はこれがリアルに長くて,撃ち合ってる最中にリロードが発動すると絶体絶命になる。なのでリロードはこまめに行っておいたほうがいいだろう。
なお本作にはジャンプとダッシュがないため,移動には慎重さが求められる。しゃがみやローリングアクションを活用して,物陰から物陰へと進んだほうがよさそうだ。とくに高難度ミッションになってくると,相手も容赦なくヘッドショットを狙ってくる。油断は禁物だ。
さらにプレイフィールからはちょっと外れるが,見逃せないのがサウンド面だ。最初は派手な立体視映像ばかりが注目されがちな本作だが,プレイしていれば,やがてゴージャスなサウンドにも目が(耳が?)行くはずだ。
冒頭でも触れたとおり,本作はリアル5.1chのサラウンドサウンドシステムに対応しており,左右にメインスピーカー,中央にキャラクターボイス用のセンタースピーカー,そしてプレイヤーの背後左右にもリアスピーカーが用意されている。
そして座席だと思って座っていた部分の台座には,重低音再生用のサブウーファユニットが実装されている。本作の筐体は,6スピーカーで構成された,超贅沢なシステムなのだ。
おかげで爆発音の重低音は大迫力。意図したものかは不明だが,おしりの下から響いてくるので,ボディソニック効果まである。自分がやられたときにも手痛い効果音が鳴るので,筆者は不意打ちされたときに「ひゃあ」とか「いやーん」とかナヨナヨした悲鳴を上げてしまった。
情けないと笑っている読者のみなさんも,きっと初プレイ時は同じ目に遭うので覚悟しておくがいい。
3つあるフロントスピーカーは左右がメインステレオ2ch。中央がセンタースピーカーになる |
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リア側のステレオ2CH |
重低音再生用のサブウーファユニット。これが0.1ch扱いで,計5.1chという計算だ |
12月20日,いよいよ稼働開始。稼動店は公式サイトでチェック!
また前述のアイテムの購入には,ゲームプレイで手に入るチケット(ゴールド/シルバー/ブロンズの3種類)が必要なほか,このMGも必要となる。アイテムによって必要なMGは変わってくるので,必要に応じてチャージするのがいいだろう。
なお一度購入したMGは,一度ゲームを終了してしまうと,次回のプレイに引き継ぐことはできない。ゲーム終了時にMGが残っている場合は,ちょっとMGを継ぎ足してもう1プレイするか,もしくは端数を諦めてしまうか選択を迫られることになる。ちなみに端数を諦めた場合にも,それが完全に無駄になってしまうかというと,そうではない。残ったMGを消費して“くじ引き”が行われ,ゴールド/シルバー/ブロンズのいずれかのチケットが獲得できる仕組みになっている。ただしハズレもあるので,そのときはご愁傷様だ。
当選確率は,抽選に使用される残MGが多いほど高いらしいが,くじ引きに使うのがもったいないと感じる場合は,アイテム購入やカスタマイズなどで消費してしまうのもいいだろう。
12月20日よりいよいよ本格稼働を開始する本作。豪華な筐体のため,少なくとも初期の稼働店舗は大型店に限られるよう。稼動店舗のリストは,公式サイトに掲載されるので,プレイしてみたい人は,まずは公式サイトで最寄りの店舗をチェックしてみよう。
「METAL GEAR ARCADE」公式サイト
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