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[TGS 2010]開発秘話の披露や開発者同士の対戦などが行われた,「アルカナハート3」ブースイベントレポート
9月18日,アークシステムワークスは,TGS 2010会場内の同社ブースにて,2011年1月13日発売予定の2D格闘ゲーム「アルカナハート3」(PlayStation 3/Xbox 360)のイベントを開催した。この日は「開発者トークイベント」と「対戦会イベント」の二つが行われ,いずれにも「アルカナハート」シリーズの熱心なファンが集まった。
正午から開催された開発者トークイベントには,アルカナハート3の原作/脚本を担当したさくらい とおる氏と,本作をアーケード版から移植するにあたってディレクターを務めた,アークシステムワークスの井口屋タクミ氏の二人が登場し,開発にまつわるエピソードを披露した。
さくらい とおる氏 |
井口屋タクミ氏 |
さくらい氏は,シリーズ1作目から原作を担当しているのだが,登場人物のキャラクターを設定するにあたっては,「見た目で,どんなキャラか分かるように」しているという。その方針に基づいて,1作目では11人のキャラを作り上げ,「アルカナハート2」では世界観を広げるために,海外各国から集まった7人のキャラを追加したという。
さくらい氏は,2で追加した各キャラの設定を決める過程で,「日本人キャラはいなくていいのか?」という開発スタッフからの指摘を受け,「キャサリン京橋」を急遽関西弁をしゃべる日系三世のアメリカ人にしたそうだ。
なお,変更前の名前は「キャサリン・フランクリン」で,ロボットに乗って戦う予定だったらしい。あとから追加された犬若あかね/なずなが和風キャラなのも,同様の理由とのこと。なんというか,柔軟である。
「アルカナハート 3」公式サイト
そこで考え出した解決策が「学園モノなんだから,学校を増やせばいい」という単純明快なもの。かくしてでき上がったのが「西欧聖霊庁ローゼンベルク支部」というわけだ。
今回の追加キャラは出身地不明ということにしたが,今後,さらにシリーズが作を重ねるようであれば「宇宙から来たキャラになるかもしれない」と,さくらい氏は述べた。
続くトークでは,アルカナハート3は,カットシーンがHDクオリティで表示されるなど,演出が全般に派手になっていることに言及。またワイド画面にも対応しているが,アーケード版の4:3も選択できるようになっており,その場合は画面両端に「リンクアニメーション」を表示できる。
これはキャラクターの状態を表情やポーズで示すもので,攻撃を仕掛けるときに勇ましい顔になったり,逆にダメージを受けると苦痛に顔が歪んだりする。特定の条件を満たしたときにしか表示されないアニメーションもあり,さらに負けたときには,かなりセクシーな絵が見られるそうだが,残念ながらTGSのプレイアブルバージョンでは「KEEP OUT」のテープで隠されている。ぜひ見たいという人もいるだろうが,製品版を待とう。
さくらい氏はシリーズに,ほかのタイトルにはない要素を盛り込むことを心がけているとのこと。例えば1作目のときには“最もテキスト量の多い格闘ゲーム”を達成しており,2,3と作を重ねた今もその記録を更新し続けている。
また対戦時の待機画面で再生されるボイス数にもこだわっており,1作目では全50種類を用意し,2ではさらに同キャラ対戦時に掛け合いになるセリフを追加した。さらに3では工夫を凝らし,全105種類を用意しているという。すごい努力だといえそうだ。
ボイスの話に関連して,トークはストーリーモードをフルボイス化したという話題に。さくらい氏は「まるでアドベンチャーゲーム」と表現し,その収録には1か月近くの期間が必要になることを明かした。
それほど長期間に及ぶため,レコーディングスタジオのスタッフは「アルカナハートの収録をすると,夏だと感じる」という感想を述べるとのこと。毎回,7〜8月に収録が行われてきたらしい。
声優陣は,作を重ねるごとに少しずつ変化したり成長したりするキャラの心情を,脚本からきちんと読み取ってくれると語る。さくらい氏は「愛情を持って演じてくれているのが分かる」と,嬉しそうに述べた。
さらに,さくらい氏は,ストーリーモードの隠れたポイントとして,主人公のヴァイスが西欧聖霊庁ローゼンベルク支部の面々の物真似をするシーンを挙げた。このシーンでは,普段見ることのできないヴァイスのレアな表情が登場するとのことで,彼女のファンは必見だろう。
ネットワークモードは,アークシステムワークスが手がけた「BLAZBLUE」のシステムをベースにしており,最大6人が参加し,その中から二人が対戦を楽しめ,残る4人がそれを観戦できる。さくらい氏はこのシステムについて,「ネット対戦とは思えない感動的なレスポンスのよさ」と感想を述べた。
トークイベントの最後では,井口屋氏が「キャラクターの再現にこだわり,単なる移植以上のものにした」と述べた。
14:00から開催された対戦会イベントでは,アークシステムワークスの井口屋氏および杉田氏と,アーケード版を開発したエクサムの関口氏と石井氏が登場。
アークシステムワークス対エクサムの対戦を繰り広げたほか,アーケード版の大会優勝者など現役プレイヤー達によるエキシビションマッチなどが行われ,観客は大いに盛り上がった。
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