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岩田社長が助っ人参戦し,3DS本体機能の詳細も聞けた! 「nintendogs+cats」プロデューサー・紺野秀樹氏プレゼンテーションをレポート
ステージには本作プロデューサーの任天堂・紺野秀樹氏が登壇。挨拶に続いて,「私,今回このプレゼンテーションが不安なので,助っ人をお呼びしました」と紹介したのが,なんと任天堂の岩田 聡社長。思わぬゲストの登場に,来場者から大きな歓声と拍手があがった。このステージは岩田社長が聞き手となって,紺野氏が手掛ける「nintendogs+cats」と,それに関係するニンテンドー3DS本体の機能などについてトークが展開された。
子犬や子猫に個性が出るように表現も進化した
そのほかにも,子犬や子猫ごとの体格や足の長さ,色や模様などのプロポーションについても,個性が出るようなバリエーションを入れているとのこと。「いわゆる“うちの子”自慢ができるようにしました」と紺野氏は付け加えている。
今回ニンテンドー3DSが発売されるにあたって,同時発売ソフトにこの「nintendogs+cats」を選んだ理由を紺野氏に問うと,「今回は多くのソフトメーカーの方々に早いタイミングで3DSのさまざまなジャンルのソフトを作っていただいているので,私たちも幅広いお客様に楽しんでもらえるようなタイトルとして本作を選びました。また,3Dで映し出された広さや奥行きがある空間に,子犬や子猫がいるのは臨場感があって,本当に可愛いですよ」と語る。「任天堂の社内でも“反則的に可愛いよね”という声も多くて,実際にそこに生き物がいるように見える点では,3DSとすごく相性がいいんですよね」と岩田社長。紺野氏いわく「子犬や子猫をなでるときも,前作のように平面ではなく奥行きに対してなでなでできます」とのこと。その感覚は,会場の試遊台でも実際に体験ができた。
すれちがい通信を本体機能にする案を紺野氏が提出
前作の「nintendogs」は,ニンテンドーDSの“すれちがい通信”の仕組みを初めて提案したソフトだったが,一昨年発売の「ドラゴンクエストIX」ですれちがい通信が非常にうまく使われていたことで社会現象になったことに対し,先に提案した紺野氏としては,悔しい思いをしたのではないか,と問う岩田社長。「確かにそれはありましたね。そこで今回私がニンテンドー3DSの開発に携わってからは,かなり早い段階ですれちがい通信の機能を本体に標準装備する案を出しましたね。ソフトごとではなく,本体に標準装備することで,そのソフトのデータを本体にセーブしておくだけで,ソフトを起動しなくても勝手にすれちがい通信ができるようになるんです。もちろんすれ違ったデータは,次にソフトを起動したとき,すぐに反映されるようになっています」と紺野氏は解説する。
すれちがい通信が実際に行われると3DSに内蔵された“おしらせ機能”が働き,本体に履歴が残るのと同時に本体を閉じたときに右上に見える“おしらせランプ”が緑色に光るという。「この前,社内で実際に紺野さんと会議のときにすれ違ったら,お互いの3DS光りましたよね。自分たちで作っているものですが,これ光ると嬉しいんですよ(笑)」という岩田社長に対し紺野氏は「会議のときは必ず3DSをポケットに入れて,すれちがい通信をしたことで社長がきていることを知ったりします(笑)」と,現在の社内の様子を話してくれた。
対応ソフトがなくてもすれちがい通信は可能。そして「すれちがい伝説」とは!?
このすれちがいMii広場では,実はちょっとしたゲームもできるようになっているのだとか。紺野氏は「ここで話していいのかわからないけど,『すれちがい伝説』というゲームが入っています。これは集まったMiiを使って冒険をするという内容で,これが意外に面白いんですよ。詳しい内容はまだ言えませんですが,ぜひお試しいただきたいですね」と,新たな要素をここで明らかにした。対応ソフトがなくてもすれちがい通信をするモチベーションはこれで上がるはずだ。
前作にはなかった2つの要素が追加された
次なる岩田社長の問いは,「nintendogs+cats」は見た目以外に何が変わったのかという点。紺野氏は「前作でできたマイクやタッチスクリーンを使ったコミュニケーション以外に,今回は3DSのカメラを使う仕掛けを用意しました。ゲームの中の子犬は,遊んでいる人の顔をずっと見て覚えてくれるんです。そうなると呼ばなくても顔をカメラに見せるだけで子犬が近づいてくるようになります」と一つめの要素を解説。岩田社長は「それは反則ですね」と笑って返した。そんな子犬たちにも性格があって,誰にでも愛想がいい犬と,飼い主だけに忠実な犬もいるらしい。
もう一つの要素として「“うちの子”のこんなシーンを見せるために,いつでも写真が撮れるらしいですね」と話す岩田社長。自身のペットの写真を撮るように,ゲームの中で飼っている子犬の写真を撮れるのだ。「もちろん写真は立体視のまま3D撮影ができます。撮った写真はSDカードに保存できて,すれちがい通信で交換することもできます。それってきっと嬉しいですよね」という紺野氏に対して,「それを皆さんがどんなふうに楽しんでいただけるかワクワクする」と岩田社長。
猫が出るきっかけは,やっぱり“あの人”の助言
紺野氏は続けて「猫を題材にした“nintencats”や,欧州向けに馬の“nintenhorse”やイルカの“nintenendolphin”なんかがあってもいいんじゃないかと,いろいろ議論はありましたね(笑)。そんな中で宮本さんは,犬と猫が一緒に暮らすと面白い発見があるんだよ,と提案したんです」と話す。岩田社長いわく「身の回りであった面白いことを言葉で説明できるようになったら,それを人に話して“へーっ”って言われるのが趣味」という宮本氏の話をきっかけに,このnintendogs+catsという企画が固まったのだという。
「実際に企画がスタートした際に,まずは猫のモデルだけを作って,モーションは犬のものを一部流用しようと実験して動かしてみたら,その動きはどう見ても犬にしか見えなませんでした」と笑いながら開発時の裏話を語ってくれた岩田社長。「犬と共通のモーションが使えるのでは? という考えは甘かったですね。その動きを宮本さんに見せても“この動きは違う”と返ってくるので,そうすると僕の仕事は増えるんですが(笑),直すたびに動きはよくなっていきました。その甲斐あって,仕草はかなり可愛いものになっていると思います」と,開発時の苦労を紺野氏は語った。
3DSの機能を,本体を買った人全員に体験してもらうために
ARゲームズや「顔シューティング」など,3DSならではの機能を使ったゲームを内蔵したことについては,「3DSには立体視はもちろん,モーションセンサーやジャイロセンサーなどの新しい機能が組み込まれています。それを,3DSを購入していただいたお客様にすぐに体験していただきたかったというのが理由です。作業は非常に大変でしたが,それは開発中の大きな目標でしたね」という紺野氏に続けて,岩田社長は「ハードを買われた方の周りにいる“3DSにちょっと興味のある”人たちにも,もれなく体験してもらいたいんですね。もともとARゲームズや顔シューティングは,必ずしも内蔵させることを前提に紺野さんは作っていたわけではなかったんです」と解説。
紺野氏が本体の開発中にこれらのゲームを「入れちゃいたい」と進言し,岩田社長は困惑しつつも「機能を全員に体験してもらえるのは価値がある」と判断し,OKが出たのだという。携帯ゲーム機の画面では他人に伝わりにくい面白さを,ARゲームズや顔シューティングを遊んでいる斬新な姿自体を見せることで,それを共有できるのである。
プレゼンテーションの最後に紺野氏は「もうすぐ発売されるニンテンドー3DSですが,立体視はもちろん,すれちがい通信やいつの間に通信など,新しい機能やイノベーションを体験できますので,皆さんもう少しお待ちください」と挨拶。続けて岩田社長は「この体験会では,任天堂にとって初めての試みをたくさんやりましたが,皆さんの応援をいただき,また商品の価値が伝わったことも実感し,手応えを感じています。この3DSが切り開く可能性を,皆さんに感じていただけたのではないかと思います。発売までひと月半ほどですが,このニンテンドー3DSをよろしくお願いいたします」とステージを締めくくった。
「nintendogs+cats」は本体と2月26日に,4,800円で同時発売となる。本体と同時に購入する人もかなり多いことが予想されるので,すれちがい通信も活発に行われることが期待できる。ペットを飼っている人もいない人も,犬猫が好きなら大いに楽しめそうな1本だ。
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※ニンテンドー3DSの3D映像は本体でしかご覧いただけません。画面写真は2D表示のものです。
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