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「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた
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印刷2022/08/05 14:00

インタビュー

「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた

 2010年8月9日にサービスが始まり,今年で12周年を迎えるスクウェア・エニックスのブラウザゲーム「戦国IXA」。2010年に開幕した第1章「叢雲,集結す!」から半年に一度のペースで新章の刷新が行われ,地道に歴史を積み重ねてきた本作で,8月5日に24章となる「異説覇伝〜日輪の威光と轍〜」が開幕する。

画像集#011のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた

 今回4Gamerでは,「戦国IXA」のプロデューサー並びにディレクターを兼任するスクウェア・エニックス佐藤諒平氏に,12周年を迎える本作の現状とこれからについて聞いた。

画像集#013のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた

「戦国IXA」公式サイト
24章“異説覇伝〜日輪の威光と轍〜”特設サイト


――2022年7月12日収録


プレイヤーとのコミュニケーションを意識した佐藤氏の運営方針


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。実は,ブラウザ版のインタビュー自体が4年ぶりとなるので,いろいろと体制も変わっていると思うのですが,とくに佐藤プロデューサーは4Gamerでのインタビューが初めてとなりますので,まずは簡単に自己紹介からお願いします。

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 スクウェア・エニックスがサービス中の「戦国IXA」は,今年の夏で8周年を迎える長寿タイトルだが,2018年はさらなる盛り上がりを目指して新たな展開を予定しているという。プロデューサーを務める安次嶺佑太氏と,ディレクターの木滝航介氏にその詳細を聞いた。

[2018/04/07 00:00]

画像集#003のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた
佐藤諒平氏(以下,佐藤氏):
 「戦国IXA」プロデューサーの佐藤諒平です。公式放送のコメントでよく「佐藤Pは何歳?」と聞かれるのですが,今年で31才です(笑)。経歴としては,プログラマーをしていたときに,以前のプロデューサーだった髙橋さん(スクウェア・エニックス髙橋祐介氏)の誘いで2016年の6月に入社し,プログラマーからプランナーに転向しました。それから「戦国IXA」に関わっていることになります。時期としては,6周年記念のオフラインイベント「同盟の陣」の直前ですね(関連記事)。

4Gamer:
 「戦国IXA」ではディレクターも兼任しているとのことですが,プランナーからステップアップしていったのでしょうか。

佐藤氏:
 はい。プロデューサーを任されたのが2021年の4月ですが,その半年前からディレクター業を引き継ぎました。とはいえ,プロデューサーになるまでと内部的な作業はそんなに変わっていなくて,プロデューサーになった今は「戦国IXA」をどうやって盛り上げていくのか,改めて模索しているところです。

4Gamer:
 佐藤さんがプロデューサーになってから公式の配信も増えていますし,長く運営をしている中で「ここ最近の『戦国IXA』は変わってきている」と感じるプレイヤーも多いのではないでしょうか。

佐藤氏:
 ありがとうございます。プレイヤーの皆さんとコミュニケーションを取りながら運営をしていくことを重視していて,生放送やSNSを通じた情報発信を意識しています。というのも,今までの運営はプレイヤーとの対話がほとんどないというか,まったくない状態でして。10年以上遊んでくださっているお客様に対して,行き届いたサービスをお届けしたいと常々考えていたんです。

4Gamer:
 直近の公式番組では,「戦国IXA」に関わってきた歴代のスタックがずらりと並ぶ姿も見られましたし,ファンサービスの意味でも盛り上がったのかなと思います。


佐藤氏:
 そう言っていただけると嬉しいです。実はサービス開始からプレイヤーとして「戦国IXA」を遊んでいたわけではないので,私自身は「戦国IXA」の歴史すべてを網羅できません。社内でも評価の高いプロジェクトなので,積み上げてきた歴史を崩さず,それでいてプレイヤーの皆さんに満足してもらえるような開発/運営をしていきたいです。

4Gamer:
 分かりました。「戦国IXA」では当然“戦国時代”がモチーフになっています。佐藤さん自身は,その時代に興味があったりするのでしょうか?

佐藤氏:
 実は仕事として携わるまでは,歴史の授業で習った程度の知識しかなくて(笑)。「戦国IXA」に関わってからは,戦国時代に活躍した武将を調べたりしていますが,これが奥深くて実に面白いんです。本作においては,武将の背景だったりキャラクター性みたいなものを武将カードに反映させているので,気なる方はいろいろと考察してみてほしいです。

4Gamer:
 武将カードは,美麗な絵柄に目を奪われがちですが,パラメーターやスキルにも武将の特徴が反映されていますよね。

佐藤氏:
 ええ。例えば,武田信玄なら少ない兵士を多く見せることが大事だと部下に語ったエピソードがあるのですが,そこから着想を得て,コストを大きくしてたくさんの兵士を指揮できるような設定にしたり,自分の軍の武将の数で攻撃力が決まるスキルを持たせたりしています。
 あとは,槍の名手で虎退治のエピソードが有名な加藤清正が持っている【卓越】スキルも武将の背景を反映したものです。清正は新章でも【卓越】スキルを持っているので注目してください。


「戦国IXA」が持っている“本質的な面白さ”


4Gamer:
 2010年8月に第1章「叢雲,集結す!」が開幕しました。佐藤さんが関わりのある範囲で,思い出深いエピソードがありましたらお聞きしたいです。

画像集#005のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた
佐藤氏:
 プレイヤーとしてかなり熱中した時期がありまして,少数精鋭で筆頭同盟を目指したことがあります。引き抜きの書状をもらったりもしました。それで,かつてライバルだった人と同盟を組んだりして……まさに戦国武将になってその世界を生きているような感覚で楽しんでましたね。

4Gamer:
 同盟というコミュニティで気の合う仲間と遊ぶ楽しさもそうですが,敵になった相手と陣の名称を変えながら戦ったりするのも面白いですよね。システムとしてフォローされていない部分も含めて,プレイヤーのアイデアが活かされた遊び方ができると言いますか。

佐藤氏:
 そうですね。おそらく開発当初は考えていなかったであろう遊び方をされているのだと思いますが,それを含めて「戦国IXA」の面白さだと思います。

4Gamer:
 運営チームとして,評価を得られている理由はどこにあるとお考えですか。

佐藤氏:
 「戦国IXA」が持っている“本質的な面白さ”は変えずに,アップデートを続けていることでしょうか。

4Gamer:
 「戦国IXA」の本質的な面白さというのは?

佐藤氏:
 同盟というコミュニティで仲間と一緒に合流攻撃をして,大勢の兵士を“溶かす”遊び方です。「溶かし愛」なんて言葉が生まれるくらいゲームに浸透していて,勝っても負けても気持ち良く戦っている方が多いんですね。
 また,直良さん(イラストレーター・直良有祐氏)に描いてもらっている天カードも「戦国IXA」の魅力の一つだと思っていて,合戦の面白さと天カードの魅力,この2点だけは絶対に「戦国IXA」から無くしてはならない要素だと考えています。

4Gamer:
 確かに,合戦の面白さと「天カードが欲しい!」というモチベーションは,サービス開始当初から変わっていないですね。

佐藤氏:
 ただ,同じことの繰り返しでは飽きてしまいます。なので,マンネリにならないようルールを多少アレンジしてみたり,イベントを行ったりして抑揚をつけるようにしています。

4Gamer:
 逆に,長期運営のなかで,課題と感じていることはありますか。

画像集#010のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた
佐藤氏:
 細かいところまで含めると,いろいろとあるのですが,現状で一番課題としているのはサーバーの負荷対策です。これは以前から問題視していることで,新章が開始した直後はきわめて動作が重く,満足にプレイしていただけないような状況が常態化していました。
 そこで2章前のタイミングから,刷新時に起こるであろう負荷を事前にシミュレーションするシステムを構築し,ある程度自信を持った状態で新章をオープンできるようになりました。そのおかげもあり,ここ最近は開幕直後のトラブルが減少しています。
 もうひとつ,合戦時のサーバー負荷も根深い問題でしたが,「出陣時の陣が陥落した際の処理の修正」を行うことで,負荷がある中でのプレイヤーさんの不満になりやすい状況を,1つ解消することを目指しました。こうした負荷対策は今後も継続して行っていきます。

4Gamer:
 なぜ,そこまでの負荷が発生しているのでしょうか。また,サーバーを増強するといったことは?

佐藤氏:
 そういう意見も寄せられているのですが,実は特注仕様の一番性能の高いサーバーを使っていて,これまでサーバーの性能を上げたことはあっても,下げたことは一度もないんです。そもそもが戦闘処理のロジックが悪さをしていて,サーバーのパフォーマンスをフルに活かしきれていない状態になっているのです。

4Gamer:
 つまり増強しても単純に解決できないと。

佐藤氏:
 はい。いくら性能の良いエンジンを積んだ車でも,障害物が多い道路では速く走れないのと一緒で,戦闘処理のロジックを修正することが課題になっています。

4Gamer:
 なるほど。その課題が解決されることに期待したいです。
 先ほど天カードの魅力というお話が出ていましたが,歴史を積み重ねてさまざまな武将カードが登場してきました。運営の舵取りという点では,新しい武将カードの強さのバランスは大切だと感じます。

佐藤氏:
 新しい武将カード,とりわけ天カードの強さは毎回細心の注意を払ってバランスを考えています。企業としては,魅力的なカードを出して「手に入れたい」と思ってもらいたいのですが,その一方で,プレイヤーは苦労して手に入れた天カードの価値が下がってしまうのは避けたい。

4Gamer:
 それは,そうですね。では,バランスを考える際に何を指針としているのでしょうか。

佐藤氏:
 育成すると長く使えるカード,瞬間的に強力だけど対抗できるスキルがあるカードなど,ある程度タイプを分けてリリースするようにしています。また,ちょっと視点はずれてしまいますが,ここ最近は天カードに対する“高値の花”と感じられるような特別感が薄れているのが気なっていまして。

4Gamer:
 確かに,チケットが配られることも多いですし,以前と比べると天カードを手に入れる機会も多くなりました。

佐藤氏:
 そこで登場させたのが,新しいレアリティの【傑】になります。【傑】は,持っていないと遊べないような類のカードではなく,“特別感”を演出するのが趣旨にとなります。

4Gamer:
 【傑】を持っていると,本領と陣が“黄金造り”になるみたいな効果もありましたが,プレイヤーからの評判はどうでしたか。

佐藤氏:
 持っているだけで一目置かれるような特別感ということでユニークな効果を入れましたが……黄金造りの採用率は高くありませんでした。ちょっと見込み違いなところもあり反省しています(苦笑)。とはいえ,プレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるようなアイデアはこれからも提案していくつもりですので,期待していただければと思います。


新章では【傑】豊臣秀吉を取り巻く武将たちが活躍


4Gamer:
 公式番組でも話されていましたが,8月5日に新章となる「異説覇伝〜日輪の威光と轍〜」が始まります。

画像集#004のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた
佐藤氏:
 新章となる24章では,「確実にゲームが改善されている」と感じてもらえるような要素を集中的に集めました。12周年にちなんだ「12の小改修」では,すべてのプレイヤーさんに向けて遊びやすい環境を提供できると思います。ほかにも,使われていない機能は廃止したり,コミュティ促進の施策なども盛り込みました。

4Gamer:
 個人的には「所領内政の廃止」が嬉しい機能です。半年に1回の刷新のときだけとはいえ,施設を一段階ずつ強化していくのが大変だったので。

佐藤氏:
 そうですね。プレイヤーの皆さんからも「面倒」という意見が以前からあり,今回導入することにしましたが,一方でゲームに触れる時間が少なくなってしまうことが問題かなと感じていました。ですので,内政の代わりに時間を使えるような秘境や金山を改修し,新コンテンツの「果心異境」を追加することにしました。

4Gamer:
 休戦期間中に楽しめるという「果心異境」はどんなコンテンツになっているのでしょうか。

佐藤氏:
 プレイヤー個人が自身の成長を感じてもらえるようなコンテンツで,“力試し”がコンセプトになります。具体的にはNPC部隊と戦うことになり,どこまで攻略できたかで専用の格付けなども用意しています。ただし,まだ手探りのコンテンツなので,プレイヤーさんの反応を見ながら調整していければなと思います。

4Gamer:
 新章ということで,大殿のラインナップを気にしている人も多いと思います。

佐藤氏:
 23章は【傑】織田信長を中心とした大殿のラインナップでした。24章はというと,【傑】豊臣秀吉を取り巻く武将が大殿になっています。刷新の際は,大殿予想をされる方が大勢いるのですが,その大多数が【傑】豊臣秀吉が来ることを想定していましたね。

4Gamer:
 黒田官兵衛,竹中半兵衛の両兵衛が【覇】として登場することは,予想できなかったです。

佐藤氏:
 今回は名前が被った武将が少なかったこともあり,驚かれた人も多かったようです。

4Gamer:
 前田慶次はなんとなく分かりますが,蜂須賀小六,堀秀政,九戸政実あたりは分からなかったですね(笑)。ただ,彼らがどんなスキルをもった天カードに成長するのか気になるし,名前被りのない天カードなので育成のモチベーションも上がりそうです。

画像集#012のサムネイル/「戦国IXA」プロデューサーインタビューを掲載。12周年を迎える本作の現状とこれからについて佐藤PDに聞いた

佐藤氏:
 面白いカードに仕上がっているので,ぜひ手に入れて育ててほしいです。直良さんのイラストは今回も魅力的ですが,堀秀政のイラストはとくにこだわって制作したとのことですので注目してください。なお,刷新後にはユーザーアンケートなどを行う予定です。こちらも協力していただけると幸いです。

4Gamer:
 24章以降,25章は来年になってしまうと思うのですが,今後の実装予定や,構想している新要素などがありましたら教えてください。

佐藤氏:
 通常の合戦とは違う特殊な戦場として「天下統一戦」を導入しましたが,こちらの運用期間が長くなっているので,そろそろ手を加えたいと思っています。

4Gamer:
 個人的には「天下統一戦」の前に実装されていた「東西戦」の仕組みも好きで,期間限定でもいいので復活してほしいなと思ったりします。

佐藤氏:
 「東西戦をまたやりたい」という意見も少なからず寄せられているので,一考の価値はあるのですが,プレイヤーの皆さんが「天下統一戦」に慣れ,戦い方の文法みたいなものが確立されていたりするので,気軽に変えられる状況ではなくなっています。このあたりは,アンケートなどでプレイヤーさんに意見を聞きながら慎重に進めるのが良いかなと。

4Gamer:
 「天下統一戦」は,書状を送って不可侵条約を結んだり共闘したりと,先ほどもお話ししましたが,プレイヤー自身が遊び方を考案し,今の形になっているのが面白いなと感じました。

佐藤氏:
 そうですね。「天下統一戦」は実装から大きく仕様を変えたことはないのですが,プレイヤーの皆さんが独自にルールを作って,開発/運営サイドの想像を超えたところで楽しんでくださっているのは,本当にありがたいです。

4Gamer:
 ともあれ,「天下統一戦」にどのような手が加えられるのか期待しています。では最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

佐藤氏:
 12年にわたって「戦国IXA」をご愛顧いただき,ありがとうございます。私自身はプロデューサーという立場にありますが,この面白いゲームにプレイヤーとしても関わっていきたいですし,公私ともにプレイヤーの皆さんと交流していきたいと思っています。「戦国IXA」は,8月12日から開催される「大阪・お城フェス2022」にも出展する予定ですので,ご都合がつく方はお越しください。

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