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カードで遊ぶ「ドラゴンクエスト」の集大成! 「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー」のレビューを掲載
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印刷2010/08/10 10:00

レビュー

カードで遊ぶ「ドラゴンクエスト」の集大成! 「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー」のレビューを掲載

 ここ最近は,主としてニンテンドーDSを中心に盛り上がっている「ドラゴンクエスト」シリーズだが,据置機では久しぶりとなるシリーズ最新作が,7月15日に発売となった。その名も「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー」(以下,DQMBV)。本作は,アーケードで稼働中の業務用カードゲーム機「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド」(以下,DQMBIIL)を,Wii上でプレイできるようにした移植作だ。
 プレイヤーは,お馴染みのモンスターやアイテムをあしらえた各種カードを駆使して自分の“チーム”を組み,コンピュータや他のプレイヤーに対戦を挑んでいく。

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「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー」公式サイト



 DQMBIILといえば,ゲームセンターやショッピングセンター,家電量販店など,いたるところに設置されているアーケードゲーム。実際に遊んだことはなくても,天空の剣を模したデザインの装置が取り付けられた筐体や,その周りに子供達が群がる風景を見たことがあるという人は多いことだろう。
 今年の1月にはカードの出荷枚数が2億枚を突破し,さらにカードの種類も800種類以上に及ぶなど,本作は,小学生(と,一部の大きなお友達)を中心に大ヒットを飛ばしている作品である。また昨年9月からは,「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」用の“大魔王の地図”が,このDQMBIILの筐体から配信され,話題になったことも記憶に新しい。

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 今回紹介するDQMBVは,そんなDQMBIILを家庭で思う存分楽しめるというもの。バトルシーンを完全再現しているのはもちろんのこと,家庭用のオリジナルモードを用意。さらにアーケード版全シリーズのほぼすべてのカードを収録しているなど,いろいろな要素を盛り込んだタイトルだ。DQMBIILシリーズの集大成的な作品に仕上がっている。

ドラゴンクエストでおなじみの「序曲」をバックに,シリーズ歴代の勇者と魔王が戦うオープニングムービー。ドラクエシリーズのファンなら,これだけでワクワクするはずだ
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家庭用ならではの“大会モード”で,カードを集めながら腕を磨くのだ


 本作で用意されている主なプレイモードは,“アーケードモード”と“大会モード”の2種類だ。前者はアーケード版をほぼそのまま移植したモードで,ゲーム内で手にいれたカードを使って単発のバトルをするモード,後者はストーリー的な流れのある1人プレイモードだ。
 なかでも特筆すべきは,やはり本作オリジナルのモードである後者だろう。大会モードとは,プレイヤーが“竜神町”なる町を舞台に,公式大会の優勝を目指すというもの。ある種の王道ともいえる設定だが,ドラクエの世界観と現代風の世界観が融合しているのが妙に新鮮だったりする。
 大会モードでは,最初に父親からアイテムカードとモンスターカード一式が貰えるほか,ライバルとの勝負や各種イベント,あるいはショップで購入することで新しいカードを手にしていくことができる。
 実物のカードを読み込んでゲームに取り込むこともできる(※後述)DQMBVだが,DQMBIILには本作で初めて触れるという人でも,まずは大会モードをプレイすることで,一定の数のカードを遊びながら集めていけるというわけだ。

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“冒険の書”を作る画面では,「ドラゴンクエストII」の名曲「Love Song探して」のファミコン音源風アレンジバージョンが流れる。30代以上のファンは感涙ものだ
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プレイヤーのアバターは「ドラゴンクエストIX」のキャラメイクに近いスタイルで作り,冒険の書に保存される。冒険の書は4つまで作れ,集めたカードは全ての冒険の書で共有される

 竜神町の中には,バトルのトレーニングができる道場の闘道館や,連続バトルを楽しめるゲームセンター,公式大会が行われるコロシアムセンター,カードを購入できるカードショップなどがあり,主人公は,ここを行き来することで,カードを集めたりバトルの腕を磨いていくことになる。
 ちなみに大会モードでは,ちょっとした時間の概念もあり,町の中で施設を利用するごとに時間が経過していく。日数経過によるペナルティなどはないが,施設によっては1日に利用できる回数が決まっているものがあるので,ある程度予定を考えて動く必要もある。

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 またこの大会モードでは,カード以外にもアバターが着用する“おしゃれ着”なるコスチュームを集めていくのも楽しみの一つだ。これは主人公が着用することで見た目が変わり,さらにバトルにも効果を及ぼすというもの。このおしゃれ着の効果は,大会モードだけでなく,Wi-Fi対戦を含むアーケードモードでも発揮されるので,あれこれとコーディネートを考えるのも楽しいのだ。

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プレイヤーが一番お世話になるであろう,竜神町の“カードショップもりた”。店頭にある“カードマシン”を使えば,ゲーセンと同じ感覚でカードが手に入る
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おしゃれ着は,本作のプレイヤーの身だしなみ。着たときの効果はもちろん,対戦相手を喜ばせるような着こなしをするのも楽しい


派手な演出と実況が熱いバトルシーン


 ゲームのメインとなるバトルの部分は,アーケード版に則ったルールで進行する。手持ちのカードを特定の組み合わせで選んでスキャンし,その内容がプレイヤーのチームのパラメータに反映される。
 カードは大まかに分けて3種類。バトルの主力となって戦ってくれる“モンスターカード”,プレイヤーの分身となる主人公が自ら戦う場合に装備できる武器や防具の“アイテムカード”,バトル中の切り札として使う“スペシャルカード”だ。これらを,チーム編成時に任意に選べる主人公の“職業”別に組み合わせて使っていくこととなる。

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プレイヤーは最初に主人公の職業を考える必要がある。選択した職業によって選べる武器の種類が決まるのだ。また主人公の職業を“魔物使い”にすると,モンスターカード3枚でチームを組むことができる
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バトルでは基本的に6枚のカードが必要になる。カードを持っていない場合は,ゲーム全般でプレイヤーをサポートしてくれるモリー(「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」に登場)がカードを貸してくれる

 バトルは通常,3対3のチーム戦で展開。カードの組み合わせで作るチームは主人公とモンスター2体,またはモンスター3体のどちらかとなる。モンスター同士や主人公の職業と特定のモンスター間には“相性”があり,組み合わせによってステータスが上がったり出せるワザが変化することがある。

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 この相性を意識してチームを作れば,手持ちのカードが少なくても組み合わせ次第で強い相手と戦えるようになるのだ。また,モンスター3体の組み合わせによっては,3体のモンスターが合体し,強力な1体のモンスターに変化することもある。

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カードの相性は,ゲーム中に集めたカードを閲覧する“カードアルバム”モードの“くみあわせリスト”で確認できる
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相性のいいカードが揃ってきたら,“お気に入りチーム”でカードの組み合わせを設定しておけば,すぐにそのチームで戦えるようになる。これはいわゆる“デッキ”の概念だ

 こうしてカードを組み合わせることによって,バトルに出場するメンバーとチーム全体のHPが決まる。ルールは非常に簡単で,ターンごとにチームのキャラクターにAボタンかBボタンで2つのワザのどちらを出すかを決め,出したワザで相手のチームのHPを0にすれば勝利という形だ。

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 バトルでは,ワザが繰り出されるたびにド派手な演出シーンが画面上に展開されるのだが,この出来映えたるや,往年のドラクエファンにはなかなか感涙もの。ドラクエシリーズお馴染みのモンスターやキャラクター達が格好良く,あるいは可愛く動き回るさまは,なかなかに見応えがある。とくにここ数年ニンテンドーDSを中心にドラクエシリーズを遊んでいたファンにとっては,これは新鮮に映るかもしれない。
 まぁそんな気合いの入ったシーンが満載ということで,必然的にバトルの時間は長くなってしまうのだが,RPG(ドラクエ本編)などとは違って「バトルこそが本作の肝!」ということもあり,演出シーン込みで一喜一憂しながらゲームを楽しむというのが,本作の正しい遊び方だといえよう。

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ワザの選択画面では,AボタンとBボタンに対応したワザが表示。これを素早く選ぶことで,右下のオーブに“ゆうき”をためていく
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主人公のワザは装備した武器防具によって変わる。モンスターのワザは通常は2種類のみだが,主人公の職業によって第3のワザが出現することもある

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 ちなみにワザが出るタイミングに合わせて対応のボタンを押すと,右下のオーブに“ゆうき”が溜まっていき,“とどめの一撃”を出すことが可能になる。シンプルながらもゲームが単調にならないよう,駆け引き要素がしっかり組み込まれている点は好印象だろう。

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SPカードはその名のとおり,切り札として使えるカード。“お気に入りチーム”で十字ボタンにセットしておけば,対応した方向を押すだけで使えるようになる


DSiや携帯電話で実物のカードも読み込める


 いろいろなデッキを組むためにも「まずはカード集めから!」という風になりがちなコンソール向けのカードゲーム(カード集めは楽しいのだが,面倒でもある)だが,本作では,ニンテンドーDSiやカメラ付き携帯電話を使って「実物のDQMBIILのカードを読み込める」という,なんとも粋な仕様が用意されている。

 読み込みにはニンテンドーDSiウェアの「専用カラーコードスキャナー」(200DSiポイント)か,携帯電話のアプリ「専用カラーコードスキャナー for MOBILE」(無料)が必要にはなってしまうのだが,これらを使ってカードにある“カラーコード”を読み込み,それをWiiに転送することで,同じカードがゲーム中に登場し使えるようになるのだ。

 筆者も実際にDSiにソフトをダウンロードして,手持ちの「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」に付属していた“伝説の魔物使い”を読み込んでみたのだが,携帯電話でQRコードのような感覚でスムースに読み込み,転送もできた。

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手持ちのカード資産がすぐに使えるだけでなく,持っていないカードを友達に借りて集めることもできる。手元に実物のカードがあるDQMBIILのプレイヤーなら,ダウンロードしておいてして損はない
 なお携帯電話アプリの場合は,読み込んだあとカードごとに出力されるパスワードを打ち込む必要がある。10枚までならまとめてひとつのパスワードでまとめられるものの,読み込んだカードを無線で一度に転送可能なDSiのスキャナーのほうが,なにかと便利かもしれない。
 ちなみに2010年8月現在,iPhoneなどで無料配信中の「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー スペシャルムービー」アプリの実行後に,プレゼントとして表示されるスペシャルカードのデータも,問題なく読み込むことができた。iPhone・iPadのスペシャルムービーアプリは,期間限定配信なのでお見逃し無く。


この夏に稼動終了するアーケード版の“火”を受け継ぐ一本


 カードゲームということもあって,ドラクエシリーズ本編とは異なる印象の本作だが,シリーズでも印象深い主人公や魔王,モンスターたちが登場し,BGMにはシリーズから厳選されたすぎやまこういち氏による名曲が流れている。
 カードゲーム自体にあまり興味はなくとも,これらの要素をきっかけに入ることもできるはず。アーケード版は出費が怖くて手を出せなかったという人も,本作ならソフト1本で遊び放題なので,これを機にぜひ遊んでみてほしいところだ。

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 最後に。DQMBIILのファンにはすでに周知済みの情報ではあるが,アーケード版DQMBIILがこの8月いっぱいで稼動終了になる。遊び込んだゲームがなくなってしまう寂しさ……,これはアーケードゲームをプレイしている人なら,誰もが一度は通る道(?)だ。
 しかし,これまで苦労して集めたカードや経験を,据え置き機の後継作品へと受け継いでいけるという本作の試みは,そうしたプレイヤーに示せる新しい回答であるかもしれない。
 アーケード版を遊び込んだという人なら,その最後の締めを飾るコレクションアイテムとしても,ぜひ本作の購入を検討してみてほしい。

ゲーム中の“Wi-Fiショッピング”から有料DLする追加コンテンツは,シリーズの物語をたどる“レジェンドクエスト”や,DQMBVオリジナルカード,おしゃれ着などが配信される予定だ
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「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー」公式サイト

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    ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー

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