レビュー
子供向けだと侮ることなかれ。大人が遊んでも面白い「イナズマイレブン3」の魅力を,今このタイミングであえて語ってみる
» 4Gamerスタッフ/ライターが,個人的に大好きなゲームを熱っぽく紹介する不定期連載,「極私的コンシューマゲームセレクション」。久々の掲載となった今回は,ライターの御簾納直彦氏が,ゲームをはじめ,アニメやカードゲームなど幅広い展開で子供達に大人気の“収集・育成サッカーRPG”,レベルファイブの「イナズマイレブン3」(NDS)を取り上げる。
筆者自身は同作を“子供向け”の作品と捉えていて,事実,メインのプレイヤー層は子供達なのだが,会場で流れた「ジ・オーガ」のオープニングムービーとT-Pistonz+KMCが歌うオープニングテーマ「気合いでハリケーン」に,グッとくるものがあったのだ。
というわけで,今回は「ジ・オーガ」登場前になんとしてもということで,発売後3か月ちょっと経った,時期的には中途半端なタイトルをあえて取り上げてみる次第。先にも少し触れているが,主に小学生を中心とした低年齢層に絶大な人気を誇っている「イナズマイレブン」シリーズとはいえ,「子供向けだと思ってプレイしないのはもったいない」と断言することはできるだろう。今回はこの連載で,本作の魅力を,とくにまだプレイしていない人に向けてお伝えしてみよう。
あらためて説明すると,現在発売中の「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! スパーク」「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ボンバー」は,2バージョン合わせて110万本以上の出荷(※2010年9月末時点)を突破している,“育成・収集サッカーRPG”の「イナズマイレブン」シリーズの最新作である。
主人公の円堂 守をはじめとした登場キャラクター達によって繰り広げられる,サッカーをテーマにした熱血ストーリーを軸に,人智を超えた(?)ド派手な必殺技をガンガン繰り出す“超次元サッカー”が魅力の作品だ。
「イナズマイレブン」シリーズ公式サイト
「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! スパーク/ボンバー/ジ・オーガ」公式サイト
「フットボールフロンティア・インターナショナル」開幕
目指すは少年サッカーの世界一
まずは,本作のあらすじをざっくりと説明しよう。ネタバレにならないよう,ストーリーの詳細に触れるのは避けておくが,基本的には「3」からいきなり始めても大丈夫なように配慮されているので,過去作をプレイしていない人でも,とくに気にする必要はない。
円堂 守 |
物語は章仕立ての構成になっており,要所要所にはふんだんにムービーが盛り込まれ,章と章の合間には次回予告が挿入される。このテレビアニメ的な演出が,物語をさらに盛り上げてくれるのだ。また,文章はほぼすべてふりがな付きで音声入りのセリフも多く,漢字が苦手でも安心である。
本作の設定は,かつて敵だった者同士が共に戦うという,少年マンガの王道を行くようなもので,筆者にとってはどこか懐かしく,胸にドカンと来るものがあった。また,飛鷹征矢や不動明王といったアウトロー的な存在がチームにいたり,監督の久遠道也が“呪われた監督”と呼ばれていたりと,“影”のある人物達も登場する。個人的には,そういったエピソード群が物語に厚みを加え,程よい緊張感を与えていると感じられた。
基山ヒロト |
緑川リュウジ |
飛鷹征矢 |
宇都宮虎丸 |
久遠道也(監督) |
久遠冬花(マネージャー) |
サッカーとRPGの組み合わせながらイロモノにあらず
超次元なサッカーバトルの盛り上がりはかなりの熱量
ものすごくざっくりと説明すると,本作はアクションRPGに属するタイトルで,一般的なRPGの戦闘の部分を,サッカーの試合に置き換えたものといえる。サッカーとRPGという組み合わせは突飛に聞こえるが,実際にプレイしてみると,RPGとして見事に融合している……というのが率直な感想だ。
基本的には,人に話を聞いて情報を得たり,ショップで装備品やアイテムなどを購入したり,マップのあちこちにある宝箱からアイテムを入手したりしつつ,さまざまなイベントをクリアして,物語を進めていくことになる。
ゲーム中におけるサッカーの試合は,フィールドの移動中にエンカウントで発生する4人対4人の“サッカーバトル”と,イベントなどで発生する11人対11人の試合という2種類が存在する。
操作は主にタッチペンで行う。ボールを出したい場所をタッチしてパスやシュートをしたり,タッチペンをスライドさせてフィールドの選手に移動の指示をしたりして,試合を進めていく。サッカーバトルと試合について,それぞれムービーを用意してみたので,まずはご覧あれ。
必殺技の数々は,巨大な手が出現してボールをキャッチしたり,ワープして相手を抜いたり,2人や3人で協力してシュートしたりと,フィクションとしての演出を優先させた「イナズマイレブン」ならではといったものが,合計350以上用意されている。
筆者もさすがにいい大人なので,現実離れした必殺技の数々は,見ていて思わず吹き出してしまったり,ツッコミを入れたくなってしまう感じで受け止められるが,子供だったら真似したくなるのではないだろうか(危ないから良い子も悪い子も真似しちゃダメ)。
必殺技は,シュート/ドリブル/ブロック/キャッチの4カテゴリが存在し,必殺技は使用するごとにTP(テクニックポイント)を消費する。最初のうちはキャラクターそれぞれでは1試合に数回程度しか必殺技を使えない。試合のどの場面で必殺技を使うか,頭を悩ませることになる……のだが,必殺技の数々はどれも見応えがあり,後先を考えずについつい使いたくなってしまうのだ。
またこれらの必殺技の中には,遠距離から必殺技シュートを打てる「ロングシュート」,敵のシュートを必殺技シュートで打ち返したり威力を弱める「シュートブロック」,シュートを重ねて威力を上げる「シュートチェイン」といった特殊必殺技がある。チーム全体で出す必殺技といえる「必殺タクティクス」も含め,「3」では前作より戦略性の幅はさらに広がり,試合を盛り上げるシステムが充実したといえるだろう。
個性豊かなキャラクター達2200人以上を仲間にできる
ストーリーを進めるのを忘れるほど収集が楽しい
たとえば,戦ったライバルチームから好きな選手を引き抜いて仲間にできる。これは,「かつての敵が味方になる」シチュエーションにグッとくるものがある人なら,分かってもらえるだろう。また,中には12星座や47都道府県など,関連性のあるモチーフが存在する(と思われる)選手も多数存在する。こういった選手だけでチームを構成するのも,収集の楽しみの一つである。
そのほか,前作「イナズマイレブン2 脅威の侵略者 ファイア/ブリザード」との連動機能である「2→3スーパーリンク」と,携帯端末向けサービス「イナズマイレブン モバイル」との連動である「ケータイ連動」で仲間にできるキャラクターが存在する。
過去作に登場した(メインではない)キャラクターをどうしても使いたいという人向けといったところだろうか。なお「2→3スーパーリンク」は,すべての選手が登場するわけではないので注意してほしい。
筆者が強く感じたのが,仲間にできる人数の上限が100人では少なすぎるという点だ。
100人枠からは外せないメインキャラがそれなりの数いるので,実際に仲間として所持できるキャラクターは,もっと少なくなる。ライバルチームの主要キャラ,雷門中サッカー部員,T-Pistonz+KMC,Berryz工房,フットボールフロンティア優勝者,そして「2→3スーパーリンク」や「ケータイ連動」のお気に入りのキャラクターを集めた時点で,もう仲間枠がかなり埋まってしまった。
まあ,仲間から外してもまた仲間にできるといえばできるのだが,その場合はイチから育て直しになる。せっかく仲間にしたのなら,育てたいと思うのが人情というもの。同様の思いをしている人も多いのではないだろうか。
いっそのことROMをもう1本買って,育てたキャラを引っ越しさせようかとも考えたのだが,調べてみると,筆者が集めた選手には,トレード対象外選手が予想以上に多かったので断念。もっとトレード制限が緩かったら,もう1本買ったのに……。
まだまだ本作については語り足りないのだが,全部語っていると,とてつもない文章量になってしまいそうなので,この辺で締めておこう。
冒頭でも触れたが,「イナズマイレブン3」第三のバージョンである「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ジ・オーガ」が12月16日に発売されることが,「LEVEL5 VISION 2010」で発表された。
「ジ・オーガ」では,80年後の未来からやってきた「闇の勢力」との戦いを描くというストーリーで,12月23日に封切を迎える「劇場版イナズマイレブン 最強軍団オーガ襲来」とストーリーが一部リンクしている。
「イナズマイレブン3」をプレイ済みの立場から言えば,新しいストーリーが描かれる「ジ・オーガ」は正直とても気になる。少なくとも,本編にあたる「世界への挑戦編」のストーリーに加えて,「ジ・オーガ」のオリジナルストーリーが展開されるということなので,面白さは折り紙つきだろう。
「イナズマイレブン」シリーズ未体験ということなら,今この「スパーク」「ボンバー」から始めても遅くはないだろう。繰り返すが「子供向けなんでしょ……」と購入をためらっている人がいるなら,ぜひこの機会に一歩踏み出してみてほしい。きっと,いい意味で予想を裏切ってくれるはずだから。
「イナズマイレブン」シリーズ公式サイト
「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! スパーク/ボンバー/ジ・オーガ」公式サイト
- 関連タイトル:
イナズマイレブン3 世界への挑戦!! スパーク
- 関連タイトル:
イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ボンバー
- 関連タイトル:
イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ジ・オーガ
- この記事のURL:
キーワード
(C)LEVEL-5 Inc.
(C)LEVEL-5 Inc.
(C)LEVEL-5 Inc.