レビュー
強力な“オールドゲーマーホイホイ”であることは認めるが,この爽快感は今でも十分通用する!
アフターバーナークライマックス
これほど多くの人に遊ばれたタイトルは希である!
アフターバーナーが生まれたのは1987年。当時,ゲームセンターだからこそ成立していた大型筐体専用ゲームが出自であるにもかかわらず,性能的には厳しいなんてレベルじゃないファミリーコンピュータやセガ・マークIIIにまで移植されている。当時はまだ,ポリゴンという技術がゲームに本格利用される時代ではなかったこともあり,巨大なスプライト(レイヤーのようなものと考えて頂きたい)を使ったダイナミックな表現と,プレイヤーのハートを揺さぶるハードロック調のBGMで人気を博した。
移植作品のなかには,当時のコンシューマーゲーム機のスペックの限界もあってか,ちょっと気になる不具合のあるバージョンも存在したし,音源がガッカリするほど寂しいものもあった。それでも,筆者を含む当時の少年達は,移植されたアフターバーナーにアーケードゲームの傑作の姿を投影し,移植してくれたメーカーやセガのすごさを思い知ったものだ。
時は移り2006年,ゲームセンターに,そのアフターバーナーの最新作が登場した。それが「アフターバーナークライマックス」だ。高速飛行するF-14を操り,敵機を次々とロックオンして撃破していくスピード感はそのままに,“クライマックスモード”という爽快感満点の新要素を搭載して,大型筐体ゲームとして再びアーケードに帰ってきたのだ。
残念ながら,すでに大型筐体ゲームの時代ではなかったこともあり,大きく目立つまでには至らなかったが,実際に遊んだプレイヤーの評判はすこぶる良かった。
クライマックスモードというのは,分かりやすくいうとバレットタイムのようなもので,スコアアタックを盛り上げるのに一役買っていた。さらに,F-14Dスーパートムキャット,F/A-18Eスーパーホーネット,F-15Eストライクイーグルの3種類から機体を選ぶことができるだけではなく,ゲームに登場するすべての戦闘機は,ボーイング社とノースロップ・グラマン社の許可を受けているというこだわりようだ。
ほかにもCo-opモードが用意されており,2人協力プレイを楽しむこともできる。このCo-opモードは途中参加も可能で,ゲームセンターで友人と遊ぶことを考えても,かなり完成度の高いものになっていた。
そんなアフターバーナークライマックスが,PlayStation 3およびXbox 360の,ダウンロード専用タイトルとして発売されたのだ。ダウンロード専用タイトルであるがゆえ,インターネット環境がなければ購入できない。加えて,残念ながら(今後DLCとして配信されることはあるかもしれないが)Co-opモードも標準搭載されていないので,その点には注意してほしいが,ファンにとっては夢にまでみたコンシューマタイトルの登場である。
「アフターバーナークライマックス」公式サイト
シンプルな操作と派手な演出が
ゲームへの没入度を高める
操作系統は,基本的には昔から変わっていない。スピードのアップ/ダウン,上下左右への移動,誘導ミサイル/バルカンの発射に,クライマックスモード発動操作が一つ加わっただけだ。左右のスティックを駆使する必要もなければ,ボタン配置を必死に覚える必要もない。画面奥へと進んでいく3Dゲームではあるが,内容的にはごくごくシンプルなシューティングである。
ちなみにクライマックスモードは,通常/高速飛行やコンボの継続,コンティニューなどで蓄積される“クライマックスゲージ”を消費して発動する特殊なモード。発動中は時間の流れがスローになり,ロックオンカーソルが広がり,さらにミサイル数が無限になるうえ,コンボが途切れなくなるという,分かりやすいが問答無用で興奮するモードである。
こういった説明からは,何から何までシンプルなゲームに思えるかもしれないが,画面から受ける印象はどちらかというと“豪華”で,とくに煙と光の演出は素晴らしい。敵味方の射出する多数の誘導ミサイルが,中空に弧を描き,戦場を爆風と閃光で美しく彩る。とくに大量のミサイルが白煙で弧を描く様は,(F-14がメイン機体ということもあり)「超時空要塞マクロス」で一世を風靡した“板野サーカス”を彷彿とさせる。噴煙をかいくぐり敵をロックオン,そして一斉に誘導ミサイルを射出する。これを高速で繰り返していくことこそが,アフターバーナーというゲームの本質であり,最大の魅力なのだ。
頑張れば頑張っただけ“易しく”なるゲームバランス
詳しくは動画を見てもらいたいのだが,腕前にはちょっと問題がある筆者でも,繰り返しプレイすることで,オプション項目をすべて解除していくことができた。その結果,ロックオン範囲を拡張し,敵の攻撃力を下げ,残機を増やすことでノーコンティニュークリアが可能になった。正直なところ,今回の動画撮影時のオプション設定なら,誰でもスーパープレイが可能である。「寝る前にちょっとストレス解消しておくか」という軽い気持ちで遊ぶことができるので,初心者もあきらめずにARCADEをプレイして,ぜひEX OPTIONの恩恵に浴してほしい。
ふるえるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!!
アフターバーナーというタイトルにグッとくる人の大半は,30歳以上なのではないだろうか。そういう人達がアフターバーナーと聞いて,真っ先に思い出すのが,駆け抜ける疾走感とともに脳内に流れ込んできたBGMだろう。「Final Take Off」「Super Stripe」などの曲名を目にすると,熱いものがこみ上げてくるという古兵も絶対にいるはずだ。
本作のウリの一つになっている,「アフターバーナーII」BGMへの切り替え機能は,そういった人達の心を一気に20年前に連れ去ってしまう。基本的なゲーム性はそのままに,より美しく,より速く,より気持ちよくなったシリーズ最新作に,懐かしの名曲達が乗っかっているのだからたまらない。
筆者は本稿の執筆依頼を受けたとき,誰になんと言われようと,BGM切り替え機能に関する動画を掲載してやろうと心に誓った。正直に言ってしまうと,このゲームを筆者は繰り返し遊んでいるのだが,撮影の時以外は一度の例外もなく,20年以上前の楽曲達を使用している。もちろんこれは世代の問題なので,若い人にとっては取るに足りない機能かもしれない。しかし,アーケードで,FM TOWNSで,X68000でアフターバーナーを遊んだ世代にとって,当時のBGMは神曲以外の何者でもないのだ。とくにアフターバーナー直撃世代の読者なら,ぜひこの動画をチェックしてほしい。
気軽に遊ぶにはもってこいの“熱い”ゲーム
本作はダウンロード専用タイトルであり,ディスクレスで遊べることも魅力の一つと言えるだろう。今,メインで遊んでいるゲームディスクを入れ替えることなく,実に気軽にプレイできるのだ。本作の気軽さと爽快感は,何かとくたびれることの多い生活の中で,一服の清涼剤として機能する。RPGなどの重たいゲームで疲れたときには,ぜひアフターバーナークライマックスで,気持ちをリフレッシュしてもらいたい。
「アフターバーナークライマックス」公式サイト
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(C)SEGA
Produced under licence from Boeing Management Company.
Produced under licence from Northrop Grumman Systems Corporation
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