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個人技だけでなくオペレータの戦術手腕も問われる硬派なメカアクション。PS3版「ARMORED CORE V」CBTプレイレポート
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印刷2011/07/27 00:00

プレイレポート

個人技だけでなくオペレータの戦術手腕も問われる硬派なメカアクション。PS3版「ARMORED CORE V」CBTプレイレポート

画像集#014のサムネイル/個人技だけでなくオペレータの戦術手腕も問われる硬派なメカアクション。PS3版「ARMORED CORE V」CBTプレイレポート
 フロム・ソフトウェアは2011年10月20日に,同社の看板メカアクションシリーズ最新作「ARMORED CORE V」PS3 / Xbox 360 以下,ACV)を発売する。
 本作は従来シリーズに比べ,オンライン・マルチプレイ要素を全面に押し出しているのが大きな特徴となっており,7月8日〜7月22日の期間にはPS3版のクローズドβテストが実施された。その概要については「こちら」の記事でお伝えしたとおりだが,本稿では筆者が「Team 4Gamer.net」の一員として戦いに参加した感想を中心に,さらに詳細なプレイレポートをお届けしていこう。
 なお,PS3版に続いてXbox 360版のテストが,7月29日〜8月11日の期間で行われるので,そちらに参加予定の人には,ぜひとも予習を兼ねて目を通してほしい。ちなみにXbox 360版のCBTクライアントには,PS3版で行われたアップデート内容が最初から反映されており,使用できるパーツ類も一部異なるとのことだ。

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「ARMORED CORE V」公式サイト



プレイヤーは孤狼から群狼へ

より兵器らしく洗練されたAC


CBTでは通常,ゲーム中に用意されているエンブレムしか使用できないのだが,「Team 4Gamer.net」では専用のエンブレムを作ってもらった。大して強くもないのに恥ずかしいわぁ……。なお製品版では,プレイヤーが自分でエンブレムをデザインすることもできるとのことだ
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 チーム戦で領地を奪い合うという,従来シリーズとは一線を画すゲーム性でファンからの期待を集めている本作。今回実施されたCBTも,注目のマルチプレイ要素にフォーカスした内容となっており,その魅力の片鱗を感じることができた。
 ちなみに,これまで一匹狼のイメージが強かった“レイヴン”や“ネクスト”とは違い,本作ではすべてのプレイヤーがチームに所属する必要がある。“個”から“群”へという,世界観の一新が実感できる部分だが,「俺は絶対に群れんぞ!」という筋金入りのボッチ精神を持った人でも,自分一人だけのチームを作ることが可能なので安心してほしい。
 筆者の場合,今回のCBTでは,大した腕もないのに専用エンブレム付きの「Team 4Gamer.net」に所属して生き恥を晒してきたわけだが,まぁそのおかげで“ネット人見知り”の筆者でもチーム戦をしっかりと楽しむことができたので良しとしよう。

領地ミッションでは敵のヘリをすべて破壊する「電撃戦」と,砲台をすべて破壊する「制圧戦」がプレイできた。敵ACが防衛に出てきた場合は,無理に破壊目標を攻撃するよりも,敵ACの殲滅を狙ったほうが効果的な場合もある
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 さて,CBTでは「ストーリーミッション」「領地ミッション」「決戦ミッション」の一部のみプレイ可能だったが,マルチプレイが可能だったのは領地ミッションと決戦ミッションのみ。ストーリーミッションは,製品版だとCo-opプレイ(協力プレイ)が可能とのことだが,残念ながらCBTでは,完全にシングルプレイ用となっていた。各モードの詳しい仕様については,以前掲載したファーストインプレッションで説明しているのでそちらを参照してほしいのだが,いずれもCBTとしては予想以上の遊び応えだった。
 戦場となるマップは1種類しかなかったものの,侵攻側と防衛側に分かれての駆け引きの熱さは相当なモノ。最大5対5(戦闘メンバー4人+オペレータ1人)のチーム戦になったことで従来作よりも戦略の重要性が高まっており,自分が“戦争”に参加しているという感覚が強く味わえるのである。個々人のスキルだけでは勝てなくなり,プレイフィールはガラリと変わった。

チームメンバーがいない場合は,傭兵登録を行う/雇うことで手軽にマルチプレイを楽しむこともできる。ただし,傭兵は報酬の条件が厳しく,チームがミッションで勝利するのはもちろんのこと,自分がクリアまで生存していなければ報酬を得られない。また,報酬の額もそれほど多いとは言えないので,修理費や弾薬費を差し引いた結果,収支がマイナスになることも多々ある。戦争屋は辛いぜ
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 それは操作関連も同様で,さまざまなブーストを中心とした新アクションの追加によって,ACの操縦系統が一新されている。かなりFPSやTPSに近い操作感になっており,インタフェースも洗練されて画面がスッキリとした印象になった。
 また,機体スケールが10メートルから5メートルへ変更されたことも関係しているのだろうが,壁面を蹴った瞬間にブーストを吹かして飛び上がる「ブーストドライブ」や,一瞬だけ出力を全開にして攻撃を避ける「ハイブースト」,目標に対してブーストの加速を利用した体当たりを食らわせる「ブーストチャージ」など,全体的にACの機動力が高まっている。こう……変な例えだが,ザクとシャア専用ザクの動きの違いを思い浮かべてもらえると分かりやすいかもしれない。

一見複雑そうに見えるかもしれないが,実際に触ってみると思ったよりもシンプルで,すぐに慣れるはず。PS3でFPSやTPSをよくプレイする人ならば,「ARMORED CORE」シリーズ初体験だとしても違和感なくプレイできるだろう
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 ただ,機体の挙動については,プレイヤーがどのようなアセンブルを組むかによって大きく変わってくる。重量型と軽量型では,まったく別のゲームになると言っても過言ではないほど機動力に差が出るため,前述したブースト関連の機能を生かすも殺すもプレイヤー次第だ。脚部を重量二脚やタンクにした場合は,ブーストによる恩恵が著しくダウンすることを覚悟しておこう。
 まぁ,もちろん重量型は,その代わりに圧倒的な火力と耐久力を得られるので,その辺は色々と試して,自分のプレイスタイルに合ったアセンブルを模索していこう。

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軽量二脚で両手にブレード。攻撃を当てることさえできれば……という博打型AC。こういうロマン機体を使いこなせればカッコイイよね。筆者には無理だけど
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反動が大きく,他の脚部パーツならFPS視点で射撃する必要がある構え武器を,TPS視点のまま使用できるというのがタンク最大の利点。その圧倒的な火力は驚異だが,小回りがきかないので囲まれると厳しい
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構え武器の反動やブレを軽減し,リロード時間を短縮する効果がある四脚タイプのAC。積載量もそこそこ多く,通好みな機体だ
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跳躍力に優れ,とくに空中戦においては最速を誇る逆関節型のAC。使いこなすことさえできれば,蝶のように舞い蜂のように刺す,華麗な戦い方が可能だ

ちなみに筆者の愛機は,高機動型の中量二脚だ。鱗模様のボディに金ピカの銃がオシャレポイント。センスが下品だって? ちょっと何言ってるかわからないですね
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 ちなみに,CBTでさまざまなタイプのACと戦った経験から言わせてもらうと,本作においてACは「状況によって乗り換える兵器」として考えた方がよさそうだ。なぜなら,制限時間内に敵ACを全滅,もしくは目標を破壊する必要がある侵攻側に対し,防衛側は地形や自動砲台を味方につけた状態で待ち伏せができるので,それぞれの陣営で必要とされる能力も当然違ってくるのだ。これはあくまで,CBTで戦場となったマップを元にした考察だが,侵攻側には電撃的に敵拠点を制圧する機動性が必要とされるのに対し,防衛側では耐久性の高い機体を使用したほうが断然有利なのである。
 なので,本作におけるAC同士の戦いは,周りの環境に大きく影響されるものと考えるべきだろう。マップにもよるが,侵攻側のときは軽量逆関節,防衛側のときはタンクという風に,さまざまな機体を使いこなせるようになっていると,より奥深く本作を楽しめるかもしれない。
 実際のところ,CBTでは自動砲台と地形を味方につけた防衛側の勝率が圧倒的に高かった。情けない話だが,侵攻側ではほとんど勝てなかった「Team 4Gamer.net」も,防衛側に回った途端,レベルが20近く上のチームに快勝できたという実例もあるのだ。

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戦場を支配する“神”の如き存在

チームを勝利へ導くオペレータ


一見地味なオペレータ画面だが,ここには無限のドラマが詰まっている。これを一度経験すると,以降はロボットアニメに登場するオペレータを見る目が変わるはずだ
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 とまぁ,こうして書くと防衛側が圧倒的有利に思えて,バランス面に不安を抱くプレイヤーもいるかもしれないが……ここで,本作における目玉のひとつである“オペレータ”について言及していこう。
 ハッキリ言って,筆者はこれまでオペレータという存在を舐めまくっていた。「安全なところで好き勝手言ってるだけじゃねーか……」と,拗ねたシンジ君みたいな感想をオペレータに対して持っていた。
 本作ではそんなオペレータの役割でゲームが楽しめるとのことで,当初は「そんなのつまらないんじゃないの?」という先入観を抱いていたのだが……もうね,すべてのオペレータ様に対して土下座したい。無知だった自分を殴りたい。大げさに思われるかもしれないが,これはマジも大マジ。本作におけるオペレータは,それほど重要な役割を担う存在なのである。
 それはなぜか? オペレータモードの画面を見てもらえれば分かると思うが,オペレータはACに搭乗できない代わりに,マップ全体をリアルタイムで見渡すことが可能なのだ。さらにマップ上の好きな位置に,索敵範囲の非常に広いRECONを設置できるうえ,破壊目標や敵ACをスキャンして,詳細なステータスを確認することも可能となっている。

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 とくに本作では,武器の攻撃属性と装甲の防御属性が,AC同士の戦闘において最も重要なファクターとなるので,こちらから常に敵ACの弱点が丸見えになっていると考えると,その戦略的優位性は計り知れない。また,破壊目標にビーコンを設置して味方機を誘導したり,敵ACをマーキングして全員で叩くように指示したりと,オペレータはまさしく戦場を支配する“神”の如き存在だと言える。
 ……もちろん,最大限にオペレータの役割をこなすためには,優れた状況判断能力と,的確に情報を伝える話術が必要だが,もしもそれができるプレイヤーがいた場合,チームにとっては万の兵士にも匹敵するほどの戦力になり得るだろう。

オペレータはある意味,パイロット以上に的確な操作を求められる。一流のオペレータを目指すなら,キーアサインはしっかりと頭に叩き込んでおこう
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 実際,先程「Team 4Gamer.net」は侵攻側でまったく勝てなかったと書いたが,それはオペレータの有用性に気付く前の話。全員がオペレータの指示を聞いて動くようになってからは,何かの冗談かと思うくらい連勝できるようになったのである。それまで全滅惨敗が当たり前だったのが,被害ゼロで拠点を制圧できるまでになったのだ。
 筆者も何度かオペレータの役割を担当したが,その面白さは筆舌に尽くしがたい。言い方は悪いが,「お前らみんな,俺の手の平の上で踊っているんだぜ」という感覚をリアルに体験できるのである。自分のオペレートが功を奏した結果,勝利したときの達成感/連帯感は,ちょっとほかのゲームでは味わえない魅力だろう。
 ただし,オペレータはボイスチャット必須で,さらに最低でも出撃メンバーが3人はいないと,最大限の力を引き出せない。少々ハードルは高いが,ACファンなら絶対に一度は体験しておいたほうがいいので,ボッチ精神が染み付いたレイヴンやリンクスにも,なんとか頑張って戦友を探してほしい。「ARMORED CORE V」は,ACに乗らなくても面白いメカアクションゲームなのだ。


着々と進むブラッシュアップに注目

製品版の仕上がりに期待が高まる


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 CBT開始直後は,フリーズが多発したりマッチングが上手くいかなかったりと,不具合が多発した「ARMORED CORE V」。一時はどうなることかと心配したが,修正後はおおむね快適にゲームがプレイできるようになり,不安要素はかなり少なくなった。思わずCBTだということを忘れてプレイに熱中してしまうほど,ACVの基本部分は魅力的なものだった。
 とはいえ,ゲームバランスに関してはまだまだ甘い部分が見受けられるし,傭兵とボイスチャットができなかったり,テキストチャットがなかったりという仕様について,不満を抱いているテスターも多い。開発チームがそれらの課題を,製品版に向けてどう改善していくかに期待したいところだ。
 とりあえず直近では,7月29日〜8月11日の期間で行われるXbox 360版CBTが,テスターにどう受け止められるかに注目だ。

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