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印刷2010/11/12 00:00

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Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる

AMD Financial Analyst Day 2010の会場となったAMD本社
画像集#002のサムネイル/Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる
 2010年11月10日の記事でお伝えしたとおり,AMDは,現地時間9日に開催された「AMD Financial Analyst Day 2010」で,CPUとGPUを1つのダイに統合したAPU(Accelerated Processing Unit)のうち,「Bobcat」(ボブキャット,開発コードネーム)コアを採用した省電力プラットフォーム向け製品「Zacate」(ザカテ,同)および「Ontario」(オンタリオ,同)の顧客向け量産出荷を開始した。現地時間2011年1月6日から米ネバダ州ラスベガス市で開催される「2010 International CES」で正式発表される予定だ。

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Dirk Meyer氏(President and Chief Executive Officer, AMD)
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APU戦略などを説明するChris Cloran氏(Corporate Vice President and General Manager, Product Group, Client Division, AMD)
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AMD Financial Analyst Day 2010のプレゼンテーションはすべて,Zacateベースのシステムで行われた。このシステムは,9月にあった「Intel Developer Forum 2010 San Francisco」のタイミングで,AMDから報道関係者に公開されたものと同じだ
 AMDの社長兼CEOであるDirk Meyer(ダーク・マイヤー)氏は,ZacateとOntarioのプラットフォームである「Brazos」(ブラゾス)は,すでに100種類以上もの製品に採用されることが決まっているとしたうえで,「2011年の,そう遅くない時期に,これらのAPUをベースにしたタブレット端末も,パートナーから発表されるはずだ」と予告。「(現時点で)7〜8社がAPUベースとなるタブレット端末の開発を進めている。次世代APUでは,その数がもっと増えるだろう」と,低価格ノートPC以外のジャンルでも,高いグラフィックス性能と省電力性を兼ね備えたAPUが注目を集めていることをアピールした。

 また,同社でクライアント向けCPUビジネスを統括するChris Cloran(クリス・クローラン)副社長は,「私がAMDに入社した当時(※2003年)は,幅広く海外展開しているPCベンダーのうち,ノートPCにAMD製CPUを採用しているのは,わずか2社だけだった」と振り返り,ZacateとOntarioが,主要PCベンダーのほとんどに採用がきまったことを「CPU開発においてFusionを進めていくうえで,我々のアプローチが正しかったことを証明するものだ」と自信を見せた。
 Cloran氏は,今後登場するクライアント市場向けCPU戦略を紹介するセッションで,2011年1月に発表予定の複数の製品を披露し,「液晶パネルのサイズでいえば11〜16インチの範囲に,数多くの製品が市場に投入されることになる」と説明。「(主要PCベンダーは)APUを採用し,500ドル前後のノートPCを展開していくことになるだろう」と予告する。

TFE 2010で「Llanoの実働デモ」として披露したのと同じ内容を,Zacate搭載ノートPCで動かして見せたCloran氏。今回のデモは熱設計がシビアな,製品化直前のメーカー製ノートPCで行っているだけに,「Zacateの発熱量が非常に少なく,省電力性にも優れている」という説明もうなずける
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 ここで氏は,10月に台湾で開催された「AMD Technical Forum and Exhibition 2010」(以下,TFE 2010)で「Llanoの実働デモ」として披露したものと同じ,「N-body演算と,3200万桁までの円周率計算,Blu-ray Discの1080pビデオ再生を同時に行う」デモを,同社のパートナーから2011年1月に発表予定となっているZacate搭載のノートPCで披露。この高負荷状況下でも,動画再生支援機能である「UVD 3」の採用によって高解像度ビデオの再生を滑らかに行えるうえ,N-body演算では15〜16GFLOPS程度のパフォーマンスを発揮できるとした

TFE 2010で披露されたZacateのデモにおいて,N-bodyの演算性能は21GFLOPS前後だったことを,記憶している読者も多いだろう。それに対し,今回披露された「TFE 2010におけるLlanoのデモと同じ3タスクの同時実行デモ」では15〜16GFLOPSまで3割ほど落ちているが,これについてデモの担当者は,「3タスクのデモでは,円周率計算におけるCPU側のオーバーヘッドによって,本来のパフォーマンスよりも20〜25%ほど演算性能が落ちる」と説明していた。
 ここで思い出してほしいのは,TFE 2010において3タスクの同時実行を行っていたLlanoが,30GFLOPS程度を示していたことだ。LlanoがN-body演算を行ったときのGFLOPS値は,それより当然高くなる。

 また,同システムで行った,「Internet Explorer 9」の「FishIE Tank」デモでは,「Zacateのグラフィックス機能を活かせば,水槽内を泳ぎ回る魚を250匹にしても滑らかに描画ができる一方,GPUアクセラレーションがないブラウザ環境では『250匹の死んだ魚が表示されるだけ』だ」と,今後はインターネット環境においても,グラフィックス性能が重要になってくると主張する。



■Zacate&Ontarioにはシングルコア版も


 なお,今回のAnalyst Dayで,AMDはZacate&Ontarioの製品名や動作クロックなどは一切公開しておらず,Cloran氏も「1月の正式発表まで待ってほしい」というスタンスを崩さなかった。ただ,

  1. 両APUとも,シングルコア版も用意される
  2. グラフィックス機能は両APUとも同じ(※クロックなどの違いはあると思われる)

と,TFE 2010の時点から一歩踏み込んだ情報が開示された点は,押さえておきたいところだ。

Brazosプラットフォームの概要。ZacateとOntarioの両方にシングルコア版も用意される
画像集#006のサムネイル/Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる
 ところで,TFE 2010においてCloran氏は,「Brazosプラットフォームで,休止状態も含め,1日中バッテリー駆動できる省電力性を実現する」と述べていたが,これは今回のAnalyst Dayで「最大10時間のバッテリー駆動を実現する」という表現に変わっている。
 会場でデモ展示に対応していたAMDの関係者によれば,この「最大10時間」というのは標準的なバッテリー構成時における数字であるとのこと。ZacateやOntarioでは,CPUコアよりもグラフィックスコアの消費電力が大きいため,「3Dゲームなど,グラフィックスにより大きな負荷がかかる処理をし続ける場合,バッテリー駆動時間は大幅に短くなるだろう」(同関係者)。

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AMD Financial Analyst Day 2010のプレゼンテーションだと,BrazosベースのノートPCは最大10時間のバッテリー駆動が可能とされる
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こちらがTFE 2010におけるBrazosのプレゼンテーションスライド。丸1日のバッテリー駆動時間がターゲットとされていた

左は11インチ液晶パネルを搭載したZacate搭載ノートPC。中央は「Eee PC」のZacateモデルだ。右の2台は左から15インチ,16インチ液晶パネル搭載のZacate搭載ノートPC。片方は,日本人にとても馴染みのあるブランドのもののようだった
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Llanoは予定どおり2011年前半の量産出荷

Zambeziは同年半ば出荷に前倒し


Chekib Akrout氏(Senior Vice President, Technology Group, AMD)
画像集#012のサムネイル/Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる
 AMDが「メインストリーム市場」と位置づけるエントリー〜ミドルクラス市場向けAPUとなる「Llano」(ラノ,開発コードネーム)は,2011年前半の量産出荷予定から変更なし。同社で製造技術などを担当するChekib Akrout(チェキブ・アクラウト)上級副社長は,「GLOBALFOUNDRIESの32nmプロセス技術は,順調な立ち上がりを見せ始めた」とAnalyst Dayで述べ,Llanoが当初の予定どおり行くだけでなく,サーバーおよびハイエンドデスクトップPC向けCPUコア「Bulldozer」(ブルドーザ,開発コードネーム)を採用するデスクトップPC向けCPU「Zambezi」(ザンベジ,同)は,2011年半ばには顧客向けの量産出荷を開始でき,第3四半期中には製品を投入できると明らかにした。

 当初,Zambeziは「2011年内の発売が目標」とされていた。「クリスマス商戦に間に合えばいいくらい」とまで言われていたので,それが,「北米市場におけるBack-to-School商戦である8〜9月に間に合うかも」という話になったのだから,これは相当に大きな話だ。


 ちなみに下の写真は,Cloran氏のセッションで公開されたZacate搭載ノートPCをヒキで撮影したときに,本来は撮影が許可されていなかったLlanoが,偶然写り込んでいたもの。これを見るとLlanoは,32nmプロセスへ微細化しながらも,現行のモバイル向けPhenom IIと比べると,格段に大きなダイサイズになっていることを確認できるだろう。
 そのためAMDは,Llanoでも,シングルCPUコア版などの派生品を投入することで,全体としての歩留まり向上を狙っているようである。

先ほど紹介したZacate採用ノートPC×4を引いて撮影したカットだが,写真右下に,偶然Llanoも写り込んだ。3つ並んだプロセッサは左からZacate/Ontario,Llano,Phenom II。なお,余談気味に続けると,それらの隣に置かれているグラフィックスカードは「Cedar」コア(≒ATI Radeon HD 5400)搭載のもの。「Phenom IIと,単体グラフィックスカードと同等のGPUをLlanoで統合する」として,Cedarコアベースのカードが紹介された次第だ。別に「Cedarコアが統合される」と言われたわけではない
画像集#013のサムネイル/Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる

 さて,AMDは今回のAnalyst Dayで,2012年のAPU計画についても,一部を明らかにしている。
 速報的に10日の記事でお伝えしているが,Llanoの後継として用意されるのは,Bulldozerコアを採用した「Trinity」(トリニティ,開発コードネーム)。Trinityでは,Llanoと同じGLOBALFOUNDRIESの32nmプロセスが採用されるが,同プロセスへの最適化やアーキテクチャの改良などによって,省電力化が図られる見通しという。

ノートPCなど,モバイル市場向けクライアントCPUのロードマップ。ここでは,Zacateが最大8.5時間,Ontarioが最大10.5時間のバッテリー駆動が可能とされている
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Don Newell氏(Chief Technology Office, Server, AMD)
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 AMDでBulldozerコアなどサーバー向けCPUの統括するDon Newell(ドン・ニューウェル)CTOは,この改良版Bulldozerコアについて,「省電力性を高めるとともに,より低価格なシステムでもBulldozerの高性能を享受できるようにしたもの」と位置づけている。2012年の第2世代Bulldozerで,新アーキテクチャへの移行を一気に進めていく,ということなのだろう。
 なお,Zambezi後継となるハイエンドデスクトップPC向け製品としては,「Komodo」(コモド,同)も計画されている。

デスクトップCPUロードマップ。メインストリーム市場向けAPUのLlanoは,2012年にBulldozerコアベースのTrinityへ移行する
画像集#016のサムネイル/Analyst Day 2010で明らかになったAMDのAPU&CPU投入計画を整理してみる
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    AMD E-Series,AMD C-Series

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    AMD FX(Zambezi)

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