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「Intel Forum 2011」開催,第2世代Coreプロセッサがもたらすビジュアル・ライフの変革とは
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印刷2011/01/18 21:15

イベント

「Intel Forum 2011」開催,第2世代Coreプロセッサがもたらすビジュアル・ライフの変革とは

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 2011年1月18日,Intelの日本法人であるインテルは,業界関係者向けのイベント「Intel Forum 2011」を開催した。CESなどに合わせて発表された新製品を日本で正式発表するとともに,年始の方針などを発表する毎年の恒例行事となっているイベントである。
 今回は,インテル代表取締役社長である吉田和正氏によって「新しいビジュアル・ライフの提案」と題し,2011年1月6日に発表された第2世代Coreプロセッサを中心としたライフスタイルなどが語られた。

インテル代表取締役社長 吉田和正氏
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 冒頭,吉田氏は,「83%」という数字を示し,これは人間の知覚のうち,視覚が占める割合と説明。人間は多くの情報をビジュアルで捉え,表現する。また,コミュニケーション上でもビジュアル表現は多用され,ビジュアルの共有が重要になってきていると続ける。
 次に,吉田氏は,現在のコミュニケーション手段の主流はインターネットであるとして,全世界で20億人を超える利用者がいて,現在も増え続けていること,とくにインターネットでのビデオの利用率の高さに注目し,毎月視聴されている動画数は122億に達し,ネットワークトラフィックの90%はビデオ利用に使われているという事実を挙げた。映像を用いることでコミュニケーション自体も変わりつつあるようだ。
 そして,そういったビジュアルなインターネット体験の中心となる機器はPCであるとし,優れたビジュアル体験には高性能なPCが欠かせないとの考えを示した。

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 ハイパフォーマンスなPCは臨場感のあるビジュアルを手軽に作り出し,それが当たり前のようになってくると,より多くの人と共有したいという思いも強くなるという。ハイパフォーマンスと優れたビジュアルとの融合によって,「リアルとデジタルの境界を越えるユーザー体験」が可能になり,新しいコミュニケーションの世界が広がると,吉田氏は語り,その第1歩となるのが第2世代Coreプロセッサ群であるとした。

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 コードネームSandy Bridgeで知られるインテルの第2世代Coreプロセッサ群は,コードネームNehalem(&Westmere)で知られた旧世代アーキテクチャに比べ,飛躍的な性能向上を果たしているというのは,すでにベンチマークテスト記事などでお伝えしてるとおり。

 新世代プロセッサのもう一つの特徴は,CPUと同じダイ上に改良型グラフィックスコアを搭載していることである。まさに,パフォーマンスとビジュアルの融合を実現した製品というわけだ。その融合した状態を,インテルは「Visibly Smart」と呼んでいる。

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 まず,パフォーマンスはどれくらい上がっているのかを3年前のPCと比較した。比較として挙げられたのは,ノートPC用CPUでの例でCore 2 Duo T7250/2.0GHzとCore i7-2720QM/2.2GHzをSYSMarkで比べた結果だ。その性能差は,実に3.6倍にも達している。
 両製品の標準動作クロックの違いはわずかなのだが,Core i7-2720QMのほうはIntel Turbo Boost Technology 2.0によって,最大3.3GHzまでクロックが上昇する。コア数の違いとクロック上昇分などで大きな差がついた模様だ。同様に,1年前の製品であるCore i7-8400QM/1.86GHzとの比較でも60%の性能向上を果たしていることなどが示された。
 
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 吉田氏は,こういったパフォーマンスが生かされる例として,ビデオエンコードを挙げ,エンコードが従来の1/5の時間で終わるのは非常にスマートであり,そういった「速さ」はユーザーの満足感につながり,高いユーザビリティを実現できるとした。

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 続いて,ビルトイン・ビジュアル部分のデモンストレーションとして,オンラインゲームが取り上げられ,カプコンの「モンスターハンター フロンティア オンライン」(以下MHF)「絆」ベンチマークの実行例が示された。このベンチマークテスト自体は,ゲーム自体のパフォーマンスを示すものとは言いがたい面もあるのだが(実はゲームより重い),このテストが滑らかに動くPCであれば,MHFは間違いなく快適にプレイできる。
 もともとMHF自体は,旧来のインテルチップセット内蔵グラフィックス機能でもそれなりに動くものだったのだが,ベンチマークテストのほうで,どの程度動くのかは,ぜひ下の動画をご覧いただきたい。


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 ちなみに,テストスコア自体は,Core i7-2600K/3.4GHzで2700程度の値になるようだ(1280×720ドット時)。まあ,高性能GPUと比べると一桁違う値なのだが,実際のゲームプレイでは十分なパフォーマンスといってよいだろう。同等のグラフィックスコアがノートPCなどにも搭載されるため,オンラインゲーム環境の底辺は,今後かなり底上げされるものと思われる。

 2番めのデモとして行われたのは,動画を編集,エンコードしてYouTubeにアップロードするというもの。ここで使われたのは,LoiLoの「ロイロスコープ2」というツールだ。


 LoiLoのツールというと,どちらかといえば,NVIDIAのCUDAを使った高速エンコードをウリにした製品だったのだが,インテルの発表会に現れたのには驚かされた。しかも,資料によると,GeForce GTX 480搭載PCでのCUDA使用時よりも格段に速いという衝撃的な結果が示されている。

ロイロスコープ2の発表資料より。なお,Sugar BayはデスクトップPC向けプラットフォームのコードネーム,Huron RiverはノートPC向けプラットフォームのコードネームのこと。現在,ロイロスコープ2は,同社公式サイトでβテスター募集も行われている
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 演算器の数だけ考えると,およそありえない結果なのだが,話を聞いてみると,CUDAではPCI Expressの部分がボトルネックになることと,新CPUではビデオエンコード専用の仕組みが用意されていて,その部分がかなり効いているとのこと。
 ビデオ編集ソフト関係の他社に話を聞いても,CUDAなどでは10%〜20%程度の性能アップなのだが,第2世代Coreプロセッサでは,最大12倍程度の高速化が実現できているとのことで,このあたりは競合製品と比べても突出しているという。
 ちなみに,新命令群のAVXの影響について聞いてみたのだが,AVXはビデオエンコードでは使われないそうで,ゲーム関係で使われてくるのではないかとのことだった。


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 3番めのビジュアル新体験のデモでは,インテルのワイヤレスディスプレイ技術が示され,離れた場所に置かれた大画面テレビに,ノートPCの画面を映し出す実演が行われた。インテルのWiDi技術では,フルHDの動画をワイヤレスで転送できるという。
 遅延などは不明なので,ゲーム用途では微妙かもしれないが,大画面テレビの普及が進んでいる現在,ノートPCなどで面倒な配線なしに大画面が利用できるというのは魅力に感じる人も多いのではないだろうか。

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CPUパフォーマンスの向上が実現したスカイツリーの照明シミュレーション


シリウスライティングオフィス 代表取締役 戸恒浩人氏
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 続いて,ゲストとして,シリウスライティングオフィスの戸恒浩人氏が登壇し,ライティングでのビジュアル作成について語った。氏は,東京スカイツリーのイルミネーションデザインを担当しており,このような大きなプロジェクトでは,出来上がり以前の時点で仕上がりイメージを公開してコンセンサスを取ることが非常に重要になるという。
 建築物のCGによる事前景観シミュレーション自体は,さほど目新しい分野ではないのだが,今回のような無数ともいえる多数の光源を扱うシーンでは,必要な演算量が桁違いになっているものと推測できる。戸恒氏は,PCの高性能化によって,以前にはできなかった精密なシミュレーションが行えるようになってきたと語る。

 ゲームとはまったく関係ないのだが,せっかくなので,スカイツリーのイルミネーションコンセプトなども紹介しておこう。
 戸恒氏は,東京スカイツリーの照明をデザインするに当たって,単に綺麗なだけではなく,メッセージ性のあるものを目指したとのこと。スカイツリーについてのキーワードとなる「江戸」らしさについて考えたところ,それは人に帰結するという。江戸っ子の「心意気」と「美意識」が江戸らしさの根源であるとしている。この二つの要素をそれぞれ「粋」と「雅」という二つの言葉に置き換え,2通りのコンセプトのライティングデザインが作られている。

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 まず,「粋」では,タワーの内側に光を当て,タワーの基本構造を見せた力強いイメージ。光の色としては,隅田川の水や藍染の法被をイメージしたブルーを基調としているという。
 一方「雅」では,タワーの外側から光を当てる柔らかいライティングが行われるという。北の一角からのみ,紫色のライトを照らしてアクセントを付け,全体的に金箔のような黄金色をまぶした上品な仕上がりだ。

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 粋と雅は,日ごとに切り替えられ,「今日は粋ですから,明日は雅が見られますよ」といった観光客とのコミュニケーションにつなぐことも考慮されているという。
 また,江戸の景観に欠かせないものとして富士山を挙げ,富岳三十六景に見られるような街の風景の向こうに見える富士の姿のように,建物の間から垣間見えるスカイツリーを意識したライティングが行われるという。富士の冠雪をイメージした白色光のライティングはライトアップではなく,頂上からのライトダウンによって行われる(かなり珍しい手法とのこと)。

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 こういったデザインは,PC上でのシミュレーションをもとに設計を行っていたわけだが,昨年の10月に一度だけ実証実験を行っている。そのときのシミュレーション画像と実際のスカイツリーの画像が示された。

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 ご覧のとおり,シミュレーションの精度はかなり高いといってよいだろう。

 時期的に考えると,スカイツリーのライティング設計にインテルの第2世代Coreプロセッサが使われたというわけではないのだろうが,PCパフォーマンスとビジュアルの融合によってもたらされる成果だという意味では,ある意味象徴的な事案といえるだろう。
 氏は,非常に正確なシミュレーションができるようになったことで,思い切ったデザインができるようになったことを挙げ,PCのパフォーマンスの進歩が,今後の街の「夜を変える」ことになると,インテルに対する期待を語っていた。


新CPUのビデオエンコード能力を生かすには


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 さて,昨年のIntel Forumではソーシャルネットワークとリッチコンテンツなどを中心に新しいライフスタイルが提案されたのだが,今年はそれがさらに具体的な話になってきた感じだ。はっきりいって,インテルでもネットワークブラウズ専用機では,Atomなどの低スペックCPUで十分としているとおり,ネットワークコンテンツでCPU性能がどれくらい必要かというと,ほとんど必要ではないというのが実際のところだろう。
 コンテンツ作成者側の視点でもCPUパワーが必要なのはビデオエンコードくらいのものだったのだが,今回の第2世代Coreプロセッサは,まさにその部分を中心にチューンされたような製品となっている。
 第2世代Coreプロセッサの全体的なパフォーマンスの高さは,すでにベンチマークテストでも明らかなとおりだが,4Gamerではゲームベンチしか取らないので,これらの製品の真に核心的な部分には,ほとんど触れられていなかった。これまたゲームにはあまり関係ない部分なのだが,ちょうどよい機会なので注意点を含めてざっと紹介しておこう。

 今回の第2世代Coreプロセッサ群は,デモで示されたような,ビデオ編集→エンコード→アップロードといった流れを強く意識した製品構成になっているといえる。よって,第2世代Coreプロセッサの真価を見るにはビデオエンコード能力を比べるのが手っ取り早い。
 さて,新世代のCPU内蔵グラフィックス機能は,旧世代のインテルチップセットの内蔵グラフィックス機能よりはかなり高速になったとはいえ,ちょっと前のエントリーGPU程度,4Gamer読者の平均的なGPUよりはかなり劣るため,あまり注目していない人も多いと思われるが,まさにその部分がビデオエンコードで利用されるので,ビデオエンコード用途が多い人は,内蔵グラフィックスコアにも注目したほうがいいだろう。
 ただし,注意点が一つ。そういった機能を使用するためには,利用できるチップセットが限定されるのだ。最新世代の多くのマザーボードで使われているP67チップセットでは,ハードウェアエンコーダ(GPU相当部分を使ったエンコード)は使用できない。H67チップセット搭載マザーボードが必要になる。現在,多くのゲーマー向けPCでは,当然のように外部GPUを利用しているため,ほとんどでP67チップセットが使われている。まあ,ゲーム用に普通に組めば,P67を使うことになるだろう。とはいえ,最近では,ゲームのプレイ動画を公開するといった動きもないではない。そういった用途ではビデオエンコード能力も問われることになるので,H67チップセット搭載製品を選ぶのがよいだろう。単にゲームをプレイするだけなら,P67でまったく問題はない。
 また,H67使用時でも,インテル内蔵グラフィックス機能がプライマリ出力に指定されていないと,エンコードアクセラレーションは利用できない。グラフィックスカードを搭載して,ゲーム時にそちらを使うのはよいのだが,ビデオエンコード時にはプライマリ出力を切り替える必要がある。

 第2世代Coreプロセッサは,ゲーム用途でも高いパフォーマンスを発揮するのでゲーマーにとっても優れたCPUだが,それだけだとその真価が発揮されているとは言いがたい。今後は,ゲームの新しい楽しみ方として,プレイ動画の編集などにも手を伸ばしてみるのもよいのかもしれない。

第2世代Coreプロセッサを搭載したPCを販売している国内パートナー代表達
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  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)

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