インタビュー
「大神伝 〜小さき太陽〜」発売記念。店頭抽選会を訪れた江城プロデューサーと松下ディレクターのショートインタビューを掲載
店頭抽選会は,以前「こちら」の記事でお伝えしたように,同店で「大神伝」を買った人を対象に,北乃きいさんの直筆サイン色紙をはじめとした賞品が抽選で当たるというもの。
今回は,この店頭抽選会を訪れた本作のプロデューサーの江城元秀氏と,ディレクターの松下邦臣氏に,合同ではあるがインタビューをさせてもらった。発売日を迎えた感想をはじめ,「大神伝」にまつわるいろいろな話を聞いたので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
――「大神伝」が本日,発売日を迎えた感想を聞かせてください。
松下氏:
感無量ですね。抽選会が始まるちょっと前から見させてもらっていたのですが,皆さんが買ってくださって嬉しいですね。これから家に帰って遊んでもらえればと思います。本当にありがとうございます。
江城氏:
本当に,かなり長いことお待たせして申し訳なかったのですが,ようやく発売日を迎えられたということで,まずは一安心しています。また,今日は天気が悪いにもかかわらず,朝からたくさんの方に来店していただいて,ありがたいなと思います。
あとはもう,しゃぶり尽くすように遊んでもらえればと(笑)。かなりしっかり作り込んでいるんで,必ず満足のいく内容になっていると思います。遊んでいただいて,意見などもらえれば。
――楽しんでもらいたいポイントはどこですか?
江城氏:
「大神」ファンの方には,コントローラから進化した部分で,やっぱりタッチペンの「筆しらべ」がどれだけやりやすくなっているかを見てほしいですね。あとは携帯ゲーム機で大神の世界がどれだけ再現されているか,自分の目で直接確かめてほしいところがあります。
松下氏:
「大神」のいいところは引き継いで,「大神伝」ならではという要素も入れていますので,そのあたりを意識してもらえれば,より楽しめるんじゃないかなと思います。DSなので,いつでもどこでもチビテラスに会えます。これからずっと,一緒に過ごしてもらえればと。
――「大神伝」は,「大神」のプレイ経験がなくても楽しめますか?
江城氏:
もちろんです。冒頭で「大神」の流れを説明する部分があります。また,いわゆるチュートリアルステージではなく,実際に話を進めながら,自然に操作が覚えられて,ゲームの世界に入っていけるように作っていますので,そこは安心してもらっていいと思います。
松下氏:
実際のゲームの流れ自体も,大神を知っていたらニヤッとできるところはあるんですけど,知らなくても普通に1本のお話として入っていけます。「大神伝」のあとに「大神」をやってもらうと,「こんな裏設定があったんだ」と,より深く知ることができます。「大神伝」から入ってもぜんぜん大丈夫です。
江城氏:
「こんなゲームだったんだ」と知ってもらってから,据え置き機のほうに移行していただいてもかまいません。「大神伝」が大神の世界の入り口になったら,作り手としてすごく幸せですね。
先日のブロガーミーティングでも,普段あまりゲームをコアに遊ばない方が多かったので,最初は戸惑われていたのですが,ゲームの内容や操作を説明させていただいたら,とくに筆しらべなどで,すごくいい反響をもらえました。普段ゲームをされない方でもすんなり入っていけたので,すごく間口の広い作りにできたのかなと思いました。
――今日購入された方では女性が目立っていましたが,そのあたりは想定されていたのでしょうか?
江城氏:
開発としては,女性ユーザーを狙ったというわけではないんですけど,東京ゲームショウなどのイベントに出展したときも,女性ファンから「すごく可愛らしい」という声はいただいていました。
今回は,アマテラスの子供である「チビテラスを使った遊び」を作ることと,物語的に「子供同士の絆を描く」という部分を意識して制作しました。
チビテラスをどれだけ子供の狼っぽく作れるかにこだわった結果,可愛らしくできたので,そこに女性ファンの方がすごく反応していただいているのは,嬉しいですね。
松下氏:
動物っぽくないことをすることもありますが,リアルな線を狙って作り込んだ結果,可愛いと思ってもらえるのは,本当にありがたいなと。まあ,ところどころ「狙った」ところはありますけど(笑)。
江城氏:
「大神」というタイトルをよりたくさんの人に知ってもらいたいというところで,ニンテンドーDSを選んだという部分もあります。ですから,普段あまりゲームを熱心にしない女性の方にも購入していただいて,間口が広がったら嬉しいですね。
松下氏:
また,DSのチビテラスで,より大神の世界に広がりが出たら嬉しいですね。
出だしは「タッチペンでやりたい」というだけだったんですが,面白いことできないかなというところで,アマテラスの子供にして,半人前だから相棒を出して,半人前同士で一人前になる……という形に広がっていったんです。
――今回「大神伝」では,グッズを制作する「神頼み」企画が行われましたが,反響はどうでしたか?
江城氏:
タイトルが発売される前から,「ファンの方にグッズを提供したい」という思いで,新しい試みとして挑戦しました。やはり,ユーザーさんに「こういうものが欲しい」という声をいただいてからだとスパンが空いてしまいます。ファンの方と一体になって「大神伝」を盛り上げられないかなと思い,事前にリクエストを取って,要望の大きかったグッズを出していこうと。やはり,反響は大きかったですね。
実際に,先日のブロガーミーティングで抱き枕とかスリッパをお披露目させていただいたんですが,「可愛らしい」「ぜひ欲しい」という声をいただきました。
おかげさまで,抱き枕などはかなり好調で完売状態になっています。現在,追加生産の準備を進めているところです。
松下氏:
多少は修正した部分もあるんですが,基本的に僕らは口出しをしていないので,ほぼユーザーの意向に沿ったものを提供させてもらった感じです。
――お二人が個人的に欲しいものはありましたか?
江城氏:
圧倒的に抱き枕ですね。
松下氏:
個人的に,イーカプコンで二つ注文しました(笑)。
江城氏:
担当しているスタッフが大の「大神」好きで,細部までこだわって作ったので,購入してくれた方は,必ず満足していただけると思います。
松下氏:
僕らが口出しするところは,ほとんどなかったくらいです。自信を持ってオススメできます。
――現在,「大神伝」の体験版がWi-Fiとニンテンドーステーションで配信中ですが,これらの内容はどのようなものになっていますか?
江城氏:
Wi-Fiの配信版では,容量の制限があるので,「大神伝」の本当に基礎の基礎となる部分を体験できるものになります。本編を購入していただくと,内容は全然違います。
松下氏:
容量を抑えるために,やむなく動きやサウンドなどでクオリティを犠牲にしている部分もありますので,体験版ではゲームの面白さだけでも理解していただければと。製品版をプレイしてもらえれば,もっとクオリティが高いことを理解できると思いますので。
江城氏:
また,Wi-Fiではなく店頭でダウンロードできる体験版では,ワールドホビーフェアなどのイベントで出展したもののうち,基本編の部分を遊べるようにしました。Wi-Fiで遊んで「もうちょっと知りたい」と思った人は,ぜひダウンロードしてください。
松下氏:
店頭でダウンロードできるほうは,イベントに出展したものと微妙な違いがありますが,クオリティとしては本編に近いものになっています。
――ちょっと気が早いですが,「大神伝」はシリーズ化の可能性はありますか?
江城氏:
やはり今後の展開に関しては,ユーザーの反響による部分が大きいんですね。「続編をぜひ遊びたい」「もっとほかの『大神』ができないのか」といったご意見がカプコンに届けば,必ず開発の耳にも入ります。そうなれば,プロデューサーとしては皆さんの声に応えたいという思いで動いていけます。
まずは「大神伝」をしっかり遊んでいただいて,面白ければぜひ反応を。
松下氏:
面白いという自信はあるんですけど,「面白くない」というご意見も込みで(笑),叱咤激励の声など,何かしら寄せていただければと思います。
江城氏:
僕個人としては,会社がOKしてくれれば,「大神伝」自体はもっと世界を広げていけると思っています。今もお話ししたように,あとはもうユーザーの声が大きな力になると思います。
――ちなみに,先日発売日が発表されたニンテンドー3DSでの開発には興味がありますか? 個人的には,3Dのチビテラスを見てみたいと思ったのですが。
江城氏:
松下とも話しているのですが,クリエイティブをやっている人間としては,ニンテンドー3DSというハードで何か作ってみたいという思いはあります。その手始めが「大神伝」になったとしたら,すごく嬉しいですね。
松下氏:
やはり「3DSで」という夢はありますので。
江城氏:
ぜひとも皆さんの応援をお願いしたいですね。
――面白かったという人は,ぜひ意見を送ってほしいわけですね。
江城氏:
そうですね,「面白かった」というご意見は,満足していただけたという指針になりますし。また,「こうしてほしかった」という希望や不満点も送ってもらえると,次につなげていくうえで役に立つと思います。
――では最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
松下氏:
「大神伝」は,2009年のTGSで発表して以来お待たせしてしまいましたが,自信を持ってお届けできる内容にできたと思います。ぜひプレイをしていただいて,カプコンまで意見をお寄せいただけるとありがたいと思いますので,よろしくお願いします。
江城氏:
ようやく発売日を迎えられました。お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。松下も言いましたが,そのぶん内容は自信を持ってお届けできるものになったので,「大神」ファンの方はもちろん,少しゲームから離れていた方も,これをきっかけに手に取っていただきたいです。
チビテラスの可愛さに癒されてみたりとか,本当にいろいろな遊び方があると思います。「大神伝」の世界を堪能していただけたら,作り手にとってこれ以上嬉しいことはないので,よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
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