インタビュー
あのLivly達が,さらに生き物っぽく! DS「Livly Garden」開発陣に本作の魅力を聞いた
プレイヤーが課せられるのは,Livly Island CORに登場する不思議な生き物「Livly」の飼い主としての使命。
Livlyが暮らすガーデンで植物を育て,その植物に引き寄せられてくる虫を捕まえ,その虫をLivlyに食べさせることで,Livlyを成長させていくというのが,ゲームの大まかな流れである。
ガーデンの中に小さなビオトープ(生物生息空間)を作りながら,Livlyとの暮らしを楽しむ作品と言ってもいいだろう。
ここでは,ソネットエンタテインメントの菊池 大氏(プロデューサー),マーベラスエンターテイメントの高木謙一郎氏(プロデューサー),開発を担当したブラウニーブラウンの亀岡慎一氏(プロデューサー兼ディレクター),そして同じくブラウニーブラウンの津田幸治氏(アートディレクター)へのインタビューをお届けする。
「Livly Garden」公式サイト
Livly達に触れたい。そんなニーズに応えるための作品
4Gamer:
今日はよろしくお願いいたします。
まずは,PC用育成型コミュニケーションサービス「Livly Island COR」を,ニンテンドーDS用ゲームにした理由を教えていただけますか?
ソネットエンタテインメントとして,これまでPC版Livlyのサービスをやってきたんですが,これをより多くの方達に愛してもらうために,どんな方法があるだろう? というミッションがあったんです。
こういうときの考え方としては,アニメ化や漫画化,そしてゲーム化などが一般的だと思うんですね。
4Gamer:
どれも実現可能性が高そうなものですよね。
菊池氏:
ええ。ただ,それを形にしていくにあたっては,PC版Livlyのユーザーのニーズを無視できません。
これまでに寄せられてきたニーズを見ていくと,Livlyともっと触れ合いたい,なでてあげたい,そういうものが多いんです。やっぱり皆さん,Livlyをただのキャラクターとしてだけでなく,ペットとして愛してくださっているんですよ。
4Gamer:
触れ合う,なでる……というとやはり,DSだろうということですか?
菊池氏:
端的に言ってしまうと,そういうことですね。
4Gamer:
ソネットエンタテインメントなら,なぜ同じグループが出しているPSPではないのか? という声もあると思うんですが。
菊池氏:
ああ,言われますね(笑)。
Livlyを愛してくださっている皆さんのニーズが,Livlyを持ち運んで楽しみたいというだけのものであれば,PSPでもDSでも,それこそ携帯電話でも構わないと思うんです。
でも,触れ合いたい,なでたいとなると,DSというプラットフォームが最も適しているというのが,その理由なんですよ。
4Gamer:
では,内容を決めていったのは,そのあとということですか?
菊池氏:
ええ,そのあたりから高木さんと相談を始め,ブラウニーブラウンさんとも出会いました。そこで,“ビオトープ”という企画が生まれたんです。
4Gamer:
そのあたり,もう少し詳しく教えていただけますか?
菊池氏:
PC版Livlyって,人と人のコミュニケーションを主軸に置いた遊びなんですね。でもそれをそのまま,DSというプラットフォームへ持って行くのは難しいですから,単体のゲームとして楽しんでもらえるものに生まれ変わらせる必要があったんです。
4Gamer:
DSの場合,常にインターネットにつながっているわけでもないですし。
菊池氏:
コミュニケーションの部分がなくなってしまったら,ちょっとLivlyに触れられるだけで,ゲームとしての楽しさがありませんよね。そこで,Livlyの世界観や設定を見直しながら,模索したんです。
例えば,Livlyは植物が好きで,緑のアイランドの中に住んでいて,自然と関わる生き物です。ここを広げていきたいとなったときに,ブラウニーブラウンさんからビオトープのアイディアをいただきました。
実はもともと,ビオトープの企画で温めているものがあったんです。
Livlyのお話をいただいて話し合いを進めている中で,そういえばあの企画とLivlyは相性が良さそうだということになりまして。
4Gamer:
偶然というか,ある種の運命的な出会いがあったんですね。
津田幸治氏(以下,津田氏):
それに,今の時代ってエコロジーだとか,そういったものに関心が集まってますよね。
自然や生き物を大事にするという内容であれば,時代の流れにも合うのではないか,といったことも考えました。
菊池氏:
ビオトープの中のピースとしてLivlyを当てはめたとき,Livlyが持つ生き物っぽさが更に増すだろうという狙いもあったんです。
実際,ビオトープの中にLivlyがいる状態を見ると,凄く生き物らしさが増した感じがして嬉しかったですよ。
4Gamer:
開発期間はどれぐらいでしたか?
亀岡氏:
出会いが2年前で,開発自体は1年半ほどかかりましたね。
津田氏:
部分部分で何度か作り直したところもありましたしね。
インタフェースなんかはとくに,最初のうちは作っては壊し,作っては壊しの繰り返しでした。
亀岡氏:
基本的にシミュレーションゲームなので,ちょっとマニアックな作りになっちゃうんです。それをライトなプレイヤーにも遊んでもらえるように,調整してきました。
4Gamer:
インタフェースといえば,どこかPCのマウス操作っぽいような印象を受けたんですよ。クリック,ダブルクリック,ドラッグ&ドロップみたいな感じで。
それはやはり,PC版Livlyの操作に慣れている人が,違和感なく遊べるようにと配慮した部分です。PC版Livlyを遊んだことがなくても,PCの操作に慣れていれば感覚的に分かりやすいと思いますし。
4Gamer:
なるほど。
ちょっと新鮮だったのは,「わざ」を発動するときも,アイコンをLivlyに持って行かないといけない部分なんです。この操作って,簡略化しようとすれば,アイコンをタップさせるだけで済みますよね。
津田氏:
そうですね。今の形にしているのは,ゲーム内のほぼすべての操作を共通のものにしようという狙いがあるからなんです。
場面によって操作方法が大きく変わるようだと,混乱を招いてしまいかねませんから。
4Gamer:
ああ,そういう意図だったんですね。個人的には,「じゃあ,『小さな太陽』お願いね」みたいな,アナログな指示っぽさを出そうとしているのかなと思っていました。
亀岡氏:
あ,もちろんそれも狙っていますよ。
高木謙一郎氏(以下,高木氏):
よろしく! って感じですよね(笑)。
「Livly Island COR」以上に,“生き物らしい”Livly
そのあたりも含めて,Livly Gardenという作品では,Livlyの“生き物らしさ”が重視されているということですね。
菊池氏:
ええ。そこだけは本当に気を使いました。そうでなければ,遊んだ人達に愛してもらえないと思うんですよ。
4Gamer:
それもやはり,PC版Livlyのユーザーが,Livlyをペットのように可愛がっているというのが前提にあるんでしょうか。
菊池氏:
ええ,皆さん「うちの子が一番可愛い」って,愛情を注ぐ対象としてキャラクターを見てくださっているんですよね。ですから,より生き物らしくするというのが,進化の方向性として正しいだろうと考えたんです。
4Gamer:
Livlyを生き物っぽくするうえで,作り手として難しかった部分はありますか?
亀岡氏:
いろいろありましたね(笑)。
とくにPC版Livlyって,チャットをするときにLivlyが喋る形なんです。これをどうするかという部分は,けっこう悩みましたね。
でも結果的に,DSではLivlyの中で独立した完全な生き物という扱いにしようということで落ち着いたんです。
4Gamer:
生き物……というと,Livlyって死んでしまうことがあるんですよね。
菊池氏:
1週間ぐらい放置していると……。
企画段階では,Livlyを死なないようにしようという話もありました。ただ,そもそもPC版Livlyでも死ぬことがあるんですよね。それを考えると,PC版Livlyよりも生き物っぽくしようとしているところで,死ななくしてしまうのはちょっと違うのではないかと。
菊池さんはそこをとくに強調してましたね。
亀岡氏:
電源を切っている間も時間が流れているというところで,生き物感を! って。よくぶつかってました(笑)。
菊池氏:
だってねぇ,何年も放置したあとで久々に電源を入れたら,前と同じテンションで懐いてくれるのって,妙じゃないですか。
それはそれでプレイヤーは嬉しいのかもしれないですけど,そこよりもう一歩踏み込みたかったんですよ。
4Gamer:
ただまあ,電源を切っている間も時間が流れていて環境が変わるといった仕組みを持つゲームって,最近の流れではありますよね。
亀岡氏:
やっぱりプレイ時間が短くなっているというのがあるんでしょうね。
なので,遊んでいない時間でもゲームの中では変化があって,ときどき電源を入れてみるとその変化を確認できて楽しいというものが,受け入れられるようになった気がします。
4Gamer:
そういう時代の流れのようなものは,ゲームの作り手として意識していますか?
亀岡氏:
意識しますね。今のプレイヤーがどういうものを求めているかという意味で。
それこそ,「トモダチコレクション」には衝撃を受けましたね。僕らからすると,あれを“ゲーム”と呼んでいいのか分からない部分もあるんですが,ここまで反響を呼んでヒットするということは,プレイヤーが求めているものが変わってきているんだなと思いますし。
4Gamer:
昔ながらのゲームに慣れ親しんだ者からすると,ちょっと不思議な現象ではありますよね。
亀岡氏:
あの企画をどうやって通したんだろう? っていうところから不思議なんですよね。文章で説明されても,伝わらないものだと思うんですよ。「電車でGO!」も,どうやって企画をとおしたのか不思議だったんですが,それ以来です(笑)。
菊池氏:
トモダチコレクションって,まさにソーシャルゲームだと思うんですよ。ソーシャルゲームをDSで再現したというコンセプトからして,これを考えた人の頭は凄いなって感心しますね。
本来のソーシャルゲームは,友達との関わりをベースに遊ぶものですが,これをDSの中で完結させたというのは……,いやほんと感心します。
4Gamer:
ああ,でもそう考えてみるとビオトープというコンセプトも,どこかソーシャルゲームっぽい部分はありますね。電源を切っている間も,環境が変化し続けているという点も含めて。
菊池氏:
それはやはり考えましたね。
PC版Livlyって,立ち上げっぱなしにしてほかの作業をしつつ,音が鳴ったら「お,誰かが来たからお話ししよう」みたいな遊ばれ方をしているケースが多いんです。
だからLivly Gardenに関しても,起動させた状態で脇に置いていただいて,ときどきチェックしていただくようなものにはしたかったんですよ。
4Gamer:
でもそう考えると,Livly Gardenに関しては,なんだかんだでずっと操作したくなっちゃうようなシステムになっていませんか?
急がなくてもいいのは分かりつつ,早く植物を成長させる小さな太陽を使いまくってしまったり。
ああ,ありますね(笑)。
4Gamer:
のんびりやっても大丈夫なのは分かっているし,しばらく電源を切っておいたあとで,植物が成長しているのを確認する楽しさも理解できるんです。なのについつい,数時間単位であれこれいじってしまいたくなるというか。
菊池氏:
もちろん,そうやって遊んでいただいても全然構いません。ゲームに慣れた方であれば,むしろそうやって一生懸命になって遊べるだけのものにはしているつもりです。
4Gamer:
いわば多様なプレイスタイルに対応しているということですね。
登場するLivlyは,全52種類(うちDSオリジナルが3種類)
4Gamer:
Livly Gardenが,PC版Livlyとは異なるコンセプトであるということは分かりました。逆に,この二つで共通している点はどこにありますか?
まず,Livlyとは何か? といった設定や世界観は共通しています。ミュラー博士はミュラー博士ですし。ただしLivlyを飼う環境が異なっているために,いろいろと違う部分もありますよ,ということなんです。
生き物としてのLivlyは,DSだからといってお菓子を食べるようになっているわけでもなく,PC版Livlyと同じように虫を食べますし。あ,モンスターが襲ってくることもありますね。
4Gamer:
虫を食べるという設定,よくよく考えると相当ぶっ飛んでますよね。
菊池氏:
ですよね。とくにLivly Gardenではかなりの量の虫を食べさせることになります。中には,自分の可愛いLivlyに,こんな虫を食べさせたくない! っていうものもありますけど(笑)。
津田氏:
しかも虫を食べると,ドゥードゥーという宝石が出てくるというのも,冷静に考えると凄いですよね。
高木氏:
そうそう,Livly GardenのCM(関連記事)は,Livlyのお尻からプリッと出るドゥードゥーを人間が拾うCMなんですが,うちの妻が「可愛い!」って喜んでましたね。下の世話は究極の母性愛だという話を延々語りながら(笑)。
菊池氏:
うちの子供も二歳なんですが,人間がドゥードゥーを拾うシーンが大好きなんですよ。もう「うんこ拾うのが見たい! うんこ拾うのが見たい!」っていうコールがひどいことになってしまって(笑)。
津田氏:
うちの子もこのCMを見たら,やみつきになりそうです。
菊池氏:
そういう意味では,PC版Livlyは女性がメインのユーザーでしたが,DSでは子供達にも興味を持ってもらえるといいなとは思っています。
4Gamer:
な,なるほど。まさかうんこ話で盛り上がることになるとは……。
話をちょっと戻しちゃいますけど,PC版Livlyとは登場するLivlyも共通しているんですよね?
ええ,PC版Livlyと同じものが49種類,DS独自のものが3種類の合計52種類がいます。
現在,PC版Livlyでも52種類のLivlyがいるんですが,開発期間などの関係で,最新の3種類に関してはDS版には入っていません。
4Gamer:
あ,でもDSオリジナルのLivlyは,PC版Livlyに登場するんですよね?
菊池氏:
ええ,DS版の予約者限定なんですが,「トランシロンカード」というものを3枚セットでプレゼントしています。これをPC版Livlyで使えば,DS限定のLivlyを飼えるようになるわけです。
4Gamer:
あ,じゃあPC版LivlyでDS限定のLivlyを飼っている人がいたら,その人はLivly Gardenのプレイヤーでもあるってことですね。
菊池氏:
そうですね。DS版のプレイヤー同士ということでも,交流していただけると嬉しいです。
4Gamer:
ただそうなると,その逆ができないのは残念ですね。ハードウェアの仕様上,しょうがないことだとは思いますが。
高木氏:
でも,もし次にそういう機会があったら,チャレンジしてみたいですよね。その頃にはプラットフォーム環境もいろいろと変わっているでしょうし。
4Gamer:
グラフィックスに関してもおうかがいしたいんですが,Livlyなどのキャラクターは,基本的にPC版Livlyを踏襲したものですよね。
DSの解像度を考えると,苦労されたのでは? と思うのですが。
津田氏:
ええ,けっこうたいへんでしたね。
PC版LivlyはPC版Livlyで完成したものですから,既存のLivlyの場合はとくに,イメージを崩さない形で出してあげたいと思いましたし。
最初,3Dでピグミーを作ってみたんですが,なんかピグミーじゃないんですよ。社内にいたPC版Livlyのコアユーザーである女の子達からも,「これはピグミーじゃない」なんて言われてしまいましたし。やっぱりちょっとカクカクした感じになっちゃうんですよね。
菊池氏:
でも見事に再現していただけたと思いますよ。
DS版LivlyはPC版LivlyよりLivlyのモーションも多いですし,後ろ姿や正面のように,そもそもPC版では見られないものまで,きちんと描いていただけました。これなら,PC版Livlyを愛してくださっている方達にも,喜んでいただけるだろうと思っています。
4Gamer:
Livlyだけじゃなく,登場する植物や虫もかなり種類が豊富ですよね。しかもそれらが,一つ一つしっかり描かれているのが印象的です。
津田氏:
けっこうな数がありますよね。でもあれですら,かなり選びに選んだ結果なんです。これを出したら,あれも出したいよね,みたいなことになってしまって(笑)。
すべてのLivlyが,異なる声で鳴く
4Gamer:
PC版Livlyと異なる要素としては,Livlyに鳴き声が追加されているのも大きいですよね。
菊池氏:
あれも実は,けっこうな苦労をしたんですよ。
最初のうちは,それこそピグミーが「ピグミー!」って人間の声で鳴くようなものも考えていたんですが,やっぱり何か違うんですよね。
菊池氏:
そこで,動物園で録音した動物の鳴き声をベースに,Livlyぐらいの大きなの生き物が存在するとしたら,どんな声で鳴くのかを想定しながら加工していったんです。全種類に対して。
4Gamer:
すべてのLivlyが異なる鳴き声になっているんですね。
菊池氏:
一匹につき,だいたい10〜15種類の鳴き声を作っていましたね。その中から選んでいったんですが,52種類分やるのは……たいへんでした。
4Gamer:
そうやって作られた鳴き声は,PC版Livlyのユーザーがイメージしているであろうものになっていますか?
菊池氏:
うーん,どうでしょうね。いい意味で期待を裏切れたらいいんですが。
亀岡氏:
そのあたりの反応も楽しみですねぇ。
菊池氏:
PC版のLivlyって,大まかな設定はこちらで用意したものですが,Livlyに対するイメージってユーザー一人一人の心の中で違うものになっていると思うんですよ。想像を働かせながら。
だから例えば,漫画がアニメ化されたときって,「この声は違う」みたいな意見はどうしたって出てきますよね。
4Gamer:
ええ,ありますね。なんか違う気がするけど,いずれ慣れるかな? とか思っていたら,最後の最後まで違和感が残ったり(笑)。
菊池氏:
きっとそれと同じようなこともあると思うので,100%の方に満足していただけるかというと,それは難しいだろうと思っています。
でも,きっと納得はしていただけるような,可愛い声には仕上げたつもりです。
4Gamer:
例えば,DS版Livlyで鳴き声を気に入った人が,PC版Livlyでもその声を聞きたいと思った場合,サービスとして鳴き声を追加,ないしは販売するようなことは考えていますか?
いまのところその予定はありません。PC版Livlyって,音を出さない方も多いでしょうしね。
ただ,実際には鳴いていないんだけど,画面を見ていると,DS版Livlyの鳴き声が頭の中で聞こえるような,そんな感じになったらいいなとは思います。
4Gamer:
そうそう,これもお伺いしたかったんですが,Livlyをなでるとスタミナが回復するというのも,DS版Livly独自の要素ですよね。
津田氏:
PC版Livlyって,何もしないでいるとストレスがたまっていく仕様なんですよね。これに近いものをなんとかして残したかったんです。
ただ,ストレスとなると,なんとなくマイナス要因っぽい響きなので,いろいろと代案を考えていった結果,こうなりました。
4Gamer:
なでると喜んでくれて元気を出してもらえる感じですね。
ただ,なで続けてるとスタミナが回復しなくなって,「あ,こいつなでられ飽きたな」って思ったり。
津田氏:
ああ,ありますね(笑)。
デバッグのときなんか,機械的に「はいはいよしよし」みたいにひたすらなでるだけの感じで,あっという間にスタミナが回復しなくなったりしていました。
亀岡氏:
愛情が足りないプレイってことですね(笑)。
ワイヤレス通信で密なコミュニケーションを
4Gamer:
今回はDSのワイヤレス通信には対応していますが,ニンテンドーWi-Fiコネクションは非対応ですよね。
PC版Livlyのイメージからすると,ニンテンドーWi-Fiコネクションのほうが親和性が高そうな気がするんですが,どういった理由があるのでしょうか。
技術的な問題などもあるにはあるんですが,それ以上に大きいのは,DSの中のLivlyと一緒にお出かけしてもらい,飼い主同士に対面してのコミュニケーションを楽しんでほしかったんです。
飼い主同士が会話しながら,ゲーム内アイテムを交換したり,ゲーム内で記念撮影をしたりといった形で。
高木氏:
犬の散歩をしている人同士が,公園で出会って挨拶をするような,そういうイメージです。
4Gamer:
それを考えていくと,すれちがい通信のようなものも可能性としてはあったと思うんですが。
菊池氏:
ただその場合って,飼い主同士のコミュニケーションにはなりにくいですよね。
4Gamer:
ああ,確かに。
菊池氏:
PC版Livlyがコミュニケーションツールのような側面を持っているので,そことは違う形でしっかりしたコミュニケーション要素を入れておきたかったんですよ。
亀岡氏:
ソネットさんが年に1回,Livlyのオフラインイベントを開催していますが,例えばそこで皆さんがDSを持ち寄って,コミュニケーションしてくれたら……みたいなことも考えています。
菊池氏:
もちろん年に1回だけしかコミュニケーションしなくていいということではないですよ(笑)。むしろ,各地でオフ会みたいなものはやってほしいですね。そうやってLivly好き同志が集まって“うちの子自慢”みたいな楽しみ方をしてほしいですし。
一緒に遊ぶ人がいることによって,Livly Gardenというゲームをより楽しんでもらえると思いますし,Livly達への愛情も深まると思うんです。そうやって飼い主同士のコミュニケーションが活発化していけば,新たに興味を持ってくれる方も増えていくでしょうし。まあ,夢みたいな話なんですけど。
4Gamer:
ライトなコミュニケーション要素を持つゲームに人気が集まっているような傾向もありますが,あえてそれとは逆を狙っているということですか?
菊池氏:
ええ,そういったことも考えました。
やっぱり,直接向かい合って話をしながらアイテム交換をするようなことのほうが,思い出にもなりますし,Livly達が生きているような感じがしてくると思うんです。
単純にデータを送受信して,それで終わり……というのでは,Livly達もただのデータになってしまいますから。ただのデータではあるんですけど(笑)。
4Gamer:
ゲームで遊ぶというだけでなく,対面型のコミュニケーションを通じても,Livlyの生き物っぽさを出していきたいということなんですね。
対面型というと,作り上げたガーデンを見せ合ったりするのも楽しそうです。
菊池氏:
ええ,このゲームはLivlyに虫を捕らせ,それを食べさせることで成長させるという側面と,植物を育て,アイテムで飾りながらオリジナルのガーデンを作っていくという側面がありますからね。
津田氏:
植物がなくても,アイテムを配置していくことでジオラマみたいなものも作れます。
菊池氏:
極端な話,Livlyも植物もいっさい置かず,ジオラマみたいなものを作って楽しむこともできるんですよ。
津田氏:
和風のレイアウトにしたり,洋風のレイアウトにしたり,アラビア風にしてみたりとかね。
ゲームを進めていくといろいろなアイテムを手に入れられますから,遊ぶ人が違えば,ガーデンも違うというものになっていきます。
亀岡氏:
「え,こんなガーデンにもなるの?」というようなものも,実際にできますからね。ただ,そこに至るまでの道のりはちょっと遠いかもしれません。
4Gamer:
ところで,このゲームの主なターゲットは,やはりPC版Livlyのユーザーですか?
菊池氏:
まずはそこですね。でも僕達としては,このゲームをきっかけとして,Livlyを好きになってくれる人が増えたらいいなと思っているんです。
だからPC版Livlyを知らない人でも,楽しめるゲームにするという点を,最も大事にしています。
4Gamer:
確かに私も,Livlyはある程度知っているものの,それほど愛着を持っていたわけではないんです。でも,Livlyと一緒になって植物を育てたりしているうちに,Livlyのことがどんどん可愛く思えてきました。
菊池氏:
あ,じゃあちゃんとゲームが好きな人にもLivlyが受け入れられたというわけですね。それは狙っていた部分ですので,そういっていただけると凄く嬉しいです。
4Gamer:
ただ,公式ブログのQ&Aなんかを見ると,やはりLivlyのファンというのが大多数なんだろうな,とも感じます。
確かにそうかもしれませんね。
ただ,ちょっとTwitterを使って情報を発信してみたら,Livlyを知らない方もけっこう興味を持ってくれたようなんです。そんな人達が公式サイトのQ&Aを見て,「カオスすぎて吹いた」なんておっしゃっていました。確かに,何も知らない状態であれを見たら,そう思いますよね。「プラステリンって何?」とか。
4Gamer:
現状,PC版Livlyのユーザーは女性が多いように思うんですが,それはDS版Livlyも変わらなそうですか?
菊池氏:
PC版Livlyは8割以上女性ですからねぇ。まずはそこから広がっていくといいな,と。
津田氏:
そうそう,PC版Livlyは僕もやっているんですが,小学生の女の子から書き込みがあったときにはびっくりしました。最近のお子さん達は,こういうので遊ぶようになっているんだなぁと(笑)。
4Gamer:
ほほえましくはありますけど,いざ書き込まれると戸惑っちゃいますよね。
実時間と連動した季節ごとのイベントやアイテムも
4Gamer:
トータルのプレイ時間としては,どれぐらいを想定していますか?
うーん,それは難しいですね。
ただ,一年を通して遊べるようにはしてあります。
津田氏:
例えば秋から年末にかけては,ハロウィンやクリスマスなどの限定イベントやアイテムなどがあります。今からだとずいぶん先のことですが,そのあたりはぜひ遊んでほしいですね。
とりあえずは,バレンタインに関連したものを用意していますので,そちらを楽しみにしていただければ。
高木氏:
それこそお正月の要素もありますからね。来年のお正月にもぜひ遊んでいただけたらと。
ただ,Livlyの数が52種類ですから,そのすべてを飼ってみようとなると,一年ぐらいなら普通に遊んでいられると思いますよ。
4Gamer:
ではそろそろお時間ということで,最後にお一人ずつ,読者に向けたメッセージをお願いいたします。
高木氏:
のんびり派の方も,がっつり派の方もきちんと楽しめるゲームになっています。
ただ,のんびり派の方も,週に1度ぐらいはLivlyの様子を見てやってください。じゃないと可愛がっていたLivlyが悲しいことになってしまいますので。
菊池氏:
Livlyの可愛さ,生き物らしさがきちんと出ていますので,「私,Livlyなんて知らないから」という方にも,ぜひ楽しんでいただければと思います。
亀岡氏:
ゲームとしてコアな部分もあるんですが,ライトな方でも楽しめるように配慮しました。老若男女問わず,さまざまな方に遊んでほしいです。
津田氏:
僕ら作り手にもLivly好きが多いので,開発終了間際までアイテムを追加しちゃうほど,できる限りのものを詰め込みました。
じっくり遊んでみないと分からないような部分にも,ちょっとした遊び心や仕掛けを入れてありますので,末永く楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「Livly Garden」公式サイト
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