連載
【ヒャダイン】ヒャダインが氷系魔法について考えてみました
ヒャダイン/前山田健一 / 歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第14回「ヒャダインが氷系魔法について考えてみました」
ども。私,本名 前山田健一,芸名 ヒャダインとして頑張らせていただいているのですが,この「ヒャダイン」って,「ドラゴンクエスト」シリーズのファンにはおなじみの,氷系攻撃呪文の名前から拝借しているんです。しかし,このヒャダインという呪文には悲しい過去があるんですよね……。
初登場は,「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(ファミコン版)。氷系攻撃呪文を弱い順から並べると,ヒャド→ヒャダルコ→ヒャダイン→マヒャドなんですが,覚える順番はヒャド→ヒャダルコ→マヒャド→ヒャダイン。つまり,最強呪文であるマヒャドを先に覚え,ヒャダインを覚える頃には,もっと使い勝手のいいイオラも覚えていたりするので,使う機会がまったくないという,不遇な呪文だったんです(スーパーファミコン版以降は習得順もヒャド→ヒャダルコ→ヒャダイン→マヒャドになっています)。
そして次作「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」(ファミコン版)では,ブライという老魔法使いがヒャダインを覚えます。
ただですね,このDQIVではAIシステムが初導入されまして,主人公以外は「さくせん」に従った自動行動をするのです。そして以降のDQシリーズのような,「めいれいさせろ」がありません。
結果,「ガンガンいこうぜ」を選ぶとマーニャがスライム相手にメラゾーマをぶっぱなすし,「いのちをだいじに」だとクリフトははぐれメタル相手でもスクルトを唱えたりするわけです。
そしてブライ爺さん。ボス相手に必死にメダパニを唱えまくる,というキテレツな行動に出ます。しかも,いかんせん高齢。ヒャダインを覚えるのは,大体レベル30の手前あたりですかね。そこらへんになるとHPの成長率がほかのメンバーに比べて著しく衰えます。そりゃそうだ。お年を召されているんだもん,仕方ないよ。
なので,パーティ編成時の魔法使い枠はどうしたってマーニャになるわけです。だってマーニャは女の子だし,若いし,MPたくさんあるし,なにより布面積少ないし!
ということで,ブライ爺さんは馬車で待機するいわゆる「馬車組」となってしまい,これまたヒャダインが詠唱される機会がさっぱりなくなっていくのです。
そして,衝撃的な展開。「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」になると……。
ヒャダイン,リストラ。
ぎゃふん。
そう。ヒャダルコのあとに,マヒャドを覚えることになるのです。しかもマヒャドが全体魔法になるという進化を遂げて。もちろん,ファミコン版DQIIIのように,そのあとでヒャダインを覚えることもありません。ああ。ヒャダイン。さようならヒャダイン。
そんな憂き目にあったヒャダインの不憫さに,どこかシンパシーを感じてお名前を拝借した僕なんですが,さてさて。この氷魔法。冷静に考えて,どういうふうに相手にダメージを与えるのでしょうか……?
まずほかの攻撃呪文と比較してみましょう。メラ系は火の玉による燃焼で相手を燃やす。おっかねえ。ギラは閃光により相手を焼き殺す。おっかねえ。イオは爆発により相手を吹っ飛ばす。おっかねえ。バギは真空刃で切り刻む。実は矛盾があるんですが,まあおっかねえ。
ではヒャド系はどうなんでしょうか。「鋭い冷気で敵にダメージを与える」とありますが……。どういうこと? いろいろネットで調べると「氷塊や吹雪で相手を攻撃する」ともあります。氷塊で攻撃……。ということは,アレですか。氷の塊を相手にぶつけて攻撃する,てことですよね。
岩といっしょ?
氷って岩と同じくらい硬いでしょ。アレをぶつけられると確かに痛い。メラでボワッと炎をぶつけられて9のダメージを食らうのに対して,ヒャドで氷塊ぶつけられて35のダメージを食らう理由はよくわかる(DQIIIのお話ですが)。
しかしですよ。そうなると属性問題が発生してくるわけです。もし「火曜サスペンス劇場」のように凶器として氷塊を使うのであれば,それは岩と同じ鈍器。もはや打撃。ということは氷属性のモンスターにもダメージを与えられてもおかしくはない。しかし,ひょうがまじんなどの氷系モンスターには効果がない。
硬い鈍器が猛スピードで降ってくるわけです。ダメージを受けてしかるべきじゃないか!!
そうなると,やはり冷気の問題が浮上してくるわけです。氷魔法,氷塊という鈍器で敵を攻撃するだけじゃない。冷気も重要なファクターとして機能しているということじゃないでしょうか。はてさて。冷気で相手にダメージを与える。どうもあいまいでピンとこない。ということで,自ら体験してみました in 青森県。
こ,これは……。完全理解。氷系魔法の仕組み,完全理解。冷たいを通り越して,痛い。すごーーーーく,痛い。
あ,いや,サンタ服で雪の中に突っ込んでいる行動自体が痛い,ということじゃないくて,ほんとにね,肌も痛いし,体力がものすごく奪われる。冷気,マジで恐るべし。という自らの経験を踏まえて再考察。
ここは流れ上,DQIIIで考えてみましょう。まずヒャド。単体攻撃の呪文なので,氷塊をモンスターにぶつける,という考え方ですが,その際に相手の周りにものすごい冷気も同時に送り込むと考えられますね。そいつの周りだけ,マグロ用冷凍庫のような冷気。こりゃあ,たまったもんじゃねえや。
そして上位魔法 ヒャダルコ。これはモンスター1グループに,まず氷塊をガシガシ降らせ,氷漬けになるレベルの冷気で包み込むってことかな。ヒャダインはもっと広範囲。そしてマヒャドはぶつける氷塊の量が半端なくて,しかも尖ってたりして,そんでもって相手を包む冷気が絶対零度くらいなんじゃないか。痛いぞー。冷気は痛いぞー。
しかしですよ。そうなったら,一つ気になることが生まれてくるのです。急激に冷気で包むと起こることといえば? はい。そうでしょ。心臓麻痺。突然死ですよね。さらに氷漬けにしようものなら,もう再起不能。即死も即死です。
しかしDQシリーズはおろか,「ファイナルファンタジー」シリーズだって,氷系魔法に即死の効果が付与されたことはありません。でも。毒針やザキ,ザラキのように即死呪文としても機能してもいいんじゃないか?
なんて思っていたら,スーパーファミコン版「ロマンシング サ・ガ」がありました! 「アイスジャベリン」という初期術法は,敵単体を尖った氷でぶっ刺すという,ぶっちゃけ弱いものです。そりゃそうでしょう。ちょっとしたナイフみたいなものでチクリと刺す程度で,モンスターが死ぬわけがない。
しかーし! 炎系のモンスターや爬虫類系には「クリティカル」として即死効果が発動したりするんですね。ようするに,チクリとさした氷塊が相手の体内を冷気で攻撃し,寒さが苦手なモンスターは即死する,と。芸が細かい!
さらにさらに,「ブラッドフローズ」。こちらは敵単体を即死させるという術法。日本語に直すと「血を凍らせる」。いやー。分かりやすい。しかも「骸骨系など血が通っていないモンスターには効果がない」とな。芸が細かい!(二回目)
とまあ,ロマンシング サ・ガの術法はやけにリアルな設定が用意されているものが多いんですよ。
炎系の最上級術法にも,衝撃的なネーミングのものが! その名も「やきつくす」。ひえええええ。述語だよう。これの一つ下の術法は「火の鳥」というファンタジー溢れるものなんですが,「やきつくす」……。おっかねえ。これは,敵単体に炎で大ダメージを与えるもので,クリティカルで即死効果も。文字通り「焼き尽くす」わけです。ひゃー。
ほかにも水系の術法で「レインコール」というものもありまして,これは敵全体に効くのですが,読んで字の如し「雨を呼ぶ」。そう。雨を降らせるだけなんですね。地味! ただの降雨じゃん! でもロマサガの素敵なところは,そこにリアリティがちゃんと注入されているところ。レインコール,与えるダメージがひどく少ない。どんなに魔力を上げても大して効果がない。だって,雨だもん。
そんなこんなで今回は,氷系魔法について少し考えてみました。今まで漠然としていた氷系魔法のおっかなさが自分なりに理解できたかなあ,と思っています。スッキリ。
もう3月になるとはいえ,まだまだ寒い日本列島でございます。みなさん,マヒャドやブリザガに負けないよう,ポカポカして毎日をお過ごしくださいね。ちなみに僕は足先だけ冷え性です。世界一どうでもいい情報でしたね。
■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■ 3月3日(日)にフジテレビ「爆笑 大日本アカン警察」,3月5日(火)に日本テレビ「スタードラフト会議」と,3月に入るとTV出演が続くヒャダイン氏。もちろん本業だって忘れていません。3月1日(金)からオンエアされる森永チョコボールのCMでは,キョロちゃんズの音楽を手がけているそうです。 |
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストV 天空の花嫁
- この記事のURL:
キーワード
(C)2007 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
(C) 2008 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.