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もちろん“バレットタイム”も使用可能。「マックス・ペイン3」のマルチプレイ対戦を一足先にプレイしてきた
今回4Gamerは,マックス・ペイン3のマルチプレイ対戦“ペインキラー”と“ギャング・ウォーズ”の体験会に参加してきたので,その内容をお届けしたい。なお,こちらの記事では,本作のストーリー部分や基本的なゲーム要素に触れている。予備知識がない人は,本稿とあわせて読んでみるといいだろう。
開発チームが考える「マックス・ペイン」ならではのマルチプレイ
プレイレポートに入る前に,まず本作におけるマルチプレイがどんなものであるかを説明しておこう。
マルチプレイといえば,もはやFPSやTPSには必ずと言って良いほど実装されているお馴染みのシステムだが,意外なことに,マックス・ペインシリーズでマルチプレイが実装されたのは,今作が初めてだ。
マルチプレイを入れようという案自体は,過去に開発チーム内で何度も出ていたらしいのだが,残念ながら採用には至らなかった。それは,マックス・ペインシリーズ最大の特徴とも言える“バレットタイム”をはじめとする映画的演出が,マルチプレイのゲームシステムとうまく折り合わなかったことが理由の1つとされている。
マックス・ペインにおけるバレットタイムは,時間の流れがスローになることで,敵に狙いを定めやすくなったり,銃弾を避けたりできるシステムだ。発動させると極端に有利な状況となるため,マルチプレイに実装する場合は,バレットタイムの効果をゲーム上でどこまで影響させるかが,ゲームバランスを左右することになる。
おそらく,前2作にマルチプレイモードが搭載されなかった理由は,バレットタイムを実装した上でゲームバランスを取ることができなかったからだと思われる。
では,本作ではどのようにしてその問題を解決したのか。試行錯誤の結果,ロックスター・ゲームスの開発陣が出した答えは,「バレットタイムを発動させたプレイヤーの視野内にいるキャラクターのみにバレットタイムの影響がある」というもの。これにより,バレットタイムを使ってもゲームバランスに支障が出ず,なによりマルチプレイ上でもスリリングな銃撃戦を楽しむことができるようになったという。
ちなみに,バレットタイムを発動されてしまったプレイヤーは,一定時間射撃とリロードの速度が落ちるということだ。
さて,そんな待望のバレットタイム実装だったわけだが,本作におけるマルチプレイモードの魅力は,それだけではない。
というのも,本作はマルチプレイを「単なるシングルプレイのおまけ」とは考えておらず,ストーリーとのリンクを強く感じさせる作りとなっているからだ。マルチプレイに関して,“協力”や“対戦”といった,ストーリーラインとは直接関係のない部分に重きを置いているイメージを持っている人も多いと思うが,本作をプレイすれば,おそらくその印象は大きく変わることだろう。付け加えるなら,マルチプレイを体験しないと,本作の世界観を本当に理解したとは言えないのだ。
圧倒的な能力差が戦略性を大幅に高める“ペインキラー”
ここからは,本作のマルチプレイの代表的なモードである“ペインキラー”と“ギャング・ウォーズ”の説明と,プレイフィールの紹介に移ろう。まずはペインキラーだが,これは「より多くのポイントを稼いだほうが勝ち」というシンプルなルールと,協力プレイと対戦プレイ両方の要素をうまく融合させたゲームデザインが印象的なモードだ。
まずプレイヤーは,それぞれ孤立した一般兵士としてゲームを開始する。ステージには主人公の“マックス・ペイン”と,パートナーの“ラウール・パソス”がいるので,2人をキルするべく戦うのだ。
そして,一番最初にキルを達成したプレイヤーには主人公のマックス,2番目にキルを達成したプレイヤーにはパソスとなってプレイする権利が与えられる。この2人のプレイヤーは,次のゲームで一般兵士をキルしてポイントを稼ぐことになる。
ペインキラーの真骨頂は,このマックス/パソスでのプレイにある。当然ながら一般兵士(ほかのプレイヤー)のターゲットにされるが,この2人のキャラクターは多勢に対抗するため,高火力の武器を持っているほか,バレットタイムが使い放題になっていたり,ペインキラー(回復アイテム)を2つずつ所持していたりと,なかなか魅力的なステータスとなっているのだ。
個々の能力は一般兵士を大きく上回るものの,構図としてはマックス&パソス対そのほかのプレイヤー,というものなので,油断すれば即キルされてしまう。
そこで重要になるのが,マックスとパソスが助け合ったり,装備品を活用したりして上手く立ち回ることだ。本作には,防弾チョッキを着ているプレイヤーも簡単に倒せるようになる“ハッピートリガー”や,キャラクターの最大体力を一時的に増加させる“ビッグドッグ”など,実にさまざまなバースト(スキル)が用意されているので,これらの使い方が生死を分けることになるだろう。
また,催涙ガスの効果を弱める“ガスマスク”や頭部のダメージを50%カットできる“ヘルメット”など,かなり実用的なアイテムも用意されているので,出撃の際にはこちらも忘れずに。
実際のプレイで,筆者はなんとかマックスになることができたのだが,個人プレイに走ったのがたたり,あっという間に一般兵士に逆戻りしてしまった。ペインキラーは,マックス/パソスになっている間にどれだけキルしてポイントを稼げるかがキモとなるので,幸運にも彼らになれたプレイヤーは,ぜひ相棒との息を合わせて戦ってほしい。
繰り返しになるが,マックス/パソスの強さは一般兵士の比ではないので,相棒としっかり協力し,バーストやアイテムをうまく活用すれば,生き残るのも難しくないはずだ(多分)。
ペインキラーをプレイして印象に残ったのは,ゲームのテンポの良さ。また,一般兵士でプレイするのと,マックス/パソスでプレイするのではまったく違う戦い方が求められるので,戦略を練るという点でも非常にやりがいがあった。先述したバレットタイムもゲームに無理なく溶け込んでおり,既存のTPSにはない「マックス・ペイン」らしさが十分に感じ取れた。
そして何より,自分達がマックス/パソスとなって数多くのプレイヤーと戦えるというのが,ファンにとっては至上の喜びではないだろうか。
アナザー・ストーリーが描かれる“ギャング・ウォーズ”
続いてもう1つのマルチプレイである“ギャング・ウォーズ”の概要を紹介する。
ギャング・ウォーズは,シングルプレイでマックスの前に立ちはだかった敵,すなわちニューヨークやブラジル,サンパウロを拠点とするギャングとなって戦いを繰り広げられるモードだ。
前述のとおり,本作のマルチプレイは,ストーリー性を強く意識したものになっているが,ギャング・ウォーズはその最たるもの。各ラウンドの結果によってストーリーが分岐し,ラウンドとラウンドの間にはカットシーンがダイナミックに挿入されるという,マルチプレイらしからぬ演出が施されているとのことだ。
残念ながら,ゲームシステムは8対8のチーム戦ということ以外は分からなかったが,本編とは別のストーリーが描かれる,という点だけでも十分な魅力となるだろう。
体験会の内容は以上となる。
「マックス・ペイン3」のマルチプレイモードは,作品の世界観を残しつつも,TPSとしての楽しさを十分に感じ取れる内容だ。口で言うのは簡単だが,「マックス・ペイン」らしさを損なわず,それでいて質の高いマルチプレイ対戦を実現するというのは並大抵のことではない。その辺からも,開発者のセンスと,何よりプレイヤーを楽しませようというプロ意識をしっかりと感じ取れた。発売まであと少しとなった本作だが,本稿を読んで少しでも気になったという人は,ぜひ購入を検討してみてほしい。
「マックス・ペイン3」公式サイト
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(C) 2012 Rockstar Games, Inc.
(C) 2012 Rockstar Games, Inc.
- マックス・ペイン3 【CEROレーティング「Z」】特典 マルチプレイボーナスコンテンツセット付き
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