プレイレポート
気になる操作感は? アクションRPG「クロスブレイブ」αテスト版プレイレポート
安定感のある,見た目どおりの横スクロールベルトフロアアクションゲーム
クロスブレイブは,見た目的には「アラド戦記」や「アンリミテッドハーツ」と同じ,奥行きのある横スクロール,いわゆるベルトスクロールアクションなのだが,一般的なそれらのゲームと決定的に違う部分は,実は3Dゲームだという部分である。背景やキャラクターをそのままポリゴンで作った,「2D風」3Dゲームに仕上がっている。
2Dゲームだと,アニメーションパターンを無尽蔵に増やすわけにもいかず,動きのパターンやアニメーションの細かさなどには限界があるのだが,3Dではそのあたりの制限がほとんどない。
ゲーム中の動きは滑らかで,アクションも豊富である。拡大/縮小やカメラの回転などがほぼないため(画面の奥に行くと多少小さく表示されたりはする),ポリゴン表現を生かし切っているとはいえないが,動画を見ても分かるようにモデリング,モーション,背景などグラフィックス面における問題はない。2Dアクションにありがちなモーションの使い回しもほとんど見られず,細部にまで気を配って作られていることがうかがえる。
攻撃スキルの種類も,浮かし,吹き飛ばし,連続攻撃,範囲攻撃,各種バフなど,基本的なものが揃っており,通常攻撃で敵を浮かせて空中コンボから強力なスキルでトドメ,といった連携も問題なくできる。
オンラインゲームとしてのさまざまなコンテンツも用意
用意されているクラスは,攻撃範囲の広い「剣闘士」,連続攻撃の「武術家」,魔法で戦う「魔術師」の3種類で,レベル25になるとそれぞれ3種類の上級クラスに分岐する。
キャラクターにはSTR,VIT,AGI,INTに相当する4種類のステータスがあり(現状では中国語表記),レベルアップ時に得られるポイントを割り振って強化していくタイプだ。
スキルはスキルツリー風で,指定したものを強化,アンロックしていくタイプなのだが,テストしたバージョンでは,すべてのスキルをキャラクターレベルと同じレベル以上に強化しないとレベルアップができないという,ちょっと変わった仕様になっていた。
MMO形式の街でクエストを受けてパーティを組み,同じパーティメンバーだけが入れるプライベートダンジョンで戦闘といった具合で,ゲームの大まかな流れも現行2Dアクションとほぼ同様だ。条件をつけてのパーティメンバー募集や,販売代行も設定できる個人露店,武器の強化,最大16人(予定)が参加できるPvPなど,もはやネットゲームではお馴染みとなった各種コンテンツが揃っている(一部実装予定含む)。
加えて,2Dアクションだと珍しいアイテム生産や,クラスの組み合わせによって変化するパーティバフといった,MMORPGを思わせるシステムも用意されている。
このゲージを一定量を消費することで,超必殺技的な強力なスキルや緊急回避などの切り札的なスキルを使用できるという。仲間と同時に発動すると,さらに強力な技が発動するらしく,これを使うタイミングもダンジョン攻略のカギとなりそうだ。
アクションゲーマーの目から見た「クロスブレイブ」
以上,ひととおりオンラインゲームとしての「クロスブレイブ」を紹介してみたのだが,純粋にアクションゲームとして見た場合はどうかというと,残念ながら「もう一歩」といわざるをえない点も存在する。
動画を見ても分かるように,美しいグラフィックスで描かれたキャラクター達が,連続攻撃やスキルでバッタバッタと敵をなぎ倒すという,アクションゲームの「基本」は完成している。このままサービスを開始しても一定の評価は得られるだろう。しかし,日本のアクションゲームプレイヤーの要求水準は相当に高いため,それを満たすゲームを作るには相応の練り込みが必要だ。
今回テストしたのは中国語版のα2バージョンだったのだが,現状では,攻撃をつなぐ微妙なタイミング,動作をキャンセルできるポイント,スキルのバリエーション,当たり判定,ノックバックといったあたりの微妙な調整が不足しており,アクションゲームのキモとなる部分「操作して楽しい」という感覚にやや欠ける,というのが率直な感想だった。
感覚的すぎて状況を説明しづらいので,細かいところを具体的に挙げてみよう。本作の通常攻撃は4連打までコンボする。武術家でいうと,ジャブ - ジャブ - 肘 - 後ろ回し蹴りといった感じだ。モーションの小さい武術家や飛び道具を撃つ魔術師はまだよいのだが,剣闘士は通常攻撃のモーションが大きく,すべての攻撃で立ち位置が強制的に前進していってしまう。攻撃中の移動距離の制御や,キャンセルバックステップといった要素がないため,モンスターがエリア全体に散らばっているような場所では,前後から挟撃されることを避けるために基本コンボを途中で止め,後ろに戻ってまた攻撃を繰り返すような操作が必要で,テンポが崩れることが多かった。
また,これはゲームサーバーが中国にあったために起きたラグが原因かもしれないのだが,突進攻撃の当たり判定が敵キャラの後方にも存在したり,不自然に自キャラが吹き飛ばされたりなど,ゲームとして違和感のある場面もあった。
このあたりの調整は,ファイブスターオンライン・エンターテイメントがクロスブレイブの「完成形」を,どうイメージしているかによって変わってくる。プロデューサーである駒形氏は「“萌え”要素に頼ることなく,硬派なゲームにしたい」と語っていたが,アクションゲームとしての“硬派”さは(個人的見解では)若干不足しているように思う。
ただし,まだ可能性は十分にある。クロスブレイブの運営会社であるファイブスターオンライン・エンターテイメント(元ナインユー・ジャパン)はゲーム開発元である9youの子会社であり,韓国や中国で開発されたゲームの運営権を買い取ってサービスされる多くのタイトルよりも,開発元と密接な関係にある。その関係の深さからか,αテスト中の中国版を差し置いて,日本で先にサービスを開始することが予定されているほどである。ファイブスターオンライン・エンターテイメントが提唱する内容は,開発元の9youへと,よりスムーズに伝達,吸収されることになる。
テストプレイ後,駒形氏に「思ったことがあれば何でもどうぞ」といわれたのをよいことに(筆者がアクションゲーム好きなこともあり)かなり細かい部分までいいたい放題に主観で語ってしまったのだが,駒形氏は「ほとんどのものは調整の範囲で対応できそうです。可能な限り今後の調整に反映させます」と笑顔で返してくれた。
同社で現在サービスされている「モンスターヴェルト・オンライン」では,かなりレスポンスのよいアップデートが行われており,プレイヤーの要望取り入れには期待が持てる。クロスブレイブも,現状の開発途中版から少しずつでも改善されていけば将来的に完成度の高いオンラインアクションに化ける可能性がある。そういった期待もあって,今回はあえてかなり辛口な評価にしてみたが(筆者の個人的な趣味もあるが),クロスブレイブの今後に注目していきたいところだ。
公式SNSを使った展開にも期待
すでに応募は終わっているのだが,クロスブレイブ公式サイトでは,公式コミュニティ「クロスブレイブSNS」を設けている。SNS内ではゲームの最新情報や開発スタッフのコメントが随時追加されるほか,参加メンバーにテストプレイの優先参加権が与えられたり,記事の投稿やコメントによって溜まるポイントでゲーム内アイテムがプレゼントされるなど,さまざまな特典があるとのこと。SNSでの活動がゲームでの特典に反映されるのは面白い試みだ。
しばらくは,SNS会員から招待してもらわないと参加できないのだが,知り合いにSNSメンバーがいたら,ぜひ招待してもらおう。
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