ハドソン，札幌医科大学と連携でリハビリテーション機器用のゲームを開発

　ハドソンは，札幌医科大学の金子文成氏と共同でリハビリテーション機器「キネステージ」向けに，同社の釣りゲーム「めざせ!!釣りマスター」を用いたゲームを開発した。
　キネステージは，ゲーム機器風にいえば，フォースフィードバックタイプの入力装置である。機器に付いたレバーに前後左右，いろいろな方向に力が加わったり，力を加えることで操作を行うことができる。脳血管障害などで身体機能に影響が出ている人などを対象にリハビリテーションを進めるためのデバイスだ。今回は，そのプログラムとしてゲームが活用された形となっている。

　力学療法用のデバイスなので一般的なものとは言い難いが，単調になりがちなリハビリテーションのプログラムにゲームが取り入れられることで，楽しみながら療養ができるのはメリットが大きい。逆に，こういった特殊なデバイスが普及してくれば，ゲーム用のデバイスとして広く使われるようになる可能性もないではない。
　ゲームの技術が他分野に有効活用される例として，今後の展開に注目したい。

ハドソンプレスリリース

http://www.hudson.co.jp/corp/news/bn2010/100526.pdf

ハドソン、札幌医科大学と連携
釣りゲーム『めざせ!!釣りマスター』を活用した
リハビリテーション機器用ゲームを共同開発
感覚運動機能検査練習装置『キネステージ』に搭載
　株式会社ハドソンは、この度、札幌医科大学准教授（産業技術総合研究所 客員研究員）で理学療法士の金子文成氏と連携し、リハビリテーション機器用ゲームを共同開発いたしました。当社のゲームがリハビリテーション機器に採用されるのは、今回が初めてです。
　今回、共同開発したゲームは、当社が様々な家庭用ゲーム機向けに開発・販売してきた釣りゲーム『めざせ!!釣りマスター』のプログラムを活用したものです。金子准教授のこれまでの研究成果を基に開発され、株式会社アフィオが製造・販売している感覚運動機能検査練習装置『キネステージ』に搭載されます。
『キネステージ』は，患者のリハビリテーション用として病院等の医療機関に導入されています。

　『キネステージ』は、バーチャルリアリティ技術を応用した力覚呈示により、粘性抵抗やバネ抵抗が仮想的に生成された状況下で様々な運動を行うことを実現した装置です。主に脳血管障害の残った患者が、感覚機能、運動機能を回復させるためのリハビリテーションを行う際、医師や理学療法士の指導の下で使用されています。
　今回の共同開発は、金子准教授が『キネステージ』で実施できるリハビリテーションプログラムをより多くの方に、より楽しく使っていただくために改良を検討した際、当社が開発・販売しているキャラクター育成歩数計『てくてくエンジェルPocket』※1 のエンターテインメント性に着目いただいたことから、当社に協力依頼があり、スタートしました。
　当社は、誰にでも簡単に楽しめる『めざせ!!釣りマスター』を搭載した『キネステージ』により、リハビリテーションを行う患者や、指導を行う医師や理学療法士、セラピストが、これまで以上に“楽しく”リハビリテーションを“継続”できるようになることを期待しています。

＜キネステージ版『めざせ!!釣りマスター』の概要＞

■誰でも楽しめる「浮き釣り」
　釣り具の「浮き」を上手に動かしてタイミングを計り、魚を釣り上げるシンプルながら飽きのこないゲームです。「浮き」は、『キネステージ』のハンドルの位置座標変化に反応します。

■リアルな体感性
　「浮き」の移動に伴い粘性抵抗を仮想的に発生させ、あたかも水の抵抗を受けているような感覚や、魚が食い付くとバネ抵抗や受動抵抗によって「浮き」が引っ張られるような感覚が楽しめます。

■魚の種類に応じて、異なる反応
　魚の種類は6 種類（イワナやコイなど）。魚の種類に応じて実施者が感じる抵抗感も変化します。

【キネステージ概要】
株式会社アフィオを設立した札幌医科大学准教授で理学療法士の金子文成氏が、産業技術総合研究所（つくば市）研究グループの一員として、文部科学省ミレニアム・プロジェクト（2000〜2002 年度）の一環として取り組んだ「革新的寝たきり予防訓練装置の開発」の研究をはじめとした様々な研究知見を基に開発された、リハビリテーション用ハプティックデバイス。
バーチャルリアリティ技術を応用した力覚呈示により、粘性抵抗やバネ抵抗が仮想的に生成された状況下で様々な運動を行うことを実現した。
現行モデルでは、力覚呈示状況下での到達運動やスタビライゼーション、装置が他動的に実施者の身体部位を動かす他動運動、『キネステージ』から呈示される受動抵抗との釣り合いを保つことを目的とした新規課題である運動平衡保持などを、プログラムとして搭載している。
これまでに、膝前十字靭帯再建術後患者や変形性股関節症患者を対象に、整形外科的疾患に伴う感覚運動機能の変化を評価できることが金子准教授の研究成果によって明らかになっている。
現在は脳卒中片麻痺患者を対象にした臨床研究と，キネステージ搭載プログラムを用いた練習の有効性について検証が進められている。