インタビュー
Japanロードは野球ファン同士で遊べるテーブルゲーム
野球つく2で,最も新鮮だったのはJapanロードの存在でした。あまり野球に詳しくない人でも楽しめるし,詳しい人はさらに楽しめる。さらに最大4人でプレイできるんですよね。……一人でしかやったことないですけど。
馬場氏:
Japanロードはもともと,友達と飲み屋で遊んでいたときに生まれた企画なんですよ。野球ファンなら,一度はドラフトで誰を指名するかとか,そういう話題で盛り上がったことがあると思うんです。これをゲームにした感じです。
DD:
ドラフトで選手を指名するときの制限時間が絶妙ですよね。
馬場氏:
あ,そういう部分を褒めていただけると嬉しいですね。あの時間をどうするか,一人で遊ぶときだったらどれぐらいだろう,4人で遊ぶときならどれぐらいだろう? みたいなことを考えながら,調整に調整を重ねましたから。
3人が選び終わってるのに1人がまだ悩んでいるときなんかに,「早く選べよ!」みたいな感じで会話が生まれるような時間になっているんじゃないかと思います。
DD:
コミュニケーションのトリガーになるわけですね。
馬場氏:
ええ。おまけにテーブルゲーム的なところもあって,例えばドラフト対象選手の中にキャッチャーが3人しか出てこなかったりするんです。そんなときには「キャッチャーとらなくていいの?」みたいな話ができるんですよ。そしてほかのプレイヤーをキャッチャーに注目させておきながら,自分はいいピッチャーを獲りにいく……みたいな(笑)。
DD:
ああ,そういう口三味線も重要になるんですね。性格出そうだなぁ(笑)。
馬場氏:
この辺に気付いた人の勝ちなんですよ。Japanロードにおけるマルチプレイのだいご味は,まさにここにあるんです。
同じ面子でも何度も繰り返し遊べそうですよね。野球ファン同士であれば。
そうそう,「役」の存在も独特ですよね。
馬場氏:
ええ,Japanロードの目的は,強い選手を獲得することと,YPを稼ぐことの二つがあるんです。当初は役って入れてなかったんですが,僕らがテストプレイを繰り返す中で,3回続けて抽選くじで負けたりすると,なんかやたらとむかつくことに気付いたんですよ。
でも,くじで負けて一番欲しい選手は獲れなくても,役が作れればYPは稼げます。役で3000YPも稼げば,「OBパック」を二つ買えるので,これで戦力的な補強はできるだろう,と。場合によっては,このほうが強くなるかもしれないですし。
DD:
必ずしも能力値の高い現役選手だけを狙う必要はない,ということですね。
馬場氏:
ドラフトでは10位まで指名できるんで,その分,下位になると優先順位の低い選手をなんとなく選ぶことになりがちなんですよ。そういうときでも,役を意識すればモチベーションを維持できます。
ほかのプレイヤーにも,リーチがかかっている状況は見えるようになっているので,役を作ろうとしている人の邪魔をしたりだとか,役を狙っていると見せかけていい選手を獲りにいったりとか,慣れてくるとそういう遊び方もできるんです。
DD:
自分のことだけを考えるのと,ほかのプレイヤーを邪魔するぐらいの視野を持つのと,どっちのほうがゲーム的に有利なんですか?
馬場氏:
うーん,Japanロードって,ドラフト対象としてリストアップされる選手が,毎回異なるんですよ。いいピッチャーがいるときは,ひたすらピッチャーを獲っていったほうがいい場合はあります。先発が3人揃っていないとJapanロードは勝てないんで。
だから一概に何が有利不利とは言えないですね。そのときどきに応じた作戦を,瞬時に考えていただきたいなと。
DD:
そんな中でも,とくに初戦は重要ですよね。
馬場氏:
試合に負けると,はないちもんめで相手チームと強制トレードさせられますからね。初戦を落とすと,いきなりエースと4番の両方がいなくなる可能性だってあります。だからこそ第一試合は死ぬ気で勝ちにいかないといけないんです。そのためには役を作ってYPを稼いでも,OBじゃなくてGMスキルを買ったほうがいい場合もあるでしょう。
DD:
いろいろな戦略が練れるというわけですね。
馬場氏:
だから,必ず勝てる攻略法っていうのはありません。ただし,ピッチャーは重要です。
DD:
そこは本物の野球の世界と同じですよね。
馬場氏:
あとは,どういうチームスタイルが好きなのかというところにかかってくるでしょうね。とりあえずYPが0だと厳しいので,なんとかして1500YPを稼いでOBパックを買うなり,GMスキルを買うなりするといいですよ,と。
DD:
では,YPを稼ぐためのポイントは?
馬場氏:
役を覚えることですね。例えば,「全国津々浦々」という役は,六地方の出身選手を一人ずつ獲らないといけないんですけど,これを狙うには各選手の出身地を覚えなければいけません。あ,もちろん,上画面の選手詳細で出身地は確認できますけど。
だから強くて,なおかつ役を満たす選手を獲れれば一番いいんですが,いい選手はそれだけで競争率が高くなってしまうんですよね。
さらに「ラッキープレイヤー」なんていうのも出てきますよね。
馬場氏:
獲得すると一人で500YP手に入るという,麻雀でいうところの“ドラ”です。誰がラッキープレイヤーなのか? というヒントも,引っかけっぽいものがあるんですよ。投手なのにヒントは「左打ち」とか(笑)。
DD:
選手のことを相当幅広く記憶しておかないと難しいですよね。
こういったヒントの選び方とかも,けっこう調整したんですか?
馬場氏:
う〜ん。ヒントとして出せる要素って,上画面の選手詳細ウインドウに出ているものだけなんですよ。あそこの中から何かをヒントに出すとなったときに,意地の悪いものもできてしまったという。それも,テーブルゲームっぽい会話につながるといいんですけど。
“間”が大事。作りたかったのは空気
FAやメッセージの表示方法などのお話でも“間”という言葉が出てきていましたが,Japanロードのドラフトでも間のとりかたが心地いいなと思ったんです。
馬場氏:
やっぱりそこは意識しますね,プロレスと同じで。
DD:
間をうまく見せれば,それなりに見えてしまう部分ってありますからね(笑)。
馬場氏:
僕らはやっぱり,ドキドキする瞬間を作らなければいけないんですよね。それには,間の取り方ってかなり重要だと思うんです。
これは目に見える部分ではない,空気のようなものではあるんですが,これも含めてインタフェースだと考えているんですよ。
DD:
見えなくても遊んでいる側は確実に感じる部分ですもんね。気付くかどうかは別として。
馬場氏:
いろんなことを,絵とは関係ない部分で要求するのでデザイナー殺しなんですけど。
DD:
馬場さんが考えていることをデザイナーもきっちり把握できないと,何もできなそうですよね。
馬場氏:
ただベースにあるのは,Japanロードもそうなんですが,野球ファン同士がこのゲームを介して話をしながら,わいわい楽しめるようにしたいということなんです。
そして実際に触ってさえいただければ,面白いと思ってもらえるゲームになっているという自信はありますから。
DD:
実際に触ってもらうまで……っていうのが,開発とは別の部分で難しい部分なんでしょうね。
そうなんですよね,野球ファンは山ほどいるはずなのに,まだまだ触ってもらえていないと思うんですよ。
でも例えばJapanロードなんかは,野球ファン同士が遊びながら絶対に盛り上がれますし,そこで生まれる“空気”っていうのは,きっとこれまで野球つくに触ってこなかった人にも興味を持ってもらえるんじゃないかと期待しているんですよ。
DD:
空気……ですか。
馬場氏:
ええ,僕が本当に作りたかったのは,空気です。
もちろん,一人プレイのときも遊びやすくて面白いものにしています。ただ,これまでの野球つくやサカつくのように育成したデータを持ち寄っての対戦だと,育成期間に差がある場合は勝負にならないと思うんですよ。一方,Japanロードであれば,初めての人でも気軽に短い時間でわいわい楽しめるわけです。ゲームが終わったら,「あそこであれはないでしょ」みたいな野球談義に花が咲くと思いますし。
DD:
試合中は集中しちゃうと口数も少なくなりそうですけど,ドラフトなんかは間違いなく会話も重要な要素になりますよね。
馬場氏:
まずドラフトをマルチプレイで楽しんで,そのチームで競い合う。試合後はトレードがある。試合結果やドラフトの過程で遺恨が生まれる。
そしてまた,負けたらリベンジするためにもう一度最初からやってみたくなる。勝ったら勝ったで,もう一度やって返り討ちにしてやりたくなる。そういう流れ,そのときの空気を楽しんでほしいんです。
思い描いていたものの80%は実現できた
DD:
今回,開発開始当初のイメージと比較して,どれぐらいのものを作ることができたと思いますか?
ニンテンドーDSというプラットフォームは,ロード時間が短くて快適ですが,二つの画面やタッチスクリーンを生かそうとすると,開発が難しい部分もあるんですよ。それでも今回は,野球つく第一フェーズの完成形であり,集大成だと自負しています。
DD:
おお,頼もしいですね。
馬場氏:
確かにこのスタイルの野球つくでも,この先にいろいろと追加したいアイデアはあるんです。でも,本当にその方向でいくべきなのか,それとも違った形で進んでいくべきなのか,今まさにターニングポイントだと思うんですよ。
それこそ,Japanロード以上に皆さんにインパクトを与えられるようなものを考えるのは,なかなか難しいと思いますし。本編をこのまま毎年のようにデータ更新するだけでは,どれだけ新規のプレイヤーさんを呼び込めるか分からないですし。
DD:
データが更新されるだけでは,ある年に突然,大ヒット……っていうのは,なかなか難しそうですよね。
馬場氏:
そういう意味では今回,野球つくシリーズが10年かけて培ってきたスタイルのものとしては,満足度的に80%ぐらいのものができていると思います。やっぱり,時間の都合やほかの要素とのコンフリクトが原因で,泣く泣く実装を諦めた仕様もありますから,どうしても100%には届かないんですよね。それは毎回のことですけどね(笑)。
DD:
実装を諦めた仕様としては,どんなものがありますか?
それは秘密ですよ,基本的に(笑)。ただ例えば今回,選手の背番号を変更する機能も入れたかったんですが,きれいなインタフェースを思いつくことができなくて,一つ一つ面倒な操作になってしまっていたんで泣く泣く諦めました。これは心残りな部分ではあります。でも,どれだけ面倒でもやりたい方はいらっしゃるだろうから,「入れておくに越したことはない」ものだったのかもな,と最後まで悩みましたね。これ以外は,けっこううまくいったと思うんですが。
でも,こうしたことを踏まえても自分自身,今まで作ってきたゲームの中ではこれを一番遊んでいますし,一番の自信作です。
DD:
確かに野球つく2を遊んでみると,野球ファンはこれをやるべきだと思いますね。
馬場氏:
ありがとうございます。
DD:
ベースボールクエストに限った話ではなく,ゲームからのヒントが豊富なこともあってか,きちんと野球のドラマを感じやすいんですよ。
馬場氏:
どこまで実現できているか分からないですけど,そういう風に思ってもらえるように作ってきたので,非常に嬉しい感想です。
DD:
それでいて,目立たない部分でしっかり遊びやすいように作られているな,と。
馬場氏:
ゲームって,プレイヤーにモチベーションを提示することと,インタフェースの二つが凄く大事なんですよ。定番化しているシリーズであれば,なおさらです。でもこういう部分,とくにインタフェースなんですが,できが良くてもあまり褒めてもらえない。逆に悪いと,非常に……。
DD:
まあ,あれこれ言われてしまいますよね。プレイヤーにとっては,遊びやすいのが当たり前みたいなところもありますし。
馬場氏:
そこがしっかりしていないと,面白いもの……例えば電源を入れて40分後にものすごく面白くなるんだとしても,そこにたどり着くまでにしんどいことがあったら,途中でやめちゃうと思うんですよ。
だから,間口を広げつつ,徐々にプレイヤーがステップアップしていけるような道のりの作り方を心がけなければいけないんです。そのためにも,次に何をするべきなのかをプレイヤーが理解しやすくなるためのヒントと,分かりやすいインタフェースが重要なんです。
DD:
プロレスなんかでいうと,裏方の部分ですよね。裏方がしっかりしていないと,リング上でどんな名勝負を繰り広げたって,興行そのものの評価は低くなってしまいます。
馬場氏:
まさにそういうことですね。
野球におけるファンタジー性が重要
ここまでお話を聞いているだけでも,馬場さんに野球LOVEが溢れているのが伝わってきたんですが,それはそもそもいつ頃生まれたものなんですか?
馬場氏:
親父が元々,野球ファンだったんで,その影響で子供の頃からですね。
僕は岐阜の出身なんですが,地元にチームがないから野球の試合を生で見られる機会はほとんどなかったんですが,年に一回だけ親父が連れて行ってくれて,それが凄く楽しみでした。
DD:
今でも球場には足を運ばれているんですか?
馬場氏:
去年と今年はあまり行けてないんですが,基本的に年に10回以上は球場に行くようにしていますよ。試合をじっくり見たいタイプなので,外野スタンドではなく内野席かバックネット裏を選ぶんですけど。
DD:
ご自身で野球をやられることはありますか?
馬場氏:
昔はよく,草野球もやってました。最近は球場の競争率が高くて,なかなかできないんですけど。
僕自身,野球経験は草野球しかないんですが,実際にやって初めて分かることもあるんですよね。マウンドって傾斜があるほうが投げやすいんだなぁとか。
DD:
ああ,体感することで見えてくることや,見方が変わるものってありますよね。
馬場さんご自身としては,野球のどこに魅力を感じているんでしょうか?
馬場氏:
最初の話と相反する部分もあるんですが,僕個人としては浪花節っぽい部分より,プレイの一つ一つが好きなんですよ(笑)。
DD:
というと,具体的には?
馬場氏:
サッカーの場合,足だけしか使わないからこそ,凄いプレイにはファンタジー性が備わっていますよね。サカつくでいうところの光プレイというか。
野球の場合,それこそベーブ・ルースが子供と約束してホームランを打ったみたいなドラマがあれば,ホームランもファンタジーになると思うんですが,ドラマなしだとファンタジー性に欠ける気がするんですよ。では,ファンタジーたり得るものって何だろう? と考えると,守備なのかなって思うんです。
DD:
なかなか渋い着眼点ですね。
いやぁ,守備はいいですよ。とくにゲッツー。ゲッツーがきれいに成立した瞬間って,本当に素晴らしいと思うんです。
実は野球つくが守備重視のゲームになっているのは,僕の好みが入っている部分なんですよ。それこそ,二遊間に守備のうまい選手を入れておかないと,ゲッツーは発生しにくくなっていますし。芸能界野球つく部で,磯山さやかさんが「6-4-3のゲッツーが素晴らしい」とおっしゃっていましたが,それに限らずゲッツーが華麗に決まるとため息すら出ますからね。
あと,ファンタジーというと……ナックルかなぁ。子供の頃,みんな投げようとしますよね,ナックル。
DD:
ええ,やりました。
馬場氏:
当然,誰も投げられないと思うんですけど,だからこそファンタジーなんですよ。
ゲームにナックルを8割以上投げるナックルボーラーと呼ばれる投手を入れているのも,ファンタジーを重視しているからなんです。投手として特別秀でているというわけではないんですけど,自分のチームにナックルボーラーがいたら嬉しいじゃないですか。そして自慢したくなりますよね? こういうところがこのゲームでは大事なんですよ。
「マネー・ボール」に学んだ思想
DD:
そんな野球LOVEに溢れる馬場さんが,このゲームを作るうえで,影響を受けた野球関連の本などは何かありますか?
馬場氏:
一時期は,自伝的な本を除いて日本語で書かれている野球関連の本を全部読もうと努力していたんですよ。野球つくって,経営,スポーツマネージメント,技術論など野球に関するすべての要素が入っているんですが,それを一般のプレイヤー以上に理解したうえでゲームを作らないと,遊んだ人が納得してくれませんから。
DD:
では,とくに影響を受けたのは,どんな本ですか?
具体的な影響というか,一番面白かったのは3〜4年前にけっこうはやった「マネー・ボール」(関連記事)という本です。オークランド・アスレチックスというメジャーリーグのチームの話なんですけど,チームの総年俸が高いわけではないのに,好成績を残す秘訣……要するに,セイバーメトリクスの話なんです。
DD:
それはどういう内容なんですか?
馬場氏:
選手のデータのどこに注目して獲得するかということです。オールラウンダーの場合は年俸が高くなりがちですが,それこそ足が遅くて守備も下手なんだけど,選球眼が良くて出塁率の高い選手は得点に結びつきやすいうえに,一芸しかないのでコストも抑えられると。
こういう風に,ほかのチームでは見向きもされない選手であっても,データの切り口を変えてみることで活躍させられるということなんです。
DD:
なんだか,野球つくっぽいですね。
馬場氏:
そうですね。それこそ野球つくの情報画面にISOPやWHIPなど,試合のエンジンがどんなものであっても必ず有効なデータを出しているんですが,これはメジャーリーグでは以前から使われている切り口なんです。日本球界でも最近では当たり前になってきてると思いますよ。
ただこのあたりって,野球にもの凄く詳しい人が,「あ,こういうところもちゃんとやってるんだな」って気付いてくれればいい部分であって,知らない人は知らないままでもいいですし,これをきっかけに調べてみてもいいですし……ってスタンスではあります。
DD:
つまり,野球つくを作るうえで,マネー・ボールの影響が大きいということですか?
馬場氏:
発想の転換とまではいかないですけど,チーム作りに関する考え方のヒントは得られたと思います。もちろん,それだけではゲームにできないので,あくまで一つのヒントに過ぎないのですが。
DD:
ヒント?
馬場氏:
例えば野球つくでは,選手の足の速さや肩の強さ,選球眼は成長しないんですよ。天性のものであるという考え方で。実際には走り方を変えたら足が速くなったり,それ以上に精神的なものとからんで変化したりする可能性はあると思います。
でも,マネー・ボール的な考え方では,それらは選手生まれもっての才能,いわば一芸であるということになるんです。こういう思想的な部分は,ヒントになっていますね。
DD:
それにゲーム的な味付けを加えていったと。
馬場氏:
ええ,そこが僕らのセンスや努力が生きる部分ですし,一番難しいところなんですよね。
DD:
では,例えば野球マンガなんかの影響は,野球つくには入っていませんか?
うーん,野球マンガでは「ワン・ナウツ」が凄く好きで,あのロジカルなところは気に入ってます。でも影響っていうよりも,思想的に共感できるといったほうがいいでしょうね。
あとは……そうだな,児童向けになってしまいますが「月刊コロコロコミック」で連載されている「ドラベース」なんかは,カット割りが素晴らしいと思っています。
DD:
お,意外ですね。
馬場氏:
それこそ,ホームランを打った瞬間に入ったことが分かるような表現なんかは,低年齢層向けだからこそより分かりやすい方向に研ぎ澄まされたものだと思うんですよ。
DD:
ああ,低年齢層向けの作品だと,そういう部分のレベルが高いことがありますよね。
馬場氏:
とくに野球つくみたいなデフォルメキャラクターの場合,こういうところからも学ぶものはあると思っているんです。あくまで,イメージの部分ですが,見ている側の感情を一気に高めるための工夫は,いくらでもするべきだと思いますから。
コアな野球ファンも野球LOVEで受け止めます
DD:
さて,そろそろ最後になりますが,馬場さんご自身が野球漬けになりながら生み出した自信作ともいえる野球つく2を,どんな人に遊んでほしいと思っていますか?
やっぱり老若男女問わず,野球ファン全員に遊んでもらいたいですね。野球つくシリーズ史上,一番面白くなっているのは事実なので,過去に野球つくをやったことがあってしばらくご無沙汰という人にも,この機会にもう一度手にとってもらえれば……と思っています。
それこそ,一番売れたのは2003年にPlayStation 2で出した「プロ野球チームをつくろう!2」だったんですが,少なくともあれぐらい大勢の皆さんに遊んでいただけないかな〜と。
DD:
もう6年も前なんですね,あれ。
馬場氏:
ええ,だから当時20歳〜30歳ぐらいだった人も,25〜35歳ぐらいになっているわけです。今では家庭を持っている人も少なくないと思うんですが,そういう方々にとっては据え置き機よりもニンテンドーDSのほうが遊びやすいみたいなんですよね。
子供達の前で遊んでいる姿をいつも見せていたら,「ゲームばっかやってないで勉強しなさい!」なんて言いにくいでしょうし(笑)。
DD:
携帯型であれば,通勤途中の電車の中でも遊べますからね。
馬場氏:
しかも今回は,ニンテンドーDSとソフトを人数分そろえていただければ,Japanロードを使って親子の対話だってできるんですよ!
……ただ,繰り返しになるんですけど,野球つく2は本当に野球LOVEが詰まっているんで,野球ファンにやっぱり遊んでほしいんですよね。
DD:
コアな野球ファンと野球ゲームファンて,またちょっと違う層だったりしませんか?
馬場氏:
そこに乖離があるのは認識しています。これをどう埋めるかというのは,非常に難しい問題なんですけど,それに対する一つの回答として今回用意したのが,“野球で会話しよう! Japanロード”なんですよ。
DD:
ああ,Japanロードにはそういう役割もあったんですね。
馬場氏:
本編だけを一人でこつこつやるタイプの人でも,同じように野球つく2で遊んでいる人を見つけたら,「うちのチームは最近ね……」みたいな話をできると思いますしね。それこそ,クエストを全部達成した! とか,上級スキルを全部作った! みたいな形でやり込んでいただけるとも思いますし。
DD:
どんな遊び方だって,野球LOVEで受け止めます,と。
馬場氏:
僕らが一番野球好きなんだ! ぐらいの思いで作りましたから,野球LOVEにはあふれていると思いますよ。野球LOVEで流行語大賞を狙っていますし!
DD:
獲れるといいですねぇ。
今日はありがとうございました。あ,あと今からJapanロードの対戦をしていただけませんか? 実は4Gamerからの刺客なんですよ(関連記事)。
馬場氏:
受けて立ちましょう。
DD:
対人戦初めてなんですけどね。
- 関連タイトル:
プロ野球チームをつくろう!2
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