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ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション
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印刷2008/10/23 10:30

プレイレポート

ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション

画像集#001のサムネイル/ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション
 10月16日,ソニー・コンピュータエンターテイメントから,PSP用ダンジョンマネージメントゲーム「勇者のくせになまいきだor2」(以下,勇なま2)が発売された。
 本作は2007年12月6日に発売された,「勇者のくせになまいきだ」(以下,勇なま)の続編にあたる作品。前作と同様,プレイヤーは“破壊神”となってダンジョンを構築していき,そこで繁殖させた魔物の力で勇者を撃退していくこととなる。

 前作の勇なまは,昔懐かしいドッド絵風のグラフィックスが,不思議な温かみを醸し出していたが,随所にアニメやゲーム,ネットスラングなどの,非常にマニアックなパロディがちりばめられており,ハッキリ言ってかなりヘンテコリンなゲームだった。
 しかし,ただヘンテコリンなだけではなく,意外(?)にもそのゲーム性は硬派。限られた“堀パワー”でダンジョンを掘っていくという基本システムや,魔物達の捕食関係が生み出す生態系などは,シンプルながらも奥深いパズル要素を含んでおり,繰り返し挑戦したくなる熱中度の高い作品に仕上がっていた。

 以上の要素はもちろん,勇なま2でも健在。さらに新システムを加え,前作よりも確実にパワーアップしている。では,どこがどのように変わったのだろうか。本稿では勇なま2の新要素を中心に紹介していこう。

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大増量のストーリーモード

新たな魔物で勇者を倒せ!


画像集#004のサムネイル/ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション
 勇なま2ではワールドマップが追加され,前作と比べてステージ数が約4倍に増加(ゲームの舞台はあくまでダンジョンのみだが)。エリアごとに用意されたダンジョンをクリアしていくのだが,それぞれのエリアで登場する魔物の種類が異なるほか,養分や魔分(魔物を生み出すためのリソース)を含んだキノコが生えるようになっており,戦略の幅が広がっている。

 一方,なまいきだがどこか憎めない勇者達も,前作の約2.5倍と大幅に増加。しかも,前作には存在しなかった“魔物ハンター”“錬金術師”という新職業も追加されている。
 魔物ハンターは,“いいちくわ”や“おいしそうなにく”など,食べた魔物を毒状態にしたり即死させたりする“ベイトトラップ”や,複数の魔物を巻き込んで爆発する“樽爆弾”などを駆使する。なんだか初めて会った気がしないやつらだが,ミラ……なんとかや,リオ……なんとかを狩るハンターとは別物だろう。たぶん。

この勇者,昔アンドロイドと戦っていた人と名前が似ているような気がする。捜査官から魔物ハンターへ転職していたとは……
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 そして錬金術師は,直線状に岩を突き出す“岩柱生成”や,勇者の味方をする“キレイな魔物”を呼び出す“召喚”などといった,少々変わったスキルを使ってくる。手を叩くだけでいろんな物が出せる鋼っぽい錬金術師や,仲魔を使役するヒーローとは関係ない。たぶん。

 また,勇者達が使用する“セーブフラッグ”というスキルも追加されている。これを設置した勇者は,死んでもフラッグの位置から復活できるという凶悪なものだ。フラッグが残っている限り何度でも復活するので,見つけたら即破壊しなければいけない。勇者が複数で襲ってくるステージなどは,このスキルのせいでかなり忙しいことになる。

ワルオとヨシオはどこ行った? どっちつかずの思想が君の魅力だね。それにしても,神経弾を装備してなくて本当に良かった。オレサマ,オマエ,マルカジリ
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画像集#013のサムネイル/ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション
異常化し,強い毒性を持つに至ったガジガジ。個別の能力は低いが,数を揃えれば強力な軍団と化す
 以上のように,ただでさえ能力的にひいきされている勇者が,さらに強く,ウザくなっているので,破壊神としては泣けてくる。
 しかし,魔王軍だって負けてはいない。パワーアップした勇者共に対抗すべく,魔物の種類が前作の約3.3倍に増加し,“突然変異”という新システムも追加されているのだ。
 突然変異は生態系のバランスに応じて,魔物が変化するというシステム。例えば,捕食されることが多い種は,天敵に対抗するために“異常化”し,“マヒ”や“ドク”,“ネムリ”など,敵にバッドステータスを与える能力を得る。

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巨大化……というよりメタボリックな変異を遂げたトカゲ。攻撃力がそこそこ高いので戦力としては優秀
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役立たず代表のピュア種。とくに語ることなし

 またエサが足りず,餓死することが多くなった種は,生き残るために互いを吸収して“巨大化”する。
 そのほかにも,役立たずな弱い魔物になってしまう“ピュア系”や,発生条件が難しく,見た目も珍しい“レア系”など,さまざまな突然変異が存在する。とくに“レア系”はなかなかお目にかかれないが,生み出せれば心強い戦力となるだろう。

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レアなエリマキトカゲ。とあるキノコを食べることで変異するらしいが……?
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魔方陣から誕生する“レディ種”。勇者のモチベーションを下げる特殊能力を持つ。繁殖は一切しないので,維持が難しい

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魔方陣から誕生する“ゴーレム種”。突くと一斉に雄叫びを上げ,ダンジョン全体の魔物に影響を与えるという。繁殖はしない
 ちなみに,魔物が“突然変異”しそうになると,画面下部で「おや。〜〜のようすが?」と,“天の声”が知らせてくれる。このとき,本作から追加された破壊神の新スキル“ダンジョンクェイク”を使用すると,変異をキャンセルすることが可能だ。ダンジョンクェイクは,ダンジョンに設置されたトラップやフラッグを破壊し,一定確率で勇者をマヒさせる効果があるが,1回使用するたびに20の堀パワーを消費してしまう。使いどころが難しいスキルだ。

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 ゲーム画面が分かりやすく,親切になったことにも注目したい。前述の“天の声”のほかにも,勇者のセリフが某動画サイト風に画面に流れたり,“魔物バー”によって生態系のバランスが一目で分かるようになったりと,地味ながらうれしい改善がほどこされている。また,重要な出来事はライブカメラで映し出されるようになったので,状況判断がしやすくなった。

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好きなだけ生態系の観察が出来る!

魅力的な新モード“魔王のへや”


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 勇なま2で追加された新モード“魔王のへや”では,心ゆくまで魔物を育て,観察することができる。堀パワーの量からダンジョンの深さ,土の養分,誕生する魔物まで細かく設定可能で,勇者は意図的に呼ばないかぎり攻めてはこない。新たな戦略の研究や,魔物の能力の検証など,色々と役に立つモードだ。
 十分にダンジョンを作りこんでから勇者を呼べば,ストレス解消にも最適。いつもストーリーモードでボコボコにされている破壊神(ザコ種)の筆者は,もっぱらこの理由で魔王の部屋を利用している。

 また,前作のクリアデータがあると,おまけのチャレンジモードが出現する。前作をプレイしていた猛者はぜひとも挑戦してみよう。

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ウザオモシロイにもほどがある

不思議な魅力のある作品


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 勇なま2を一通りプレイしてみた印象は,おちゃらけた雰囲気に反してかなり丁寧に作られたゲームだな,というもの。ダンジョンの生態系は,まるでゲームの中で本物の生き物が生活しているかのようなバランスだし,プレイヤーが少し手を加えることにより,その時々で違った姿を見せてくれるのが非常に面白い。

 またゲーム中,破壊神であるプレイヤーにたびたび語りかけてくる“魔王”は,こちらを尊敬してるんだか馬鹿にしているんだか,ウザいのにどこか憎めない魅力的なキャラクターだ。
 意外に難度の高いゲームなので,慣れないうちはどうしてもストレスが溜まりがちだが,パロディ満載の魔王のセリフが見たいがために,「諦めずに頑張ろう!」という気持ちになってしまう。

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 ゲームシステムが秀逸なのはもちろんだが,そういう細かい部分でプレイヤーをクスッとさせる要素が,本作の最大の魅力だと思う。……まぁ,アニメやゲーム,ネットに関するマニアックな知識があること前提の面白さかもしれないが。

 なお勇なま2は,PlayStationStoreにて体験版が無料配信されているので,本作に少しでも興味が湧いたなら,ぜひ一度プレイしてみてほしい。きっと,本作の“ウザオモシロイ”魅力の虜になるはずだ。

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