プレイレポート
ボリュームやゲーム性だけでなく,パロディ要素もパワーアップ。「勇者のくせになまいきだor2」ファーストインプレッション
本作は2007年12月6日に発売された,「勇者のくせになまいきだ」(以下,勇なま)の続編にあたる作品。前作と同様,プレイヤーは“破壊神”となってダンジョンを構築していき,そこで繁殖させた魔物の力で勇者を撃退していくこととなる。
前作の勇なまは,昔懐かしいドッド絵風のグラフィックスが,不思議な温かみを醸し出していたが,随所にアニメやゲーム,ネットスラングなどの,非常にマニアックなパロディがちりばめられており,ハッキリ言ってかなりヘンテコリンなゲームだった。
しかし,ただヘンテコリンなだけではなく,意外(?)にもそのゲーム性は硬派。限られた“堀パワー”でダンジョンを掘っていくという基本システムや,魔物達の捕食関係が生み出す生態系などは,シンプルながらも奥深いパズル要素を含んでおり,繰り返し挑戦したくなる熱中度の高い作品に仕上がっていた。
以上の要素はもちろん,勇なま2でも健在。さらに新システムを加え,前作よりも確実にパワーアップしている。では,どこがどのように変わったのだろうか。本稿では勇なま2の新要素を中心に紹介していこう。
大増量のストーリーモード
新たな魔物で勇者を倒せ!
一方,なまいきだがどこか憎めない勇者達も,前作の約2.5倍と大幅に増加。しかも,前作には存在しなかった“魔物ハンター”“錬金術師”という新職業も追加されている。
魔物ハンターは,“いいちくわ”や“おいしそうなにく”など,食べた魔物を毒状態にしたり即死させたりする“ベイトトラップ”や,複数の魔物を巻き込んで爆発する“樽爆弾”などを駆使する。なんだか初めて会った気がしないやつらだが,ミラ……なんとかや,リオ……なんとかを狩るハンターとは別物だろう。たぶん。
そして錬金術師は,直線状に岩を突き出す“岩柱生成”や,勇者の味方をする“キレイな魔物”を呼び出す“召喚”などといった,少々変わったスキルを使ってくる。手を叩くだけでいろんな物が出せる鋼っぽい錬金術師や,仲魔を使役するヒーローとは関係ない。たぶん。
また,勇者達が使用する“セーブフラッグ”というスキルも追加されている。これを設置した勇者は,死んでもフラッグの位置から復活できるという凶悪なものだ。フラッグが残っている限り何度でも復活するので,見つけたら即破壊しなければいけない。勇者が複数で襲ってくるステージなどは,このスキルのせいでかなり忙しいことになる。
異常化し,強い毒性を持つに至ったガジガジ。個別の能力は低いが,数を揃えれば強力な軍団と化す |
しかし,魔王軍だって負けてはいない。パワーアップした勇者共に対抗すべく,魔物の種類が前作の約3.3倍に増加し,“突然変異”という新システムも追加されているのだ。
突然変異は生態系のバランスに応じて,魔物が変化するというシステム。例えば,捕食されることが多い種は,天敵に対抗するために“異常化”し,“マヒ”や“ドク”,“ネムリ”など,敵にバッドステータスを与える能力を得る。
巨大化……というよりメタボリックな変異を遂げたトカゲ。攻撃力がそこそこ高いので戦力としては優秀 |
役立たず代表のピュア種。とくに語ることなし |
またエサが足りず,餓死することが多くなった種は,生き残るために互いを吸収して“巨大化”する。
そのほかにも,役立たずな弱い魔物になってしまう“ピュア系”や,発生条件が難しく,見た目も珍しい“レア系”など,さまざまな突然変異が存在する。とくに“レア系”はなかなかお目にかかれないが,生み出せれば心強い戦力となるだろう。
レアなエリマキトカゲ。とあるキノコを食べることで変異するらしいが……? |
魔方陣から誕生する“レディ種”。勇者のモチベーションを下げる特殊能力を持つ。繁殖は一切しないので,維持が難しい |
魔方陣から誕生する“ゴーレム種”。突くと一斉に雄叫びを上げ,ダンジョン全体の魔物に影響を与えるという。繁殖はしない |
ゲーム画面が分かりやすく,親切になったことにも注目したい。前述の“天の声”のほかにも,勇者のセリフが某動画サイト風に画面に流れたり,“魔物バー”によって生態系のバランスが一目で分かるようになったりと,地味ながらうれしい改善がほどこされている。また,重要な出来事はライブカメラで映し出されるようになったので,状況判断がしやすくなった。
好きなだけ生態系の観察が出来る!
魅力的な新モード“魔王のへや”
十分にダンジョンを作りこんでから勇者を呼べば,ストレス解消にも最適。いつもストーリーモードでボコボコにされている破壊神(ザコ種)の筆者は,もっぱらこの理由で魔王の部屋を利用している。
また,前作のクリアデータがあると,おまけのチャレンジモードが出現する。前作をプレイしていた猛者はぜひとも挑戦してみよう。
ウザオモシロイにもほどがある
不思議な魅力のある作品
またゲーム中,破壊神であるプレイヤーにたびたび語りかけてくる“魔王”は,こちらを尊敬してるんだか馬鹿にしているんだか,ウザいのにどこか憎めない魅力的なキャラクターだ。
意外に難度の高いゲームなので,慣れないうちはどうしてもストレスが溜まりがちだが,パロディ満載の魔王のセリフが見たいがために,「諦めずに頑張ろう!」という気持ちになってしまう。
ゲームシステムが秀逸なのはもちろんだが,そういう細かい部分でプレイヤーをクスッとさせる要素が,本作の最大の魅力だと思う。……まぁ,アニメやゲーム,ネットに関するマニアックな知識があること前提の面白さかもしれないが。
なお勇なま2は,PlayStationStoreにて体験版が無料配信されているので,本作に少しでも興味が湧いたなら,ぜひ一度プレイしてみてほしい。きっと,本作の“ウザオモシロイ”魅力の虜になるはずだ。
- 関連タイトル:
勇者のくせになまいきだor2
- 関連タイトル:
勇者のくせになまいきだ。 PSP the Best
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