インタビュー
“出会い”と“共感”を表現するための“滅びゆく世界”。Wii「FRAGILE〜さよなら月の廃墟〜」開発者インタビュー
本作は,そう遠くない未来,人類がほぼ滅んでしまった世界で,主人公の少年“セト”となり,自分以外の生き残りを探す旅に出るという“廃墟探索RPG”。Wiiリモコンを懐中電灯に見立てるという要素や,美しいグラフィックで描かれる荒廃した世界,そして切なくも温かい音楽が魅力の作品だ。
今回,本作のプロデューサーである川島健太郎氏(以下,川島氏)と,アートディレクターである原田恵子氏(以下,原田氏),そして,開発を担当したトライクレッシェンドのメインプログラマー安井宗史氏(以下,安井氏)と,サウンドの齋藤理詠氏(以下,齋藤氏)にジックリとお話を聞く機会に恵まれたので,本稿ではその内容をお伝えしていこう。
“出会い”と“共感”をテーマとした本作
こだわりや苦労,作品に込めた想いとは?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは作品についてお聞きするまえに,自己紹介を兼ねて,フラジールでの役割と,これまでに関わった代表作を教えてください。
「フラジール」制作プロデューサー 川島健太郎氏 |
制作プロデューサーの川島です。製品を統括する仕事と,ディレクターを兼ねていまして,あと,シナリオも担当しています。今まで関わってきた作品は,「ファミスタ」や「プライムゴール」といったスポーツゲームのシリーズですとか,RPGを作り始めてからは「7〜モールモースの騎兵隊〜」や「ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜」などを作りました。
原田氏:
アートディレクターをやっている原田です。RPGでは「7〜モールモースの騎兵隊〜」や「ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜」に関わりまして,「エースコンバット5」と「エースコンバット・ゼロ」のムービー制作に携わりました。
安井氏:
トライクレッシェンドの安井です。過去に「バテン・カイトス」,「バテン・カイトス2」のメニュー部分のプログラムを担当しました。本作ではメインプログラマーとして参加しています。
齋藤氏:
トライクレッシェンドの齋藤です。本作ではサウンドを担当していて,効果音やボイスにも補佐的に関わりました。過去に携わった作品は「バテン・カイトス」,「バテン・カイトス2」,あと「ラジアータストーリーズ」です。
4Gamer:
ありがとうございます。そうそうたるメンバーですね……。では,そんな豪華メンバーが集結して制作したフラジールの概要を,簡単に説明していただけますか。
川島氏:
本作は,人類が滅びに向かい,誰もいなくなった廃墟を懐中電灯片手に探索して“ほかの誰か”を探す,廃墟探索RPGです。Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて画面中を照らしながら,落書きやアイテムを探していくシステムと,たった一人になった主人公が人間の温もりを求めて,さまざまな人々と出会い,その中で“心を通わせることの大切さ”を知るというストーリーが特徴となっています。
4Gamer:
主人公が“超人”ではなく,勧善懲悪的なストーリーでもない,なんというか情緒的な作品ですが,本作が制作されることになったきっかけや経緯をお聞かせください。
川島氏:
2003年くらいの時点で,「廃墟を探索して誰かを探す物語を作りたいなぁ」というネタはありまして,社内ブログにアイデアをため込んでいたんです。なので,Wiiが発売される前から構想はありました。
4Gamer:
そうなんですか。では,なぜ本作をWiiで出そうと?
川島氏:
色々と探索するときの操作を,普通のゲームパッドに置き換えると,どうしても違和感があったんですよ。そんなときにWiiが登場して,Wiiリモコンを見たとき,「これなら懐中電灯にすんなり置き換えられるんじゃないか」と思いまして。それが,本格的な開発のきっかけです。
4Gamer:
なるほど。かなり前からアイデアはあったということですが,川島さんは昔から廃墟が好きだったんですか?
川島氏:
今はあまりやっていないんですが,当時は用水路などを埋め立てて道にした場所……“暗渠”というんですが,そういうところを夜中に歩くのが趣味だったんですよ。よく警官に呼び止められました(笑)。そういう道の側には,いい感じに風情のある建物があったりしまして,昔から好きでしたね。
4Gamer:
とはいえ,本作の初期設定は,もう少し一般的というか,明るめのものだったとお聞きしたのですが,そのあたりについて詳しく教えてください。
川島氏:
最初はもう少し,普通のファンタジーっぽいお話を考えていたんです。しかし,超人的な能力を持つ主人公が,既視感のない舞台で活躍するゲームでは,「お客様との距離が遠くなってしまう」と思ったんですよ。やはり,どこか見知った世界であったり,自分と関係のあるものが出てきたりしないと,物語を自分のものとして捉えられないのではないか? と考えたのが一番大きな理由です。なので,東京タワーのような,みんなが知っているランドマークも盛り込みました。
4Gamer:
なるほど,それで,やけに気になる世界観なんですね。ゲーム中に登場する廃墟などは,実際に取材して制作に生かしたという話が開発者blogなどで語られていましたが,取材に行った川島さんと原田さん,とくに印象に残った場所などはありますか?
川島氏:
冬場に,川治ダムという場所を取材したのですが,そのときエレベータが故障していて,しかも階段やハシゴが全部凍っていたんです。しかたなくダムの側面を,凍った階段やハシゴを使って自力で降りて行ったんですが,それが非常に印象に残っていますね。けが人が出なくて本当によかったです。
アートディレクター 原田恵子氏 |
私の印象に残っているのは,東京タワーのキャットウォークですね。普通のお客さんでは行けないような展望台の上,メンテナンス作業のための場所に,直接行くことができたので,とても有意義な取材でした。
4Gamer:
どちらもかなり危険な取材ですね……。しかしそういった苦労が,本作の世界観の構築に,大きな影響を与えているのは分かります。そういったこだわりは,ゲーム世界の随所に盛り込まれていそうですね。
原田氏:
小物の量と置きかたにまで,こだわりました。例えば,「誰もいないダムの事務室に筆記用具があった時,どう配置するか?」といったことを,真剣に考えましたね。そのあたりのこだわりは,マップ制作班のスタッフも非常に力を入れてくれました。
4Gamer:
なるほど,そういった細部へのこだわりが,結果的に世界観のリアリティに結びついているんですね。
原田氏:
そうかもしれませんね。オブジェクトの配置の仕方もそうですし,なるべく多くの小物を用意して,「ここに人がいたんだ」という“匂い”を醸し出す努力をしました。その成果がプレイヤーさんに実感してもらえたら,うれしいです。
4Gamer:
世界観といえば,本作の公式サイトなどから感じ取れる雰囲気は,ちょっと暗めというか,もの悲しいものがありますよね。ゲーム中で,人類は滅亡に向かっているようですが,その理由については語られるんでしょうか。
川島氏:
はい,一応語られます。でも一般的なRPGでは,最後のほうで「実はこうでこうでこうなったんだよ!」という感じに,詳しく説明されることが多いじゃないですか。そういうやり方ではリアリティが出せないと考えているので,本作は説明的ではないかもしれません。注意深く世界を探索していけば,人類が滅亡に向かっている理由がなんとなく見えてくる,というような感じでしょうか。
4Gamer:
では,いわゆるメインシナリオで,その謎を追っていくわけではないんですか。
川島氏:
はい。滅亡の理由はある程度メインシナリオにも関わるんですが,サブシナリオや壁の落書きなど,そういったものを見ていくことで,謎に近づけるように作ってあります。
4Gamer:
なるほど,ここでも細部へのこだわりが,より大きな要素に関わっているわけですか。“人類滅亡の真相を探る”という目的さえ,やり込みの要素として楽しめそうですね。
川島氏:
そうですね。できれば,いわゆる早解きを目指さず,広大な世界のいたるところにある,細部のこだわりをチェックしつつ,ウロウロしてほしいですね。
4Gamer:
登場人物がみんな個性的ですが,キャラクターデザインで意識した点はどういった所でしょうか。
原田氏:
キャラクターに関しては,あまりリアリズムを追求せず,キャラクター性を誇張したような服装にしています。あとは目を大きくして,“瞳で語る”ような,“表情が伝わりやすいキャラクター造詣”を心がけました。どちらかというと,ドラマ性を象徴するような方向性になっています。
トライクレッシェンド メインプログラマー 安井宗史氏 |
安井さんは3Dのプログラミングをやるのは本作が初めてだとお聞きしたのですが,苦労した部分やこだわった部分というのはありますか?
安井氏:
基本のゲームエンジン部分は「バテン・カイトス」のときに作ったものがありましたので,実際に行ったのは,それを使ってゲームに仕立てる部分です。エンジンを組むわけじゃないので,3Dの経験がなくても何とかなりました。苦労したといえるのは、“Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて探索する”という部分でしょうか。
4Gamer:
なるほど。具体的にはどういった点でしょう?
安井氏:
例えば,プレイヤーがWiiリモコンでポイントしたところを,キャラクターが照らすわけですが,ポイントした点がマップのどこにあるか分からないと,キャラクターが奥を照らせばいいのか手前を照らせばいいのか判定がつかないんですね。その処理のベースになるプログラムはなかったので,一から制作しました。それがしんどかったですね。
4Gamer:
フラジールの世界観を表現する上で,音楽の役割は非常に大きいと思うのですが,楽曲を制作するにあたってとくに意識したところはありますか。
トライクレッシェンド サウンド担当 齋藤理詠氏 |
フラジールでもっとも大事なところは,孤独と人々の想い。あと,それを“包み込む存在”だと思うんですよ。本作では“月”が象徴的なので,私はその“包み込む存在”を月に託しました。音楽はそういった点を意識して作らせていただきました。
4Gamer:
なるほど,では,苦労された点はありますか?
齋藤氏:
環境音に関しては,担当した者がとくにこだわりを持って作っていまして,マップごとに少しずつ異なる環境音を設定しました。例えば一口に草原の効果音といっても,全部同じ音ではリアルじゃないということで,コオロギやカエルの鳴き声が別々の場所から聞こえたり,両方の音が混じる場所を作ったりしました。かなり苦労した部分だと思います。フラジールでは,音楽と共に環境音も堪能してもらえると嬉しいです。
4Gamer:
ヘッドフォン推奨ですね。
齋藤氏:
部屋を暗くして,ロウソクを立ててプレイすれば,部屋が廃墟のようになってより楽しめるのではないか,と勝手に思っています(笑)。
4Gamer:
ゲーム中,敵と戦闘する場面もありますが,フラジールはあまり,戦闘システムを前面に押し出した作品ではないですよね。
川島氏:
戦闘の部分に関しては割とオーソドックスです。基本的にはアクション性の高い戦闘システムで,敵を倒すと経験値が入って,レベルアップして,ステータスが伸びていくという感じですね。でも,やろうと思えば,まったくレベルアップをせずにクリアすることも可能です。相当難しいと思いますが(笑)。
4Gamer:
戦闘は,ずっと主人公一人で行うんでしょうか。一応,幽霊のような“意識体”と行動を共にす場面もあるようですが。
川島氏:
はい。一人ですね。意識体は,戦闘になるとなぜかスゥーっと消えてしまいます(笑)。
4Gamer:
登場する敵にクラゲのような悪霊もいましたが,敵のデザインも独特のものが多いですね。
原田氏:
世界が滅びた時に,人の意識のような物が廃墟に残る。それってどういう感じなのかなと考えていたとき,弱い意識というのはあまり自立していなくて,時間に流されていっちゃうくらい,弱い存在なのかもしれないと思ったんです。そこからクラゲのビジュアルが合うんじゃないかと思い,形にしてみました。
安井氏:
あぁ,半透明のクラゲは結構手強かったですね。技術的な話になるのですが,半透明の物は,奥の物をちゃんと先に描かなければいけないので,並べ替えは発生するしフィルレートは食うしで,パフォーマンスが落ちてしまいます。
さらに“半透明の女性が半透明の服を着ている”デザインなんかだと,ピクセル単位で並べ替えでもしないと正しく描画できないんですが,それができるハードじゃないので,女性の部分を不透明にさせてもらったり。また,こういった事情をデザイナーに説明するのが非常にしんどかったです(笑)。
すいませんでした(笑)。
4Gamer:
その苦労の成果を,ぜひゲーム内で確認させてもらいます(笑)。ところで本作には,いわゆる“ボスキャラ”も存在するんでしょうか?
川島氏:
いますよ,ゲーム史上稀に見る巨大なヤツが。“建築物そのものがボス”みたいなボスが出てきます。
4Gamer:
木の棒やゴルフクラブじゃ倒せないですよね,それ(笑)。武器としては身近な道具が多いですが,武器らしい武器というのも登場するんでしょうか?
川島氏:
ええ,ゲーム後半では,日本刀や槍といった武器も登場します。あと懐中電灯も,もっと性能のいいものや,特殊なビームが出るものなどが存在します。
4Gamer:
そういえば,防具などは存在しないんでしょうか。セトやレンは最後まであの格好のままなんですか?。
川島氏:
あのままです(笑)。ちなみにレンの衣装は手術着をモデルにしているのですが,学生時代にアレを着せられたキャラデザイン担当者が,「いつか絶対この恥ずかしい衣装を誰かに着せてやる!」と考えていたようで,あのデザインになりました。わけが分からない(笑)。
4Gamer:
その経験は今になって,多くの人に幸せを運んだと思います(笑)。あと,武器や回復アイテムのほかにも,“人の想いが宿ったアイテム”が登場しますよね。これらのアイテムは,物語にどう関わってくるのでしょうか?
川島氏:
物語の鍵になるような情報が込められたアイテムもありますが,それとは別に「世界がどういう経緯で滅びてしまったのか」というような,世界に関する謎に近づくためのアイテムも存在します。また,ファンから募集したものや,タイアップさせていたいた小説家の“壁井ユカコ”さんと“紅玉いづき”さんが書いた,「世界が滅びたとき,人々はどういうことを考えたのか」というショートストーリーもたくさん盛り込んでいます。
4Gamer:
そういえば,事前にファンから,落書きやショートストーリーを募集していましたね。どうでしょう,実際にゲームに生かせましたか?
川島氏:
シナリオを書いていて一番詰まるところは,自分の幅以上のストーリーは生み出せないということです。あたりまえですが,自分で作れるものしか作れないんですね。でも,お客様からいただいた意外なアイデアで,「あ,こういうのもアリか」とか,「こんなことを考えたりするのかもしれない」と関心することが多くて,“かつて多くの人が生きていた,滅びかけた世界”を再現するうえで,非常に役に立ちました。
4Gamer:
ちなみに,海外版を発売する予定はあるのでしょうか。
ただ今検討中です。できれば,こういったゲームを海外に持っていったときに,海外のゲーマーがどういった反応をするのか,非常に見てみたいですね。
4Gamer:
確かにそれは非常に気になりますね。では,日本のゲーマーは,本作をどのように受け止めてくれると考えていますか?
川島氏:
正直にいいますと,コンテンツを作っているときに,日本向け/海外向けという意識を持つのを辞めようと思っているんですよ。どうしても,自分の持っている文化的な背景を無視して作ることはできないじゃないですか。海外向けのゲームを作るのなら,それは海外の人が作ればいいし,幸いなことに日本には1億2千万人の人口があります。日本だけで成立するマーケットだと言えなくもないんですよね。
で,それを海外に持っていったときにどう思われるか,というのが真っ当な,誰も無理していないコンテンツの作り方じゃないかと,強く思っています。なので,あえて海外向け日本向けというのはあまり意識しないようにしています。
4Gamer:
確かに,本作のノスタルジックな雰囲気というのは,日本人だからこそ共感できるという部分もあるかもしれませんね。では最後に,本作でとくにプレイヤーに注目してもらいたいという点を,それぞれの立場からお聞かせください。
川島氏:
では,最初とは逆からいきましょうか(笑)。
音楽を作らせていただいた立場からすると,色々なものを感じてもらえたら良いなと思います。私が“こう作った”というのではなくて,どちらかというとフラジールの世界に入って,見て,感じて生み出したというような感じですね。フラジールの世界の想いだとか,「孤独だけど本当は孤独じゃないんだよ」というようなことを伝えたいです。ストーリーを進めていって,何か感じたものがあれば,そして,そこに音楽が少しでも関わっていたら,本作の音楽を担当できて本当に有り難かったなと思えます。
安井氏:
今回はいくつものプログラムの取りまとめとか,割とあっちこっちに関わったので,特定のどこかというのはすごく挙げにくいんですよね。なので,ストーリーやグラフィックス,サウンドを楽しんでいただく中で,「実は影でプログラムも頑張ったんだよ」ということをたまに思い出してもらえると嬉しいです(笑)。
4Gamer:
そういえば開発途中のバージョンで,「メモリを食いすぎた」とか「処理落ちがひどい」という問題も発生したようですね。
安井氏:
それはマップを担当したデザイナーが,ほとんどXbox 360版「トラスティ・ベル」の開発に関わっていたスタッフだったので,放っておくとその基準で作っちゃうんですよ。テクスチャの容量も,最初に「バテン・カイトス」の時から逆算して容量を決めて,そのサイズでやってほしいと言ってたんですけれども,「リアリティを出すためにはこだわらないと」ということで,気がついたらどんどん増えていきまして……(笑)。
4Gamer:
画面写真一枚を見ても,すごく“絵”になる風景ばかりだったので,相当な苦労があったんだろうなぁとは思っていました(笑)。では,続けて原田さんと川島さん,お願いします。
ストーリーを追って駆け足で楽しもうと思えば,それなりに楽しめてしまうのですが,なんの目的もなく,マップをウロウロしていても,そこに面白そうなものがあったり,違う風景が見えてきたりします。たまにはしゃがんで探索してみたりすると,また面白いモノが見えてくると思うので,戦闘に疲れたら,時々ウロウロしてみてください(笑)。
川島氏:
ゲームは,お客様の手に渡ってしまえばお客様の物なので,私としては自由に,それぞれにそれぞれの物語を作っていただければと思います。プレイしたあとで,心に“何か”が残っていたら,非常に嬉しいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
まだ本作をプレイしておらず,積極的に関連情報を集めていないという人の中には,本作は暗く,悲しいストーリーが描かれるゲームなんじゃないかと考えていた人もいるだろう。しかし実際には,物語の中で“救い”も描かれているし,さりげない“優しさ”も随所にちりばめられている。
一見すると,人を選びそうなタイトルではあるが,公式サイトで掲載されている印象的なキーワードや,美しい音楽,どこかはかなげな登場人物などにグッときた人であれば,本作の世界を十分に堪能できるだろう。“クリアすべきRPG”というよりは,どちらかというと“楽しむべき世界観”として認識するのが,本作に対する正しい姿勢なのかもしれない。
なお川島氏は,「FRAGILE〜さよなら月の廃墟〜」についてこうも語っている。「私は,このゲームを終えたお客様が,次の日,たとえば登校中,いつもは無言で通り過ぎる友達に挨拶してみようかなと思ったり,朝ご飯を作ってくれるお母さんに,背中越しにでも,ありがとうと言ってみようかなと思ったりしてくれればいいな,このゲームが,そういうことのきっかけになればいいな,と思って本作を作りました」。
さて,本作をプレイしたあなたは,どんなことを思っただろうか。
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