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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第35回「ゲームの最新作もヒット中! 『ストリートファイター』が再び映画に!(3)」
前回取り上げたジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の映画版「ストリートファイター」の制作と同時期に,Capcom USAはアーケードゲーム「ストリートファイター ザ・ムービー」の開発も行っていた。開発を担当していたのは,最近ではアミューズメント施設向けのゴルフゲームでヒットを飛ばし,シリーズ化しているIncredible Technologiesだ。
彼は,ゲームにおけるモーションキャプチャー技術に圧倒され,当時全米で発行されていたマーシャルアーツ系マガジンに,そのときの模様をこう語っていた。
「マーシャルアーツ・ファイターが年老いたとしても,ビデオゲームの技術があれば,モニター上でプレイヤーがいつでも自由に操れるのは,素晴らしいし革新的であると感じている。そしてカプコンは意欲的でもあった。Mr.辻本(現 カプコン会長の辻本憲三氏)の戦略で驚かされたのは,映画に出演するキャラクター達をビデオゲームへそのまま登場させ,格闘させるという挑戦だ(筆者注:映画撮影前にモーションキャプチャー作業が行われたのかもしれない!?)。映画では格闘シーンが少なかったため,仕事としては満足できなかったのだが,私のポテンシャルはビデオゲームのほうで活かせたと思う。合成する必要があったため,初めてブルーバックでの仕事を経験したのだが,ファイトトレーナーとしてもやりがいのある仕事だった。映画の撮影現場ではジャン=クロードのハリウッドスターぶりがスタッフのテンションを下げていたものの,ビデオゲームの現場では,彼ならではのアドバイスもあったりと,一緒に仕事をしていて楽しかったし,カプコンからは普段味わえない貴重な経験をさせてもらった」
どうやらベニー・ユキーデは,ビデオゲームの現場をとても気に入った様子である。ちなみに友人のジャッキー・チェンとの仕事は,2003年にハリウッドで作られた「メダリオン」に,ファイティングトレーナーとして裏方で参加したのが最後となっている。
さて,こうして開発されたアーケード版ストリートファイター ザ・ムービーは,映画公開の翌年(1995年)にリリースされるも,その時点では「スーパーストリートファイターII X」がアミューズメントシーンを席巻していたことに加え,スタンドタイプのアップライト筐体だったことも災いしてか,インカムも悪く,早々にフェードアウトしていった……。
この作品は,アーケードからの移植タイトル扱いされているが,実はアーケード版から多くの手直しが施され,「スーパーストリートファイターII X」のキャラクター達までもが大暴れするのだ。
ゲーム自体,もっさりしていたアーケード版と比べると,スピーディにはなっているのだが,どうにもカルト臭は抜けきっていない。その大きな原因は,見た目だけでなく,破綻したゲームシステムにもある。
とくに空中コンボの狂いっぷりは「ストリートファイター」シリーズ中でもトップだろう。攻撃を受けたあとの吹き飛びモーションに当たり判定が残り続けているだけでなく,受け身システムの発想がなかったため,ゲームシステムが破綻しているのだ。
というのも本作では,ある特定の必殺技の終了間際を必殺技キャンセルで追加できるという極悪コンボが可能な仕様であったため,空中にいる相手へ連続して攻撃を叩き込むことができ,永久コンボも難しくなかったのだ。
必殺技の“獄殺自爆陣”は切腹で飛び出たその血飛沫で相手を攻撃するという,R指定必至な技。「ハラキリ」と叫びながら本当に腹を自分で斬るという,危険きわまりない必殺技は,誰が見ても狂気を感じるはず(そういえば「鉄拳」の吉光も類似技「不惑」を使う)。
さらにスーパーコンボの“カミカゼアタック”は「カミカゼ」の掛け声と共に,両手を元気玉を溜めるかの如く上へ掲げながら相手へ向かって体当たりし,スパコンKOさせると「バンザーイ」と叫ぶ……どう考えても日本人が作ったとは思えない。
そんな格闘ゲーム好きの誰からも愛されているキャプテン・サワダだが,PLAYSTATION 3の「まいにちいっしょ」内「トロ・ステーション」で,2008年12月13日に澤田拳也氏が登場し,「キャプテン・サワダの護身術入門」と題した喧嘩術なのか護身術なのか微妙なものを教えていた。ここでは,嘘か本当かこれまた微妙だが,アフガンで活動していたとも語っていた。
この企画を実現させた担当者は,キャプテン・サワダ&澤田拳也ファンの筆者にとって神に近い存在だ。
話は変わるが,実写版ストリートファイターのネタを書いていたら,かつて香港でバリー・ウォン監督が勝手に作ったノーライセンス映画「超級學校覇王」を思い出した(英語名は「FUTURE COPS」)。当初は「超級街頭覇王」と, 「ストリートファイター」の中国名表記でパロディ版として作っていたところ,カプコン側が激怒してタイトルが変わったという噂もある。
詳細はこちらでは書かないが,あまりにもヤバイ内容すぎて,日本では劇場公開はおろか,ビデオやDVDすら発売されていない。アンディ・ラウやイーキン・チェンなど,豪華キャストが出演しているのに,封印されている作品でもある。
ちなみにバリー・ウォン監督はジャッキー・チェンの「シティー・ハンター」の監督でもあったり,プロデュース作の「拳神」をゲーム「鉄拳」からパロったスタイルで作らせたりと,なんというか香港らしいバイタリティにあふれた人物のようだ。
これも余談だが,韓国のテレビ局もテレビシリーズとして実写版「ストリートファイターII」を勝手に作ってしまったことがある。この番組では,ダルシムの腕や足がキチンと伸びたり,リュウやケンは昇竜拳を放つとしっかり空中へワイヤーアクションで上昇していったりと,演出面での見所は多い。もう二度と観ることはできないだろうが,ゲームを一番理解して作られたのは,この番組だったのかもしれない。
「ストリートファイターII」人気が絶頂だった1994年に東映が公開した劇場版アニメ「ストリートファイターII MOVIE」は杉井ギサブローが監督し,リュウを清水宏次朗,ケンを羽賀研二,チュンリーを藤谷美紀,フェイロンを船木誠勝,バルログを故・塩沢兼人,師匠剛拳を故・天本英世が,それぞれ声の出演をした傑作アニメであった。
主題歌「恋(いと)しさと せつなさと 心強さと」(篠原涼子 with t.komuro)が映画以上に大ヒットを記録し,東京パフォーマンスドールのメンバーでありながらバラエティタレントとしてのイメージが強かった篠原涼子を,世間に歌手として認知されるようになったのも,ストリートファイターII MOVIEがきっかけだったのだ。
なお,このアニメはPlayStation 2版「ハイパーストリートファイターII 〜ア ニバーサリーエディション〜」の映像特典として収録されているのだが,チュンリーのシャワーシーンなどのお色気パートがカットされている。完全版は,ソニー・ミュージックレコーズから発売されているDVDでしか見られない。
また,翌1995年に日本テレビ系列で放送されていたテレビアニメシリーズ「ストリートファイターII V」は,再び杉井ギサブローが監督したほか,映画版で評判の良かった羽賀研二のケン・マスターズも続投。さらに,シナリオ原案としてキャプテン・サワダ=澤田拳也や石井和義館長&正道会館の方々が協力していたのである。
こちらはアミューズソフトからVHSとレーザーディスクで発売されていたが,廃盤となっており,入手は困難。3月18日に全29話がDVD-BOX化されると発表されたのだが……なぜか発売中止になってしまった。何が発売中止の理由なのかはなんとなく想像できるが……。
そういえば,劇場アニメ版のゲーム「ストリートファイターII ムービー」も,PlayStationとSEGA Saturnで発売された。内容は,劇場アニメ版の動画を使った,ちょっと変わったスタイルの育成シミュレーション+対戦格闘ゲームだ。うーん,なんだかややこしい……。
とりあえずこんな感じで,ストリートファイターについてはお開き。次回からは筆者の大好きな007特集をお送りする。
■ドブ漬けゲームスープレックス(35)
ニンテンドーDS
「スカシカシパンマンDS」(インターチャネル)
しょこたんことゲーム大好きタレントの中川翔子ちゃんが考案したオリジナルキャラクター「スカシカシパンマン」が,しょこたんの初プロデュースで奇跡のゲーム化! というわけで,なんとなく気になる本作を遊んでみた。
最近の若い人が考えたわりに(?)ファミコン世代のハートを掴むようなミニゲームや,思わず脱力してしまうような珍ゲームが満載。「なんだこりゃっ!」とツッコミながら,ついついプレイしてしまうミョ〜なエネルギーが感じられる。
変態のスカシカシパンマンとエイ子の濃いキャラクターが際立ちすぎる冒険劇もバカバカしくて楽しいが……個人的にはニンテンドーDSのタッチペンで納豆をかき混ぜるミニゲームがお気に入り。「こんなもんまでゲームにしちまうのかよ!」というアイデアに,なぜか熱中してしまうのだ。そういえば1980年代後期にも,こういう妙なゲームは多かったな……。
なお,アニメ版同様に若本規夫がスカシカシパンマンの声を,しょこたんがエイ子の声を担当している。エッチィ部分はマイルドになっているが,世界観はやっぱり変!
「スカシカシパンマンDS」公式サイト
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ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション
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スカシカシパンマンDS 「しょこたん」こと中川翔子プロデュース
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