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CEATEC JAPANに初出展のAMDが次世代モバイルGPUを展示。ATI Radeon HD 4600の品不足は「PCB製造の遅れ」が原因と明らかに
CEATEC JAPANにCPU/GPUメーカーが大きなブースを用意するというのは珍しいのだが,それだけAMDは,コンシューマ市場に注力しているということなのだろう。
面白いのは,(CEATEC JAPAN 2008に出展していない)Intelが,家電向けのCPUを製造するなど,CPUメーカーらしいアプローチを取っているのに対して,AMDは今回のブースで,ATI Radeon,つまりGPUを武器に,コンシューマ市場を狙う姿勢を鮮明にしていることだ。
未発表のATI Mobility Radeon HD 4000を搭載した
ノートPC用開発機が展示される
さて,そんなAMDのブースで目を引いたのが,「次世代モバイルGPU」を搭載した開発機である。これは,日本AMDの土居憲太郎氏によると,「世界初公開」とのこと。具体的な製品型番やスペックなどは明らかにされなかったが,未発表の「ATI Mobility Radeon HD 4000」ベースであるとは述べられている。
土居氏によれば,現在は製品化に向けて,消費電力を抑えるべくチューン中だそうで,製品化スケジュールについては「年内にはアナウンスがあるのではないか」(同氏)との見解が示されており,期待が高まる。
グラフィックスカードは,「インタフェース基板+GPU搭載MXM」の構成で,すでにMXMへのGPU実装が済んでいることが見て取れる。土居氏のいう「アナウンス」は,製品発表の可能性がありそうだ |
こちらは,ブースに置かれていたTurion X2搭載ミニノートPC「Everun Note」。けっこう軽く,面白そうだったのだが,ブーススタッフからは日本で販売予定かどうかも含め,とくに情報は引き出せなかった |
ATI Radeonを用いたDVDのアップスケールと
ゲームライクなI/F採用のビデオ編集ソフトにも注目
CEATEC JAPAN 2008の初日となる30日には,報道関係者向けのセッションが開催された。登壇したのは,先ほど名前が出てきた土居氏で,氏は,
- 日本では,ノートPCが市場の大半を占めており,ハイエンドのデスクトップPCはニッチに過ぎない
- ノートPCのなかで,リッチなグラフィックス機能を搭載するのは,ごく一部のハイエンド機に留まっている
事実を指摘。グラフィックス機能統合型チップセットであるAMD M780Gで「一般的なノートPCでもGPU(※編柱:GPU相当の機能)を利用できるようになった」(土居氏)と,その革新性をアピールしてみせた。
そのなかで注目したいのは,米ArcSoft製のビデオ再生ソフト「Total Media Theatre」だ。詳細は語られなかったが,同ソフトには,GPUによるアップスケーリング支援を実現する「SimHD」エンジンが搭載されており,いわゆるSD解像度(720×480ドット)のDVD-Videoを,1080p(1920×1080ドット)のHD解像度まで補間処理を行って,高精細感を与えながら拡大できるという。
現在のところ,その発売時期や価格などは明らかになっていないものの,ブース内で行われていたデモは,ぱっと見てもどちらがSimHDを介しているか分かるほど,高精細なものになっていた。
ポイントは,Blu-rayではなく,より一般的なDVD-Videoの高画質化に寄与するということだろう。高解像度ディスプレイを手に入れたPCゲーマーにとって,相応に意義深いソフトといえ,リリースされれば,ATI Radeonの大きな付加価値となりそうだ。
LoiLoScopeは,SD解像度版がフリーソフトウェアとして公開されているので,興味のある人は試してみるといいだろう。HD解像度に対応したバージョンは,10月中旬に発売予定となっている。
ただ残念なのは,今のところATI RadeonのGPGPU機能が使われているわけではないこと。セッションでAMD HDパートナーとしてLoiLoが紹介された経緯もあったため,それを聞いたときにはズッコケそうになったが,将来のバージョンで対応予定とのことだった。
10月1日に基調講演を予定するRick Bergman氏が
ATI Radeon HD 4670品不足の理由を説明
「世界規模で,非常に大きな需要があるため,もう少し待っていてほしい」(Bergman氏)。
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ATI Mobility Radeon HD 4000
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ATI Radeon HD 4600
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