Lynnfieldのウェハ
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日本時間2009年9月8日13:00,Intelは,開発コードネーム
「Lynnfield」(リンフィールド)として知られてきたデスクトップPC向けの新型CPUを,正式に発表した。4Gamerでは,ゲームパフォーマンスを重点的に検証したレビュー記事や,基本性能を徹底的に掘り下げるテストレポートを掲載しているので,ぜひ併せてチェックしてほしい。本稿では,製品の概要をお届けしたいと思う。
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[レビュー]「Core i7-870&i5-750」レビュー。Core 2環境から移行する価値はあるか?
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[テストレポート]特徴を徹底的に掘り下げるLynnfield基礎テスト。キモは「Turbo Boost」だ
さて,すでに秋葉原などでは先行して販売が始まっているが,製品ラインナップは以下のとおりとなる。
- Core i7-870/2.93GHz
(TB Max:3.60GHz,Core/Thread:4/8,L2 256KB×4,L3 8MB,
MC:2ch DDR3-1333,TDP:95W,1000個ロット時単価5万4560円)
- Core i7-860/2.80GHz
(TB Max:3.46GHz,Core/Thread:4/8,L2 256KB×4,L3 8MB,
MC:2ch DDR3-1333,TDP:95W,1000個ロット時単価2万7570円)
- Core i5-750/2.66GHz
(TB Max:3.20GHz,Core/Thread:4/4,L2 256KB×4,L3 8MB,
MC:2ch DDR3-1333,TDP:95W,1000個ロット時単価1万9030円)
※上のリストにおける略称の詳細は以下のとおり。
TB Max:「Intel Turbo Boost Technology」有効時の最大クロック
L2:L2キャッシュ容量
L3:共有L3キャッシュ容量
Core/Thread:コア数/スレッド数。「Intel Hyper-Threading Technology」をサポートする場合,スレッド数はコア数の2倍となる
MC:内蔵メモリコントローラ
TDP:Thermal Design Power,熱設計消費電力
いずれも,「Core Microarchitecture(Nahalem)」――俗にいうNehalemアーキテクチャベースのCPUで,製造プロセスは40nm High-k。CPUパッケージはLGA1156だ。NahalemベースのCPUというと,LGA1366パッケージのCore i7-900番台がすでに存在しているが,今回登場のCore i7-800番台とCore i5-700番台は,その下位モデルにして,Core 2 Quadの後継製品,という位置づけになっている。
MSI製の対応マザーボード「P55-GD80」より。ピンのあるソケットに,ピンのないCPUを収めて固定するという点では,LGA1366/775時代と同じだが,固定方法に若干の違いがある。いずれの写真でもソケットの右に見えるとおり,ソケットカバーを覆う金属の固定具がビスを挟み込むような機構が設けられ,二重のストッパーになっているのだ
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もう少し具体的に述べると,Core i7-800&i5-700番台は,以下のような特徴を持つプロセッサだ。
1.内蔵メモリコントローラの低コスト&低消費電力化
Core i7-900番台では,トリプルチャネルDDR3-1066(帯域幅25.6GB/s)を内蔵していたが,今回はデュアルチャネルDDR2-1333(帯域幅21.3GB/s)を内蔵。「Uncore」(※CPUの足回りを支える,CPU内部におけるCPUコア部分以外の要素)の低コスト化と低消費電力化に貢献しているという。
2.PCI ExpressコントローラをCPUに統合
上がLynnfield(Core i7-800&i5-700番台),下がBloomfield(Core i7-900番台)のダイレイアウト。よく似ているだけに,QPIを搭載するか,PCI Expressインタフェースを搭載するかが大きな違いに見える
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Core i7-900番台では,CPUと「Intel X58 Express」(以下,X58)チップセット間をP2P(Point-to-Point)で結ぶ高速なインタフェース「QPI」(Quick Path Interconnect)を採用することで,Core 2世代以前のFSB(Front Side Bus)を置き換えていた。これに対してCore i7-800&i5-700番台ではさらに一歩進んで,X58チップセットで内蔵されていたPCI Express(以下,PCIe)2.0インタフェースを,CPUのUncore部に統合してきたのだ。
つまり,旧来のノースブリッジが持っていた重要な要素は,すべて置き換えられたか,CPUに統合されたかしたわけで,結果,組み合わされるチップセット「Intel P55 Express」は,ストレージやUSB,サウンドなどの(比較的)低速なI/Oを制御するという,「PCH」(Platform Controller Hub)の1チップ構成となっている。
“Lynnfield世代”のブロックダイアグラム。P55 PCHは,Core 2世代以前でいうところの「ICH」(I/O Controller Hub)とほぼ同じ位置づけだ。片方向1GT/sの「DMI」(Direct Media Interface)でつながる点や,転送速度3GbpsのSerial ATAポートを6基サポートする点も,Core 2世代と同じだが,PCIeのレーン数が従来の6から8へ,USBポート数は従来の12から14へそれぞれ増えているなど,細かな進化も見られる。なお,P55側のPCIeは「プロトコルは2.0準拠だが,帯域幅は1.1相当」(Intel)
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3.Turbo Boost有効時の最大クロック引き上げ
Core i7-800番台のTurbo Boostでは規定倍率+5段階,Core i7-700番台は規定倍率+4段階まで,CPUの負荷状況などに応じて自動的に引き上げられる
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シングルタスクのアプリケーションなど,4コアすべてを使った処理を必要としない場合,使うコアだけ動作クロックを自動的に引き上げることでパフォーマンスを向上させる機能,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)。Core i7-900番台では,状況に応じて,最大で“規定倍率+2段階”分,動作クロックが引き上げられる仕様になっていたが,これがCore i7-800番台では“規定倍率+5段階”,Core i7-700番台では“規定倍率+4段階”に拡張された。
例えば,動作クロックが2.93GHz(ベースクロック133MHz×規定倍率22)で動作するCore i7-870の場合は,Turbo Boostにより,最大で133MHz×27≒3.60GHzまで,引き上げられる可能性があるわけだ。このあたりは
テストレポートが詳しいので,ぜひ参考にしてほしい。
4.HTTをサポートしないモデルが登場
同じLynnfieldコアのCPUとなるCore i7-800&i5-700番台。動作クロック以外の違いは,(少なくとも製品発表時点では)「Intel Hyper-Threading Technology」(以下,HTT)をサポートするかしないかのみとなる。i7-800番台がHTT対応,i5-700番台がHTT非対応だ。L2&L3キャッシュ容量はまったく同じである。
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Intelは,Core i7-900番台を「地球上で最も高速なプロセッサ」と位置づけているが,Core i7-800&i5-700番台は,それをベースに普及価格帯へ下りてきたCPUと位置づけられる。「ホームムービーやゲームなど,性能が必要な場面に向けた選択肢」とのことだ。
Core 2世代と比べると,20%高速で,アイドル時の消費電力は50%低く,チップセットを含めたパッケージサイズは40%小さくなったとされる“Lynnfield”。その実力は,レビュー記事とテストレポート記事でチェックしてほしい。
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[レビュー]「Core i7-870&i5-750」レビュー。Core 2環境から移行する価値はあるか?
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[テストレポート]特徴を徹底的に掘り下げるLynnfield基礎テスト。キモは「Turbo Boost」だ
Intelの日本法人であるインテルが13日に開催した報道関係者向け説明会から。本文で紹介したCPU以外にも,1-wayワークステーション&サーバー用となるXeon 3400番台がリリースされている。9月12日に秋葉原で開催予定となっているイベントが,Core i7-800&i5-700番台を“主役”に据えることも,併せて確認された
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