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レベルファイブ,セガとの特許問題についての公式見解を発表
2012年12月12日,レベルファイブ側から本件に関する公式見解が示された。
当社に対する訴訟提起について
各種報道のとおり、2012年10月22日に株式会社セガ(以下「セガ」といいます)より特許権侵害に関する訴訟の提起を受けましたのでお知らせ致します。
セガの主張は、当社「イナズマイレブン」シリーズの処理がセガ特許を侵害するというものですが、「イナズマイレブン」シリーズの処理は、セガの特許を侵害しておりません。
セガ特許と同様の処理をするゲーム及び特許は、セガ特許の出願前から現在に至るまで複数存在している事を確認しております。その相違点を分析検討した結果、侵害に当たらないと判断致しました。
この件につきましては、裁判を通じて明らかにして参ります。
今回の訴訟対象である「イナズマイレブン」は、タッチペンを使用してキャラクターを操作しますが、これはタッチスクリーンが普及した昨今では、極めて基本的な操作です。イナズマイレブンの操作は、セガの特許を侵害しておりませんが、今回のセガの訴訟提起は、今後のゲーム制作の選択の幅を制限し、ひいてはゲーム産業の発展を阻害するものであると認識しております。
セガの特許は当社が「イナズマイレブン」の第1弾を2008年8月22日に発売して以降、2009年2月20日及び2011年8月26日に成立しており、ゲーム発売後に成立した特許に関しての特許使用料の要求、及び、訴訟の提起を受けたことになります。法律的な正否とは別に、同業界の一端を担う者として、この状況での訴訟提起には違和感を覚えております。
当社としましては、セガの請求は棄却されるべきであり、裁判を通じてその旨主張していく所存です。
以上のように,レベルファイブ側はセガの主張する特許侵害に対して,真っ向から対決する姿勢を見せている。
2012年12月時点でセガは,タッチパネル関係で25種,サッカー関連で26種の特許を申請しており,その他ゲーム関連では数え切れないほどの特許を保有している。昨日の報道では「2件」の特許に抵触しているというだけで,具体的にどの特許項目の侵害とされたのかについては判然としなかったのだが,今回の発表によって2009年2月20日および2011年8月26日に成立した特許,具体的には,特願2004-381199,特願2008-275989の「画像処理装置およびその方法」であることがほぼ明らかになった。出願番号から分かるように,2004年に最初に出願された特許だ。2007年7月には内容が一般公開されている。
特許の侵害内容については,レベルファイブ側の説明によれば,
「タッチペンを使用してキャラクターを操作しますが、これはタッチスクリーンが普及した昨今では、極めて基本的な操作です」
ということで,タッチパネルでのキャラクター操作に関する漠然とした特許であるようにも取れるのだが,特願2004-381199を見ると,サッカーゲームでのタッチパネルを使った処理の実装方法について具体的な出願が行われていることが分かる。
レベルファイブでは,セガの請求は不当だとして争う構えだが,争点となっている制御法について,2004年12月以前に存在した,そのような操作方法を採用していたゲームないし,そのような方法を紹介した文献などが提出されれば特許の無効審判が行われることになるだろう。すでに裁判は進行中なので今後の発表に注目してみたい。
ただ,レベルファイブが言うところの,
「違和感を覚える」
というのは,今回の件で多くの人が感じているのではないだろうか。ゲーム会社各社は多くの特許を有していても,実際に特許侵害で訴訟を起こす/起こされることはきわめて稀だからである。
特許問題は,ゲーム開発での大きなリスクにつながる可能性がある。最近ではCEDECでも特許をテーマにした講演が行われているなど,ゲーム開発で無視できない問題として認知されてきているものの,大手会社以外はコストをかけた特許対策などできないのが実情だ。今回の件は,忘れられがちなゲームの特許問題に警鐘を鳴らす出来事といえそうだ。
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(C)2008 LEVEL-5 Inc.