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印刷2009/07/06 11:19

連載

海外ゲーム四天王 / 第7回:「Hearts of Iron III」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第7回:今週のドイツ戦車師団:「Hearts of Iron III」
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タイトル画面。前作までの「シナリオ」に相当するものがクイックスタートとして完備された

 毎週月曜日の憩いのひとときとして有名な週刊連載,「海外ゲーム四天王」だが,発売されたゲームを語るだけではなく,たまには我々もこんなことをやるというデモンストレーションをお見せしよう。今週は,世界が首を長くして待っている大作タイトルのメディア向けβプレビュー版を入手したので,それをいち早くプレイしてみたというわけだ。
 「βとはいえ実際はαっぽい」とはプレイしたライターの徳岡氏の話で,そのため予想外の出費を強いられることになったようだが,我々としてはその点,見て見ぬふりをしたい。
 世界最速(かもしれない)プレイレポートをぜひお楽しみいただきたい。パラドゲー!

いつも発売後のゲームばっかりの週刊連載だが たまには世界注目の作品を発売前に取り上げてみよう

 

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こちらはおなじみのタイトル画面

 1936年から始まる第二次世界大戦をフルスケールで扱った,「Hearts of Iron II」(以下,HoI2)といえば,歴史ストラテジー好きならば避けては通れない(好き嫌いはともかく)作品であり,筆者もまた割と時間を注ぎ込んだクチである。
 1プレイあたり最低でも20時間,長いときは40〜60時間くらいかかるこのゲームで20回近くの連載をやっていながら「割と」というのは謙遜ではなく,たぶんHoI2プレイヤーの中では中堅以下のプレイ時間だと推測されるからだ。長い人は一つの国だけで1000時間とか軽く越えている。

 

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チュートリアルは6ステップ。正直,マニュアル必須な気配。でなければ10回くらい死んで覚えるしかなさそう

 さて,期せずして世界的なヒットを記録したモンスタータイトルであるHoI2の続編が,実にそのままのタイトルで「Hearts of Iron III」(以下,HoI3)となる。開発段階から開発者ブログで進捗が報告され,クローズβテストでは世界のマニアから広く意見(とリサーチ)を募った本作は,なんのかんのいって,デベロッパのParadox Interactiveにとって大きな勝負球であるのは間違いない。
 当然ながら筆者もHoI3には並々ならぬ関心を寄せていたのだが,このたびE3 2009に赴いた4Gamerの取材班から,「オミヤゲ。受け取り拒否は許しません」というメールとともに,「Hearts of Iron III Beta Preview」と印刷されたDVDが到着したのだ。いやはや,なんとも嬉しい話である。

 というわけで,勇んでマイPCにインストールしてみたのだが……。

 

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これは「Politics」(政治)のチュートリアル画面。政党が追加されているほか,戦略爆撃で市民の士気に悪影響が出たりもするようだ

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司令部はさらに上級の司令部とリンクしている。ということは,自分でこれを作っていけということですかね?

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国家および戦争開始時期の選択。国旗を右クリックしても何も起きなかったのだが,製品版ではきっと大丈夫……

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緑フチで表示されているのが選択中の司令部。そして青フチのユニットはその司令部所属の部隊を示す

 

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西部戦線の最高司令部がこちら。この司令部に対して命令を下すと,その命令に沿った指揮をとってくれる

 ……ええと,Pentium 4+AGP時代のPCでは,まったくもって勝負にならない。例えるなら,なんの後ろ盾もなくソビエトに真っ向勝負を挑んだタンヌ・トゥバか,はたまたマジノ線をサッカー場に改装したフランスか,というところだろう(編集部注。分かりにくいです)。
 HoI3ではHoI2と同様,ゲームの最小単位は1時間だが,この1時間が過ぎるのに5〜10秒くらいかかる。つまり,10年戦うのに,120〜240時間かかる計算だ。Beta Preview版だからコードの最適化がなされていないとはいえ,いくらなんでもこれは無理。
 というわけで,あわただしく新PCを購入,Core i7-920にGeForce GTS 250という構成にしたところ,とりあえずHoI2をプレイしているのと同じくらいの感覚でプレイできるようになった。おそらく製品版はもう少し速くなると思われるので,実プレイ上の問題はないだろう。うーむ,なんともモンスター級だ。

 

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戦闘解決中。実にあいかわらずの「パラドゲー」な戦闘画面。アニメーションなどは一切ないので安心してほしい

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イベントのポップアップ窓は前作そのままのフィーリング。早急な日本語化を強く望んでやまない

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ええと,なにこのパルチザン発生率? ルール自体が変化しているとはいえ,これはちょっとどうなのと思う

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アメリカで開始してみたところ。ファシスト政党と共産主義政党の非合法化が議会で決定される。そういや,以前もそんなことがあったなあ

 

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ゲーム開始前のローディング画面。Pentium 4のPCではダメだと確信したのは,この画面を見てから,さて飲み物でも補充しようと思ってコンビニに出かけて帰ってきたらまだこの画面だった瞬間

 で,問題のゲームの中身なのだが,現状では評価はちょっと難しい。インタフェースは改善される予定だと添付のドキュメントに書かれているし,実際問題「ボタンの入るスロット」と書かれた部分も画面上に残っている。ともあれ,全体の印象は(「Europa Universalis III」のエンジンをベースにしたゲームではあるが)HoI2に非常に近い。この点は前作のプレイヤーも安心していいだろう。
 また,ドキュメントによると,AIやイベントエンジンも未熟とのこと――というか,1939年のドイツを選ぶと,マジノ線にものすごい数のフランス軍が集まってきて西部戦線を突破されちゃったりするんですが……。これは,筆者がまだ防御ライン構築における基本的な技術を習得してないだけかもしれないが,若干の不安材料でもある。とりあえず現状,AIとイベントはEU3的なノリといえるだろう。

 

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生産画面。インタフェースは前作と大差ないものの,関係する要素は増えている

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外交画面。三角形はどことなくHoI初代を思わせるが,どうか?

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研究画面はこんな感じになっている。インタフェースが改善されると同時に,システムにも修正が加わったようだが詳細不明

 

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諜報画面。今回の政治/外交システムを鑑みるに,ここもまた複雑な機能を果たしそうな雰囲気だ

 ともあれ,ゲームのギミックは面白い。各部隊が固有パラメータとして持つ補給の概念はうまく機能しているし,司令部による自動作戦実行も(現状でどれくらいうまく動くかは謎だが)ぜひこれ縛りで戦ってみたいと妄想してしまうシステムだ。きっとすばらしくマゾヒスティックかつ思うに任せぬ戦争が体験できるに違いない。
 だが,とりあえず現状で声を大にしていっておかねばならないのは,HoI3という来るべき戦争に志願する者は,2009年8月5日までに各自のPCに投資をしておくべしという点であろう(さすがにNVIDIA SLIとかは不要っぽいが)。各人の奮闘努力に期待だ!

 

ここで,ParadoxからもらったHoI3のプレイムービーを掲載しよう。説明がなく淡々と進んでいくので詳細は不明だが,タイトルが“The Arsenal of Democracy”であることから,西側世界の武器庫として活躍したアメリカ合衆国の武器生産の模様を紹介したものらしい。大西洋を越え,いかに武器/兵器を効率的にヨーロッパに送り込むかが重要になってくるのだろう

 

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マップの拡大縮小はマウスホイールで。1ユニットから地方図までがシームレスに拡大縮小できる。もっとも,ちょっとばかり馬力のあるグラフィックスカードがあったほうがよさそう

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独ソ戦開始直後の国境地帯。なんだ,ちゃんと防衛線が引けているではないか

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おなじみの貿易協定。なんだかちょっとホッとしませんか? しませんね

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ソビエト連邦を選択したところ。これは名物の「どれを選んでも悪い結果」イベント

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おなじみの面々。戦時下ソビエトだが,トロツキストの人気がまだこんなに高い!

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ドイツ軍のスタックの積み上がり方に割と絶望的な気分がよぎる瞬間

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部隊を使い捨てながら,この空間を利してモスクワを守りきることができるや否や!

 

■■徳岡正肇(ライター)■■
 前々回のKawamuraに引き続き,今回も四天王ではなく助っ人が執筆。「三人の四天王」が連載の最大の売りだったのに,これでは「五人の四天王」になってしまうではないかと大弱りだが,まあ,それでもいいかもしれないという気もしてきた。今後の徳岡氏の大活躍に期待しよう。あ,今回だけ? そうですか。ならいいです。
  • 関連タイトル:

    ハーツ オブ アイアンIII【完全日本語版】

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