連載
海外ゲーム四天王 / 第7回:「Hearts of Iron III」
毎週月曜日の憩いのひとときとして有名な週刊連載,「海外ゲーム四天王」だが,発売されたゲームを語るだけではなく,たまには我々もこんなことをやるというデモンストレーションをお見せしよう。今週は,世界が首を長くして待っている大作タイトルのメディア向けβプレビュー版を入手したので,それをいち早くプレイしてみたというわけだ。
「βとはいえ実際はαっぽい」とはプレイしたライターの徳岡氏の話で,そのため予想外の出費を強いられることになったようだが,我々としてはその点,見て見ぬふりをしたい。
世界最速(かもしれない)プレイレポートをぜひお楽しみいただきたい。パラドゲー!
1936年から始まる第二次世界大戦をフルスケールで扱った,「Hearts of Iron II」(以下,HoI2)といえば,歴史ストラテジー好きならば避けては通れない(好き嫌いはともかく)作品であり,筆者もまた割と時間を注ぎ込んだクチである。
1プレイあたり最低でも20時間,長いときは40〜60時間くらいかかるこのゲームで20回近くの連載をやっていながら「割と」というのは謙遜ではなく,たぶんHoI2プレイヤーの中では中堅以下のプレイ時間だと推測されるからだ。長い人は一つの国だけで1000時間とか軽く越えている。
さて,期せずして世界的なヒットを記録したモンスタータイトルであるHoI2の続編が,実にそのままのタイトルで「Hearts of Iron III」(以下,HoI3)となる。開発段階から開発者ブログで進捗が報告され,クローズβテストでは世界のマニアから広く意見(とリサーチ)を募った本作は,なんのかんのいって,デベロッパのParadox Interactiveにとって大きな勝負球であるのは間違いない。
当然ながら筆者もHoI3には並々ならぬ関心を寄せていたのだが,このたびE3 2009に赴いた4Gamerの取材班から,「オミヤゲ。受け取り拒否は許しません」というメールとともに,「Hearts of Iron III Beta Preview」と印刷されたDVDが到着したのだ。いやはや,なんとも嬉しい話である。
というわけで,勇んでマイPCにインストールしてみたのだが……。
……ええと,Pentium 4+AGP時代のPCでは,まったくもって勝負にならない。例えるなら,なんの後ろ盾もなくソビエトに真っ向勝負を挑んだタンヌ・トゥバか,はたまたマジノ線をサッカー場に改装したフランスか,というところだろう(編集部注。分かりにくいです)。
HoI3ではHoI2と同様,ゲームの最小単位は1時間だが,この1時間が過ぎるのに5〜10秒くらいかかる。つまり,10年戦うのに,120〜240時間かかる計算だ。Beta Preview版だからコードの最適化がなされていないとはいえ,いくらなんでもこれは無理。
というわけで,あわただしく新PCを購入,Core i7-920にGeForce GTS 250という構成にしたところ,とりあえずHoI2をプレイしているのと同じくらいの感覚でプレイできるようになった。おそらく製品版はもう少し速くなると思われるので,実プレイ上の問題はないだろう。うーむ,なんともモンスター級だ。
で,問題のゲームの中身なのだが,現状では評価はちょっと難しい。インタフェースは改善される予定だと添付のドキュメントに書かれているし,実際問題「ボタンの入るスロット」と書かれた部分も画面上に残っている。ともあれ,全体の印象は(「Europa Universalis III」のエンジンをベースにしたゲームではあるが)HoI2に非常に近い。この点は前作のプレイヤーも安心していいだろう。
また,ドキュメントによると,AIやイベントエンジンも未熟とのこと――というか,1939年のドイツを選ぶと,マジノ線にものすごい数のフランス軍が集まってきて西部戦線を突破されちゃったりするんですが……。これは,筆者がまだ防御ライン構築における基本的な技術を習得してないだけかもしれないが,若干の不安材料でもある。とりあえず現状,AIとイベントはEU3的なノリといえるだろう。
ともあれ,ゲームのギミックは面白い。各部隊が固有パラメータとして持つ補給の概念はうまく機能しているし,司令部による自動作戦実行も(現状でどれくらいうまく動くかは謎だが)ぜひこれ縛りで戦ってみたいと妄想してしまうシステムだ。きっとすばらしくマゾヒスティックかつ思うに任せぬ戦争が体験できるに違いない。
だが,とりあえず現状で声を大にしていっておかねばならないのは,HoI3という来るべき戦争に志願する者は,2009年8月5日までに各自のPCに投資をしておくべしという点であろう(さすがにNVIDIA SLIとかは不要っぽいが)。各人の奮闘努力に期待だ!
ここで,ParadoxからもらったHoI3のプレイムービーを掲載しよう。説明がなく淡々と進んでいくので詳細は不明だが,タイトルが“The Arsenal of Democracy”であることから,西側世界の武器庫として活躍したアメリカ合衆国の武器生産の模様を紹介したものらしい。大西洋を越え,いかに武器/兵器を効率的にヨーロッパに送り込むかが重要になってくるのだろう
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- 関連タイトル:
ハーツ オブ アイアンIII【完全日本語版】
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