レビュー
PC版ROのコアプレイヤーが語る,NDS「ラグナロクオンラインDS」の魅力
» 4Gamerスタッフ/ライターが,仕事抜きで個人的に楽しんでいるゲームを調査し,半ば強引に記事を書かせてしまおうという主旨の不定期連載「極私的コンシューマゲームセレクション」。本稿では,PC版ROのコアプレイヤーであるライター・麻生ちはやさんが,NDS「ラグナロクオンラインDS」について語ってくれた。
PC版ROの世界観はそのままに,オリジナルの物語が展開
12月18日に発売された「ラグナロクオンラインDS」(以下,RODS)は,そんな筆者が珍しく心待ちにしていたニンテンドーDS向けタイトルである。いまやライト系MMORPGの代名詞でもある,PC版「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の世界観をそのままに,オリジナルのストーリーがプレイできるとなれば,これはもう,試さないわけにはいかない。ということで,振り返れば「Lokiワールド」誕生から今に至るまでROをプレイしている一人のファンとして,RODSの魅力を紹介してみたい。
RODSは,PC版ROと同様ミッドガルド王国が物語の舞台。ROプレイヤーにはおなじみの「ルーンミッドガッツ王国の首都プロンテラ」や「ミョルニール廃鉱」「古城グラストヘイム」といったマップが広がっている。物語は少女と研究員を追う兵士,それを遮り二人を逃がす冒険者のシーンから突然始まる。少女が何者なのか,なぜ逃げているのか,冒険者が誰なのかなど,謎が膨らむ。やがて場面が切り替わり,母を亡くし独り立ちを誓う主人公「アレス」=プレイヤーが登場し,さまざまな謎を抱えたままオープニングが終了。続いてチュートリアルを体験したのちに,真の冒険が始まるという段取りだ。
PC版ROでは,数々のクエストが導入され,世界観やNPC達のバックストーリーが徐々に語られている。「モンスターサイドストーリーズ」などのサブシナリオも充実しているが,やはりそこは,自由度の高さも売りの一つであるMMORPG,シングルRPGほどの濃厚なストーリーは用意されていない。そのため,見慣れたはずのルーンミッドガッツ王国が,アレス達の物語を通してやけに新鮮に感じてしまった。
また,先の「ROファン感謝祭」レポートでも一部画像を公開しているが,2Dドット絵のほのぼのとした雰囲気は,RODSでもキチンと再現されており,3頭身のかわいいキャラクターもほぼそのままに描かれている。また,ログイン画面やキャラクター作成画面,一部マップの音楽もPC版と同じものが使われているなど,ファンにはたまらない演出がなされている。
「アレス」は照れ屋だが真面目で優しい少年で,褒められると思わず強気なセリフを言うツンデレ君(男性にもツンデレという表現が当てはまるかどうかは知らないが……)。 「お金」や「嬉しい」という感情すら忘れている記憶喪失のシャーマン「シェラ」は,その純真無垢さを生かしたおとぼけ発言が愛くるしい少女だ。序盤でアレスに何かをお願いするのに袖をツンツン引っ張るシーンや,コクっとうなずくモーションに思わず「か,可愛すぎる!」と悶えてしまったのは本当の話。
ルシフィは最初から一次職業ソードマンとして登場し,年長者ということもあり頼れるサポート役といったところか。アレスの資質をはじめから見抜いており,その成長を見守ってくれる。
3人の会話シーンにはそれぞれの性格がよくあらわれていて,プレイが進むにつれ,本筋とは関係ない掛け合い部分を読むのが楽しみになっていた。とりあえずシナリオやクエストの目的を説明するだけのテキストではなく,丁寧に作りこまれているのが嬉しいところ。先を急ぐあまり,メインシナリオに関係する会話以外をすっ飛ばしてしまうのはもったいない。RODSをプレイする際には時間と心に余裕をもって,ぜひじっくりとテキストを読んでほしい。きっと3人の冒険者に愛着がわいてくるはずだ。
ニンテンドーDSらしさを生かした戦闘システム
ちなみに,PC版ではそうそうドロップしないスロット付き装備品/カード類は面白いほど手に入るので,アイテムにはまったく困らない。実際,10分程度のプレイでポリンカードとファミリアカードが各10枚ほどアイテムインベントリに……。とにかく気軽にカードを使えるのが,初心者にもROファンにも嬉しい。
一つ気になったのは,ステータス配分についてだ。プレイヤーは新人「ノービス」としてゲームを開始するのだが,いずれはマジシャンやアーチャーなどの一次職へ,さらにその先ではナイトやプリーストといった二次職に成長していく。RODSではほかの一次職に転職しなおすことも可能だが,どのようにキャラクターを育てるのも自由とはいえ,やはり各職業には適切なステータス配分というものがある。決定ボタンを押すまで何度でもステータス配分はやりなおせるし,画面上でどのステータスを上げるとどんな能力が上昇するのか一目で分かる工夫はなされているのだが,ROビギナーにはいささか難度が高いかも。職業とプレイスタイルに合わせて,アレコレと配分を考えてみよう。
戦闘方法は敵をタッチペンでタッチするだけで,あとはオートで攻撃してくれる。攻撃スキルを使うには,事前にショートカットにスキルアイコンをセットし,それをタッチペンで選択したあと,各スキルごとに異なるスキルアクションを行わねばならない。スキルアクションは以下の5種類が用意されている。
■敵/自分をタッチ
■複数の場所をタッチ
■敵を○で囲む
■スキルを発動させたい位置にチャージ(数秒間タッチ)
■敵に線を描く
スキルアクションを覚えるまでは少々大変だが,スキルの数や効果自体がPC版ほど複雑ではないので,頻繁に使うものは自然と限定されていく。ただ,これはあくまで筆者個人の感想ではあるが,いささか衰え始めた脳みそには,スキルの名前と攻撃範囲とアクションをセットで記憶するのに時間がかかり,アイコンとモンスターへのタッチペンの往復に,腕もすっかりくたびれてしまった。DSならではの操作を取り入れた点は素晴らしいが,長時間のプレイは厳しいなぁ,というのが正直な気持ちだ。
そのほかにも,DSらしさを生かしてるなと感じる場面は多々見られた。例えば序盤のコウモリ型モンスター「ファミリア」は視界を奪う「暗闇攻撃」というスキルを使ってくる。PC版では本当にキャラクターの周囲が暗くなってしまうのだが,RODSではズーム機能を利用して,ズームアップした状態で画面を一定時間固定するという手法がとられている。小さなことだが,何かと制限の多い環境でこれはうまく再現したなあと素直に感心してしまった。
シングル攻略はちょっと難しい?「蜃気楼の塔」
RODSの発売を心待ちにしているプレイヤーの中には,PC版でおなじみの「蜃気楼の塔」がお目当てだという人も多いことだろう。蜃気楼の塔はWi-Fi通信を利用したマルチプレイ以外に,シングルプレイでも遊べるようになっている。シングルプレイを選ぶと仲間のシェラやルシフィもお供には連れて行けず,本当にプレイヤー一人きりで挑戦しなければならない。
筆者はDS版オリジナル職業の「ダークナイト」と「シャーマン」を使って蜃気楼の塔に挑戦してみたが,レベル55〜60でも,16階以上からだんだん苦しくなりはじめる。ダークナイトは剣や斧を装備できる攻撃力の高いクラスにも関わらず,複数の敵に囲まれると回復と攻撃が追いつかず,装備品のカード選択と精錬をみっちり準備して挑まないと,シングルプレイでの攻略はちょっと難しそうである。
PC版ROのファンの視点でここまで延々と書いてきたが,ではROを知らない人,プレイ経験がない人には面白さが分からないのかといえば,そんなことはない。ストーリーや登場キャラクターは先述のとおりオリジナルのものなので,話についていけないということはないし,基本操作については序盤のチュートリアルで学べる。ROファンは耳慣れたBGMやPC版との違いを,そうでない人は愛らしいキャラクターがルーンミッドガッツ王国を舞台に繰り広げる冒険を,それぞれの視点で楽しめるはずなので,興味のある人はぜひプレイしてみてほしい。
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