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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第30回「Bethesda Softworksは『Fallout 3』だけじゃない!(3)」
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印刷2009/02/05 21:15

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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第30回「Bethesda Softworksは『Fallout 3』だけじゃない!(3)」


 ヤバイ。ヤバイのだ。ターミネーターシリーズをもう一度勉強し直してみようと思い,Blu-rayでリリースされた「ターミネーター2 プレミアム・エディション」「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ ファースト・シーズン コレクターズ・ボックス」を購入したところ,懐具合は寒くなるわ,面白過ぎて仕事が進まなくなるわという始末。
 後者は,ターミネーター2以降の物語を描いたTVドラマシリーズで,まだ見たことのない人も多いかもしれないが,ターミネーター2が好きだった人は,間違いなく楽しめるだろう。6月には劇場版のシリーズ第4作も公開されることもあって,2009年は自分内のターミネーター熱がかなり高まりそうな気配だ。
 といったところでそろそろ,前回の予告どおりBethesda Softworksのターミネーターゲームの話題に移ろう。

画像集#001のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第30回「Bethesda Softworksは『Fallout 3』だけじゃない!(3)」
 Bethesdaは,映画「ターミネーター」のスピンオフ作品という位置付けの「The Terminator: 2029」(以下,2029)を大ヒットさせ,アペンドディスクを次々とリリースした。このことでBethesdaは,アメリカのPCゲーム業界で「映画版権ゲームの新たな形を提唱し,商業的にも成功させた」という評価を獲得したのである(その評判は日本には届いていなかったが……)。
 昨今,映画スピンオフ系シネゲーといえば,ターミネーター以外では「スター・ウォーズ」「スタートレック」「トロン」あたりが有名である。これらに共通しているのは,原作がSF作品であること。非現実的な世界が描かれていたり,CGが多用されていたりするため,ゲームになってもグラフィックス的な違和感が少ないことから,映画で描かれた世界に対してプレイヤーが直接関与できるような感覚を生み出しやすいのかもしれない。

 さてBethesdaは,1993年に第二のターミネーター・スピンオフ作品「The Terminator: Rampage」(以下,Rampage)を発売した。こちらは2029から引き続き,Vijay Lakshman氏を中心としたスタッフが開発を担当している。
 舞台となるのは,前作同様2029年の荒廃したLA。軍事用コンピュータ「スカイネット」が送り込んでくる,さまざまな種類のターミネーターや無人戦闘機と戦うという設定のFPSだ。
 心なしか2029よりも単純な作りになってはいるが,原作ファンのLakshman氏の関わった作品だけあって,世界観の再現っぷりに関しては,マニアも納得の高い完成度といえるだろう。

 前回も少し触れたが,Lakshman氏が最初に作った2029は,同時期に発売されたid Softwareの「Wolfenstein 3D」の陰に隠れてあまり目立たなかったタイトルである。
 しかし2029の次にLakshmanが手がけたRampageは,Wolfenstein 3DスタイルのFPSとして開発されているのは興味深いところだ。
 ちなみに当時は“Wolfen Clone”と呼ばれるようなFPSの黎明期で,3Dゲームにとっての大きなターニングポイントでもあった。そう考えるとRampageもまた,時代の変化を後押しした作品の一つであったと言えるだろう。

「The Terminator: Rampage」
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画像集#003のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第30回「Bethesda Softworksは『Fallout 3』だけじゃない!(3)」

画像集#004のサムネイル/ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第30回「Bethesda Softworksは『Fallout 3』だけじゃない!(3)」
 1995年になると,スピンオフ作品第三弾「The Terminator: Future Shock」(以下,Future Shock)が発売された。
 これは,1994年にBethesdaに入社したTodd Howard氏が関わった,二つめの作品である。ちなみに一つめは,1994年発売の「The Elder Scrolls: Arena」だ。
 こちらは前述のLakshman氏が,ゲームデザイン,ディレクション,そしてプロデュースを担当している。つまりThe Elder Scrollsシリーズの方向性を決定づける大きな役割を,Lakshman氏が担っていたといえるだろう。そしてこの作品に,入社したばかりのHoward氏も参加していたのだ。
 ちなみにLakshman氏は,The Elder Scrolls: Arenaを最後にBethesdaを退社したため,彼が作りあげたターミネーター・フランチャイズは,残ったスタッフが引き継ぐこととなった。
 その時期,FPSが台頭し始めたPCゲーム市場に適応すべくBethesdaは,オリジナルの3Dエンジン「XnGine」を生み出している。そしてXnGineは,Future Shockを皮切りに,1998年発売の「The Elder Scrolls Adventures: Redguard」まで,6〜7タイトルで採用されるなど,Bethesdaの主力武器として活用されていた。

「The Elder Scrolls: Arena」
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「The Terminator: Future Shock」
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 Future Shockでの仕事ぶりが評価されたHoward氏は,1996年発売の「The Terminator: SkyNET」(以下,SkyNET)で,開発チームを率いるポジションに抜擢され,同氏を中心にゲームデザインが進められた。
 当初SkyNETは,Future Shockのエクスパンションパックとして発売される予定だったが,俳優を実写取り込みで登場させるなどのパワーアップが加えられたこともあり,独立したタイトルとしての発売に至っている。
 SkyNETは,Future Shockのプリクエル(前日譚)という位置付けのストーリーが描かれているが,未来を舞台にスカイネットと対決するという点では共通。このあたりに,アペンドディスク仕様だった頃の名残が垣間見える。ゲームシステムは,どちらもいわゆる“DOOMタイプ”のFPSだ。
 ただ,Future ShockもSkyNETも,Lakshman氏が関わった作品と比べて独創性が足りなかったためか,販売本数はBethesdaの予想を下回ってしまった。そしてSkyNETを最後に,Bethesdaはターミネーターフランチャイズから手を引いたのである。

「The Terminator: SkyNET」
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 最後に一つ余談を。
 “The Terminator”と“Terminator”は別の商標で,映画「ターミネーター2」以降の作品は原題から“The”が取り除かれている。従って,誰かが映画「The Terminator 2」というタイトルの作品を作ることは可能らしい。

 というわけで,Bethesdaのシネゲーについてはここまで。次回は,ゼニマックスアジア(ベセスダ・ソフトワークスの親会社)のゼネラルプロデューサー高橋 徹氏に,発売中止がアナウンスされたあの“蔵ゲー”(お蔵入りゲーム)について聞く。


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 ゴルフ,アメフトときて今回はバスケットボール! ここのところEA SPORTS漬けになっているのは,短時間でさくっと遊べるゲーム以外,プレイする余裕がないから(泣)。

 バスケゲームというと個人的には,メガドライブの「NBAプロバスケットボール ブルズVSレイカーズ」で遊びまくった記憶が蘇ってしまうのだが,そのぶん,「16年も経つとゲームはここまで進歩するのか!」と感動。
 当時の筆者が本作の画面を見たら,きっとテレビ中継と間違えると思う。それほどまでに,各選手の再現っぷりがお見事。ロード時間にNBAトリビアを紹介してくれるので,NBAファンなら飽きる瞬間などなさそうだ。
 ゲーム自体は,「負けて学ぶ」タイプの極めてまっとうなスポーツゲーム的デザインになっている。最初のうちは,ブロックなどが非常に難しいのだが,慣れさえすれば問題はない。
 実況音声も含めてきっちり日本語化されているので,英語が苦手な人だって安心だ。

 え? なぜ最新作「NBAライブ09」じゃないのかって? そりゃ,NBAライブ09が発売されたおかげで,本作が安くなっていたからで……。

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■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
カプコンから発売中のアートブック「バイオハザード ディジェネレーション ビジュアル&シナリオ アーカイブ」(税込み1680円)でも原稿を書いたという吉田氏。「死にものぐるいで原稿を仕上げた入魂の一冊なので,ぜひ買ってください!」と熱く語っていましたが,死にものぐるい過ぎたのか風邪を引いてしまい,今回の原稿はひどい咳に悩まされながら書き上げたそう。次回はもうちょっと早めに原稿をいただけるくらい回復していると助かります。お大事に。


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