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[iPhone]プログラマーだけでなく,コンテンツクリエイターにとっても大きなチャンスが広がる。「GAPブリーフィング」レポート
アプリケーションマーケットプレイスとして
確固たる地位を築いたApp Store
林氏は,前回のイベント(関連記事)でも用いた資料などを示しながら,iPhone/iPod touchが持つインターネット端末としての優位性や,世界での普及台数が4000万台を超え,巨大なアプリケーションプラットフォームに成長していることを説明した。
また今回は,Worldwide Developers Conference 2009の基調講演でプレゼンテーションが行われた,iPhone/iPod touchと連携したカーシェアリングサービスや,カーナビゲーションアプリ,そして医療支援システムなどを紹介し,人々の生活をさまざまな側面から支えるための端末になりつつあることを指摘した。そのほか,電子ブックビュアーとしても大きな可能性を秘めているという。
佐々木氏は,App Storeに代表される世界規模のアプリケーションマーケットプレイスはすでに複数存在しており,開発者としては,どれを選んでも世界に向けてアプリを提供できるという。ただしApp Storeは,音楽などのコンテンツを配信するiTunes Music Storeという下地があったことから急速に成長しており,世界に向けてアプリをリリースしたいと思う人は,まずはApp Storeに注力すればいいと述べていた。
ちなみにGClueは,Googleの「Androidマーケット」や,Nokiaが5月にオープンしたアプリ/コンテンツストア「Ovi Store」向けアプリも開発している。佐々木氏は,Googleによって審査が行われないAndroidマーケットについて,「これまで携帯電話やiPhone/iPod touchではできなかったことも自由に行える魅力がある」と説明した。
次に登場したのは,AdMobの日本法人であるアドモブの代表取締役社長を務める,John Lagerling氏。AdMobは,モバイル端末向けの広告ビジネスを手がける会社で,同社のシステムは,iPhone/iPod touchやAndroidケータイ向けアプリ1600タイトル以上で採用されている。
「Tap Tap Revenge 2」「iBowl」などのゲーム/アプリで,同社のシステムを用いた広告が画面上に表示されているのを見たことがある人もいるだろう。
これは,ほかの人が開発したアプリで自分のアプリの広告を表示してもらう代わりに,自分のアプリ上にほかのアプリの広告を表示するもの。開発者は,同社が提供するコードをプログラムに組み込むだけで,このサービスを利用可能となるという。関心のあるアプリ開発者は,同社のサイトで詳細(英語)を確認するといいだろう。
コンテンツクリエイターもApp Storeを通じて世界へ
ここからは「iPhone関連ニュース発表会」ということで,まずは,LivingImageのCOOである水木孝幸氏と,Creative Directorを務める丸野 優氏が登壇し,同社がリリースを予定している「PlayPix 3snaps」というアプリの紹介が行われた。
これは,iPhone/iPod touch内に保存されている写真から3枚選び,次に,音楽やエフェクトで構成された「テーマ」を指定することで,印象的なスライドショウを作成できるアプリ。作成したスライドショウをYouTubeにアップロードできる点もウリの一つだ(ムービーの変換は,同社のサーバー側で行われる)。
LivingImageでは今後,アップロード先としてFacebookやTwitterに対応したり,In-App Purchasesによる追加テーマを販売したりする計画を持っているという。アーティストによるBGMを用いたスライドショウを作成できるアプリのリリースも予定しているとのことだ。
続いて,1万2000人ほどのクリエイターを擁する“アーティストコミュニティ”,ロフトワークのクリエイティブディレクターである滝澤耕平氏がステージに上がり,多数のiPhone/iPod touchアプリをリリースしているAPPLIYAとのコラボレーションで,クリエイターがデザインした作品をベースとするアプリの開発プロジェクトについて,プレゼンテーションを行った。
ロフトワークは,登録しているクリエイターからなるチームに制作を任せたり,デザインをクリエイターに公募したりする方法でクライアントに作品を提供している会社だ。
今回のAPPLIYAとのコラボでは,カレンダー「creator calendar」と,ユーザーが素材を組み合わせて新たなアート作品を作り出せる「art remix」という2種類のアプリの,素材となるアートワークが募集されている。募集作品の中から優れたものを選出し,APPLIYAが,それらを用いたアプリの開発と販売を行うというプロジェクトである。
なお,募集期間は7月10日までとなっている。募集の詳細は,ロフトワーク公式サイトの告知ページでご確認を。
最後に,APPLIYAの代表取締役社長を務める椎谷ハレオ氏がステージに上がり,「APPLIYA STUDIO」の立ち上げを発表した。
椎谷氏は,App Storeを通じてコンテンツを提供できるのが,主にプログラミング技術を持つ人に限られている現状を紹介。APPLIYA STUDIOは,イラストレイターや写真家,ミュージシャン,ライターといった,より幅広い層のコンテンツクリエイターに対し,作品を発表する手段を提供するためのサービスであると説明した。
APPLIYA STUDIOに登録することで,コンテンツクリエイターは,プログラミングに関する知識を持っていなくても,自分の作品をもとにしたアプリを,App Storeを通じて80カ国/地域以上で提供できるうえ,売上金の40%をロイヤリティとして受け取れるのだ。
また椎谷氏は,コンテンツの受け皿となるCATの制作を担当するデベロッパも募りたいと述べていた。
APPLIYA STUDIOの公式サイトでサービスの概要が公開されているので,関心を持っているコンテンツクリエイターやデベロッパは,このサイトに用意されているフォームで問い合わせてみるといいだろう。
注目のiPhone 3GSの発売と同じ日に開かれた,今回のGAPブリーフィング。iPhone/iPod touchが,ゲームをはじめとするさまざまなジャンルのアプリケーションプラットフォームとしてさらに大きな可能性を秘めていることや,個人で取り組んでいるプログラマーだけでなく,クリエイター/アーティストと呼ばれる人々にもチャンスをもたらそうとしていることが強く感じられたイベントだった。
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