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[COMPUTEX 2008#02]手のひらの上でFPSが動く! NVIDIA,小型機器向けプロセッサ「Tegra」を発表
台湾では現地時間4:30PMより,COMPUTEX TAIPEI 2008に集まった報道関係者に向けた発表会が行われているが,本稿では,2008年5月23にNVIDIAの米国本社で開催された報道関係者向け事前説明会「Editor's Day」の内容を基に,Tegraの概要をお届けしたいと思う。
「Tegra APX」と「Tegra」の2ラインナップで
小型端末に3D&ビデオ再生能力をもたらす
Tegraブランドを構成するのは,「Tegra APX」と「Tegra」,2種類のSoCシリーズだ。いずれもCPUとして「ARM11」コア,描画エンジンとしてGeForceベースのカスタムグラフィックスコアを内蔵。専用メディアプロセッサコアも併載され,最新世代のビデオやサウンドフォーマットの再生をサポートする。
Tegra APXとTegraのターゲット |
NVIDIAはTegraブランドをSoCではなく,「Computer on a Chip」(1チップコンピュータ)と位置づけている |
一方,ブランド名と同じTegraは,“MID”への採用を目指したものになる。ダブルクォーテーションで括ったのは,Intelの定義する「MID」(Mobile Internet Device,x86 CPUを搭載したPCベースの携帯端末)と,NVIDIAの定義が異なるためだ。「NVIDIA語」としてのMIDは,携帯電話よりも機能に優れ,ミニノートPC(≒UMPC)と比べると機能を絞ってバッテリー駆動時間や携帯性を重視した端末のこと。純粋なPCほどの性能はないが,PCと同じようにインターネットに接続してコンテンツを利用でき,PCデータの閲覧や(基本的な)編集作業が可能で,一通りのマルチメディアコンテンツの再生もこなせるというイメージだろうか。
ブランド発表時点におけるTegra APXのラインナップは「Tegra APX 2500」の1モデルで,Tegraは「Tegra 600」「Tegra 650」の2モデルとなる。3製品の主な違いは下に示したとおりだ。
Performance-per-Wattを追求したTegra APX
Tegra APX 2500プロセッサを手に持つNVIDIAのMichael Rayfield氏(GM, Mobile Business Unit, NVIDIA)。Tegra APX 2500は12mm四方の小型チップだ |
Tegra APX 2500搭載の開発システムデモ機 |
ビデオ再生では,H.264およびVC-1形式の720p形式が利用可能で,2画面出力対応,HDMI出力対応というのは,グラフィックスチップメーカーのNVIDIAらしいというか,ユニークかつ強力な仕様といえる。
なお,APX 2500を採用した実際のスマートフォンやカーナビゲーションシステム,ポータブルプレイヤーは,2008年末から市場投入される見込みとのことだ。対応OSはWindows CE/Mobileで,Linuxなどへの対応予定はいまのところない。
PCライクな機能性を追求したTegra
実際,NVIDIAはEditor's Dayで,「Intelの『Atom』ベース」というノート型PCと,Tegra 600/650のスペックと性能比較を行ってみせた。
Atomに対するTegraの優位性を示したスライド |
Tegra 600/650端末は,ノートPCの延長線上に位置づけられる |
実演デモでは,Windows XPが起動しているだけで消費電力が10WのAtom機に対し,Windows Mobileが実行されているTegraデモ機では720p解像度のビデオを再生してもわずか1.4Wであると示された。x86 CPUベースのPC(=Atom機)と比較することの是非はさておき,Tegraの消費電力あたりのビデオ再生性能が確かに高いというのは伝わってくる。
GeForce FX相当のGPUが
ワンチップに統合される時代へ
Rayfield氏によれば「TegraのグラフィックスコアはGoForceではなく,GeForceベース」で,DirectX 9/プログラマブルシェーダ2.0仕様(SM2.0)世代のアーキテクチャになるのだという。つまり,GeForceファミリーでいうならGeForce FXクラスということになるが,「基本的には新設計と捉えておいてほしい」(同氏)とのことであった。
よく見ると,確かに最新世代のアンチエイリアシングメソッドである「Coverage Sampled Anti-Aliasing」(CSAA)にも対応しており,GeForce FXそのままではないことは確かだ。
レンダリング解像度の制限や浮動小数点演算の精度削減,シェーダユニット数の縮小など,デスクトップ版GeForceと比較すれば,さすがに機能はかなり絞られている印象があるものの,それでも組み込み機器向けグラフィックスコアにプログラマブルシェーダアーキテクチャが載ったという事実には感銘を受けずにいられない。
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