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印刷2024/06/12 20:52

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デスクトップPCでも使われる? 新しいメモリモジュール規格「CAMM2」とはなにか?

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 COMPUTEX 2024では,新たなメモリモジュール規格「CAMM2」が話題の1つになっていた。CAMM2は,メモリスロットを搭載するのも難しい薄型ノートPC向けに策定された規格である。こうした薄型ノートPCでは,マザーボードへ直接メモリチップを実装するのが一般的だ。しかし,メモリの容量を増やしたいときや,メモリチップ自体が故障してしまったときへの対応が難しい。
 CAMM2は,マザーボードに対して,メモリモジュールを平行に乗せるように取り付ける。これにより,交換可能なメモリモジュールを採用しながら,設置に必要なスペースを減らせるわけだ。

 もともとノートPC向けに生まれたCAMM2だが,COMPUTEX 2024では,これをデスクトップPCに利用する動きが出てきた。デスクトップ向けPC向けのCAMM2メモリは,表面と裏面にメモリチップを搭載しており,裏面のおおよそ半分が電気的な接点となっていた。モジュール側が平らでマザーボード側にピンがあり,LGAソケットに似た接続方式と言えるかもしれない。

 従来のスロット式に対して,マザーボード上のピンとメモリモジュールを直接接続するCAMM2は,ノイズや接触不良のリスクが相対的に少ない。加えて,低電力化や速度向上も実現しやすいという。

 メモリモジュールを手掛けるメーカーでは,Kingston Technology(以下,Kingston)が,COMPUTEX 2024の本会場近くにプライベートブースを構え,CAMM2メモリのプロトタイプ「FURY Impact DDR5(CAMM2)」を大々的にアピールしていた。

Kingstonのプライベートブース
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FURY Impact DDR5(CAMM2)
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裏面には電気的な接点に加えて,メモリチップを実装する
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 FURY Impact DDR5(CAMM2)は,現状で32GBと64GBという2種類の容量ラインナップのみとのことだが,将来的には128GBや256GBといった大容量製品の展開も視野に入れているそうだ。
 Kingstonによると,年内には製品の出荷が可能だが,初期段階では,従来のDIMMに比べて価格は高めになるとのことだ。

 このほかにも,SK HynixやADATAなどのメーカーもCAMM2対応メモリを展示していた。ずれもLPDDR5メモリを利用したLPCAMM2対応製品が中心だが,Golden Emperor International(GeIL)のブースには,デスクトップPC向けの製品もあった。

SK Hynixのブースに展示していたESSENCORE製メモリモジュールのサンプル品
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従来のSODIMMに比較して低電力の動作アピールしている
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ADTAのLPCAMM2メモリ
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台湾のメモリメーカーであるNeo ForzaのLPCAMM2メモリ
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GeILは,CAMM2(写真上)とLPCAMM2(写真下)の両方を展示していた
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 また,COMPUTEX 2024では,マザーボードメーカー側もCAMM2メモリに対応した製品を披露した。
 ASRockは,次世代Intel CPU用のマザーボード「Taichi OCF CAMM2」を展示していた。ゲーマー向けではなく,オーバークロッカー向けという製品で,メモリクロックを上げやすいCAMM2と相性がいいということだろう。なお,本製品は日本国内での発売を予定しているという。

Taichi OCF CAMM2
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)のブースでは,CAMM2対応マザーボードと,FURY Impact DDR5と組み合わせた動作デモを行っており,注目を集めていた。

ASUSブースでの動作デモ。マザーボードは開発中のプロトタイプ「ROG LENGSHUIKENG」とのこと
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動作デモの概要。第13世代Coreプロセッサの「Core i9-13900K」を搭載したシステムで,メモリは8000MT/sで動作している
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 MSIブースでもCAMM2に対応したマザーボード「Z790 PROJECT ZERO PLUS」の展示と,FURY Impact DDR5と組み合わせた動作デモを紹介していた。

Z790 PROJECT ZERO PLUS。電源コネクタを裏面に搭載した裏配線仕様のマザーボードだ
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 MSIのデモでは,メモリの搭載部分に液冷ブロックを搭載して冷却しているのがポイントである。また,これまでメモリモジュールが並んでいたスペースが無くなるので,エアフローも向上するという効果もあるとのこと。

MSIブースでの動作デモ。CAMM2メモリの場合,メモリモジュールも液冷しやすいのがポイントだ
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 また,CAMM2メモリではないのだが,MSIブースには「Mini_CUDIMM」なるメモリモジュール規格に対応したマザーボードも参考展示していた。

MSIが展示していたMini_CUDIMM対応マザーボード
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 “Mini”が付かない「CUDIMM」(DDR5 Clocked Unbuffered DIMM)は,CAMM2と同じく,メモリ技術の標準化団体であるJEDECが策定するメモリモジュール規格である。メモリモジュールに,クロック信号を制御する「Client Clock Driver」(CKD)を組み込むことで,信号の補正と安定化を実現するというものだ。
 MSIのマザーボードは,従来のDIMMよりもスロットが小さいのが特徴的だ。おそらく,CUDIMMをベースとした小型規格「CSODIMM」(DDR5 Clocked Small Outline DIMM)に近いものかもしれない。

GeILブースに展示していたCUDIMM(写真上)とCSODIMM(写真下)
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 CAMM2やCUDIMMといった新たなメモリモジュール規格が,従来のDIMMを置き換える存在になるかは,まだ分からない。今回もマザーボードメーカーの多くはプロトタイプとしての展示だった。ただ,業界としての動きは活発化しており,今後の展開に注目したい。

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