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デスクトップPCでも使われる? 新しいメモリモジュール規格「CAMM2」とはなにか?
CAMM2は,マザーボードに対して,メモリモジュールを平行に乗せるように取り付ける。これにより,交換可能なメモリモジュールを採用しながら,設置に必要なスペースを減らせるわけだ。
もともとノートPC向けに生まれたCAMM2だが,COMPUTEX 2024では,これをデスクトップPCに利用する動きが出てきた。デスクトップ向けPC向けのCAMM2メモリは,表面と裏面にメモリチップを搭載しており,裏面のおおよそ半分が電気的な接点となっていた。モジュール側が平らでマザーボード側にピンがあり,LGAソケットに似た接続方式と言えるかもしれない。
従来のスロット式に対して,マザーボード上のピンとメモリモジュールを直接接続するCAMM2は,ノイズや接触不良のリスクが相対的に少ない。加えて,低電力化や速度向上も実現しやすいという。
メモリモジュールを手掛けるメーカーでは,Kingston Technology(以下,Kingston)が,COMPUTEX 2024の本会場近くにプライベートブースを構え,CAMM2メモリのプロトタイプ「FURY Impact DDR5(CAMM2)」を大々的にアピールしていた。
FURY Impact DDR5(CAMM2)は,現状で32GBと64GBという2種類の容量ラインナップのみとのことだが,将来的には128GBや256GBといった大容量製品の展開も視野に入れているそうだ。
Kingstonによると,年内には製品の出荷が可能だが,初期段階では,従来のDIMMに比べて価格は高めになるとのことだ。
このほかにも,SK HynixやADATAなどのメーカーもCAMM2対応メモリを展示していた。ずれもLPDDR5メモリを利用したLPCAMM2対応製品が中心だが,Golden Emperor International(GeIL)のブースには,デスクトップPC向けの製品もあった。
また,COMPUTEX 2024では,マザーボードメーカー側もCAMM2メモリに対応した製品を披露した。
ASRockは,次世代Intel CPU用のマザーボード「Taichi OCF CAMM2」を展示していた。ゲーマー向けではなく,オーバークロッカー向けという製品で,メモリクロックを上げやすいCAMM2と相性がいいということだろう。なお,本製品は日本国内での発売を予定しているという。
ASUSTeK Computer(以下,ASUS)のブースでは,CAMM2対応マザーボードと,FURY Impact DDR5と組み合わせた動作デモを行っており,注目を集めていた。
MSIブースでもCAMM2に対応したマザーボード「Z790 PROJECT ZERO PLUS」の展示と,FURY Impact DDR5と組み合わせた動作デモを紹介していた。
MSIのデモでは,メモリの搭載部分に液冷ブロックを搭載して冷却しているのがポイントである。また,これまでメモリモジュールが並んでいたスペースが無くなるので,エアフローも向上するという効果もあるとのこと。
また,CAMM2メモリではないのだが,MSIブースには「Mini_CUDIMM」なるメモリモジュール規格に対応したマザーボードも参考展示していた。
“Mini”が付かない「CUDIMM」(DDR5 Clocked Unbuffered DIMM)は,CAMM2と同じく,メモリ技術の標準化団体であるJEDECが策定するメモリモジュール規格である。メモリモジュールに,クロック信号を制御する「Client Clock Driver」(CKD)を組み込むことで,信号の補正と安定化を実現するというものだ。
MSIのマザーボードは,従来のDIMMよりもスロットが小さいのが特徴的だ。おそらく,CUDIMMをベースとした小型規格「CSODIMM」(DDR5 Clocked Small Outline DIMM)に近いものかもしれない。
CAMM2やCUDIMMといった新たなメモリモジュール規格が,従来のDIMMを置き換える存在になるかは,まだ分からない。今回もマザーボードメーカーの多くはプロトタイプとしての展示だった。ただ,業界としての動きは活発化しており,今後の展開に注目したい。
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