COMUPUTEX TAIPEI 2011の初日となる台湾時間2011年5月31日,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,メイン会場の1つであるTWTCに近いCathay Financial Holdingsビルで報道関係者向け説明会を開催し,
「R.O.G.」ブランドに関するアップデートを行った。
説明会の目玉は,なんと言っても
「Danshui Bay」プロジェクトだ。Danshui BayがLGA2011とLGA1366の両方に対応するというのは
速報記事でもお伝えしたとおりだが,会場にいたR.O.G.マザーボードの開発者は,「最新ハードウェアの動向に敏感なコアゲーマーが,これまで培ってきたLGA1366プラットフォームの資産を活かせるようにできないかについて着目したのが開発のスタートだった」と振り返っている。
LGA2011とLGA1366,2つのCPUパッケージに対応したソケットを搭載するDanshui Bay
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チップセットはLGA2011パッケージのCPUと接続されるPatsburgのみ
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DanShui Bayは,LGA2011のサーバー向けCPU
「Sandy Bridge-EP」(サンディブリッジEP,開発コードネーム)に対応したマザーボードで,チップセットには「Patsburg」(パッツバーグ,同)を採用。LGA1366パッケージを採用したCPUとの接続には,サーバー用CPUのみが対応するCPU−CPU間の
QPI(Quick Path Interconnect)が用いられている。
写真を見ても分かるように,Danshui Bayにチップセット用と思われるスペースは1つしかないが,これは,LGA2011のデュアルCPUマザーボードをベースに,セカンダリCPU部分をLGA1366対応へと変更した構造であるためだ。
LGA2011対応のCPUソケットと,それを両サイドから挟み込むように配置される4ch DDR3 DIMMスロット |
LGA1366パッケージのCPUはLGA2011のパッケージとQPIで接続され、セカンダリCPUとして動作する |
Danshui Bayがコンセプトマザーボードであると説明するポップ。脇から覗き込んでみると,拡張スロットが置かれていると分かる |
Danshui Bay計画の進行中に起こった東日本大震災を受けて,ASUSのエンジニア達は本ボードに「GOD BLESS JAPAN」の文字を入れようと即断したそうだ |
会場が“激混み”で手しか撮影できていないが,R.O.G.シリーズのプロダクトマネージャーがLGA1366版CPUを有効にする難しさを説明してくれた
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ただ,Danshui BayにおけるCPU−CPU間の接続は一朝一夕に実現できるようなものではないようで,R.O.G.のプロダクトマネージャーは,Sandy Bridge-EPとLGA1366パッケージのCPUではベースクロックが100MHzか133MHzかで異なり,QPIのバージョンも微妙に異なるため「現時点だと,安定的に動作するのは,Sandy Bridge-EPを単独で動作させたときだけ」(同マネージャー)。
LGA1366のCPUを本当にサポートできるのか,できたとして,選択肢が限られるのかどうかも含めて,開発・検証課題は多いようである。だからこそ,ASUSはDanshui Bayをあくまでもコンセプトだと強調したのだろう。
開発者の説明を基に起こしたブロック図
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立体視対応のゲーマー向けノートPCや
マザーボード,フラグシップグラフィックスカードも
G74SX 3Dのデザインコンセプトを披露するKen Wang氏(Design Director, ASUSTeK Computer)
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さて,説明会では,ASUSでR.O.G.ブランドのデザインを統括するKen Wang(ケン・ワン)氏が登壇し,「優れた性能ととゲームの操作性,そして上質な工業デザインという条件を満たすよう心がけている」とR.O.G.ブランドにおけるデザインの方向性を説明。そして,「GeForce GTX 560M」を搭載したゲーマー向けノートPC
「G74SX 3D」などのデザインコンセプトを紹介した。
Wang氏が示した,R.O.G.ブランドに共通のキーデザインコンセプト |
GeForce GTX 560M搭載で3D立体視対応のゲーマー向けノートPC,G74SX 3D |
それによると,G74SX 3Dでは,GeForce GTX 560MやCore i7を効率よく冷却できるよう,ファン回転数を動的に制御できるファンを2基搭載するとともに,ノートPC後方に排熱する大型の排気孔をファンごとに用意。本体の側面から排熱する一般的なデザインに比べ,長時間のゲームプレイでも,キーボードやパームレストが熱くならないという。
また,ゲーム用にデザインするうえでは,カーソルキーの配置や,キーボードの角度などにもこだわったとのことだ。メインキーボードとテンキーの間にちゃんと隙間が用意されているのは,[Enter]キーを用いたテキストチャット時にありがたそうである。
ノートPCにおいては,冷却性能の追究がパフォーマンスを向上させるカギとなるとWang氏。また,後方排熱方式をサポートすることで,一般的な側面からの廃熱時と比べてキーボードやパームレストの温度を低くできたという。キーの配置やキーボードやパームレストの角度も,ゲームの操作性を重視した設計にしてあるとのこと
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なおWang氏からはまた,同氏は液冷システムを採用した「GeForce GTX 590」搭載のゲーマー向けPC
「CG8565」や,裸眼3D立体視を実現する
「G53SX Nakid Eye-3D」のデザインコンセプトなどについても説明があった。
「Intel Z68 Express」プラットフォームにGeForce GTX 590や「Core i7-2600K/3.40GHz」などを搭載したCG8565
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G53SX Nakid Eye-3Dと,裸眼立体視を実現する技術の解説。CMOSカメラによりプレイヤーの目を追い,適切な立体視環境を実現するという。機能を確かめるべく,液晶パネルに対して一定の距離以下に近づくと,立体視表示が無効化されたりもしていた
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Joe Hsieh氏(Global Corporate Vice President, ASUSTeK Computer)
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続いて,同社のJoe Hsieh(ジョー・シエ)副社長が登壇し,「AMD 990FX」を搭載した
「Crosshair V Formula」と,「Intel Z68 Express」を搭載した
「Maximus IV Gene-Z」を披露。両製品の特徴として,「X-Fi Xtreme Fideliity」チップを搭載することでCMSS-3DやTHX TruStudioに対応する点と,オンボードの1000BASE-T LANコントローラにIntel製チップを採用することによって,帯域幅の向上とCPU占有率の低減を実現した点をアピールした。
また氏は,ノイズキャンセリング機能を備えたヘッドセット
「Valcan ANC」もアナウンスしている。
新しいR.O.G.マザーボードとして発表された,「AMD 990FX」搭載の「Crosshair V Formula」と,Intel Z68 Express搭載の「Maximus IV Gene-Z」。前者は説明会会場に展示された。安定したネットワーク接続環境を実現すべく,AMDプラットフォームのマザーボードにもかかわらず,Intel製の1000BASE-T LANコントローラを実装する
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ノイズキャンセリング機能を備えたゲーマー向けヘッドセット「Valcan ANC」。見た目がゴツい割には重量が320gに抑えられており,長時間のゲームプレイでもストレスになりにくいとアピールされている
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Kent Chien氏(General Manager of Multimedia Business Unit, ASUSTeK Computer)
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また,グラフィックスカードでは,同社でマルチメディア関連製品ビジネスを統括するKent Chien(ケント・チエン)氏が,リファレンスクロックの「GeForce GTX 580」を2基搭載するR.O.G.の新たなフラグシップグラフィックスカード,
「MARS II/2DIS/3GD5」を公開した。
MARS II/2DIS/3GD5は,合計19フェーズのPWM電源回路と,3スロットを占有するDirctCU IIクーラーを備え,優れたオーバークロック耐性を実現するとのこと。また,カード上には電源コネクタとして8ピンのPCI Express補助電源コネクタを3系統備えるほか,GPUコア電圧を簡単に調整できるボタンや,自動制御か最大回転数固定か,ファン回転数の制御方法を変更できるボタン,各種設定を強制的に工場出荷時状態へ戻す[SafeMode]ボタンが用意されるのも特徴だ。
「GeForce GTX 580」をリファレンスクロックのまま2基搭載したR.O.G.の新たなフラグシップグラフィックスカード「MARS II/2DIS/3GD5」。補助電源コネクタが8ピン×3という点はもちろん,カードレベルでSLI動作するため,1枚で3画面出力を行える点もポイント
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R.O.G.公式Webサイト(英語)