HD 5870を2基搭載した“最強”カード「ARES」ついに国内発売。14万円ナリ

　フルスペックの「ATI Radeon HD 5870」（以下，HD 5870）GPUを2基搭載し，ATI Radeon HD 5000シリーズの最上位モデル「ATI Radeon HD 5970」（以下，HD 5970）比で最大32％高いパフォーマンスを発揮するとされる，ASUSTeK Computer（以下，ASUS）独自のグラフィクスカード「ARES/2DIS/4GD5」。「R.O.G.」ブランドの最上位モデルとして，海外のPC/IT系イベントで何度か展示されてきたため，その存在を記憶している読者も多いと思うが，ついに本製品が日本市場に登場することになった。
　2010年7月1日にASUSが国内発表したところによると，2010年7月中旬発売予定。予想実売価格は14万円前後だ。

ARES/2DIS/4GD5の分解イメージ

外部電源コネクタ

　HD 5970は，Stream Processor（以下，SP）数1600基の“フルスペック版”となるCypressコアのGPUを2基搭載しつつも，動作クロックは，SP数1440基の「ATI Radeon HD 5850」と同じ，コア725MHz，メモリ4GHz相当に抑えられていた。これは，PCI Express 2.0の電源スペック制限である300Wの枠内に収めるためのスケールダウンだったわけだが，あえてその電源スペック制限を無視することで，HD 5870と同じ，コア850MHz，メモリ4.8GHz相当の動作クロックを実現しているのが，ARES/2DIS/4GD5最大の特徴である。

　外部電源コネクタは，驚異の8ピン×2＋6ピン×1。PCI Express x16レーンからの給電も含めると最大で450Wを供給できるようになっており，実際ASUSでは，HD 5970リファレンスクーラー比で6倍の冷却能力を持つオリジナルGPUクーラー，そしてGPUコア電圧の調整機能「Voltage Tweak」などを組み合わせることで，オーバークロック耐性の確保にも成功しているようだ。ASUSによれば，テスト環境次第で，最大50％ものパフォーマンス引き上げも可能だという。

　どこからどう見ても万人向けではないが，デュアル「GeForce GTX 285」搭載カード「MARS/2DI/4GD3」に続く“最強仕様”第2弾という点に，惹かれる人はいるだろう。全世界1000枚限定生産で，かつ日本市場の割り当て枚数は未公開。さらには，メタルケースにワイヤードマウスまで付属するというコレクターズアイテム仕様なので，手に入れたい人は主要パーツショップの入荷情報をこまめにチェックしておいたほうがいいかもしれない。

製品ボックスにはメタルケースとワイヤードマウスが付属。コレクターズアイテムとしてアリと思うか，その分安くしてくれと思うか，意見が分かれそうだ

●ARES/2DIS/4GD5の主なスペック

• 搭載GPU：ATI Radeon HD 5870×2
• コアクロック：850MHz
• メモリクロック：4.8GHz相当（実クロック1.2GHz）
• メモリインタフェース：256bit（※GPU 1基あたり）
• グラフィックスメモリ容量：2GB（※GPU 1基あたり）-
• 外部出力インタフェース：DisplayPort×1，DVI-I×1，HDMI×1（※いずれもHDCP対応，HDMI−Single-Link DVI-I変換アダプタ付属
• カードサイズ：279（W）×127（D）mm（※高さ未公開，ただし3スロット占有）
• 主な付属品：メタルケース，USB接続ワイヤードマウス