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[TGS 2007#49]最強の囲碁/将棋ソフト「銀星」シリーズ出展,囲碁/将棋の強さって何で決まるのか?
いきなり,囲碁・将棋ということで渋い話だなと思うかもしれないが,CPUに囲碁・将棋をさせた時の強さの推移というのは,実はコンピュータの進化と密につながっている。PCのスペックが高いほど,そのCPUが打つ一手は最善に近く,囲碁・将棋ソフトの「強さ」というのは,概してPCスペックの「高さ」と結びつくといってしまっても,あながち間違いではないのだろう。
まず対局するにあたり,CPUはそのときの局面から最善の一手を見つけ出そうとする。しかし,よりよい手を見つけるためには,できる限りの入力された棋譜を調べ,手を深く読み,そして最善の手を見つけ出すために,多くの時間を必要とするのだ。もちろんこれは簡単に説明しただけであり,実際にはもっと複雑な計算が行われているはずだ。
とはいえ,いつまでも解答が出るまで待つわけにもいかず,そこで思考時間などを一定に制限し,その時間内で最善だと思われる一手を選択することになる。結局のところ,その時点で指せる手が,その“囲碁・将棋ソフトの強さ”となるのだ。つまり時代が進んでコンピュータの処理速度が高くなれば,同じプログラムであっても昔より一手,さらに一手深く読むことができるわけで,直接ソフトの強さに影響することになる。もちろん,思考プログラムも年々改良され,強化されているのだが。
では,2007年現在これらのソフトはどれくらの強さを持っているのか。ブースで話を聞いたところ,この世界最強銀星シリーズや他社のソフトを含め,囲碁はアマ初段,将棋はアマ5段に匹敵する強さを持っているという。
そのためか,将棋はより強い相手を求めるアマ2段〜4段の人が,対戦相手として購入していくことも多いという。囲碁は,将棋に比べて深く読む必要があるため,強さを上げていくことが難しく,現在のソフトでは有段者にはなかなか勝てないようだ。囲碁ソフトをもっと強くしてほしいという要望は多いのだが,難しいらしい。ただし今後PCのスペックがさらに上がれば,それだけ強くなっていきそうである。
ちなみに銀星シリーズは,コンシューマやモバイルでもリリースされているのだが,DSなど,PCに比べると処理速度が落ちるハードウェアの場合は,強さもそこそこで,入門者〜中級者向けといえそうなレベルとのこと。
また,モバイル版では携帯の機種によっても強さが変わることがあるという。どれも同じに見える携帯であっても,強い弱いが存在するのは面白い。
なお,世界コンピュータ囲碁大会が毎年開催されており,四年連続で世界一に,公式戦では23連勝の記録を2007年8月22日現在も更新中だとのこと。それでも有段者には負けてしまうのだから,囲碁の奥深さが思い知らされる。
何はともあれ,銀星シリーズの最新作となる「囲碁8」と「将棋7」が11月に発売されるので,より強い相手を求めて,どちらの棋士も挑んでみてほしい。